ひねくれヒーロー
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自分自身とも違っている
人は、他人と違っているのと同じくらい自分自身とも違っている時がある。
—ラ・ロシュフーコー—
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自分自身とも違っている
霧深い海を船でわたり、波の国へと入り、マングローブから陸へ上がる
タヅナ氏を囲みながら七班が先導する
再不斬戦ではどうなることやらと考えていると違和感を覚えた
「・・・先生」
「わかってる
コンを中心に鶴翼の陣だ」
鶴翼、すなわちVの字に並ぶこと
シュロ、オレ、イカリの順に並び、その数歩進んだ場所で先生が竹刀を構えた
「伏せろ!」
ブーメランのように飛んでくる大刀を伏せて避ける
シュロは蟲を準備し次手に備えた
「へー・・・霧隠れの抜け忍、桃地再不斬君じゃないですか」
「カカシ、スタミナ切れには気をつけろよ」
「あぁ・・・だが、このままじゃぁ・・・ちとキツイか・・・」
目を覆っていた額当てを上げ、写輪眼の用意が始まる
「写輪眼のカカシに、名言のまじらずと見受ける
悪いが、そのじじいを渡してもらおうか?」
「シナイ、今回の任務にお前は関係ない、任せろ
再不斬、オレと戦え」
カカシと再不斬が睨みあい牽制しあう
距離を測っていたシュロが小さな声をかけてきた
「コン、危なくなったら逃げろ
先生はともかく、俺等は勘が戻ってない
守ってやることは出来ない」
守る?守ってやるだと?
馬鹿を言うな、神殿時代ならいざ知らず、今のオレは着実に力をつけている
守られるだけの存在などにはならない、なりたくない
ナルト達にご大層な忍者の在り方とやらを語るあの男に一矢報いたい
ゆっくり印を結ぶ、チャクラが暴走しないようゆっくりと、確実に
「シュロの言うことを良く聞きなさいコン
七人衆は強敵だ
先生やシュロならともかく、私とお前じゃ足手まといがいいところ」
分かってる
分かり切ってるさそんなこと
いくらオレが力をつけたと言っても、強くなったわけじゃない
勝てないなんてことは自分でもよく分かっているさ
それでも、嫌なんだ
印が完成し、少しだけパルコのチャクラを多く練りこみ発動させる
「火遁・業火九球の術!」
水牢の術に捕えられたカカシ、それを発動させている本体・再不斬
水分身はナルト達の相手をしている
本体めがけて、九つにわけた狐火の球をぶつける
簡単に避けられるが、構わない
シュロの蟲が再不斬の体に匂いをつけ、仕込みを終えたのを確認
もしも、原作通り行かなかった場合の後始末のための布石
目くらましになるのならそれで構わない
「下忍であの火遁・・・今年のルーキーは豊作だな・・・
だがお前ら何をやってる、逃げろって言ったろ!」
さっさとその水牢から出ろよカカシ、いや再不斬をどうにかしないとダメなんだったか・・・
それとあの術は火遁ではなくただの狐火を九つにわけただけ
ん?狐火だから火遁でいいのか?
「カカシ、いざというときは私がこの子達を逃がそう!
・・・どうやら、お前のところの奴は、何か策があるそうだぞ?」
・・・本当に原作介入したくないのかあんた?
「クッ・・・いつまでも忍者ゴッコかよ
オレは、お前ら位の年の頃にゃもうこの手を血で紅く染めてんだよ」
先程までとは比べ物にならないうすら寒い殺気
七班とオレはビクついてしまっている
前にいるシュロとイカリは耐えている、その光景が酷く心を苛まれる
オレはどうしたって追いつけないのだろうか
「鬼人・再不斬、血霧と呼ばれた時代の霧隠れの里には—
忍者になるための最大の難関、ある卒業試験があった」
「ん? 何故木の葉の下忍がそんな事を・・・」
「・・・霧からの戦災孤児なものでね・・・」
「志村さん、ある卒業試験って・・・?」
イカリが淡々と語る
霧隠れ出身者として、奴の言葉は何かしら思うところがあったのだろうか
「生徒同士で殺し合わせる、それが試験
そして十年ほど前その試験は大変革を遂げた
そこにいる奴によって100人以上の人間が殺されたために・・・」
「あぁ、楽しかったなぁアレは・・・」
カカシの説明役としての出番を全て奪いやがった
現実から逃げるように考えているとナルトとサスケが襲われている
印を組み、シュロに合図を送る
蟲がナルトのバッグに入りこんだ
ナルトから投げ渡された風魔手裏剣をサスケが投げるものの、再不斬は受け止める
二枚目の手裏剣が奴を襲うが避けられー変化を解いたナルトが現れる
「火遁・閃光花火!」
再不斬の目の前で花火のように狐火を破裂させ目くらましに
「寄壊蟲の術、蜂玉!」
スズメバチの大群を匂いをつけておいた急所にぶつけ、足止めに
「口寄せ・・・風魔手裏剣!」
ナルトに手裏剣で斬りかかろうとする再不斬の手から、口寄せで手裏剣を奪い取る
蟲によって口寄せの術式を付けていたものだ
その隙を逃さず、水牢の術より逃れたカカシが再不斬を止めた
「ナルト・・・それに六班の子達、作戦見事だったぞ」
「だがコンは後で説教だな」
いつのまにか再不斬の背後にて竹刀を突き付けた先生
一言もしゃべってないと思ったらいつの間に・・・
あと説教されるようなことはなにも・・・と問いかけようとしたところで気づく
自分の口から血が流れていることに、いや、口だけではない
一度認識してしまえば嫌でも分かる
目、口、鼻、耳・・・至る所から血を流していた
興奮しすぎて分からなくなっていたようだ
「てめぇら・・・これで勝ったと思うな・・・ッ!!?」
再不斬の首に千本が突き刺さる
千本が降ってきた方向を見ればそこには、1人の仮面の少年がいた
カカシが倒れた再不斬の脈を調べているやめろお前がすんな
せめて先生にしてもらおうと手を伸ばすが体がふらついて立てない
ひざから崩れ落ち、イカリに受け止められた
「コン・・・っ今は休みなさい、良いな!?」
白い肌が青ざめている
そんなに、今のオレは酷いのだろうか
イカリに目を閉じさせられ、増血丸を食べてから身を預けると眠気が襲ってきた
次に目を覚ますと、見知らぬご婦人が顔を覗き込んでいた
どういうことだ?
周囲を見渡すと、布団に寝込んでいるカカシが見えた
・・・あぁ、タヅナ氏の家か
「・・・なんだか、病院でよく見る光景ですね」
先生を呼んでくると言って出て行ったご婦人、名前なんだったっけな
目があったのでカカシに話しかける
「・・・うん、やっぱり君、あのコン君だったんだね・・・」
「・・・酷いな、短期間で入退院を繰り返す三馬鹿患者にカウントされているのに」
「だって君、いつも呼吸器付けられてたりで素顔見たことなかったんだよ?」
「あんたもマスクしてるじゃないですか」
「「・・・」」
無言の睨みあい
きっと手足が動いたなら蹴りあいが始まっていただろう
「な、なんでお前らそんな雰囲気悪いんだ?」
おかゆを持ってきた先生が引いている
あぁ、お腹すいたな
「せんせーごはんっごはんっ」
かろうじて動く右手で布団を連打して催促する
「パンパン叩くんじゃない、行儀の悪い・・・
食べたくば私から奪い取れ!」
「大人げないよシナイちゃん!?」
頭上におかゆの入った土鍋を掲げられる
取れるかよ
「・・・ごはん・・・」
「・・・・・・・・・あ、あーん・・・」
「あーん」
(折れた・・・!あのガイのテンションにも折れないシナイちゃんが折れた・・・!)
後日、しおらしくすれば先生にお願いを叶えてもらえたとカカシから報告される
なんのこっちゃ
「(もっもっ)・・・ところであの後どうなったんですか」
「再不斬仮死状態、仮面少年奴の仲間、カカシ一週間安静」
「・・・オレ、そろそろ大丈夫です」
「そうなのか?」
「食べてても血の味が混ざらないですからね、もう回復しましたよ」
((それって回復したって言うの?))
「まぁとりあえずナルト達は木登り修行させてるから
コンも参加しなさい」
「シュロとイカリは?」
「あの二人はもう修行終えたから任務の下準備をさせている
・・・コン、お前は何事も焦りすぎだ
人間みな、得手不得手ってものがある
あの二人に追いつかなくて良い、あの二人だけしか見ないのをやめ、自分を見なさい」
「・・・はい」
オレを、見る
どうやって?
聞きたい言葉を飲み込んで、布団にもぐった
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駆け足気味?な波の国編
一度データがとんだので書き直したけれど力尽きました
三馬鹿患者のメンバーはコン、カカシ、あともう1人は例のあの人です
チョイ役なのに人気高くて恋人持ちなリア充さんです
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