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ウルキオラの転生物語 inゼロの使い魔

作者:銭亀
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第2部
  第4章 港町ラ・ロシェール

 
前書き
どーも、作者の銭亀です。

久々の前書きです。

というのも、明日は短大の合否通知が来るのです。

緊張なのです。

不安なのです。

本当なら小説を書いている場合ではないのですww

では、なぜ書いているのか……

その答えはただ一つ!

暇だからですww

はいwww 

 
朝もやの中、ルイズとギーシュは、馬に鞍をつけていた。

ルイズはウルキオラに質問した。

「ねえ、ウルキオラ」

「なんだ?」

「さっきの映像に映っていたオレンジ色の髪の男の持ってた剣って…」

ルイズはそこで言葉を止めた。

「ああ、『破壊の剣』だ」

ウルキオラはデルフリンガーを背負いながら答えた。

腰には斬魄刀を差しているので、背負うしかなかった。

「やっぱり…」

ルイズは俯いながら言った。

ルイズはいつもの制服姿だが、乗馬用のブーツを履いていた。

どうやら、長く馬に乗るつもりらしい。

そんな風に出発の準備をしていると、ギーシュが困ったように言った。

「お願いがあるのだが……」

「なんだ?」

ウルキオラはポケットに手を突っ込みながら、ぎろっとギーシュを睨みつける。

あれだけ自分勝手なギーシュを信用していないのである。

「僕の使い魔を連れて行きたいんだ」

「使い魔なんかいたのか?」

「いるさ。当たり前だろ?」

ウルキオラとルイズは顔を見合わせた。

それから、ギーシュの方を見た。

「勝手にしろ。それで、どこにいる?」

「ここ」

ギーシュは地面を指差した。

「お前の使い魔はその雑草か?」

「違うわ!」

ギーシュは大声で否定し、足で地面を叩いた。

すると、モコモコと地面が盛り上がり、茶色の大きな生き物が、顔を出した。

ギーシュはすさっ!と膝をつくと、その生き物を抱きしめた。

「ヴェルダンテ!ああ!僕の可愛いヴェルダンテ!」

ウルキオラは心底呆れた声で言った。

「なんだそれは?」

「なんだとはなんだ。僕の可愛い使い魔のヴェルダンテだ」

「あんたの使い魔ってジャイアントモールだったの?」

果たしてそれは、巨大モグラであった。

大きさは小さいクマほどである。

「そうだ。ああ、ヴェルダンテ、君はいつ見ても可愛いね。困ってしまうね。どばどばミミズはいっぱい食べてきたかい?」

モグモグモグ、と嬉しそうにヴェルダンテが鼻をひくつかせる。

「そうか!そりゃよかった!」

ギーシュは巨大モグラに頬を擦り寄せている。

ウルキオラは呆れて声も出ない。

「ねえ、ギーシュ。ダメよ。その生き物、地面の中を進んでいくんでしょう?」

「そうだ。ヴェルダンテはなにせ、モグラだからね」

「そんなの連れて行けないわよ。わたしたち、馬で行くのよ」

ルイズは困ったように言った。

「結構、地面を掘って進むの速いよ?なあ、ヴェルダンテ」

巨大モグラはうんうんと頷く。

「わたしたち、これからアルビオンに行くのよ。地面を掘って進む生き物を連れて行くなんて、ダメよ」

ルイズがそう言うと、ギーシュは地面に膝をついた。

「お別れなんて、つらい、つらすぎるよ……、ヴェルダンテ……」

そのとき、巨大モグラが鼻をひくつかせた。

くんかくんか、とルイズに擦り寄る。

「な、なによこのモグラ」

「主人に似て女好きなのか?」

ウルキオラが言った。

「ちょ、ちょっと!」

巨大モグラはいきなりルイズを押し倒すと、鼻で体を弄り始めた。

「や、ちょっとどこ触ってるのよ!」

ルイズは体をモグラの鼻でつつきまわされ、地面をのたうち回る。

スカートが乱れ、派手にパンツをさらけ出し、ルイズは暴れた。

「楽しそうだな」

ウルキオラは微笑しながら言った。

「どこが!馬鹿なこと言ってないで助けなさいよ!」

巨大モグラは、ルイズの右手の薬指に光るルビーを見つけると、そこに鼻を擦り寄せた。

「この!無礼なモグラね!姫様に頂いた指輪に鼻をくっつけないで!」

ギーシュが頷きながら呟いた。

「なるほど、指輪か。ヴェルダンテは宝石が大好きだからな」

「嫌なモグラだな」

「嫌とか言わないでくれ給え。ヴェルダンテは貴重な鉱石や宝石を僕のために見つけてきてくれるんだ。『土』系統のメイジの僕にとって、この上ない、素敵な協力者さ」

そんな風にルイズが暴れていると……。

一陣の風が舞い上がり、ルイズに抱きつくモグラを吹き飛ばした。

「誰だ!」

ギーシュが激昂して喚いた。

朝もやの中から、一人の長身の貴族が現れた。

羽帽子に長い口髭が凛々しい。

精悍な顔立ちの若い男であった。

黒いマントの胸には珍妙な動物の刺繍が施されている。

「貴様、僕のヴェルダンテに何をするんだ!」

ギーシュはすっと薔薇の造花を掲げた。

一瞬早く、羽帽子の貴族が杖を引き抜き、薔薇の造花を吹き飛ばす。

模造の花弁が宙を舞った。

「僕は敵じゃない。姫殿下より、君たちに同行することを命じられてね。君たちだけではやはり心許ないらしい。しかし、お忍びの任務であるゆえ、一部隊つけるわけにもいかぬ。そこで僕が指名されたってワケだ」

長身の貴族は、帽子を取ると一礼した。

「女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ」

文句を言おうと口を開きかけたギーシュは相手が悪いとうなだれた。

魔法衛士隊は、全貴族の憧れである。

ギーシュも例外ではない。

ワルドはそんなギーシュの様子を見て、首を振った。

「すまない。婚約者が、モグラに襲われているのを見て見ぬ振りはできなくてね」

「ワルド様……」

立ち上がったルイズが、震える声で言った。

「久しぶりだな!ルイズ!僕のルイズ!」

ワルドは人懐っこい笑みを浮かべると、ルイズに駆け寄り抱え上げた。

「お久しぶりでございます」

ルイズは頬を染めて、ワルドに抱きかかえられている。

「相変わらず軽いなきみは!まるで羽のようだね!」

「お恥ずかしいですわ……」

「彼らを、紹介してくれたまえ」

ワルドはルイズを地面に下ろすと、再び帽子を目深にかぶって言った。

「あ、あの……、ギーシュ・ド・グラモンと、使い魔のウルキオラ・シファーです」

ルイズは交互に指差して言った。

ギーシュは深々と頭を下げた。

ウルキオラは興味が無さそうにポケットに手を突っ込んだまま突っ立っている。

「君がルイズの使い魔かい?人とは思わなかったな」

「俺は人間じゃない」

ウルキオラの言葉にワルドは驚いた。

「人間ではない…では、君はなんだい?」

「俺はほr…」

「亜人です!ワルド様」

ウルキオラの言葉をかき消してルイズが言った。

ウルキオラは少しルイズを睨む。

「亜人…か…何は共あれ、僕の婚約者がお世話になっているよ」

「ああ、全くだ」

「ちょっと!どういう意味よ!ウルキオラ!」

ルイズはウルキオラに怒りをぶつける。

「そのままの意味だ」

「ムキー!」

ルイズは腕を交互に上げ下げし、怒りの大きさを表現する。

「ついにおかしくなったか」

ウルキオラはため息をついた。

ワルドはそんな2人の様子を見て、ニッコリと笑った。

そして口笛を吹くと、朝もやの中から珍妙な動物が現れた。

ワルドの胸の刺繍に似ていた。

鷲の頭と上半身に、獅子の下半身がついた幻獣、グリフォンである。

立派な羽も生えている。

ワルドはひらりとグリフォンに跨ると、ルイズに手招きした。

「おいで、ルイズ」

ルイズはちょっと躊躇うようにして、俯いた。

その仕草が、なんだかやたらと恋する少女に見える。

「せっかくのお誘いだ。乗ったらどうだ?馬なんかより余程速いみたいだしな」

ルイズはしばらくモジモジしていたが、ウルキオラの後押しもあり、ワルドに抱きかかえられ、グリフォンに跨った。

ワルドはウルキオラの馬が見当たらないので、尋ねた。

「君は馬に乗らないのかい?」

ウルキオラが答える前にルイズが言った。

「こ、こいつは馬に乗らなくても大丈夫なんです」

ワルドはルイズの言っている意味がわからなかった。

「そうゆうことだ。俺の事は気にするな」

「そうか、わかった」

ワルドは手綱を握り、杖を掲げて叫んだ。

「では諸君!出撃だ」

グリフォンが駆け出す。

ギーシュも感動した趣きで、後に続く。

ウルキオラは空中を蹴り、グリフォンのスピードに合わせてついて行く。

ワルドは馬のスピードに合わせているとはいえ、余裕の表情でついてくるウルキオラに驚いていた。

そんなワルドの様子を見たルイズは自慢げに話した。

「ウルキオラは本気になれば目にも留まらぬ速さで移動するのです」

ワルドの目が見開いた。

ウルキオラは心の中で呟く。

(俺の本気など見せた覚えはないがな)

ワルドはウルキオラという存在に警戒をし始めた。




アンリエッタは出発する一行を学院長室の窓から眺めていた。

目を閉じて、手を組んで祈る。

「彼女たちに、加護をお与えください。始祖ブリミルよ……」

隣では、オスマンが鼻毛を抜いている。

アンリエッタは、振り向くと、オスマンに尋ねた。

「見送らないのですか?オールド・オスマン」

「ほほ、姫、見ての通り、この老いぼれは鼻毛を抜いておりますのでな」

アンリエッタは首を振った。

そのとき、扉がドンドンと叩かれた。

「入りなさい」

オスマンが呟くと、慌てた様子のミスタ・コルベールが飛び込んできた。

「いいいい、一大事ですぞ!オールド・オスマン!」

「君はいつでも一大事ではないか。どうも君は慌てん坊でいかん」

「慌てますよ!私だってたまには慌てます。城からの知らせですぞ!なんと!チェルノボーグの牢獄から、フーケが脱走したそうです」

「ふむ……」

オスマンは口髭を捻りながら唸った。

「門番の話では、さる貴族を名乗る怪しい人物に『風』の魔法で気絶させられたそうです!魔法衛士隊が、王女のお供で出払っている隙に、何者かが脱獄を手引きしたのですぞ!つまり、城下に裏切り者がいるということです!これが一大事でなくてなんなのですか!」

アンリエッタの顔が蒼白になった。

オスマンは手を振ると、コルベールに退室を促した。

「わかったわかった。その件については、後で聞こうではないか」

コルベールがいなくなると、アンリエッタは、机に手をついて、ため息をついた。

「城下に裏切り者が!間違いありません。アルビオンの貴族の暗躍ですわ!」

「そうかもしれませんな。あいだっ!」

オスマンは、鼻毛を抜きながら言った。

その様子を、アンリエッタは呆れ顔で見つめた。

「トリステインの未来がかかっているのですよ。なぜ、そのような余裕の態度を……」

「既に杖は振られたのですぞ。我々に出来るのは、待つことだけ。違いますかな?」

「そうですが……」

「なあに、彼ならば、道中どんな困難があろうとも、やってくれますでな」

「彼とは、ウルキオラさんのことですか?」

「そうです。彼ならばやってくれると、この老いぼれは信じておりますでな。余裕の態度もその所為なのですじゃ」

「確かに、彼の力があれば……」

オスマンはアンリエッタがウルキオラの力を知っているような素振りに目を見開き、真剣な顔つきになって尋ねた。

「ウルキオラ君の力をご存知で?」

先ほどまでの呆れるような態度とはうって変わったので、アンリエッタは驚きながらも答えた。

「ええ、目を取り出して戦闘の映像を見せてくれました」

オスマンは机に手をつき、立ち上がった。

「そのお話詳しくお聞きかせ願いたい」

その後、アンリエッタがウルキオラに見せられた映像をオスマンに説明した。

それを聞いたオスマンが、驚愕したのは言うまでもない。




魔法学院を出発して以来、ワルドはグリフォンを疾駆させっぱなしであった。

ギーシュは途中の駅で2回、馬を交換したが、ワルドのグリフォンは疲れを見せずに走り続ける。

乗り手のようにタフな、幻獣であった。

しかし、そんなグリフォンに負けるとも劣らずに付いてくる者がいた。

ウルキオラである。

彼もまた、全く疲れを見せず、空中を蹴り飛びながらグリフォンの横を疾駆している。

ワルドはもう驚きっぱなしである。

「ちょっと、ペース速くない?」

抱かれるような格好で、ワルドの前に跨ったルイズが言った。

雑談を交わすうちに、ルイズの喋り方は昔の丁寧な言い方から、今の口調に変わっていた。

ワルドがそうしてくれ、と頼んだからである。

「ギーシュがへばってるわ」

ワルドは後ろを向いた。

確かにギーシュは半ば倒れるような格好で馬にしがみついている。

今度は馬より先にギーシュが参ってしまうようだった。

「ラ・ロシェールの港町まで、止まらずに行きたいんだが……」

「無理よ。普通は馬で2日かかる距離なのよ」

「へばったら、置いていけばいい」

ルイズがそれに否定しようとした時、横から声が聞こえた。

「その通りだ」

声の主はウルキオラである。

「アルビオンの内情は深刻だ。一刻も速く任務を遂行するには、そのグリフォンのスピードが最低の許容範囲だ」

ワルドはウルキオラの言葉に賛同する。

「君はよくわかっているね」

「任務内容からして、この考えが当たり前だ」

ウルキオラは愛想なくワルドに言った。

「そういうわけにはいかないわ」

ルイズが2人に向かって言った。

口を開いたのはワルドである。

「どうして?」

ルイズは困ったように言った。

「だって、仲間じゃない」

「やけにギーシュ君の肩を持つね。恋人かい?」

ワルドは笑いながら言った。

「こ、恋人なんかじゃないわ」

ルイズは顔を赤らめた。

「そうか。ならよかった。婚約者に恋人がいるなんて聞いたら、ショックで死んでしまうからね」

そう言いながらも、ワルドの顔は笑っている。

「お、親が決めたことじゃない」

「親?ルイズ!僕の小さなルイズ!君は僕のことが嫌いになったのかい?」

昔と同じ、おどけた口調でワルドが言った。

「もう、小さくないもの。失礼ね」

ルイズは頬を膨らませた。

「僕にとっては未だ小さい女の子だよ」

ルイズは、ちょっと照れたように言った。

「嫌いなわけないじゃない」

ルイズは、ちょっと照れたように言った。

「よかった。じゃあ、好きなんだね?」

ワルドは、手綱を握った手で、ルイズの肩を抱いた。

2人が青春しているところを、ウルキオラが割って入る。

「夫婦ゴッコは終わったか?」

そんなウルキオラの問いにワルドは笑いながら答えた。

「ゴッコとは失礼だな。僕たちは本気だよ」

ルイズはワルドに抱かれたまま、顔を真っ赤にしている。

「どうでもいいが、後ろのあいつはどうする?」

ワルドは先ほどまでの話を思い出した。

「そのグリフォン…まだ本気じゃなかろう?置いていくか?」

ウルキオラの言葉に先ほどまでボーッとしていたルイズはバッと顔を上げた。

「置いて行ったらダメって言ったじゃない!」

ウルキオラはそんなルイズを見つめた。

少ししてため息を吐き、響転でギーシュの馬の横に移動した。

ワルドは突然消えたウルキオラに一瞬驚くが、出発時にルイズの言っていたことを思い出したので直ぐに冷静さを取り戻した。

ギーシュは何とか馬の上でぐったりとしている体をあげる。

「なんだい?」

完全に疲労しきっていた。

ウルキオラは問いに答えずにギーシュを左手に抱きかかえた。

「ちょ、ちょっと、何をするんだい!」

「暴れるな。落ち着け。殺すぞ?」

ウルキオラの殺気にやられ、ギーシュは黙った。

速力を上げ、グリフォンの横に移動する。

「これで問題なかろう」

ウルキオラはルイズに問いかけた。

「う、うん」

ルイズはまたも顔が赤くなっていた。

ワルドはそんなルイズの様子を見て、笑みを浮かべた後、ウルキオラの方を向いた。

「まさか、本当に一瞬で移動できるとは…恐れ入ったよ」

ウルキオラもワルドの方に振り向いた。

「速度をあげろ」

ワルドは驚いた。

「気にするな、グリフォン程度のスピードについて行くのは容易い」

ウルキオラの言葉にワルドは少し顔をしかめた。

「そこまで言うのなら、見せてあげよう?このグリフォンの実力を!」

ワルドはルイズを抱いたまま、手綱を強く引いた。

すると、今までの2倍ほどのスピードで駆ける。

「ほう?」

ウルキオラはそのスピードに感心し、自身も空中を蹴る速度を上げた。

「それで全力か?」

ウルキオラの余裕な表情に驚くが、ワルドも負けじと手綱を引いた。

「なにをー!まだまだこれからさ!」

グリフォンとウルキオラの速度は更に上がった。

ルイズはグリフォンの頭が目の前にあるので、それ程風を体に受けていない。

しかし、ウルキオラに抱きかかえられた状態のギーシュは、風を遮る物などあるはずもなく、悲鳴を上げていた。

「ちょ、ま……と、止めてくれーーーーー!!!!」

それから、ギーシュが気絶するのに5分とかからなかった。




そんなこんなで、暫く疾走していると、上空に見慣れた幻獣が姿を見せた。

ルイズが驚いた声を上げた。

「シルフィード!」

確かにそれはタバサの風竜であった。

グリフォンとウルキオラは減速し、止まった。

ギーシュは気絶したままである。

地面に降りてくると、赤い髪の少女が風竜からぴょんと飛び降りて、髪をかきあげた。

「お待たせ」

ルイズがグリフォンから飛び降りて、キュルケに怒鳴った。

「お待たせじゃないわよ!何しに来たのよ!」

「助けに来たんじゃないの。朝方、窓から見てたらあんたたちが馬に乗って出かけようとしてるもんだから、急いでタバサを叩き起こして後をつけたのよ」

キュルケは風竜の上のタバサを指差した。

寝込みを叩き起こされたらしく、パジャマ姿であった。

それでも、タバサは気にした風もなく、本のページをめくっている。

「ツェルプストー。あのね、これはお忍びなのよ」

「お忍び?どういうこと?」

ルイズは腕を組むと、キュルケを睨みつける。

そんな様子を見たウルキオラは、キュルケに向かって言った。

「そういうわけだ。俺たちは急いでいる。お前らに構っている隙はない」

ウルキオラはそう言い捨て、キュルケに背を向けた。

「ちょ、ちょっと待ってよ!私たちも一緒に行くわ」

ルイズはキュルケの言葉に驚き、反論した。

「な、なんであんたたちが一緒に来るのよ!」

「別にいいじゃない。ねえ?ダーリン?」

キュルケは冷静にルイズをあしらい、ウルキオラに言った。

ウルキオラはワルドに目線を移動させた。

「どうする?」

ワルドは口髭を触りながら答えた。

「うーむ…まあ、いいだろう。そこのギーシュ君よりは役に立ちそうだ」

「話がお分かりになる方で助かるわ〜」

キュルケはワルドに感謝した。

ワルドはグリフォンに跨ると、颯爽とルイズを抱きかかえた。

ルイズは、今日何度目になるのか、顔を赤くした。

「今日はラ・ロシェールに一泊して、朝一番の便でアルビオンに渡ろう」

ワルドは一向にそう告げた。

キュルケはタバサの風竜に乗り込み、きゃあきゃあ楽しそうに騒いでいる。

ウルキオラはギーシュを風竜の上に置いた。

タバサは相変わらず本を読んでいる。

暫くすると、両脇を峡谷で挟まれた、ラ・ロシェールの街の灯りが怪しく輝いていた。 
 

 
後書き
お知らせです。

明日から、2週間更新出来ません。

もしかしたら、今日一話更新するかもですが…少し更新をお休みします。

楽しみに待っている方々には大変申しわけありません。

暫しの間お待ち下さい。

休載期間11月26日(水)〜12月10日(水)

 
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