ひねくれヒーロー
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友情のための最大の努力
友情のための最大の努力は、友人に我々の欠点を見せることではない。彼に彼の欠点を悟らせることだ。
—ラ・ロシュフーコー—
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友情のための最大の努力
◆◇◆コン◆◇◆
そういえば無音殺人術って何なんだろうか
分類でいえば体術?
そう尋ねてみると再不斬は無い眉を顰めて唸った
「・・・別に体術でもねェが・・・
簡単に言うなら素早く後ろに回り、腎臓から脊髄にかけて刃物で突き刺すこと
で、刺された方は、痛みで声も出せなくなる事から無音殺人術と言われている」
攻撃時の音が消えるからとかじゃないのか
ということは無音殺人術を使うにあたって必要なのは、スピードと正確に急所を狙う観察眼ってところか
「隠行術を極めつつあるお前なら、速さがあれば確実にものに出来る
ガトー暗殺のときは本気で驚いたぜ」
あと確実に仕留めるために首と胴体切り離したのも点数高いぜ
からかうように言われ少しムッとした
もし居場所がバレたらオレ個人の力で護衛集団に勝てない
そう思ったからこそ気配を消すことに専念した
ちなみに隠行術とは身を隠す術のことである
「カカシは千本を刺されたオレの首を切り落とすことなく見逃した・・・
正直言って忍者として二流の対応だった
そんなことも出来ねえほど消耗していたんだろうがな」
自らの首を指し示し、トントンと軽く叩いてみせる
それを言ったら只見ていた先生も二流だよな
「お前に教えるのは乱戦時における気配の消し方、足運び、重心配分・・・
武道にもつながる基礎の基礎と音の出にくい武器の持ち方
血反吐吐いたって習得するまで休ませないからな」
ニタァ・・・
そう音が出るほど嗜虐的な笑みを浮かべられ、大人しくついて来るのではなかったと後悔した
◆◇◆シナイ◆◇◆
薄明かりの宵闇に屋根伝いに走りよる人影
三忍自来也が弟子、ペイン天道・長門の姿を確認し警戒を解いた
「ねたみコンの担当上忍、まじらずシナイだ
自来也さまは・・・エビス先生とお話中か」
数軒離れた屋上に2人の姿が見える
エビス先生の説得で大蛇丸対策に力を貸してくれるといいのだが・・・
あの子たちが遺した木の葉の里、それを守るためなら何だってしてみせる
そのつもりだ
「ええ、去り際にコン君から聞きました
あの大蛇丸が暗躍しているそうですね」
三代目の伝言を、原作知識と共に語ったのか
うーん、風影が大蛇丸と密約を結んでいたような違うような・・・
記憶が曖昧だ
やはり原作知識の正確さはコンが一番だな
私はイタチ兄さん死亡までしか原作を知らんし、シュロやイカリは五影会談までしか分からんそうだし・・・
まぁ一番アニナルに詳しいのはシュロなんだが・・・森乃イビキに弟がいるなんて知らなかったわー
コンに言われて穢土転生で暁が蘇ると知ったし、なんという少年誌展開・・・いや少年誌だから仕方ないな
「コンは・・・病院ですかな?」
「いえ、再不斬に連れられて修行中です
前に自来也先生が気配の消し方が上手いと聞かされてましてね・・・それで気になってたんですよ」
・・・そうか、再不斬ってことは無音殺人術か・・・
忍者じゃなくてアサシンにクラスチェンジしそうだなあの子
「あなたの力が必要なのです・・・自来也様!!!」
エビス先生の叫び、説得は失敗か
ヒートアップして呂律が回らなくなったエビス先生の元へ走りよる
ペインも一緒に着いて来た
「わしは一度あいつを止め損ねた・・・今さら止められん」
昔のことを思い出しているのか
止められなかったことを悔やんでいるのか
その顔は厳しい
だけど、そんなの・・・
「・・・友達が死ぬっていうのを、黙ってみてるバカがいますか
・・・仮にも大蛇丸はあんたの仲間で、友達だったはずだ
過ぎたことをウダウダ考えるよりも、これから何をするかが大切なんじゃないのか?」
確か原作では死ななかったと思うけれど・・・
だけど、まだ大蛇丸を友達だと思う心があるのならば—
すべてを敵に回そうとする奴を、道を踏み外した奴を止めるべきなんじゃないのか
「・・・だが・・・」
「・・・そうやって悩んでいるのも良いでしょう
ですが、選択を誤って後悔するだけの老人にならないでいただきたい
それは、コンの教育に悪い」
一礼して背を向ける
これ以上付き合う気にはなれない
「・・・わしは・・・」
黙りこんだ自来也
何か言いたそうに口をつぐむエビス先生を引っ掴んで走り去る
——どうすればいい?——
風に乗ってそう聞こえた気がした
約三週間後
上忍待機所、人生色々にて無料で振舞われるコーヒーを啜りつつ手紙をまとめる
今までの任務地で知り合った人々からの手紙
それは上忍師へ昇進したことへの賛美、称賛、生徒を連れ任務に赴くことへの期待が詰まっている
本戦が無事に終わり、木の葉崩しの影響もなくなれば休暇代わりに赴くのも悪くない
バカンスなら月の国か・・・月と関連する所だとコンが嫌がるかねぇ
「よぉシナイ
お前、生徒の修行は良いのか?お前の所だけなんだぞ全員本戦出場は・・・」
顔を上げるとアスマが立っていた
そうは言われても・・・
「シュロは連続組み手が48時間止まりだし、ダンゾウ様から罠破壊禁止令が出されたからな・・・」
罠破壊の度に志村邸および根の本部が被害にあったせいかな
組み手については24時間戦えますか?
はい勿論、忍なら不眠不休で戦えるようにしましょうね
シュロは少々驕っているところが目立つ
いくら暗部だったとはいえ今はただの下忍、体格も体力もスピードも・・・全てに差があるというのにまるで理解していない
成長しきった暗部時代の体格で物事を考えてしまうから、攻撃を避けそこなったりするんだ
イカリは死のトラウマが多大な影響を残しているらしく、自分から仕掛けることが出来ない
待ち伏せ戦法も確かに悪くはないが・・・決定打に欠ける
難しいなぁ
「お前やっぱり本気だったか」
そんなに呆れないでくれ
「油女と志村は分かったが・・・あの小さいのはどうした?」
コンか・・・
任務に私情を挟まない堅実な態度は評価できるんだが・・・体力不足とそのチャクラがな・・・
力はないし術もあの火遁もどきしか使えないし・・・幻術はどこかずれたものを見せるし・・・
身軽なのは良いんだがいまいちスピード不足、まぁここは術の応用でなんとかなるか
ご意見番たちからあまり外に連れ出すなとも言われている
暗部推薦は取り下げて、事務職系に教育すべきか
「コンは自来也さまとその知り合いに見てもらっている
あの子は元々自来也さまの弟子だからな」
今頃修行、修行の毎日か
体力持つのか
コーヒーを飲みほし空を仰ぎ————
「だから師匠じゃなくて看護要員だって言ってるだろ」
アスマがコーヒー吹いた
周囲の上忍たちがすわ何事かと騒ぎ、コンの姿を確認して二度見している
・・・気配、なかったよな?
気付かなかったの私だけじゃないよな?
「・・・コンさん?いつから?」
「先生が配達屋から手紙受け取ったときから」
自宅からついて来ていたのか
私感知系じゃないけれどそれなりに自信あったんだけどな・・・
「影が薄いとでも言いたいのかよ」
頬を膨らませてそっぽ向かれた
そう言われても、なぁ
(おいあれって後始末班の奴じゃね?)(いつから居たんだあいつ)(くそ、遂に命まで後始末出来るようになりやがったか・・・)
不穏なセリフが聞こえてきてるぞダメンズ共
「これからはバンバン暗殺出来るな?」
頭を撫でてやる
「まだ笑いながら出来ないけどな」
否定してこない
あらやだ本気でアサシンにクラスチェンジしてるわこの子
・・・私も、ちゃんと先生らしく術を教えるべきだな・・・
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みなさんのご想像通り無音殺人術の習得が始まりました
まずは気配の消し方から
しかし気配を消せたところで人は殺せませんのでまだまだ未熟
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