『曹徳の奮闘記』改訂版
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第四十三話
「………というような事をしてはどうだろうか?」
『…………』
………陛下の言葉に俺達は唖然とした。
「宜しいのですか陛下? それは陛下を脅してみえる感じがすると思うのですが……」
「フン。奴等がそう思えば思うがいい。私の不徳故にこのような争いが起きたのだ。責任は私が取る」
陛下はそう断言した。
「……それに漢王朝は滅亡寸前だが、いっそ、滅ぼして構わないがな」
「へ、陛下?」
何か今、えげつない言葉が聞こえたけど………。
「既に漢王朝は滅亡してもおかしくないんだ。宦官のせいで政治は廃れ、忠臣は殺されるが地方に送られる。残ったのは酒や肉の脂で肥えた宦官……。だから黄巾の乱が起きたと私は思うよ」
……劉備と大違いだな。
「済まない。愚痴を言い過ぎたな」
「いえ、それでは陛下にも協力してもらいます」
「うむ。袁紹の絶望した顔が目に浮かぶよ」
陛下はニヤリと笑う。
―――野戦病院―――
此処は戦で負傷した味方兵士や、連合軍兵士もいた。
そんな中、俺は警備された天幕に入った。
「具合はどうだ顔良?」
「あ、王双さん」
その天幕には、こないだの戦で俺に負傷させられた顔良がいた。
顔良は白衣を着ていた。
「もう傷は大丈夫なので、皆さんの手伝いをしています」
「そうか。それともうすぐ軍に帰れるぞ」
俺の言葉に顔良は顔の表情を変えた。
「袁紹軍に帰れるんですか?」
「あぁ。もうすぐ戦は終わるからな」
「………すみません王双さん。姫の暴走を抑えられなくて………」
顔良が頭を下げた。
「気にするな顔良。お前のせいじゃないからな」
俺は顔良にそう言う。
「何か困った事があれば言ってくれ」
「はい」
俺はその場を離れて、兵士をお見舞いしている陛下のところへ向かう。
「陛下。そろそろ……」
「そうか。では皆さん、また今度。早くよくなって下さい」
陛下は負傷し兵士達にそう言って、二人で野戦病院の天幕郡を出た。
ちなみに、野戦病院にいた兵士達はお見舞いに来て一人一人の話を聞いていた陛下に感激をして陛下に命を捧げる者達が続出したそうだ。
「では行くとするか」
「は、分かりました」
前線陣地から出たのは兵士七万で、将は全員参加(公孫賛も)して大将である美羽と董卓もいる。
部隊の中心には陛下と縛られた『 』がいる。
「それじゃあ行くか」
俺の言葉と共に部隊は行軍を開始した。
目指す場所は連合軍の陣地だ。
―――連合軍天幕―――
「どうなんですの孫策さんッ!!」
「……だぁから~私はそんなの拾ってもないし、王双からも貰ってもないわよ」
袁紹の言葉に孫策がうざそうに答える。
既に二刻程、このような展開が続いていた。
諸侯達が再び集まった理由は孫策が王双から渡されたのが何のかを聞きたかった。
諸侯達の間者からの報告では玉璽かもしれないと来ている。
危険を冒して、曹操の間者が調べたのだ。
だが、直ぐに甘寧と周泰に見つかって致命傷を負うが何とか曹操に報告するとそのまま事切れた。
その情報を手に入れた曹操は直ぐさま集まった諸侯達の前でそれとなく言った。
「孫策は董卓と袁術と内通しているのか?」
劉備や馬謄は静観していた。
二人も間者からの報告でそれとなく分かっていたが、まさか曹操がこの場でぶちまけるとは思わなかった。
袁紹は曹操の言葉を信じて孫策を問い詰めたが孫策は否定するばかり。
しかし、孫策と敵が内通しているのは何かしら理由があるが前日の食糧部隊が襲われた時が怪しかった。
数人の兵士が負傷しただけで、死者は無し。
そして二人の孫策軍の武将が捕らわれた。
袁紹は考えた。
「董卓と美羽さんに協力するための対価として二人を渡したのではないか?」
勿論、孫策や周瑜はそんな事は思ってない。
王双に玉璽を渡された時に周瑜は即座に気付いたのだ。
「二人が捕らわれたのも、玉璽を渡されたのも全て王双の計算だった」
周瑜はしてやられたというような表情をしながら、玉璽を渡された時に孫権達に説明した。
「………これ以上話しても無駄のようね」
孫策は溜め息を吐いて立ち上がって、天幕を出ようとする。
「どこに行くんですのッ!? 話はまだ終わってませんわよッ!!」
袁紹が叫んだ時、兵士が天幕に入ってきた。
「報告しますッ!! シ水関から敵部隊がこちらに向かって進撃中ですッ!!……ですが……」
「……何かあるのかしら?」
曹操が兵士に聞いた。
「その………部隊の先頭にいるのは陛下だと思われるのです」
『ッ!?』
兵士の言葉に天幕にいた全員が驚いた。
後書き
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