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ひねくれヒーロー

作者:無花果
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偶然はない


運命のなかに偶然はない。人間はある運命に出会う以前に、自分がそれを作っているのだ。
—ウィルソン—

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偶然はない




◆◇◆コン◆◇◆




温泉街を渡り歩いて数時間、湯隠れで培った覗きポイントの決め方を思い出しつつ隠れ場所を探す

見事、お目当ての人物がいた



「エロジジイ、死ね」


問答無用で木の葉剛力旋風・・・と見せかけた只の後ろ回し蹴りを放つ

あっさり受け止められるがそのまま近づき髪を引っ張る


「こりゃコン、離さんか」


「覗きをやめたらな!」


「そりゃ無理だ・・・諦めろ」


頭を抑えられ隣に座らされる

大人しく座って軽口をたたく


「・・・あんまり大きくなってないの」

「・・・うん、伸びてない、体重は五㎏ほど減った」


今のオレの体重は30㎏あるかないかだ

筋肉は増えているはずなのに重みは減るばかり

お互い黙り合って原因を探る

ふと、影があらわれ見覚えのある2人の男が進み出た


「先生、こちらにいましたか」

「あん?・・・巫子のガキじゃねーか」


・・・ペインと再不斬・・・!?

何故この二人が一緒にいる


「おお長門、再不斬か
 長門は初めて会うの、ほれコン自己紹介せんか」


背中を押しだされ向き合わされる

にこやかなペインが手を差し出してくる

握り返して当たり障りのない自己紹介を始める


「ええと、ねたみコン、木の葉の下忍です」

「はじめまして、天道ペインもしくは長門と呼んでくれ
 元雨隠れの忍で自来也先生の弟子だ」

「コンにとっちゃ兄弟子、長門の弟弟子、仲良くしてやれ」


頭に?マークしか思い浮かばない

そういえば小南が接触したと言っていたけれど・・・


「・・・小南と、会いました」

「・・・そうか、君がオレのことを知っているという子だね
 今のオレは暁を抜けた、ただの長門だ」


悲しげに微笑んだペインにどう声をかけていいのか分からず黙りこむ

一体何があったというのか


「そういやコン、お前・・・なんか変じゃないか?」


変・・・?

あ、チャクラのことか


「あ、そうだ
 なんかオレからチャクラが漏れてるって言われたんだ」


服の裾を持ち上げ、腹部を晒す


「ふむ、腹見せてみろ・・・どれどれ
 ・・・・・・お前、パルコと会ったか?」


パルコ?

月隠れで封印されている奴の名がどうして出てくるんだ

声もかけられていないし、会ったことなんて一度もないぞ

黙って首を横に振った


「・・・とりあえず封印を上からかけ直しておくぞ」


釈然としないが封印をかけ直され、今まで気にしていなかった腹部の熱が冷めて行く

・・・ストレスで腹痛が起きてるだけだと思っていたが、これがチャクラが漏れるということか
 

「ところでこれに気づいたのは担当上忍か?」

「うん、シナイちゃん・・・先生から言われた」


報告の手紙には名前は書いていないため、先生と言い直す


「手紙では感知系忍者が仲間だと言っておったが、そっちは気付かなかったのか?」


禍々しい尾獣のチャクラに気づかないようでは感知系とは云えんぞ

言外にそう匂わせている

イカリは・・・鬼鮫のトラウマのせいでそんな状態じゃないな・・・


「イカリはちょっと今・・・ってその前に中忍試験に何故か暁の奴らが来てたんだよ!
 小南に赤砂のサソリに元岩隠れのデイダラ!あと鬼鮫が!」


仮にも暁のリーダーであったペインがいるんだ

聞いておくに越したことはない

すると再不斬がペインを蹴りつける


「テメェの予想通りじゃねぇかペイン」

「あぁ・・・中忍試験参加の目的は・・・」


そこまで言うんだったら最後まで言え

睨みあげると目を逸らされる

言え


「・・・小南の目的は君へ接触する事、そしてイレギュラーの確認だ」


オレに接触して何になるのか・・・

もしかして九尾の人柱力だと思われて、捕獲されそうになったのだろうか

ナルトと比べて九尾のチャクラは極小しかないのだが・・・


「イレギュラー・・・?」


そう言われて思い浮かぶ人物はシュロ、イカリ、先生


「イレギュラーとは上忍まじらずシナイのことと思われる
 ・・・といっても、マダラや小南の会話から推測しただけなんだが・・・」


小南の名を出すと泣きそうになっている


「今の暁は元湯隠れの飛段がリーダーとなり、邪神と呼ばれるナニカの命令を聞いている
 人柱力を探しだし封印し、その集めた力で邪神を降臨させるために・・・」


ジャシン・・・飛段がリーダーって似合わないな


「小南は邪神によって心を狂わされオレに刃を向けてきた
 ”幸せ”な世界をつくるのだと、そう言って・・・
 小南が狂った頃にはもう、暁のほとんどが邪神の意のままに動く忠実な僕と化していた
 オレは恐ろしくなって逃げ出したんだ
 助けることもせず・・・」


暁のほとんど・・・デイダラが悩んでいた異変ってこのことか

それならデイダラはまだジャシンと接触していない?

小南やサソリの指示に嫌そうにしていたデイダラだ

まだ正気を保っていると考えていいのだろうか


「それで逃げ出した先で、お前の依頼で自来也を探していたオレと出会った
 2人で自来也を探し出して事情を話し、暁対策を練っているという訳だ」


ペインは小南を元に戻すために、オレは鬼鮫の奴を斬るためにな


「・・・どうして、先生がイレギュラーだと?」


「狂ったと確信する前のマダラと小南の会話でな
 ゲンサクからの乖離、世界を動かすなどと言われていたのを覚えている
 ・・・君については、邪神が直々に暁に告げてきた
 全てを知り、”幸せ”な世界へと導くカギだと・・・」


ゲンサク・・・?原作か!

確かに先生は原作を介入する気はないのに原作に介入してきた

ジャシンは転生者の存在を知っているのか?オレのことも知っている?

だけれど幸せな世界なんて見当もつかない


「暁は今後もキミを狙うだろう・・・気をつけるんだ」


気を引き締めて言葉を刻みこむ

また暁に狙われることになるなんてな


「分かった・・・
 ・・・ところでこんな真面目な話してるのに、さっきからエロジジイは何をしていらっしゃるのかな」


三人で頭を抱える

しばらく大人しいと思っていたら覗きを再開していた

さっさと止めさせよう、そう思い足を踏み出すと誰かの注意が聞こえてきた


「ハレンチはこの私が許しませんぞ——————!!」


丸いサングラスをかけた忍・・・家庭教師のエビスか

自来也に口寄せされた蝦蟇によってあっさり気絶させられる


「バレたらどうしてくれる!?」

「覗く方が悪いに決まってんだろが!げほっ!」


久しぶりにツッコミで吐血した

大慌てで自来也が増血丸を放り込み、タオルを口に宛がう


「お前本当に体弱いな・・・」

「話には聞いていたが・・・まさかこれほどとは・・・」


ゆっくり後ずさるのをやめろ


「あーっ!!コン!とコンの爺ちゃん!」


お、ナルトだ

・・・?よくよく思い返してみれば自来也とナルトって一度会ってたな

オレとナルトの同居が始まった日に 

ナルト、自来也はオレの祖父ではない、血も繋がってないからな


「・・・ん?あ、霧の再不斬!」

「相変わらず喧しいガキだな・・・」

「なんで木の葉にいるんだってば!?」

「ナルト、菓子やるから黙れ」


ナルトの口に桃饅を突っ込む

これ以上五月蠅くされてたまるか

塔で暇な時に作った奴だからそろそろ食わないと痛んじまう


「ペイン兄さんも再不斬も食べるか?」

「あぁ・・・ありがとう」

「おい、ガキ、なんで呼び捨てだ」


再不斬に一つだけ渡すはずが一気に三つ持っていかれる

甘いもの好きか?


「・・・?だってあんた兄弟子でも何でもないじゃないか」

「・・・コン、わしには?」

「覗かないならやる」

「・・・うぬぅ」


そこは覗きを止めていてほしかった


「おおそうじゃ、再不斬よ、ちょっくらコンに稽古つけてやってくれ」


何が起きた


「あ?ペインの方が良いんじゃ・・・あぁ、本当に前言ってたの実行するのか」



何を話したお前ら



「よし、ついてきなガキ
 教えてやるよ、無音殺人術をな」




乱暴に首根っこを引っ掴まれ、温泉地を移動する

・・・どうしてこうなった
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やったねコンちゃん師匠が増えるよ!


 
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