| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

九校戦編〈上〉
  定期試験後の疑惑と脅迫

国立魔法大学付属魔法科高校は現在全国に九つ存在する。関東東京、第一高校。近畿兵庫、第二高校。北陸石川、第三高校。東海静岡、第四高校。東北宮城、第五高校。山陰島根、第六高校。四国高知、第七高校。北海道、第八高校。九州熊本、第九高校。魔法科高校は、全国にこの九校しか存在しない。国立魔法科大学の付属高校が九校しかなく、正規課程として魔法教育を行っている高校がこの九校しかないからだ。

日本政府の本音は、魔法科高校を増やしたいと考えているがそれが出来ないのが、教師となる魔法師の確保ができない状態のためだ。もちろんこれに関しても我が社である蒼い翼は高校を増やすプランを思考中だが、やはり魔法師を確保するとなると金ではどうにもなれない問題だ。

第一高校・第二高校・第三高校の一学年の定員が二百名。他の六校は一学年百名で、合計一学年千二百名。これが国の一年間辺りで新たな魔法師を供給できる数の上限である。蒼い翼も魔法師を送ろうにも、ソレスタルビーイングの方に回すか蒼い翼本社で働いているのが精一杯、人材が豊富な蒼い翼でも明日誰か行ってもらうという事が無理だからだ。あとは魔法的素質を持つ少年少女の数と等しい。

才能の開花が遅い潜在的な魔法適性を持つ子供達を発掘できる可能性は低いが、我が社ではその子供を専用の学校で開花させてから学ばせる事が出来る学校を開校させたからか、そこの学校だけは我が社の社員が派遣しているので問題はない。

国立魔法大学付属魔法科高校の教師不足というのは、魔法科高校生たちを鍛え上げ、能力を底上げする事で魔法師という貴重な人的資源を充実させていくしかない事で教師不足というのがこの先の未来で解消されるかもしれない。今より更に魔法師を育成するというのが、正のスパイラルも期待し回る。

そのために取られている方策の一つが、魔法科高校九校を学校単位で競争させ、生徒の向上心を煽る事で最大の舞台が夏に毎年行われている九校戦だ。全国魔法科高校親善魔法競技大会は、毎年全国から選りすぐりの魔法科高校生達が集い、その若きプライドを賭けた栄光と挫折を繰り広げる。

普通の高校なら体育祭だと考えてもらえれば分かるかもしれないな。政府関係者、魔法関係者のみならず、一般企業や海外からも大勢の観客と研究者とスカウトを集める魔法科高校生達にとっては晴れ舞台。

今年ももうすぐ幕を開けるが、これについては我が社も毎年協力をしているので、その報告などが毎年の夏に俺が働いている社長室に来る。この時は毎年見に行けてないからだ、でもまあ今は魔法科高校生となったのだから見に行けるのともしかしたら選手やメカニックをやるかもしれないと俺は思ったのであった。

西暦2095年、七月中旬であった。国立魔法大学付属第一高校では先週、一学期の定期試験が終わってから、生徒達のエネルギーは一気に九校戦準備へ向かっていた。しかし俺である織斑一真は、校内充満されている熱気に乗り切れずにいた。

何故かは知らんが、定期試験結果で呼び出しを喰らった俺だったので、俺と蒼太は生徒指導室の中にいた。護衛はすぐ後ろに待機していて、対面している教師がデータを投影してある項目を見てから言ったのだった。

「今日織斑を呼び出したのは、他でもない定期試験の事で聞きたい事があって呼んだ訳だ。本来二科生ならあり得ないはずだと、我ら教師は思っているがこれを見てもらっても構わないかな?」

画面を見てみると、総合成績優秀者と実技試験成績優秀者と記述試験成績優秀者の項目だった。総合と実技に関しては、1-Aの者と深雪の名前があったから問題ないが、問題は教師が指差した所だった。そこは記述試験についてで、総合と実技は一科生の独占だが理論だけは俺が一位となっていて三位にも同じクラスメイトが上がっていた。しかも理論のみだと二科生トップとなっていた。

「ここで言わせてもらうと、織斑は実技に関して手を抜いたのではないか?と我ら教師はそう考えている。織斑の力は、蒼い翼本社社長から秘匿されていて我々は知らされていない。織斑も実技に関しては本当は出来るんじゃないかと我々は疑っている」

「なるほど。では本社にいる者に言って、第一高校を訴える事も出来ますよ?それでもいいんですか」

「教師を脅迫しても無駄だぞ?」

「いえいえ、脅しているのではなく本当の事を言っているのですよ。現に今蒼い翼本社社長である零達也が聞いている、と言えばどうなるかお分かりですよね?」

教師を脅してみたら案外疑いを晴らした俺だったので、蒼太と共に生徒指導室からやっと解放された。

「一真」

「レオに皆揃ってどうしたんだ?」

解放されて第一声がそれだった。そこにいたのは、同じクラスメイトのレオとエリカと美月が待っていた。深雪と沙紀がいないが、その代わりにほのかと雫がいたからだ。名前で呼んでいい事になったのは夏になる随分前なので、俺もそう呼んでいる。深雪は生徒役員として、毎年開催される九校戦準備で生徒会室に行っている。バックアップとして沙紀も一緒のようだ。

「どうしたんだ?じゃないぞ・・・・いきなり生徒指導室に呼ばれたから心配してたんだ」

今いるこのフロアは教職員用なので、一般生徒は余り通らない。通りかかった同級生も上級生も、俺やその前に並ぶ五人をこっそりとまたはジロジロと見る視線を感じるようになっていた。俺と蒼太だけなのかもしれんが、コイツらが目立っていた。

俺は二科生でありながら、風紀委員選抜前に護衛付きと校内でもデバイス携帯可能、権限とかも選抜前からの特例生徒である。テロ組織を潰したCBメンバーだというのは、秘匿しているが新入部員勧誘週間の活躍と校内でのテロ活動を未然に防いで見せたのが注目された理由である。

エリカは十人いれば十人振り返る美少女だし、美月は普段深雪とエリカの二人に挟まれているのか。地味なイメージがあるが、顔立ち自体は大人しげな癒し系美少女として、常に上級生の間では密かな人気を持っている。

レオはエリカにこそボロカスに貶されているが、ゲルマン的な掘りのの深い顔立ちと卓越した運動神経で、女子生徒では『ちょっと気になる男の子』の地位を確立させている。最も憎まれ口の類いではあるエリカであるし、それに加えてほのかと雫は一年一科生の中でも特に成績優秀な二人で、容姿も十分可愛いと称される範疇だ。

これだけのメンツが、一科と二科の枠を超えた連んでいれば自動的に目立つ。今年は主席入学、今年度新入生総代、生徒会役員の肩書きに加えて、稀代の美少女である深雪がいないのでいつもより大人しい方だ。

「定期試験について尋問されたが、まあ最終的にこっちが脅迫したがな」

「尋問とは穏やかじゃないが、脅迫というのが気になるが何を尋問されて何を脅迫したんだ?」

「実技試験について手を抜いているんじゃないか?と言われたからね、脅迫したらあっさりと疑問を回避した。俺の親友である零達也が、この会話を聞いてますよ?と言ったらな」

「あははは、それはいくら教師でもその脅迫されたら回避しないといけないよねー」

「でもそれだけ疑問に思いたくもなりますよ。それだけ一真さんの成績が、衝撃だったという事ですから」

第一高校というより、魔法科高校の定期試験は魔法理論の記述式テストと魔法実技テストにより行われる。語学や数学、科学、社会学などの一般教科は普段の提出課題で評価される。魔法師を育成する為の高等教育機関なのだから、魔法以外で生徒を競わせるのは生徒個人だと余計なお世話だと言いたい。

俺らは魔法師と魔工師と区別しているが、進路が二つで明確に区分けされるからか。社会の一般的分類では魔工師は魔法師の一種であり、魔法を使えない魔法工学技術者の事を魔工師とは呼ばないようだ。記述式テストが行われる魔法理論は、必修である基礎魔法学と魔法工学、選択科目の魔法幾何学・魔法言語式・魔法構造学の内から二科目選択出来て、魔法史学・魔法系統学の内から一科目、合計五科目。

魔法実技は処理能力を見るもの、キャパシティを見るもの、干渉力を見るもの、この三つを合わせた総合的な魔法力を見るものの四種類で、成績優秀者は学内ネットで氏名公表される。処理能力は魔法式を構築する速度に、キャパシティは構築し得る魔法式の規模の事だ。干渉力に関しては、魔法式がエイドスを書き換える強さの事を言う。

「ま、俺の実技についてはお前らも知っての通り、魔法であって魔法じゃない力。実技に関しては、評価されない項目とされている」

「一真さんのは、百年前開発されたエレメンツ使いですもんね。いくら実技でも、手を抜くとは考えられませんが」

「そんな事は雫にも分かっていますよ」

「先生はあたし達みたいに、一真君の人となりを直接知っているという訳ではないしね」

ほのかとエリカが二人掛かりでなだめに入った。

「そうだな。向こうは端末越しでしか俺達を知らない訳だし、後ろ盾に関しては蒼い翼本社社長が居る事を忘れてたんじゃねえの?」

レオの言う通り百年前のだと、教師は生徒と直接コミュニケーション取っているが、今現在は担任制度をしていないのでこうなる事もよくある事。たまに本社にて、学校側から報告がある事を俺に伝えてくる副社長。俺は、大人の対応可能なので呼ばれたとしてもすぐに対応可能だ。

俺的には小野先生の事について言われるが、俺には蒼い翼での権限で今日言われる事を把握していたので、エリカがまともな事を言っているとレオが言ってノートを丸くしたモノで叩かれるシーンがあった気がする。

情報システムが発達したとしても、紙製ノートは字を書く事自体が重要なので魔法言語学や情報端末より手で書いた方が早い。暴力女であるエリカは、レオの頭を太鼓だと思わさせるシーンもカットされている。

「それで一真さんは先生に脅迫をして終わったのですか?」

「手抜きじゃないという証拠もこっちにあるし、何しろ二科生にしたのは俺自らの頼みを聞いてもらった親友だと言う事だ。二科生問題を俺が解決出来るように仕向ける為、一科生ではなく二科生にしてもらった。一科生と二科生という枠を超えた友情も、ここにいるレオ達が見本となるようなもんだ」

「まあそうよね~、一真君が自然とそうさせたようなもんだし。それに先生達よりも魔法についてよく知っているから、目障りだと思っても仕方ないと思うし」

「こうやって一科生と仲良くできたのも、一真のお陰だからかもな」

二科生問題は、俺らが居る事で少しずつではあるが問題解決してくし、一科生と二科生の枠を超えた恋とかも春にあった。桐原先輩と壬生先輩が良い例えだが、雫達が普通にエリカ達と話すようになったのが多くなった気がする。

これも、ブランシュ日本支部と校内にいたエガリテを排除したかもしれない。教師から詳細な事について話さなかったが、四高に転校話もあったが即断った。あそこは実技を軽視している訳ではないが、俺の魔法は学校で評価外な事なのでそう言われたのかもしれない。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧