戦国異伝
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第百八十五話 義昭の挙兵その十四
「そのうえでな」
「山陰攻めですか」
「山陽はわしが攻める」
信長自らがというのだ。
「主力を率いてな」
「石山の後で」
「すぐに攻めてじゃ」
「安芸を目指されますか」
毛利家の拠点だ、毛利家の本城吉田郡山城はこの国にある。安芸の中にその城は存在しているのである。
「そうされますか」
「いや、そこまでは及ぶまい」
「安芸に攻め入るまでにですか」
「毛利との戦は終わる」
そうなるというのだ。
「備中の辺りでな」
「毛利家との決着がつきますか」
「御主と猿も出雲まではな」
この国も話に出す信長だった。
「攻め入ってもな」
「出雲一国を手に入れるまでには」
「毛利との戦は終わる」
「そうなりますか」
「富田城までは行かぬわ」
尼子家の拠点であった城だ、実に堅固な城として知られている。
「だからな」
「途中で講話となりますか」
「そうなるであろう、毛利家との戦は音を上げさせる戦じゃ」
毛利家を最後まで潰す戦ではないというのだ。
「もっとも潰すことも考えておるがな」
「その全てを」
「若し毛利との戦が長引けば」
信長はその場合のことも考えていた、既にだ。
「東国から武田、上杉が来る」
「あの両家が」
「しかし備えは置いた」
既にというのだ。
「両家は岐阜と清洲、それに金沢とな」
「北ノ庄ですな」
「この城で防ぐ」
そうするというのだ。
「だからこそ爺も置いておるのじゃ」
「平手殿を」
「安土にじゃがな」
安土から岐阜や北ノ庄を見るというのだ、信長は平手がそうした広い目を持って動けることを知っていて置いているのだ。
「暫くは大丈夫じゃ」
「毛利家との戦が長引こうとも」
「しかし何といってもな」
「両家との戦は」
「すぐに終わらせる」
このことは絶対だおtいうのだ。
「そうするからな」
「畏まりました、では」
「山陰のことは頼むぞ」
「猿殿と共に」
攻めることを約してだ、そうしてだった。
信長は長政と彼の家臣達、そして彼が率いる浅井の軍勢を山陰に向かわせた。そしてだった。
彼は主力を率いて摂津に戻った、そのうえであらためて石山攻めをはじめるのだった。織田家はここに最も手強い敵との決着をつけるのだった。
第百八十五話 完
2014・6・10
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