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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十三章
  公方逃走×風林火山

と言いながら俺らは出陣をしたときだった。こちらに向かってくる人の気配を感じた俺。

「あれは・・・・見よ、幽!」

「対い鶴に、獅子が寄り添っておりますなぁ。・・・・なんとか上手く行きましたか」

「ん?上手くとは何だ、幽よ」

「え」

「なんと!・・・・余を阿呆を見るような目で見るとは、なんたる不埒な!余は傲岸不遜ではあるが、阿呆ではないぞ!」

「あぁ、傲岸不遜って自覚はあったのですな」

「余は公方であるからな。そのくらいでちょうど良かろう?」

「・・・・まあ正論ではありますが。・・・・それより、一真隊がようやく真の主を得たようで」

「うむ!主様が帰ってきたようじゃ。これも梅と幽の策のおかげじゃの!」

「策は概ねは一真様ですよ。そしてそれを実行したのが梅殿ですからな、よもや一真様の手の上で踊らされていたとはまさにこの事でしょうな」

「うむ。ならば、余らも急ぐぞ!」

「それはまあ結構ですが・・・・そんなに素直に喜んでよろしいので?」

「愛しの主様が帰還したのだ。さっきは腕と声のみであったが、同じ妾として喜ぶことが間違っておると申すか?」

「いやまあそこは別にいいんですけど。・・・・小波殿の句伝無量を握り潰しておられた件・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!ぬぅ!」

気付くの遅くないか?一葉。でなぜか知らんが退くと言ったそうな。このまま俺のところに行ったら俺に物凄く怒られると思ったそうな。今まで気付いてなかったらしいが。しかも今気付いたのは遅いわ。不覚とか言っているが、気付いてない方がおかしいと思うし、一真隊と合流すると俺に怒られるとか。そんなに合流したくないのか?怒られるのが嫌で逃げるのは子供以下だな。

「逃げるわけではない!ほとぼりを冷ますのじゃ!」

「サイテーですよ!」

「怒られるよりはマシじゃ!」

「いやですから、それはきちんと謝れば・・・・」

「謝れるのは構わんが、もし許されなかったらどうするつもりなのじゃ・・・・。主様に嫌われたら、余はもはや生きて行けぬ・・・・。二条で弾正あたりの手に掛かっておった方がマシじゃ・・・・」

「やれやれ。そこまで嫌なのでしたら、それがしのように最初から裏で色々と手を回せばよかったのですよ」

「そのようなこと、今頃言われても遅いわ。それこそ後の祭りではないか。・・・・そうか。美空に言われて渋々やっておった事にすればよいのか・・・・」

「あーこのひと、よりによって人の所為にしようとしてる・・・・サイテーどころじゃないですよそれ・・・・」

「むぅ・・・・やはり、後でバレるような嘘を吐くのは良くないの・・・・・」

「当たり前です。では・・・・」

「逃げるぞ!」

「あーもうこの人はーっ!」

と引き返してというより逃げ出した一葉たち。あとでお仕置きだな。羞恥プレイもいいが、胸だけでイかし続ける刑でもいいが。まあ今はいいとしよう。

「ハニー!見えましたわ!あれが本陣です!」

梅の指差すほうに見えたのは、毘沙門天の旗がある陣幕で、その上には手を振っている毘沙門天がいたけど。獅子の旗を掲げる一真隊そのものは、まだ長尾勢と思われているのかもしれない。全力で移動しても咎められる理由はないし。長尾の陣に向かい駆け抜けるが。

「本陣と言っても、簡単な幕が張ってあるだけですね」

「美空らしい事だ。このまま突っ込む!いけるな、薫!」

「任せて!お兄ちゃん!」

「よーっし!一真隊、突撃です!」

と俺たちは長尾本陣に辿り着いたが、無人のようだった。

「無人じゃない」

「ほう・・・・松葉がここにいるのか」

「いらっしゃい」

「すると、美空は武田の本陣にでも向かったのか?」

「正解」

やはりか。美空らしいといえばらしいな。

「本来の本陣を捨てるのは、山を下りた時点で予想通りということですか」

「普通なら大将自ら突撃はしないが、美空は普通じゃないな」

「それも正解」

と言っている間に、今すぐにでもやめさせないとと言っているが松葉は戦おうとしているようだが、俺の予想通りだ。

「ここまで予測通りだ、戦場にいる夜叉共!双方に向けての攻撃を開始せよ!俺も行く」

「何を言っているのやら、行かせない・・・・あれ?」

と言って俺の身体は半透明になる。そこで初めて気づいた一真隊のメンツ。

「もしかして、この一真様は分身体の方ですか?」

「大当たり。と言う訳で先に言っているから。松葉の相手を頼むぞ」

と言ってから完全に消えた俺はというと翼を出して飛んで行った。女の意地を見せに行ったのも知っているからこそ、わざと泳がせた。そしてこの瞬間にゲート開放、大型ドウターが群がる中で、俺本体であるトレミーは攻撃を開始。

「ハニーにはハニーのやる事があるとはこの事ですわ。綾那さんは松葉さんを相手をお願いします。一真隊は美空様を追いかけますわよ!」

「応!」

「一真さんは行っちゃったけど、これ以上は行かせな・・・・」

「・・・・いわけには、いかないです!」

「・・・・チッ」

「さて、一真隊は行ってくれたです」

「・・・・邪魔なチビ」

「綾那は、背丈はチビでも器はでっかいです!」

「潰す」

「こっちこそ、そのでっかい鎧をボッコボコにしてやるですよ!」

「・・・・・チッ」

「松平家家中、安祥七譜代が一つ!藤原に通ずる二条家綱が裔、本多平八郎綾那忠勝、推参なのです!田楽狭間に舞い降りた、神・織斑を守るため、この身、この槍、全てを賭けて!槍舞見せましょ、東国無双(予定)!いざ尋常に・・・・勝負なのです!」

「・・・・相手にとって不足なし。越後が龍の懐刀、長尾四天の末席なれど、音に聞こえた朱傘を構え、甘粕景持、推して参る!」

「相手にとって不足なしです!・・・・けど、本多はただ勝つのみですよ!いくですっ!」

「・・・・来い」

「殺ってやるですーーーーーーーーーーー!」

ということで、ただいま武田の本陣へ向かおうとしていた美空と柘榴。その間に俺は夜叉たちに攻撃を開始と宣言をしたが、まだ様子見をしろと追加命令を言ったあとだったけど。それに光璃のお家流もここからだからな。

「御大将ー!本陣の方で松葉の殺気が爆発してるっすよー!」

「分かってる。一真たちが来たんでしょうね」

「一真隊は武田に寝返ったっす?」

「寝返ったっていうか、もともと返ってたのが元に戻っただけじゃない?」

「まあ一真さんのやる事だから仕方がないっす。でも、いくら松葉って言っても、一真さんの隊相手じゃ分が悪いんじゃないっすか?」

「そこまで無茶は望んでないわよ。多分、松平のどっちかが対峙して、残りはこっちに向かうんじゃない?ちょっと時間を稼いでくれれば十分よ」

「松葉が聞いたら拗ねるっすよ」

「無茶を要求しなかったのに、なんで私が拗ねられなきゃいけないのよ」

「松葉は一生懸命一真さんを足止めしようと思っているのに、御大将、ホントは一真さんに来て欲しいんすよねー?」

「・・・・さあ、どうかしらね」

「やれやれっす」

「何呆れているのよ?」

「んーと、素直じゃないっすねーって思ったっすけど、まぁそれも御大将だから仕方がないっすーと思って出た言葉がやれやれっすー」

「ふんっ、勝手に言ってなさい。柘榴!」

「はいっすー!」

「先に露払いしときなさい!そろそろ光璃のあれも来るだろうから、少人数でも油断すると痛い目見るわよ!」

「望む所っす!・・・・柿崎衆!柘榴に続くっす!頭数ばかり多い武田の将どもを、一気呵成に蹴散らしてやるっすよー!」

「さぁて・・・・光璃。あなたは私を、ちゃんと楽しませてくれるんでしょうね・・・・。この機を逃したら、もう次はないわよ・・・・?」

武田の本陣では、こちらに向かってくる軍団を発見したところだ。

「お屋形様!前方に毘沙門天の旗あり!並ぶ旗は蕪!・・・・越後の一番槍です!」

「兎々、粉雪は」

「荒川伊豆守以下の部隊は何とか抜いたようですが、いまだ距離が・・・・!」

「夕霧、春日は」

「越後前衛と矢戦の最中です。増援の伝令を向かわせておりますが、こちらも距離が離れて・・・・」

「一真隊は」

「いまだ報告なし!」

「本陣で迎え撃つ」

「はっ!」

「・・・・風林火山を使う」

「総員、出撃用意!本陣詰めの武田の兵よ!お屋形様の言霊、しかと受け止めなさい!」

いよいよか。初めて見るが、何となく分かる。それに前、威力を少し上げといたからな。光璃の奴は集中しているようだ。

「其の疾きこと風の如く。其の徐かなること林の如く。其の侵掠すること火の如く。其の動かざること山の如し。・・・・人、其れを、風林火山と云ふ」

「風林火山の加護と薫陶を受けし武田の精兵たちよ!その身命を賭して、今こそお屋形様の礎となれ!総員、突撃ぃっ!」

「うわー。やっぱり風林火山、使いやがったっすね。あれ厄介なんすよね・・・・。なんかボソボソ言うだけで兵の力が二倍とか三倍とか、反則っす。・・・・大声で言ったら十倍とかなるんすかねぇ」

「・・・・どうしますか、姉御」

「ま、やる事は一緒っす!御大将の七手組一番隊は、どんな時も正面からぶつかって、ただひたすらにぶち抜くだけっすよ!総員、突撃っす!柿崎弥次郎の独壇場っすー!」

一方一真隊は、俺無しで美空たちの所に向かっていた。そしたらいつの間にか後方から一葉の旗である二つ引き両があるのを気付いていた。妙に距離を取っているから、不思議と思ったら、俺の声を一真隊の奴らに言った。

『お前らはそのまま真っ直ぐ行けー!後方の一葉たちは俺が説教するから』

「この声は、どこからですか?」

「恐らく私たちの頭に直接言っていると思います。一真様曰く念話だそうで、小波さんのとは違い道具無しでも伝えることができるものだと」

と言いながら俺が馬に乗っていると幻影を見せてから反転した俺だった。こんなところでビビりなのかとか、富士川の平氏も根性あるとか。今回は悪い事をしたことに自覚はあるようだったけど。反省しているように見えたが偉そうな逆切れをしているようだし、お仕置き確定だ。

「一葉ぁぁぁぁぁ!!!!!」

「は、はいっ!」

「一度だけブッ叩かれろーーーーーー!!!!」

『バシィィィィィィィィイン!』

といって飛びながらの大型ハリセンを持ってから、思いっきり叩いた俺であった。一方叩かれた一葉はあまりにも衝撃が強すぎたのか、頭を抑えながら泣いていた。

「一真様の怒りの攻撃、ですか。それともさっきのことも全部聞いていたので?」

「ああ。全部聞かせてもらった。一真隊に合流しようとしたり、小波のを潰した件とか怒られるのが恐くて逃げ出したとか。ぜーんぶ聞かせてもらった。まあ今回はこれで勘弁してやるからいつまでも泣いていないで立て」

と言いながら叩かれたところを回復させてから、涙を拭いてやったけど。

「・・・・・ごめんなさい」

「それでいい。許す」

「ははは。さすが、一真様ですな」

「ところで、一葉?まあ言わなくても分かると思うが・・・・」

「皆まで言うでない!足利の二つ引き両は、いつでも主様と共にあるぞ!」

「まったく。すっかり乙女になったもんだな、一葉は」

後続にいたひよところは、俺の前じゃ、誰だって恋する乙女になるとか。恋敵が雪だるまのように増えるのも悲しいとか言っていたが。誰かが春とか言っていたが、恋の春とでも言いたいのだろうかな。

「さてと、俺は行かせてもらうぜ。武田の本陣とぶつかったらしいからな」

「一真様は一真様の仕事をしてきてください。こちらも出来る限り行きます」

と俺は再び粒子となり、消え去った。一真隊は足利の二つ引き両と合流を果たしたし、この戦も終盤か。上空ではMS隊がぶつかっているが、地上では長尾と武田がぶつかっているなーと思いながら夜叉たちがいるところに合流した。まだだと言いながら、美空が光璃と戦うときになったら出ていいと伝えてある。 
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