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IS<インフィニット・ストラトス> 可能性を繋ぐ者

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モンド・グロッソ

 
前書き
少し時間が飛びました
 

 
あの日、親父からRX-0を託され、様々なことを知った

本来人類はずっと昔に宇宙に飛び立つ技術を持っていた、そしてそこに住んでいたんだ

宇宙世紀と呼ばれた時代があったことを知るものは少ない

増えすぎた人口を減らすために考え出された宇宙移民政策、それにより作り出されたコロニーは今は無い

理由はわからないが有る時、全てのコロニーが機能停止し、そこに住んでいた人々は皆消えた

そのためコロニーの安全性が指摘され、同時に本当にMSが安全なのかということも指摘された

さらに、これらに続いて地球に機能停止したコロニーが落下、一時的な寒冷期が来てしまったのだ

そのため各国ともにそれらから抜け出すまでは戦争をしている暇もなく

そして宇宙へと飛び立てる手段を失った

MSは自然消滅し、そのデータは各国ともに全てを闇に葬った、これで戦争が無くなるいい機会だと






だが、戦争は亡くならなかった

寒冷期を越え地球に緑が戻った後、それまでは協力を続けて来た各国の仲も次第に険悪になって来た





そして、また争いが始まった

武器がただ原始的なものになっただけなのだ

そして、人類はまた同じ歴史を繰り返した



その中でリンクス家だけはデータの放棄、そして可能性の獣を捨てなかった

いずれまた同じ事を繰り返すと知っていたから

口伝と手書きとして様々な技術を残し、でも戦争などへの提供はしてなかった

代々受け継がれて来た記憶と共に、たった一つの望みを繋げるために

力だけではどうにもならないが、力がなければ意思を貫くこともできない

それを知っていたからこそ、アナハイム社を残したのだ

来てるべき時のために

そして俺はそれを、受け継いだ



「はぁ...」

思い返してみても我ながら大変なものを背負ったわけだ

「でも、やるっていったからにはやるしかない」

自分に言い聞かせるように、俺は呟いた

あの後意識が回復した俺は遺産の管理をしてくれていた人と話した

どうやらその人はアナハイムの人で、歴史の真実をしる一人だったらしい

宇宙世紀を知るのはアナハイムの中でも長に着いている人だけ、交代の際に伝えるらしい

それに関する作業なんかもベテランの人しか行えないらしい

だが、もうあの地下室は崩壊して使えなくなっていた

そのため俺はドイツにあるアナハイム本社に行くことになった

バイオメトリクス認証が行われた今、俺がいない限りフェネクスの整備は出来ないし、男なのにISを動かせたということを隠さなければならない



ドイツに着いて、そこにいる副社長に話を伝えるとすぐに様々なものを用意してくれた

元から俺がアナハイムに着いた時用にと用意していたのもあったらしいが

家もなんの不自由もないし、技術スタッフの人達も良くしてくれた

そして俺は一年間ISに関すること、ユニコーンタイプのことを必死に勉強した

そのお陰で操縦に関しては性能にも助けられているが国家代表クラスとまではいかなくともその一歩手前まで進歩した

デストロイモードも身体を鍛えたりならしたりした為、全力はまだ無理でも7割程度の出力でなら5分は持つようになった

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「織斑千冬...凄いな」

俺は今第二回モンド・グロッソが開催されているアリーナに来ていた

モンド・グロッソ

近年ISは兵器としてではなくスポーツとしての一面も見せている

IS条約により防衛以外での武力活用が禁止されてからはISに競技用リミッターを付けてIS同士を戦わせるというのが流行っていた

そして、国家間で代表を出し、競い合うという所謂オリンピック的なものがモンド・グロッソだ

少し前に副社長(今はもう社長だが)が勉強になるかもしれないし見てこいと俺にチケットを渡してくれたのだ

第二回 モンド・グロッソはドイツで行われているので行きやすいというのもあった

そこで再び俺の運命を変える物と出会うとはまだ知る由もない


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「それにしても織斑千冬はやばいな。剣一本で決勝まで行くなんて」

『お前さんもフェネクスを使いこなせるようになればビームサーベル一本で勝てるさ』

俺はISのプライベートチャンネルのシステムを使った秘匿通信でアナハイム本社のフェネクス機付き長と話していた

「性能が違いすぎるでしょう、それで勝ってもおれの力じゃない。そうでしょう?アモンさん」

アルベリヒ・アモン それが機付き長の名前だ

フェネクスの設計にも一枚噛んでいたらしいので整備も的確。多少の無茶も受け入れてくれた

それの最たるものはビームマグナム二丁目の実装と連結システムの実装

ビームマグナムとはビームライフル約四発分の威力を持ち、それゆえ本来ビームライフルが15発撃てるエネルギーパック(Eパック)一個で一発しか打てない

そして、実装してもらった連結システムとは二丁のビームマグナムを連結させ、照射型ビームを撃てるようにしてもらったのだ

その威力は宇宙世紀後期の戦艦に搭載されていたメガ粒子砲並みで掠めるだけで撃墜できるだろう

といってもIS用に小型化されていて尚且つリミッターがかかっているからISのエネルギーを2/3位減らせるかどうかってところだが


閑話休題


『それを分かってるなら結構。これからも頑張ってくれよ?次期社長?』

「まあ、頑張りますよ。ん?」

ーー助けて...ちふ◼︎◼︎◼︎ーー

『どうした?』

声が、聞こえた気がした

あり得ない。でも、俺はこの感覚を知っている

「助けを呼ぶ声が聞こえた気がしました。ちょっと動きます」

『......そうか。こっちでも調べてみよう』

「ありがとうございます。通信はこのままで」

俺は自分が感じたままに走り出した。この感覚は間違ってないと信じて

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「はあ...はあ...はあ」

俺は気がついたら海の近くにある資材倉庫まで来てしまった

幾つかある倉庫を流し見て、違和感を感じた倉庫へと足を動かす

そして扉に触れた瞬間俺は横に転がった

「お、こいつを避けるとはな...なんかデジャヴった」

そうしてそこにいたのは

「な、なんでここにいるんだ!」

あの日、俺からあるものを奪った相手。機体は黒く、全身装甲でその格好は甲冑にも見えるがオーラが登場者の残忍性を表している

「ん?その顔...ああ思い出した、あの時のガキか」

そこには親父を殺した憎き相手が立っていた

「亡国企業!」

亡国企業....ファントムタスク、詳しいことはなに一つ分かってはいない

だが、確かなことはここ数年の歴史の闇には必ず彼らの影が見えているということだけ

アナハイムの情報網をもってしても、尻尾しか掴めない相手

正面からぶつかるのは得策では無いと考え、俺は倉庫の裏手へと回った

「逃がすかよ!」

向こうはISを展開し追いかけてくる。俺は裏手にあった非常口から中へと入っていた。するとそこには

「...」

少年がいた。それも俺より一歳か二歳年下位の

そして、どう見ても普通の少年だ

「な!あいつらこんなただの子供を誘拐したのか」

ということはあの時聞こえた声はこいつのか

なら助けないと

そう思い俺は

「フェネクス!」

相棒を呼んだ、するとすぐに俺の体は黄金の鎧に包まれた

右手にはビームマグナムを持ち、何時敵が来ても平気なように周囲をハイパーセンサーで警戒しながら少年に近づいた

「ひぃ!」

「大丈夫。君を助けて見せる」

俺は怯えるそいつを抱え、シールドエネルギーで、保護してからスラスターを吹かせた

「そこだ!」

「くそっ!こいつで!」

そこで敵が後ろから砲弾を撃って来たのでそれを避けながらビームマグナムを撃った

銃口に丸い球体が出来、少し溜めてから撃たれたそれは掠めただけだが右手に持っていた銃を壊した

その隙に俺は倉庫から脱出、相手を殺したいがそれよりも先にやることがある

「どこか安全な場所は...」

「一夏ああああああ!」

「千冬姉!」

そうすると向こうから一機のISが出てきた。こちらは全身装甲ではなく本人の姿が見えていた

そして、その姿は織斑千冬そのものだった

「お前が一夏を!」

「違うんだ千冬姉、この人は俺を助けてくれたんだ」

「え!?」

会話から考えるに兄妹みたいだな

なら大丈夫だと考え、俺は剣を持っていない方の手にこいつを渡した

成る程

「織斑千冬の弟ってだけで誘拐を行ったのか」

俺は後ろからこちらに向かって来たISに対してビームマグナムを撃った

今回は流石によけられたか

「その通りだよ。それにもうそいつは用済みだ。本命は釣れたしな」

「お前らは...」

また、そうだ。こいつらは人の命をどうとも思ってない

そんなやつらがいるから、いつだって繰り返す

なら

「お前だけは、落とす!」

そして俺は憎しみに駆られ、再びNT-Dを起動させた

各部がスライドし、フェネクスは本当の姿を見せる

「な!」

「かっこいい...」

「ようやくお出ましか!」

そして俺の素顔が現れると相手はこちらに突っ込んで来た

俺はそれを両手で受け止めた

「なに!」

「はあああ!」

そして膝蹴り、海に向かって投げ飛ばす

向こうは空中で体制を整えようとするがそんな暇は与えない。右手のビームトンファーを展開し追撃をかける

「うおおおお!」

「ちぃ!」

ビームトンファーを使い突き、袈裟斬りをしながらも左手のビームマグナムを使い射撃を行う

それによりだんだんと向こうを追い詰めて行くことができた

「くそ!こんなガキにやられるなんて」

「死ねよ!」

俺は、相手が大きく体制を崩した隙にISの頭部にビームトンファーを差し込もうとした

振り返ってみれば、俺はこの時憎しみに操られていた

人によってはマシーンに飲まれていたと言うが違う。フェネクスはなにも悪くないんだ

そして、取り返しのつかないことをしてしまっていたかもしれない

「!?」

ISが警告を鳴らした。位置は後方

「こちらはドイツ軍だ!両機ともに戦闘行動を中断し武装を解除しろ!!」

それはロックオンアラート、それにより俺は一瞬だが行動を停止した

その隙をつかれ

「次はこうはいかない。お前を倒すのは私、オータムだ。覚えておけ!」

と捨て台詞だけのこし、逃げられた

「くそ、逃すな!お前は動くな!」

逃すまいとその後を追おうとするが銃を撃たれ止められる

「お前も...」

「な、男の声!?」

やり場のない敵意は、俺を撃ったISに向かった

「お前も敵か!」

俺はスラスターを全開に吹かせ、瞬時加速(イグニッションブースト)を行った

そして、俺が体を動かすよりも早くフェネクスは動いてくれた

向こうのISを地面に向かって蹴り飛ばし、ビームマグナムによる追撃

「ぐああああああ!!」

「...」

俺はすでに絶対防御が発動しているISに向かってビームマグナムを照射型で放った







その瞬間、感覚が引き延ばされた



全てがスローモーションでみえた世界

一瞬が一秒に見える世界だった



ーーそんなことをしてはダメだーー


ーーそのままでは過ちを繰り返してしまうーー


「え...」

俺は、誰かの手が形に置かれた気がした

その方向を見ると知らない人がいた

ーー俺と同じ道を歩んで欲しく無いーー

いや違う。俺はこの人を識っている

ーーそのマシーンは、ユニコーンはただ感情を増幅させるだけだーー

バナージ・リンクス、おれの遠い先祖様

ユニコーンの本当の担い手

ーー憎しみに囚われてはだめだ。そんなことでは、可能性を殺してしまうーー

でも、俺は。親父を....守れなかった。せめて、その償いを

ーーそれは違う。そんなことでは償うどころか後悔してしまうだけだ。もっと周りをよく見るんだーー

その声を最後に、俺はその世界から切り離された





ビームマグナムの弾が発射され、それがISを貫こうとした瞬間






「ふ!」

それを切った

立っているのは世界最強ーーブリュンヒルデーー織斑千冬

「正気に戻れ!お前、さっきと雰囲気が変わり過ぎた!!これ以上続けるというのなら...」

ーー剣に訴えてでも止める

そう言外に伝えていた

そういえば、あの剣ーー雪片にはある能力があったか

単一能力(ワンオフアビリティ)零落白夜、エネルギーシールドを無力化して直接ISに攻撃する力

それで斬ったのか

この時ようやく俺は気がついた。何時もの思考に戻っているということに

「いや...大丈夫です。すみません、ありがとうございます」

俺が構えていたマグナムを下げると、それが合図だったのかフェネクスはNT-Dを解除した

そして、ゆっくりと織斑さんの所に向かっておりて行く

向こうもこっちの"変身"が解けたことに安堵したのか剣を下ろしてくれた

そして無事に地面に着くとフェネクスは自分からIS起動状態を解いたのだった

「はじめまして、織斑千冬さん。俺の名前はクラルテ・リンクスと言います」

「ご丁寧にどうも。織斑千冬だ、弟の一夏を助けてくれて本当にありがとう」

深く頭を下げたので俺はびっくりして

「や、やめてくださいこんな子供に。それにお礼を言うのは俺の方です、貴方がいなければ俺はこの人を殺す所だった」

俺も頭を思いっきり下げ、二人ともに頭を下げているというなんとも言えない光景になってしまった

「「ふふ...あははは」」」

しばらくしたらお互いに笑いあった。この人なら信頼できるな

「ねえちょっと、私のことを忘れてない?」

ドイツ軍のIS乗りの人が展開を解除してこちらに歩み寄って来た

女の人で黒髪、年齢は20位かな。身長は160後半か

「あ、大丈夫ですか?」

「衝撃で意識がちょっと飛んでただけ。それにしても男の子がISを動かしてるなんてね」

そう言うと目つきを鋭くし

「君、どこの所属?まさかそのIS独自でくんだなんて言わないよね?」

こちらに一歩踏み出してくる、それに反応して俺は一歩下がってしまった

怯えている、相手の敵意がこちらにはっきりと伝わってる

すると、織斑さんが俺の前に出て来て

「こんな子供にそんな威圧をしないでください。大人気ないですよ」

「そんな子供でも私程度を殺す力はあるもの。いくらブリュンヒルデといえどもそのお願いに応えることはできませんね。ひとまずご同行をお願いできますか?」

「任意と言う名の強制ですか。私は構いませんが...」

織斑さんが俺の方を見る。俺はその視線に

「大丈夫、俺も行きます」

そう答え、軍人さんについて行った 
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