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ラオコーン

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第八章

「我々も出来るだけ無駄なことはしない」
「だからこそよ」
「左様ですか」
「後は好きにしろ」
「そなた達の」
 こう告げてだ、二人の神々が消えた。そうしてそのうえでだった。場に残ったのはラオコーン達だけになった。
 ラオコーンも息子達もまだ呆然としている、だが。
 ここでだ、ラオコーンは息子達にこう言った。
「政は常に状況が変わりだ」
「そうしてですね」
「奪われる命も変わりますね」
「我等は助かった」
 まさにだ、政の状況が変わってだ。
「危ういところだがな」
「はい、そうですね」
「運がいいと言えばそうなるでしょうか」
「しかしだ、祖国はだ」
 ここでラオコーンはまたトロイアの方を見た、遠くから見ても街は燃え盛りその中で多くの惨劇が起こっているのは明らかだった。
 その国を見てだ、彼は息子達に言った。
「多くの同胞達があの中にいる」
「ではすぐに戻り」
「一人でも多く助けますか」
「神々も言われた」
 ポセイドンとアテナもというのだ。
「好きにしろとな。それではな」
「はい、それでは」
「すぐにトロイアに戻りましょう」
「そうしようぞ、そうしてだ」
 一人でも多くの同胞を助けようとだ、ラオコーンは息子達に言ってだった。
 すぐに燃え盛るトロイアに戻った、そのうえで。
 多くの者を助けた、その後彼等がどうなったのかはわからないがアイアネアースと共にいたとも言われている。
 ラオコーンは息子達と共にポセイドンが送った海蛇に殺されたというが助かったという話もある、その話をここに書き残しておく。そうしてトロイアの多くの同胞達を助けたのである。


ラオコーン   完


                          2014・7・20 
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