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ハイスクールD×D 『存在の消失~ Memory life ~』

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六話『現れる聖剣の使い手』

 
前書き
少し短めです 

 
【刀矢 Said】

放課後。

俺達オカルト研究部の面々は、グランドにて球技大会の練習をしている。

といっても、練習しているのは俺を覗いた部員のみだ。

リアスさん曰く、「最近は刀矢に助けてもらってばかりだから、今回は私達だけでがんばるわ」らしい。

そんなわけで俺は今皆の練習を見ながら、この前使い魔になったアイリと遊んでいる。

(退屈そうね、刀矢)

(そんなことないさ、ロスティア)

俺は頭のなかで話しかけてきたロスティアにそう言う。

(せっかくだし、私に何か聞きたいことはないかしら?)

(どうしたんだよ急に?)

(いいでしょ。何でもいいのよ?)

いつもの様子とは全く違うロスティア。

(…………そうだな。なら、ロスティアの好きなものはなんだ?)

(…………私の好きなことは、刀矢と一緒にいることよ)

(だったら、これからも一緒にいようぜ?)

俺は珍しく悲しそうなロスティアにそう言った。

(…………刀矢は迷惑じゃないの?私といれば刀矢は周りの皆から忘れられる…………それなら、私は!?)

(俺はロスティアがいてくれて良かったと思うよ)

(……え?)

(確かにロスティアがいなければ、家族と暮らせていたかも知れない。…………でも、ロスティアがいてくれたから俺はサーゼクスさんやリアスさん達に会うことができた。ロスティアがいてくれたから、焼き鳥からリアスさんを助けることができた。……だから、俺はロスティアがそばにいてくれて、本当に良かったと思うよ)

俺はロスティアに優しく呟いた。

(…………ありがとう。ありがとう、刀矢)

先程までとは違い、笑顔でそう言ってくるロスティア。

その笑顔は本当に綺麗だった。

そして、気づくと練習をしていた皆は片付けを始めていて、俺は先に帰らせてもらった。

余談だが、その帰り際に木場が何やら怖い顔で一人歩いていたのを見かけた。









次の日の放課後。

俺は担任に手伝い(資料の整理)を頼まれて、部室に行くのが少し遅くなっていた。

俺が手伝いを終わらせて、部室についたのが30分後のことだった。

「すいません。遅くなりました」

俺はそう言って部室に入ったのだが、目の前にはこの学園の生徒会の方々がいらっしゃっていた。

しかも、イッセーと生徒会の男子生徒が喧嘩中だった。

「止めとけイッセーと…………男子A君?」

「でもよ、刀矢!?」

「誰だよ!男子A君って!?ここで上下関係を教えてやろうか?」

(うわ~、めんどくさそうな奴だな)

俺はそう思いながら溜め息を吐く。

「はぁ~。止めとけ、魔力の気配からして焼き鳥以下だろ?あんた」

「なっ!?焼き鳥ってのが誰だか知らないが、風鳴が殺るなら受けてたつぞ!」

「匙。お止めなさい」

俺と匙と呼ばれた男子の仲介をする生徒会長の支取蒼那さん。

「し、しかし、会長!」

「今日ここに来たのは、この学園を根城にする上級悪魔同士、最近下僕にした悪魔を紹介し合うためです。私の眷属なら、私に恥をかかせないこと。それにーーーー」

そこで蒼那さんの視線が俺へと向けられる。

「匙、今のあなたでは風鳴君に勝てません。フェニックス家の三男を倒したのは彼なのだから。ーーーそれに、風鳴君は冥界中の悪魔に恐れられていますから」

何やら最後の方はとんでもないことを言ってくれている蒼那さん。

「えっ!?フェニックスをこいつが!?あのライザーを倒したのがこいつだなんて…………。俺はてっきり木場か姫島先輩がリアス先輩を助けたものだと…………」

匙がそう言うと、蒼那さんが俺やイッセー、アーシアさんに頭を下げる。

「ごめんなさい、風鳴君、兵藤君、アルジェントさん」

「気にしないでくださいよ、蒼那さん。それに、俺もわるかったですし」

「ふふっ。リアスがあなたに惚れた訳がわかりました。これからよろしくね、風鳴君」

「刀矢でいいですよ、蒼那さん」

俺がそう言うと、蒼那さんはふふっと、笑う。

「そうですか。では、また会いましょう。刀矢君」

そう言って、蒼那さん達生徒会のメンバーは部室を後にしていった。

「あっ、あのリアスさん」

「ん?どうしたの、刀矢」

「俺、明日の朝用事があるんで、朝は一緒に登校できないので、すみません」

「わかったわ」

そう言って、今日は解散した。

今日も木場の様子はおかしかった。











リアスさんに昨日言っていた通り、俺は一人でとある家ノ前に来ていた。

(…………父さん、母さん、雪菜、皆元気にしてるのかな?)

そう、俺が来ているのは家族のーーー記憶がない家族のいる家の前だ。

(刀矢…………あなたは)

(大丈夫だよ、ロスティア。俺がここに来たのは決めたからだ)

不安げに聞いてくるロスティアに俺はそう言う。

(皆、俺は決めたよ。俺はもうここには戻らない。新しい仲間と大切な人と一緒に前に進むよ。だから、忘れていたとしても見守っていてくれ)

(刀矢……)

(さて、行くか?)

俺はロスティアにそう言って、この場を後にしようとする。

ガチャ!

俺が駆王学園へ向かおうとしたとき、家の扉が開いて母さんが出てくる。

「あら?あなたは確か…………」

「……あ、すみません。もう行きますので」

俺はすぐにこの場を離れようとする。

「ちょっと待って下さい!あなたは…………あなたを見ていると、なぜだかわからないけど懐かしいの」

「…………そうですか」

「ご、ごめんなさいね。………………と……うや?……あら?誰の名前だったかしら?」

「すみません。もう行きます」

俺は振り向かずに走る。

しばらく走った後、俺は立ち止まる。

「母さんが…………刀矢って…………俺はっ!…………俺はっ!」

俺は泣いていた。

久しぶりに会ったからではない。

記憶が無いのに、俺の名前を呼んでくれたからだ。

「………………もう、泣いてられないな。よし、戻るぞ」

俺は自分に言い聞かせるようにして、もう一度駆王学園に向かって歩き出す。

「あの、道を聞いてもいいですか?」

後数分で駆王学園に到着するというときに、後ろから声をかけられる。

「俺か?」

「うん!そうそう」

振り向いて見れば、如何にも怪しい二人組の女がいた。

「駆王学園までの道を聞いてもいいかな?」

(これって教えても大丈夫なのか?っていうか、よくこんな格好で警察に捕まらなかったな)

俺は目の前にいる二人組ーーー正しく言えば白いローブを着て、背中に何かを背負っている二人。

「駆王学園なら、今から行くからついてきてくれるか?」

「いいの!?」

「ああ」

俺はそう言って、二人を引き連れて駆王学園に向かう。

(気をつけなさい、刀矢。この二人、聖剣をもっているわ)

(聖剣?聖剣ってあのエクスカリバーとかデュランダルみたいのか?)

俺はロスティアにそう聞く。

(ええ、この二人はどうやら天界の使いみたいね)

(じゃあ、ここに連れてきてよかったのか?)

(さあ?…………でも、もう着いたわよ?)

ロスティアがそう言ったように、俺達は駆王学園に到着していた。

「ありがとね、私は紫藤イリナ。それでこっちが」

「助かったよ。私はゼノヴィアだ」

「困ったときは助け合いだろ?あと、俺は風鳴刀矢な」

俺は二人にそう名乗る。

「あっ、刀矢君はここの生徒だよね?時間を取らせちゃってごめんなさい。もう、わかったから。あとは私達だけでいいよ」

イリナと名乗った子が、俺にそう言ってくる。

「ん?そうか。だったら、俺は行かせてもらうぞ?」

「うん!」

「ああ、本当に助かったよ」

二人はそう言うと、何処かに歩いていった。

俺が駆王学園に到着したのは、昼休みだったのでとりあえず教室で弁当を食べていた。











昼飯の後はいつも通りの授業だったので、俺は普通に接していた。

そして放課後に俺はイッセーとアーシアさんと一緒に部室に向かっていた。

「そういえば、刀矢。用事があるって言ってたけど、あれってなんだったんだ?」

「ん?ああ、ちょっとな…………なんというか、少し楽になったって言えるな」

俺は今朝あったことを思いながら、イッセーにそう言う。

「ふ~ん。確かにいつもより表情が明るいよな?」

「はい。いつもの刀矢さんより明るいです」

イッセーとアーシアさんとがそう言う。

「そうかな?」

俺達が夢中で話していると、もう部室に到着した。

部室の中に入ると、リアスさんと朱乃さんがソファーに座っており、その二人に向かい合って見慣れた二人組が座っていた。

因みに、小猫ちゃんは部屋の片隅に座っている。

木場に関しては壁にもたれながら、白いローブを纏った二人組を睨んでいる。

「えっ!?刀矢君!?」

やはりと言うべきか、ソファーに座っていた二人組はイリナとゼノヴィアだった。

「イリナとゼノヴィアか。今朝ぶりだな」

「刀矢もここに来たということは、裏の話を知っているということか?」

ゼノヴィアがそう聞いてくる。

「ああ、知ってるぞ」

俺が即答すると、なぜだか目を見開いた二人。

「そろそろ、本題に入ってくれるかしら?」

沈黙を破ったのはリアスさんだ。

イリナとゼノヴィアはそれを聞き、ハッとしたかと思うとすぐに話を始めた。

「先日、カトリック教会本部ヴァチカン及び、プロテスタント側、正教会側に保管、管理されていた聖剣エクスカリバーが奪われました」

(は?どんだけ、守りが手薄なんだよ。そんな、有名な剣を奪われるなよ!?)

俺はあまりのことに、心の中でそう突っ込む。

(仕方ないわ、刀矢。エクスカリバーといっても、所詮は砕けた剣を七本の剣に変えた駄作のようなものだから)

(……駄作ね~。…………ん?聖剣、木場?そういえば、リアスさんが前に木場は聖剣計画ってやつの生き残りだって言ってたな)

そこまで思い出したので俺は一旦、イリナ達の話を聞き直す。

「聖剣を奪ったのはグリゴリの幹部、コカビエルだ。コカビエルの他にも後、三人いるがその内二人は正体がわからない。一人はバルパー・ガリレイ」

ゼノヴィアがそう言った瞬間、木場からものすごい殺気を感じた。

そこからは一方的なお願いだった。

簡単に話をまとめよう。

イリナとゼノヴィアは二人だけで聖剣を取り戻したい。

それには俺達が関わらないで欲しいということを、今日話に来た。

二人には援軍はなしで、完全に自殺志願者だな(俺の個人的な考え)。

まとめるとこうなった。

「それでは、そろそろおいとまさせてもらおうかな。イリナ、帰るぞ」

「そう、お茶は飲んでいかないの?お菓子ぐらい振舞わせてもらうわ」

「いらない」

リアスさんの誘いを手をふって断るゼノヴィア。

「ごめんなさいね。それでは」

そう言って、二人はその場を後にしようとする。

ーーーーが、二人の視線がアーシアさんに集まった。

「ーーー兵藤一誠の家で出会ったとき、もしやと思ったが、『魔女』アーシア・アルジェントか?まさか、この地で会おうとは」

『魔女』と呼ばれ、ビクッとアーシアさんが震えた。

「……あ、あの…………私は……」

「君は悪魔になっても主に信仰を行うのか?」

「そうなの?アーシアさんは悪魔になったその身でも主を信じているのかしら?」

その問いかけにアーシアさんは悲しそうな表情で言う。

「…………捨てきれないだけです。ずっと、信じてきたのですから……」

それを聞き、ゼノヴィアは布に包まれたものを突きだす。

「そうか。それならば、今すぐ私が斬ってやろう。今なら神の名の下に断罪してやれる」

(そこのところはどうなんだ?ロスティア)

(私は知らないわ。でも、この子達の言っている神ならもう死んでるわ)

この状況でとんでもないことを言うロスティア。

「触れるな!」

アーシアさんに近づいていく、ゼノヴィアに対してイッセーがそう言った。

「おまえらがアーシアに手を出すなら、俺が相手をしてやる!」

「イッセー、お止めーーーー」

「リアスさん。ここは一旦、あのバカに任せましょう」

俺は止めに入ろうとしたリアスさんにそう言って、状況を見る。

「ちょうどいい。僕も相手になろう」

声がした方を向けば、木場が特大の殺気を発しながら剣を、携えていた。

「誰だ、君は?」

ゼノヴィアの問いかけに木場は不敵に笑った。

「君達の先輩だよ。ーーーー失敗だったそうだけどね」

その瞬間、この部室内に無数の魔剣が出現した。 
 

 
後書き
次回、七話『聖剣使いをばいしゅ……説得!?』 
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