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『ポケスペの世界へ』

作者:零戦
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第三十五話

 
前書き
これでストックは切れましたので不定期更新となります。
御了承下さい。m(__)m 

 





「ちょいと散らかっててすまんね」

「……ちょいとの事では無いだろう」

 キクコの言葉にナツメはそう呟いた。

「ゲンガー、御茶を三つ頼むよ」

 キクコの言葉にゲンガーは頷いて他のゴースやゴーストと共にキッチンで御茶の用意をしている。

「あの子らはこの無人発電所で生まれたんだよ」

「へぇ、無人発電所は電気タイプの住処だと聞きましたけど?」

「確かに電気タイプもおるよ。けどここら一帯は工事等の影響で発生した光化学スモッグ等であの子らは生まれたんだよ」

 そういやゴースはそんなんだったな。

 そしてゲンガーが御茶を三つ持ってきて俺達に頭を下げる。

「ありがとうゲンガー。また何かあれば呼ぶよ」

 ゲンガーは頷いて部屋の扉を閉めた。

「さて……老いぼれのアタシに何のようだい?」

「……ややこしい事は面倒なんで単刀直入に言いましょう。キクコさん、「仮面の男事件」で犯人とされたチョウジタウンジムリーダーのヤナギと知り合いですね?」

「……あぁそうだよ。ヤナギやユキナリ達とは親友と言える存在だよ」

「実は死亡したはずのヤナギはまだ生きています」

「なッ!?」

「………」

 俺の言葉にナツメは驚き、キクコは黙って俺を見ていた。

「ど、どういう事だショウッ!! ヤナギはお前達との戦いで死んだのではないのかッ!!」

 ナツメはそう叫ぶ。

「俺がヤナギを助けた」

「何ィッ!?」

「いちいち五月蝿いよ」

 キクコは呆れたように呟いた。

「ヤナギを助けたって……本当だ」

 ナツメが超能力で確認した。

「ショウ、それで良いのか? ヤナギはジムリーダーでありながらあれほどの犯罪をしているのだぞ?」

「ロケット団に比べたらマシやろ?」

「……フフ、そうかもな」

 不意にナツメが笑う。

「ナツメ、この事は……」

「分かっている。マチス達にも黙っておこう。マチスはあの仮面には大分借りがあるみたいだがな」

 ナツメは頷いた。

「それでヤナギがどうしたんだい?」

「これは失礼。ヤナギをウバメの森で収容したんですが、ヤナギの容態はかなり悪く、更に元から身体も悪くしていたみたいで二、三日の命だと判断されました。そこでオーキド博士はヤナギの最期を貴女達友人達と見守ろうと決断してキクコさんへの使者を自分に託したわけです」

「……そうかい。ヤナギは満足していたのかい?」

「はい。最後の最後でラ・プリス、ラ・プルスにヒョウガを渡せたと……」

「……分かった。病院に行こうじゃないか。私も友人としてヤナギを看取ろう」

 キクコはそう言った。




 そして俺達三人は無人発電所を出て、ヤマブキシティへと向かう。



――ヤマブキシティ――

「此処で私は別れよう。そろそろジムに戻らないといけないからな」

 ナツメは名残惜しそうに言う。

「わざわざありがとうなナツメ」

「フン、私が好きでしたまでだ」

 ナツメはそう言ってプイッと視線を逸らす。可愛いなぁ……。

『コガネシティ行きリニア、間もなく発車しまぁす』

 ん? アナウンスが流れたな。

「んじゃあ行くわナツメ。ほんまにありがとうなッ!!」

「……あぁ」

 リニアに乗り込んだ俺に、ナツメはそう言って俺に手を振った。

 ……デレですか? デレなんですか?

ピリリリリリッ!!

 そしてリニアは発車した。ナツメの姿はだんだんと小さくなっていった。



「……行ったか……」

 リニアが発車すると私はそう呟いた。

「やはりショウは面白いな」

 私は思わず笑う。あいつの思考は斜めかもしれんな。

「さて……ジムに戻るか」

 私はヤマブキ駅を後にしてジムに戻った。






 
 

 
後書き
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