Gフォース~正義の行方~
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第10話:ドローン軍団の攻撃
ワシントン郊外の道路。
人々は狂ったように車を走らせていた。
その中にフォードたちの乗っていた車はあった。
ユリは車を運転し、もたもたしていたほかの乗用車を追い越していた。
サムとマナは後部座席でゴードンの肩の治療で急いでいた。
席を横に倒しながら横たわったゴードンの近くにマナが立つと、手をかざしヒーリング治療を行った。
マナの手は明るくなると、ゴードンの肩の中にある傷の痛みを徐々にやわらげていった。
ヒオは助手席にいたフォードの胸ポケットからでてきた。
「やばいね。」
「やばいって?」
「このまま、ヒーリングやってると肩の中にある銃弾は消えないし何よりも姉ちゃんの体力が失われていってる。そろそろ、お医者さんのところにいかなきゃダメだよ。」
「といっても、外の様子をみてみろよ。」
フォードは外の様子をみせた。
あちこちで車が泊まっていて、空にヘリコプターが行き交っていった。
ふと、後ろの方では車が接触事故を起こしたのか男たちが今すぐにでも喧嘩しそうな雰囲気で口論をしていた。
警察のパトカーが反対側の車両を何度も何度も行き来し、救急車もその後についていっていた。
市街地では警官隊が隊列を組み、近くにいた。
「今頃どこの病院も埋まってる。」
「うん・・・でも、私も空いてる病院がないか気配を探ってみるね。」
「助かるよ。」
そんなフォードと
「なあ、ユリもっと早くいけないのか?」
「無理だわ。」
サムも、ユリもイライラしてるのか口調が荒くなっていった。
ゴードンの命がかかっている。
すると、ゴードンは上体を起こしながら声を出した。
「お前ら、空をみろ。」
「ダメです、治療の最中なのに。」
「いいから!みろ!」
ゴードンはそういうと指をさした。
マナはすると、目を細めて手をかざした。
マナはゴードンの治療、ヒオは病院を探すために全神経を集中して全く気付いていなかった。
フォードはゴードンの指をさした方向を見た。
すると、そこには光輝く大きさ100mある物体が上空にいた。
その形は人間をしているようにみえた。
「なんだありゃ・・・。」
フォードは見覚えがあった。
ドローンだ。
ホワイトハウスにいた人々を殺した後にこっちにやってきたんだ。
フォードはそう確信した。
よくよくみると、高度400mのあたりからドローンはいたのだった。
するとドローンが手を動かし始めた。
そして、ドローンの手は赤く光ると近くにあったビルに向かって熱線を放った。
ドゴォオオオン・・・・。
轟音とともにビルは崩れ、窓ガラスが一気に割れた。
下の道路にいたフォードたちにもその振動は伝わった。
崩れたビルの一部は地面に落ちると、さきほどのパトカーがその瓦礫の犠牲になった。
人々はその光景に呆然とすると、われ先に逃げて行った。
その中をフォードたちの乗った車のみがただひとつ止まっていた。
「まずいわ。」
「こりゃやばい、逃げないといけねえ。」
フォードは疑った。
確かガイガンは48時間後といっていた。
なぜ、攻撃をしたのか。
フォードはもう一度ドローンをみた。
ドローンの姿は鏡のように周囲の光景をうつすだけだった。
その鏡のようなボディにフォードの顔がうつったようにみえた。
「俺たちにみせつけてるんだ、お前らもこうなるぞって。」
見せしめだ。
フォードはそう確信した。
すると、ドローンはフォードの顔をうつすと、赤く光る掌を向けてきた。
「逃げろ!」
フォードは本能的にそういった。
サムはゴードンを背負い、ユリは銃を構え、コスモス姉妹は急いでフォードの胸ポケットに移動した。
そして、全員は車からでてきた。
だが、逃げる場所などなかった。
気がつけば、ほかにもドローンがいたのだ。
北部、南部、西部、東部、そして上に言えドローン。
あらゆる場所に、フォードたちの周囲を囲むように大きさ100mあるドローン兵士たちは赤い掌を向けていた。
「囲まれてる。」
フォードは愕然とした。
相手が強大すぎる。
そして、素早い。
あっさりと背後をとってくる。
「畜生、標的は俺たちだ!」
サムは悲鳴をあげた。
確かにそうだ、とフォードは思った。
明確に自分たちを狙っている。
勝てない。
そう思った矢先だった。
銀色の姿をした、大きな物体が空からふってきた。
その形は恐竜にも似ていた。
その姿は見慣れていた。
あのメカゴジラだった!
「メカゴジラよ、ダニエルが来てくれたんだわ!」
銀色のメカゴジラは上空で彼らを狙っていたドローンの1体をより、高い上空から両足で踏みつぶした。
衝撃と振動でフォードたちの乗っていた車がビルに吹き飛んでいった。
するとサムに背負われていたゴードンが茫然と言った。
「いい車だったのに。」
メカゴジラの存在に気づいたドローンたちはフォードたちから標的をメカゴジラに変えたのか、メカゴジラの周囲を囲んでいった。
すると、掌から赤いレーザー光線をメカゴジラに四方からぶつけた。
だが、メカゴジラはそれをさらりとよけるとドローンたちは同士討ちを行ってしまい爆破四散した。
「やった!」
サムは思わずそういった。
すると、サムの声に気づいたかのようにメカゴジラが振り向くと土下座するように両膝をつきフォードたちのほうに顔をよせた。
「ここから、早く離れよう。」
フォードはそういおうと、背後を振り向いた。
するとドローンたちがさらに、増えて傍に近づこうとしていた。
その数はさらに増えていた。
10体はいる。
サムとユリはそれを恐怖の顔でみつめていた。
「さっきより増えてる、バレちまったんだ。」
すると、さらに今度は空から何かがやってきた。
90mほどの大きさがある飛行機。
メカゴジラを補佐するガルーダだった。
「ビビアンが空気を読んでくれたんだな。」
フォードはそういうと、それに反応するかのようにガルーダは彼らの近くに降りてきた。
すると、ガルーダのコックピットは主人であるゴードンを招くように開いた。
フォードたち4人はガルーダに乗り込むと、そのまま急発進をした。
コックピットにユリが座ると、彼女はメカゴジラの背部にガルーダを近づけるとドッキングを行いスーパーメカゴジラに変化をした。
230mのスーパーメカゴジラを囲むようにドローンたちは近づいてきていた。
ふと、周囲をみつめれば10体でスーパーメカゴジラの体を囲んでいた。
「まずいな、逃げられない。」
サムはそう漏らした。
ダニエルはそのことを一番わかっていた。
「やるしかないな。」
ダニエルは決意したかのように呟いた。
するとドローンの1体が赤い掌を広げ、レーザーを放とうとしたその時だった。
スーパーメカゴジラの口は光ると、白いレーザー光線を回転しながら周囲にいたドローンたちにあびせた。
「アブソリュート・ゼロ!!!!」
ダニエルは勇ましく叫び、周囲にいた敵たちに向かってアブソリュートゼロを回転しながら浴びせた。
ドローンたちはアブソリュートゼロを浴び、一気に凍るとその体を分解させていった。
サムはふと、ダニエルの変わり果てた姿に呆然とした。
「俺のダニエルちゃんが・・・・。」
「あんたのダニエルじゃなくてあたしのダニエルよ。」
「俺のダニエルちゃんがむっちゃ強くなってる。」
「だからあたしのダニエルよ。」
サムは茫然としダニエルの変貌した姿に唖然としていた。
フォードは苦笑いをするとサムにこういった。
「もう俺たちの時代じゃあないんだ、彼のような若者の時代さ。」
「お前はまだ20代だろ・・・・。」
サムはフォードの言葉にツッコミを入れた。
そんな兄弟を無視してユリはダニエルにモニター上でキスを送った。
ゴードンは自分の存在が忘れられてるんだなと思うと頭が痛くなった。
「これからどうする予定だ、フォード。」
「まずはGフォースの基地に戻ろう、それから人を集めてガイガンを倒すんだ。ガイガンはコンピュータ生命体だ。ハッカーが仲間にいたら役に立つ。」
するとサムは微笑んだ。
一人心当たりがいた。
「一人だけいいやつがいる、あいつが仕事を受け入れてくれるかどうかは微妙だが・・・。」
するとサムはケータイ電話の電話帳を開いた。
そして、ある男の名前を探した。
その男の名前は「フィル・へスター」だった。
サムは自分のマネージャーであり仲介業者であるフィルに頼もうとしていた。
その頃、アルゼンチンの別荘にいたフィルはTVをみて怯えていた。
フィルは昔から噂を聞いていた。
シンクレアと彼の関わっている組織について。
この世界を支配している「モナーク」、その筆頭株主にして裏の支配者でありアメリカ上院議員でもあるシンクレアは実質上、その資金力でアメリカはもとより途上国にさえ強い影響を及ぼしていた。
CIA時代の時に、同僚からある噂を聞いていた。
『シンクレアは裏も表も支配しようとしている、人工知能生命体を使って。』
その噂を彼は一蹴していたが、しだいに真実であるとわかった。
彼はとても知りたがりだった。
やがて、CIAのコンピューターをハッキングし、嫌味ばかりいう上司を恐喝してある事を知った。
「ガイガン・プロジェクト」
そのプロジェクトはガイガンというコンピューター生命体を通じて、ロボット兵士の群れを使い世界のあらゆる人間を恐怖でしばりつけ支配するというものだった。
今まで、モナークは常に歴史の闇に隠れていた。
だが、ついに彼らはガイガンを通じて表も裏も支配しようとしているのではないかと。
その筆頭たる存在がシンクレアだった。
元々、ガイガンはゴジラに対抗するために生み出されたサイボーグ怪獣だった。
ゴジラはCIAでは有名な伝説だった。
それに対抗するガイガンの存在もまた、有名であった。
人類誕生から地球に生きていた古代の恐竜の始祖であり、頂点捕食者の存在。
フィルはゴジラのことを知っていた。
そして、彼もほかの人間同様にゴジラに怯えていた。
ガイガンはそれに対抗するために、人類の最終手段として生み出されていた。
メカゴジラ、メカニコング、そしてガイガンとドローン、彼らを作り出す事でゴジラに対抗する。
そのためにGフォースは誕生した。
だが、彼はそれでも信じられなかった。
実際にもしも、この世界の支配者なら闇で隠れて暴利を貪ればいい。
表から支配するなどバカのやる事だ。
その後、CIAを解雇されその腹いせに上司の性的な弱みを握って資金と情報網を得て、彼は服役囚だった従兄弟を頼りに殺し屋組織を作り出した。
その後、ゴジラがアメリカに襲来した。
フィルは恐れた。
ゴジラが蘇ったということは、世界が滅ぶことになる。
実際にゴジラの戦闘力は比類なきものであった。
下手をすれば世界を滅ぼす事はいくらでも可能であった。
フィルは友人であり、部下でもあるサムにゴジラ討伐のために仕事をしてもらった。
そして、ゴジラは消えた。
やがて、人類の敵はゴジラからテロリストになった。
ゴジラの騒動で傷つき疲弊した人類たちは、心の闇と狂気を武器に新しい怪獣となった。
フィルはとある情報筋から聞いていた。
シンクレアはついに決断をした。
彼は善意によって、人類を支配しようとしていると。
TVをみて、彼はそれが真実とわかった。
と同時に、事態はより悪い方向にガイガンが自我を持ち人類を滅ぼそうとしているとわかった。
フィルは恐怖に震えた。
怯えて涙が出そうだった。
ジリリリリリリィ!!!!!!
「なんだよ!!」
フィルは悲鳴をあげた。
ケータイ電話のアラームだった。
こんな時にだれだ。
フィルは着信先をみた。
サムだった。
「なんだ、サム!」
「ガイガンを倒すための力がほしい、ハッカーとしてのお前を。」
ガイガンを倒す。
フィルにはできるかどうかわからなかった。
だが、サムが自分に頼み事なんてめったになかった。
フィルはすぐに返事を返した。
「いいだろう、だが俺はアメリカに行けない。」
「わかってるさ、だからこっちから迎えを出す。振り返ってくれ、フィル。」
「何が言いたいんだ?」
フィルは思わずサムのいう事に従って振り向いた。
その振り向いた先には台所とその上には飲みかけていたジュースだけしかなかった。
はずだった。
「フィルさん、こんにちは!」
フィルは目を疑った。
身長10㎝程度の、人形サイズの、ミニマムな人間がそこにいた。
ハワイアンのごとき民族衣装を身にまとっていた。
フィルは腰をぬかし、悲鳴をあげる前にその場に気を失い倒れた。
「サム、彼倒れましたよ・・・。」
マナは冷静にそう言った。
電話上でそのことを知ったサムは頭を抱えると地面に倒れそうになった。
これからもっと気を失いそうなことになるというのにと。
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