聖魔弾の銃剣龍神皇帝と戦姫
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第2巻
ティグルとエレンとソフィーとの密談
広大な王宮の隣に、噴水を設置した小さな庭園がある。濠から水を引いており、噴水が凍りつくほどではない。ジスタート王国が出来るまでは冬になると凍りつくだろうが、建国してからは水は凍らなくなった。それは創造神黒鐵が天空神に頼んで水が凍らない程度の寒さにしてくれと頼んだことは、この地にいる人間たちは知らない。知っているのは、神界冥界にいる神々とこの世界の神々しか知らない事だ。この庭園には巨大な魚の形をした噴水が姿を隠し、流れる水の音が声を消してくれるので、ここはいつの間にか密会などでよく使われると言う。エレンとソフィーは噴水の縁に並んで腰を下ろすが、その真ん中に座っているのは創造神黒鐵である。
「私がヴォルン大公の味方をする事が、どうしてリュドミラを敵に回す事になる?」
「簡単よ、ミラ・・・・リュドミラは、テナルディエ公爵と長い付き合いなの」
「それについては、我も知っている。我の部下が関係を調べてくれたらしいが、とてもじゃないがテナルディエ公爵と親交を深める相手ではないと我は思う。奴は勝手に略奪や民を殺す不届き者だ。いつかは我自身が天罰を下したいが、我はあまり表には出ないからヴォルン大公に任せている」
そう話すとエレンは何やら考えていたが、リュドミラが治めているオルミュッツからライトメリッツが近い事は知っている。だから返答もどこかひねくれた口調でもあった。戦姫達の公国はジスタート王国内に点在していて、間には王国直轄領を必ず挟み、決して隣接しないように我がした事だ。ライトメリッツに近い戦姫の公国は二つあり、一つはオルミュッツでもう一つ公国を治めている戦姫はここにいるソフィーと同じくらい親しい戦姫である。
「あのリュドミラという者だけではなさそうだな、テナルディエ公爵とやガヌロン公爵と何らかの形で交流をしている貴族が多数存在している」
「そのようだが、そろそろ本当の姿に戻ったらどうなのだ?ヴォルン大公」
「エレン、あなた何を言って?」
「くくくくっ、あはははははははっ、やはりいつかバレると思ったぞ。エレン」
そう言った俺は、一度立ち上がった後に一瞬光輝いたら真っ黒の戦闘服を着ていた、ティグルヴルムド=ヴォルンが立っていたのだった。ソフィーヤは一体何の事だと思っての顔をしていた。
「いつ俺が創造神黒鐵本人だと分かったんだ?」
「何簡単だ、顔が同じだった事と口調だ。創造神の時は全身が金色だからなのか、一瞬見ただけでは分からなかったがリュドミラがティグルの事を質問した時に同一人物だと核心したのだ」
「確かに俺は創造神黒鐵の時は俺から我となるし、口調も神々の頂点だから変えていたがやはりバレるのだな」
「え?どういう事?今目の前にいるのがヴォルン大公で、創造神様は・・・・・?」
ソフィーは何か混乱していたので、翼だけを展開したら俺が創造神黒鐵と同一人物だと理解してくれた。たぶんリュドミラは気付いていないと思うけど、そんで改めて挨拶をした後に俺は登場するまでを話していた。
「まさかバレるとは思わなかったが、エレンがここまで到着するまでは俺は神界にいた。俺に協力してくれる神々にな、その後に謁見の間を見ていた。そんで俺の登場という訳だが、俺の相棒もまさかこんなに早くバレるとは思っていないようだ」
そう言いながらドライグを召喚したら、喋るのも驚いたのでソフィーの膝の上に乗っかったけど。
「相棒の事はいいとして、エレンは『商人ムオネンツォ』というのは知っているか?」
「知らないが、誰なんだそいつは」
「エレンやソフィーがまだ生まれるずっと前の事だ、俺ら神国の者は無論知っている事なのだが。ムオネンツォには妻と、それから息子と娘がいたそうだ。ムオネンツォは毎日三人を暴力をしていた。三人共顔が腫れていない日はないとされていて、身体には痣が出来ていてな、夜になると痛みと苦しみで泣いていたそうだ。そんで耐えられなくなった三人は俺ら神国に頼ってきたのだ、そして毎日暴力をしてきた夫を神罰によって、俺の手で殺した。正確に言うと俺が神格として聖剣で殺したというのが正確なところなのだが、多くの人は仕方がないとしながらもムオネンツォの死を嘆き悲しんでいたのさ」
意外な言葉に、思わずエレンは俺を見たが、真顔で言っているのでそのまま聞いていた。
「ムオネンツォは、商人としては誰よりも誠実でとても有能だったと後々聞いた。約束は違えず、遅れる事なく、全てにおいて質も高いと言う風にな」
「・・・・テナルディエも同じという事か」
「ああそうだ、テナルディエと対立しているガヌロンも国内はともかく国外ではブリューヌを代表する大貴族の名に恥じない奴だ。古くからの名門で信頼性があって、治める領土は豊かで広大で、顔は広くて融通が利く・・・・。エレンやソフィーも取引をする相手はしっかりとした人間の方がいいだろう?」
そう言われるとエレンは反論出来ず、拗ねた子供のように頬を膨らませるが、俺が頭を撫でると途端に顔を真っ赤に染めあがったのだった。ソフィーも同意見で取引相手は見極めないといけないからだ。公国の主としては、そういう判別も出来ないと主としてはどうかと思うが。
「俺とエレンの敵は、テナルディエだけではないという事さ。奴が勝つ事で自分も利益を得る、または奴に倒れられると困る・・・・そう言う人間たちも多くいる。ま、幸い神国は他国に関してはジスタートだけだったからな、頼ってきた国は」
「それは理解しているが、リュドミラもその一人と言う訳なのか?ティグル」
「ああ。ただしリュドミラに対するエレンの評価は正確だな、リュドミラはテナルディエ公爵のような人間は好きではない。むしろ嫌いな人物と言って良い程だが、リュドミラよりずっと前からの代からテナルディエとの付き合いが長いと言った方が良い。俺からしてみればすぐだとは思うが、何十年にも及ぶ良好的な関係をあの真面目な子に個人の感情で切る事は出来るか?」
「なるほどな・・・・・」
「と俺が話しているのも癪だから、ソフィーヤについて教えてくれないか?まあ本人からでも構わんが」
「そうねー、さっき言ったヴォルン大公『ティグルで構わんよ』ティグル大公も気になると思うから簡単に自己紹介させてもらうわ。名はソフィーヤ=オベルタス、ジスタート七戦姫の1人でポリーシャ公国公主。エレン同様ソフィーって呼んでくれたらいいわ、操光の錫杖「ザート」を持っていて『光華の耀姫』という二つ名を持っているの。ティグル大公も存じているようにこの錫杖は光を操る事が出来て、形状から武器としては警戒されにくいため、外交特使として他国に赴いての交渉に行く事が多い」
そして初めて会った場所がディナント平原で、1ベルスタ離れた馬を正確射撃したと言ったらやはり事実だったと納得していた。そんで剣で一騎打ちをしてから、エレンとは客将という身分でライトメリッツに行き、銃と剣の腕前を実際に部下の前で見せた後に部下の態度が変貌した。俺らの国に攻め込む時は、一緒に戦ってくれるというのは客将になる条件だったため、テナルディエ軍が来た時は一万あった兵と十体いた竜を抹殺してやった。たった三百の兵で五千まで減らした事については、さすがのソフィーでも信じられない話だったようだ。情報収集に非常に長けていても、三百対一万+竜十体を倒せる国などないと思ったらしいが俺らの武器はそんじょそこらの武器ではないと言った。
「そんでまあこの銃という弩よりも正確射撃出来て鎧があっても貫通してしまうから、あとは連射しまくって五千まで減らした訳だ。エレンが来た後は赤い鎧を纏った後にソフィーが膝上にいるドライグを大きくさせて、竜や兵達を抹殺しまくった」
「赤い鎧って、始祖の頃に出てくるモノよね?だったら納得だわ、赤い鎧に神の一撃に等しい攻撃をして圧勝したと。でも竜を殺せるのは今一ピンと来ないわね」
「それはそうだろうな、だがティグルはたった一発で飛竜を仕留めたり地竜を一刀両断したりしていた。火竜はソフィーのところで大人しくしているドライグの龍の息吹で倒したと聞いた」
実はその攻撃だけは、トレミー3番艦の攻撃というのは俺と神国の者とトレミークルーしか知らない。そしてその後いくつか話をした後に俺からソフィーに頼みごとをしておいた。戦姫や有力な貴族で、テナルディエとガヌロンに協力している人を調べて欲しいと頼んだ。ブリューヌ国内やジスタート国内にばら撒かれた無人偵察機での報告もいいがたまには人間から調べてもらってその報告を聞きたいと思っての調査依頼をしたら二つ返事で頷いてくれた。
「ありがとう、あともう一つ調べて欲しい事がある。テナルデェの野郎のとこに竜を調教出来る者がいるらしいんでそいつも調べてもらいたい」
「竜を・・・・調教ですか?」
ソフィーが目を丸く見開いたのだった、俺は頷きながらエレンが言った。
「地竜と飛竜と火竜がいたからだ、地竜が八体と飛竜と火竜が一体ずついた」
普段からドレスを纏い、深窓の姫君という評価がピッタリの物柔らかな態度からは想像し難いが、ソフィーは情報の収集に非常に長けているは既に知っている。戦姫としても驚くべき武芸の冴えを見せるが、それ以上のを持っているからなのか事前に知っているから高く評価している。
「まあ俺らも調べられるが、神国の者ばかりだといけないのでな。他国との交流をするのであれば、今度会った時は他のドラゴン・・・・竜と会してやるよ。ドライグと他に3体いるからな。ただし抱きしめたり頬ずりはあまり好きではないので、それはエレンの飼っているルーニエにしてくれ」
「あらあら。それそれは楽しみで一杯ね、でもこの竜を触れて分かる事だとこういう事に慣れていなさそうだから、ルーニエで我慢するわ」
あとは他の戦姫についての情報を聞いたが、他のも中立として動くとしか言えないらしい。ソフィーはまだ用事があるという事なので、俺はドライグをしまってから再び創造神黒鐵の姿となってから、先に戻ると言ってこの場を後にした。エレンもさっさとティグルがいるところまで早めに合流した方が良さそうだし、ティグルが創造神黒鐵だという事は、ソフィーがこの場からいなくなる前にティグルから言われた。まだバレる時ではないからだと言われた。
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