日向の兎
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1部
23話
前書き
本格的にぐだってきました……
というか、ネタが……
「さて、君にも働いてもらおうか」
「……僕は再不斬さん以外の為に働くつもりはありませんよ」
木に全身を縛り付けられているのもの、先ほど猿轡と目隠しを外しまともに喋ることできるようになった白は私の方を虚ろな目で見た。
「ですが、僕はもう再不斬さんの道具にもなれないんでしょうね……せめて殺して貰えませんか?」
「ふむ、道具か…………君の場合は道具以前の問題だ。その様で死ぬなどとほざくようでは殺すにすら値しない存在だぞ?」
「どういう事ですか?」
「自分の何処をどう見て殺人向けの道具などとほざいているんだ?
世界の何処に紙を切ることに躊躇う鋏がいる。
世界の何処に火を点けることを躊躇うライターがいる。
私のような敵ですら殺すことの出来なかった人間が人殺しの道具になろうとすること自体が間違いだ。
いいか、人を殺すというのは淡々と何の感情も交えずに作業とするべきだと私は考えている。
覚悟する暇があるなら一手でも早く相手を殺せ、殺した相手を思い返す暇があるなら腕を磨け、忍など結局のところ他者を殺すだけの存在なんだからな。
その全てを躊躇っている君が人殺しの道具になれないから殺してくれというのは、犬が鳥のように空を飛べないから殺してくれと言っているレベルの滑稽さだぞ?
そもそも、君の能力と性格を考慮すれば諜報や潜入、奪取などの方が向いているだろうに。あまり他人の関係に対して口を出すのは私の主義ではないんだが、流石に君の運用方法に対しては苦言を呈さずにはいられないな。
だが、言い訳をさせて欲しい。私からすれば君の運用方法は包丁を研ぐのに宝石の塊を使っているような、ある種の冒涜のようにしか思えないのだよ
加えて言わせてもらうとすれば、教育の段階から間違えているとすら言えてしまうな。君はどうにも暗殺術や身のこなしに重きを置いた教育を受けたと見えるのだが、君の術を考えればそんなものよりも動体視力を磨きあげるべきだと小一時間ほど説教したくなってくる!!」
「あ、あの……」
「なんだ!?」
「あなたは一体何を怒っているんですか?」
「怒っている?当たり前だ!!
君ほどの才の持ち主が誤った取り扱いをされていることをこうも見せつけられては、いくら私でも怒りを露わにしたくもなる。
これでも私は人を使う側の立場にいた事もあり、そういった事に対する知識も身につけてきた。だからこそ、君が再不斬から離れることが無い事も分かっているし、どうやったところで君を私の元の置くことも出来ないと理解している。
それ故に私はこうして苛立っているんだ!!」
…………いかん、落ち着くんだ私よ。
このまま愚痴をこぼし続けていては、下手をすれば色々と手遅れになってしまいかねん。
「ふぅ…………話を元に戻そう。まず、君に働いてもらうのは再不斬の為だ」
「再不斬さんの?」
「ああ、私達としてもここで死なれると困るのだよ。死体からでも情報やらはある程度引き出せるし、それが元が付くとは言え忍刀七人衆の一人となれば一体どんな面倒な追求を霧隠れからされると思う?
再不斬の生き死にはどうでもいいが、私達の前で死なれると困るただその一点のみで君に働いてもらいたい」
「……つまり、再不斬さんを助けて逃げろと?」
「ああ、ただし私達の用が終わってからという条件はつくがな。それ故、君には今から速攻性の痺れ薬を打って私の用が終わるまでここにいてもらおう。
時間としてはきっかり一分、その後はあの鏡の術でもなんでも使って建設中の橋まで来い」
「はぁ……分かりましたよ。お願いですから僕が動けない間は再不斬さんを殺さないで下さいよ?」
「…………意外だな。薬を打つなどと言えば、暴れる君を押さえつけて打ち込まねばならんものと考えていたぞ?」
「あなたは騙すことはあっても嘘をつくような人じゃない事は分かりますよ。
それにここで下手に抵抗したところでこの状態であなたから逃げられる筈もありませんし、再不斬さんの為にも今はあなたの言うことを聞いた方がいいんでしょうしね」
「それは結構。縄は切っておく、動けるようになったら動け」
私は白の二の腕に注射を打ち、彼の体に異常が出始めたのを見計らって縄を切った。彼はそのまま地面に倒れて額を地面にぶつけてしまい、私に横目で少し恨むような視線を向けたが無視させてもらおう。
こちらとしてもあまり時間がないので、少々急がねばならんのだ。
例の移動方法で移動し、何とか一分以内に橋の建設地に辿り着いた。道中、何かを轢いた感覚があったのだが……死んではいないだろうし、そこまで大きな心配もあるまい。
さて、戦況は…………ふむ、粗方終わっているな。
現在の状況から察するに先生、カカシ、リーで再不斬を抑え込み、その隙にネジが点穴を突いた事で再不斬の無音暗殺を封殺したか。
で、テンテンはナルト達の雇い主を狙った二人組の忍を両肩を新しい槍型の忍具で貫き、橋に文字通り縫い付けていた。
私の出番は最後の幕引きだけか……文句はないが呆気なさすぎる感があるな。
まぁいいさ、ガトーがボロボロの再不斬を見てなんぞ計画通りで心底可笑しいとでも言うような態度をとっているが、彼自身が詰んでいる事を理解していないようなので、色々と教え込んでやる必要性がありそうだ。
「私の腕をこんなにしてくれたあの小僧も一緒に殺してやろうと思ったが……お前達を始末した後にゆっくりと探すとしよう」
「ゆっくり?そんな時間はあなたにはありませんよ」
私はガトーの背後から彼の肩に静かに手を置く。振り返った彼は私の姿を見て不機嫌そうな表情を浮かべた。
それはそうだろう、来るなと命じた筈の私がここにいて、自分の筋書き通りに進んだことで悦に入っていたのを邪魔されたのだからな。
だが、それは私にとっても同じ事だ。さっさとこの紙を見せてやりたくてたまらないのだよ。
「この書類に目を通してみてください」
「そんなものは後で……」
「いいから見ろ」
「ひっ……」
ガトーは小さく悲鳴を上げて、恐る恐る私の差し出した書類に目を通すとその顔色が目に見えて青くなっていった。
「私の……解任書だと……?」
「さて、強盗、恐喝、殺人、麻薬取引、その他諸々の罪で貴様は法によって裁かれることになるが……火の国と水の国、どっちに裁かれたい?
私としては水の国がオススメだ、一瞬で裁判が終わるぞ?十中八九、忍に脳髄の奥底まで暴かれての処刑だが……なに、一月ほど耐えれば終わる。
加えて、再不斬を雇っていた人間を引き渡したとなれば我々に謝礼も幾分かくるだろうな。そら、ハッピーエンドだろう?」
「ふ、ふざけるな!!私はガトーカンパニーの社長だぞ!?世界で有数の金も「元社長だ。貴様の財も既にお前の会社だったものが手を回している」
「そ、そんな……」
ガックリと膝をつくガトーを見下ろしてから、後ろの彼が率いていたならず者達に視線を向ける。ならず者達はガトーに支払い能力が無いと見るや否や、周囲の村から略奪してでも金を得ようと考え始めたようだ。
手始めに私とガトーから身包み剥ごうという所か……ふむ、確かに小娘と老人ならばそれくらい容易いな。
しかし、生憎と今の私は白を手に入れられないという事でイラついているのだ。
悪いがならず者諸君、私の八つ当たりの相手になってもらうぞ?
心配するな、半分くらいは生きて帰れるようにしてやろう。
後書き
少し本編と離れた話を書きたいんですが……何かアイデアをいただけないでしょうか?
簡単なものでもいいのでアイデアを書いて頂ければ幸いです
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