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美しき異形達

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第三十一話 相性その二

「攻めることは得意だぜ」
「そうね、ただ」
「ただ?何だよ」
「さっきも言ったけれど勝つのは私よ」
 自分だと言うのだった、やはり不敵な笑顔で。
「そのことは変わらないわよ」
「今も自信があるんだな」
「そうよ」
 その通りだというのだ。
「今ので貴方のことがまたわかったし」
「俺の今のソバットでか」
「ええ、そうよ」
 その通りだとだ、鈴蘭は再び怪人に返した。
「これで私の勝ちはさらに確実になったわ」
「おいおい、本当に自信家だな」
「私の自信には根拠があるわ」
「実力があるってことなんだな」
「そうよ、それを見せてあげるわ」
 こう話してだった、そのうえで。
 怪人と再び接近戦に入る、それは黒蘭もだった。
 両手のクラブを中国の武器である狼牙棍の様に使いながらだ、そのうえでシオマネキの怪人と闘っていた、だが。
 怪人の甲羅は硬い、青いそれはかなり堅固で。
 そのクラブの打撃も弾き返す、そのうえ。
 怪人の鋏は容赦なく黒蘭を襲う、特にその首をだ。
 狙って来る、挟んで断ち切ろうとする。だが。
 それを見つつだ、黒蘭は言うのだった。
「首を狙うのが好きなのね」
「そうさ、首を切ったらそれで終わりだからな」
 それで死ぬからだというのだ。
「意識してるぜ、俺も」
「その通りね」
「そうだよ、その細い首断ち切ってやるぜ」
 堂々と言い切った言葉だった。
「安心しな、苦しむことはないぜ」
「そうね、切られればな」 
 その時はとだ、黒蘭も認める。
「それで終わりね」
「そうだよな、だから覚悟あいいな」
「首を狙うことが好きなことがわかったから」
 それで、と言う黒蘭だった。
「充分よ」
「それで勝つっていうのか」
「ええ、私はそれを防いでね」
 そして、とだ。黒蘭は怪人のその鋏をクラブで弾き返しつつ言う。
「この様にして」
「そしてって言うのかよ」
「こちらの攻撃を浴びせればいいから」
「おいおい、俺のことをわかってるって言うけれどな」
 怪人は黒蘭の今の言葉い笑いながら返した。
「それは充分じゃないみたいだな」
「そうかしら」
「ああ、俺はな」
 誇らしげな言葉だった、実に。
「シオマネキの怪人だからな」
「そうね」
 黒蘭の今の返事は素っ気ないものだった。
「それはわかっているわ」
「それじゃあ勝てないのはわかるよな」
「いえ、だからこそね」
 今闘っている怪人はシオマネキの怪人だからこそとだ、黒蘭の返事は変わらない。表情も冷静なままである。
「勝てるのよ」
「言うものだな、おい」
「私も姉さんも自信のないことは言わないわ」
「ホラや嘘もっていうんだな」
「そうよ、決してね」
 言わないというのだ。
「それは言っておくわ」
「じゃあどうして俺を倒すんだ?」
「確かに甲羅は硬いわ」
 怪人もそれはだ。
「相当にね」
「おさらいしているみたいな言い方だな」
「このことは今は常に頭の中に入れているわ」 
 やはり至って冷静な言葉だった。
「貴方のその鋏と共にね」
「この二つがある限り俺は負けないんだよ」
「そうね、他の攻撃もあるし」
 怪人は鋏だけでなく左手の拳や両足も使って来ている、蹴りも放って来る。鋏での攻撃がメインだがそうした攻撃もしてきていた。 
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