僕は友達が少ない!〜ヨルノタカ〜(更新凍結中)
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第九話 プールイベントでトラブルが起きないわけがない
前書き
はい、一月ぶりです。待ってましたの方も、待ってねぇよ下手くそ死ね!と言う方も、お待たせしました。
やっとこさプール回です!それでは、どうぞ。
第九話 プールイベントでトラブルが起きないわけがない
「羽瀬川、プールに行きましょう!」
前回モン狩りのゲームを経てから、何故かギャルゲーにはまってしまった柏崎星奈が、自分の知らない間に非公認のファンクラブが出来上がっている羽瀬川小鷹にそう言った。
「プールって、まだ五月だよ?空いてないでしよ。」
さすがはミス常識人の小鷹。
当たり前のことを当たり前に言うところがさすがだ。目つきさえ直せばモテること間違いなしである。
「ふっふーん、それがねもう使えるのよ。パパのツテでね。」
「………で、なんで急に?」
小鷹もどうやら星奈の持つ財力に呆れかえり、何も言わない。
「この前のギャルゲーでプールイベントがあってね。」
「ああ。それでプールがどんなものか知っておきたいってわけね。わかったよ。」
小鷹はそう言いながら、帰り支度を終え、席を立つ。
「それじゃ、英雄王も誘おっか?土日とかなら彼も……」
「夜空はいいわ。私達だけで行きましょう。」
小鷹が言い終える前に、星奈がそれを遮った。いつもなら、しぶしぶ了承するのだが、今回は頑として首を縦に振らなかった。
「え、うん…柏崎さんがいいならいいけど。」
少し不思議に思いながらも、小鷹はうなづいた。
そして時は流れて日曜日。小鷹と星奈は市民プールへと向かっていた。
「ところで、柏崎さんはプール行ったことあるの?」
「いいえ。今日が初めてよ。」
…………………………はい?
「無いの?」
「ええ。」
「生まれてから一度も?」
「な、何よ!仕方ないでしょ⁉︎一緒に行く相手なんていなかったんだから!」
寂しいことをこの美少女は大声で言う。
小鷹は、少し呆れながらも星奈の手を引く。
「ほら、行くよ。百円払って。」
「ちょっ、引っ張らないでよ!歩ける、歩けるからぁ‼︎」
何か言っているが、そんなもの無視だ。
「さてと、それじゃ柏崎さん。どこから行く?無難に流れるプールとか……」
「いえ、アレに行きましょう。」
星奈が指指したのは、少し浅めの通常プール。
星奈なら、絶対派手な物から行くと思っていた小鷹には、少し、いやかなり予想外だった。
「あんなのでいいの?」
「あ、あんなのでいいのよ。」
やはり今日の、と言うよりは今回の星奈の行動や言動は、不審な点が多い。
「まぁ、いいけど。じゃあ行こっか?」
「ええ。行きましょう。」
数分後、星奈の不審な点の理由はすぐにわかった。
「まさか柏崎さんが、泳げないとは……予想外過ぎだよ……」
「うるさいわよ!さっきも言ったけど、プールとか来るの初めてなのよ!」
じゃあプールの授業どうしてたんだよ‼︎
とか、言おうとしたが星奈ならサボってそうだ……
「じゃあ……まずは、バタ足の練習から始めようか……」
それから一時間くらい練習しただろうか………
「どうして、負けるのだろうか………」
「ふふん。いやほら?私って天才だから?」
25メートル競泳で負けてしまった。
「オーケー……落ち着こう。そうだ。相手は人間じゃない。」
「それ褒めてないでしょ?馬鹿にしてるんでしょ⁉︎」
何か人外が喚いているが、そんなもの無視だ。
「それじゃぁ、ボクのプライドもいい感じに壊れたところで御飯でも行く?」
「話逸らしたわね……まあ、いいわ。そうね。ちょうどいい時間だし。」
余談だが、この時に小鷹が食べた焼肉定食に星奈は過敏に反応していた。
「で、今回プールに誘った理由なんだけど。」
「え、ギャルゲーのためじゃないの?」
「あんた私のこと馬鹿にしてるの?」
正直、小鷹は星奈がギャルゲー攻略の為に自分を誘ったのかと思っていた。
「理由っていうのは……その…夜空のことよ。」
少し重々しげに、星奈は話を始める。
「どうして、あいつがあんたにあそこまで肩入れするのか。なにか知らない?」
小鷹は少し考えるが、なにも思い当たらない。むしろなにか知ってる方がおかしいだろう。
「いや、全くないけど?」
それを聞いた星奈は疑うような視線を小鷹に向けた。
「気付こうとしてないんじゃないの?」
「え、何か言った?」
その態度は、まるで何かを誤魔化しているようだ。
それが、星奈には少し気になったが、今は無視した。
これが、後々に互いの確執を生むことになるのだが、それはまた別の機会に……
「まあいいわ。なんか飲み物買ってくるけど、何がいい?」
「え、柏崎さんが買ってくるの?」
「あのねぇ!」
「うそうそ。ジョーダンだよ。じゃあコーラで」
あははと、嫌味なしの笑顔で言われ、星奈は不覚にもどきりとした。女の子同士なのにだ。
******************
「遅いな…」
あれから十分経過。星奈は帰ってこない。迷うこともないはずなのだが……
その時だ。
「邪魔よあんたら!」
星奈の声がした。
がたりと、小鷹は立ち上がり、その場に向かう。
その声の持ち主はもちろん彼女しかいない。
「いいじゃねえか。ちょっとくらい遊ぼうぜ?」
「うるさいわね!あんたらなんかに、かまってらんないのよ!」
やはり、隣人部所属の柏崎星奈だ。
小鷹は、二人の間に入り、仲裁する。
「あ?んだ、テメェ?」
なんだと言ったのだろうか?
んだしか聞こえなかった。
「えっと、彼女は、ボ…私の友人なので、あんまり危害を加えて頂きたくないんですけど……」
なるべく穏便に。ここで問題を起こして仕舞えば元も子もない。殺ろうと思えば、殺れる。
だが、それではダメだ。それでは今までと同じだけだ。
「どいてろブス。こいつで遊んだらお前も相手にしてやるからよ。」
男が小鷹を退かそうとした時だ。
男が吹っ飛んだ。
「あ〜、やっぱりダメだ〜。殺したくなる。」
もちろん彼女の所為だ。力による暴力。
羽瀬川小鷹の持つ能力ではなく、単なる暴力。制御も何もできない、力による支配だ。
「あ、あががが…!」
「ねぇ、お兄さん?今から自発的にどっか行って惨めに逃げ帰るのと、力づくでどっかに逝かされるのどっちがいい?」
その目は、座っていた。男を人として見ていなかった。唯のゴミ。もしくはゴキブリ。そのくらいの認識だ。
「え、ら、べ?」
「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃ‼︎」
男は逃げ去る。
小鷹は、振り返り、星奈を見た。
「柏崎さん、大丈夫⁉︎」
「え、ええ。平気よ。」
その時の小鷹の目は、いつもの少し濁った程度の色合いに戻ってた。
「いや〜、今日は楽しかった〜。ありがとね、柏崎さん。」
「別に良いわよ。こっちこそ、その、ありがとう。」
時刻は5時近く。二人は帰りのバスに乗っていた。
「あんなの、どうってことないよ。それより、柏崎さんに怪我とかなくてよかったね。」
星奈は、それを言われ少し微笑む。
理解できた。どうして夜空が、羽瀬川小鷹にあそこまで必死になるか。
こんなにも優しい娘が、報われないのはおかしい。自分の事しか頭にない星奈でもそう思うくらいだ。
そんな事を考えていると、小鷹の降りるバス停についた。
「あ、それじゃ、また明日ね、柏…」
「星奈でいいわ。」
「え?」
「夜空があんたを名前で呼んで、私が呼ばないのもおかしな話でしょ?私も小鷹って呼ぶから、あんたも星奈って呼びなさい。」
小鷹は唖然とした。まさか、こんなに早く柏崎星奈が自分に心を許してくれるとは、思ってなかったのだ。
「あ、うん。それじゃぁ…」
少し手を挙げ、ゆっくり振る。
「また明日ね。星奈。」
「ええ。また明日。小鷹。」
バスの扉が閉まる。
この日、小鷹に初めて、同性の友達が出来た。
後書き
はいどーモー!小鷹と星奈の友情をがっちりさせました!
原作のように、曖昧な感じにはしません。序盤でがっちり。自分はこんなのが好きです。物語シリーズとかが理想です。
次回はなんと、あの男装っ娘が登場です!
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