バンドマンは一途
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第二章
「結局な」
「寂しいな、それは」
「別れるしかないなんてな」
「ロックやってるからもてるだろうに」
「それでもか」
「ああ、仕方ないんだよ」
また言う彼だった。
「そこはな、けれどな」
「けれど?」
「けれどってどうしたんだ?」
「一体それでどうしたんだ」
「いや、エミーとはまだな」
その別れた彼女とも、というのだ。
「メールのやり取りはしているよ」
「ああ、別れてもか」
「それでもか」
「そうさ、まだな」
それを続けているというのだ。
「別れたし会えないけれどな」
「それでもか」
「メールのやり取りをしてか」
「連絡は取ってるんだな」
「そうしてるんだな」
「忘れられないっていうのがな」
それが、というのだ。
「本音だよ」
「何か未練がましい、いや違うな」
「チャーリーは別にな」
「未練がましいとかないからな」
「すぱってした性格だからな」
それでだ、仲間達も言うのだ。
「別にそういうのないからな」
「だからな」
「それじゃあな」
「特にな」
「それはない」
「そういうことだな」」
こう言うのだった、そしてだった。
チャーリーはここでだ、こうしたことも言った。
「あいつが戻って来たらな」
「その時はか」
「また、か」
「一緒になりたいな」
こう仲間達に言うのだった。
「やっぱりな」
「おいおい、諦めてないのかよ」
「まだ未練あるのかよ」
「メールのやり取りまでして」
「よりを戻したいのか」
「だってな」
ここでだ、こうも言うチャーリーだった。
「好きだからな」
「それが理由か」
「だからか」
「俺は確かに頭は悪いさ」
学校の成績は悪い、彼もこのことは自覚している。だから大学に行かず高校を卒業してすぐに漁師になったのだ。
「けれどな、海じゃ無敵だからな」
「ああ、御前漁師としては凄いからな」
「相当儲けてるよな」
「家一軒立つ位にはだろ」
「儲けてるんだな」
「だからな」
それだけ儲けてるからだというのだ。
「生活には困らせないからな」
「それでか」
「あの娘が戻ってもか」
「ああ、苦労はさせないからな」
それで、というのだ。
「また一緒になりたいな」
「それじゃあ相手はどう思ってるんだよ」
仲間の一人がエミーの気持ちを彼に尋ねた。
「メールのやり取りしてるからそのことはわかるだろ」
「ああ、エミーは若しもな」
「若し?」
「卒業したらこっちに戻って来るって言ってるからな」
「オークランドにか」
「その時まで。俺が自分のことを好きならな」
その時はというのだ。
「そんなことは信じられないって言ってるけれどな」
「そりゃそうだろ、ずっと離れ離れでしかも別れたのにな」
仲間もエミーの言葉をチャーリーから聞いて言うのだった。
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