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魔法少女リリカルなのは~"死の外科医"ユーノ・スクライア~

作者:DragonWill
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本編
  第五話

特務6課とは、脱獄犯であるジェイル・スカリエッティを再び逮捕するために、各方面から優秀なメンバーを引き抜いて再結成された部隊である。

そのため、当然、彼女たちはスカリエッティの専従捜査を主な仕事としているが、やはり、これだけの多大な戦力をたった一つの事件だけに費やし続けるわけにもいかない。なぜなら、事件とは毎日のように起こり得るものだからである。そのため、部隊再結成には、ある一つの条件が課せられていた。

それは・・・・・・・。

「ところでフェイトさん、今回の任務は一体何ですか?」
「第7管理世界『カルサッサ』を根城にしている巨大マフィアの壊滅が今回の任務だよ、エリオ」

スカリエッティに匹敵する重犯罪者、具体的には、億越えの懸賞金が掛けられた犯罪者を中心とした、捜査と検挙が特務6課のもう一つの仕事であり、部隊再結成の条件であった。

今回のマフィア壊滅任務は、彼女たちライトニング部隊が請け負っていた。ちなみに、スターズ部隊は別任務に就き、ロングアーチ部隊は両部隊を本部から支援している。

機動6課時代は一つの任務に対し、スターズとライトニングの両部隊が常に合同で当たっていたが、実動部隊の隊員が増えたことにより、特務6課では、両部隊が別々の任務に就くのが常で、合同で任務に当たることは、本当に大規模な事件のときだけである。

「カルカッサでも有数の巨大マフィア、アルベルトファミリー。ボスである、ジャック・アルベルトは懸賞金2億6000万の超大物で、罪状は密輸、違法薬物の製造や販売、人身売買、殺人、質量兵器の違法所持など、どれを取っても凶悪な重犯罪ばかりだよ」

目的地に向かうヘリの中で、隊員たちに今回の捜査対象について説明するフェイト。

「彼らは、その組織の規模の大きさから、迂闊に手が出せなかったんだけど、今の時期は、休暇で少数の精鋭だけを護衛に引き連れ、田舎の別荘にいることが判明したんだよ。そこで、休暇中で油断している彼らを急襲して、制圧するのが今回の任務。彼らに応援を呼ばれる前に、短期決戦で制圧するよ、みんな」

「「「「「了解(ッス)」」」」」

彼女たちを乗せたヘリが、山奥の別荘に向かって飛んでいく。

目的地到着まで、後30分。





一方、その頃。

「クァルトゥム、様子はどうだい?」
「ここから東に70km(キロ)ほどの地点より、管理局のヘリが接近中ですわ。あとだいたい30分もすれば、こちらに到着するでしょうね、トラファルガー」

特務6課の目的地では、トラファルガー・ローことユーノ・スクライアとクァルトゥムことクアットロが接近するヘリをモニターしていた。

「そうですか、ありがとうございます、クァルトゥム」
「・・・・・前から言おうと思ったましたけど」
「何ですか?」
「あなたは、仮にも、私たち『ハート海賊団』のリーダーなんですから、その馬鹿丁寧なへりくだった口調、どうにかなりませんの?」

そう、ユーノ・スクライアこそ、フェイトが追っているハート海賊団の船長である『トラファルガー・ロー』その人であり、1年半前の『スカリエッティ脱獄事件』の真犯人なのである。

「君たちは僕の部下ではなく、あくまで、同盟関係、対等な立場だよ。・・・・それに、この口調は昔からのもの、そう簡単には変えられないよ」
「・・・・もういいですわ。それで、これからどうなさいますの?」
「計画変更だよ。彼女たちが突撃してきたら、その混乱に乗じて、ジャックたちから『例の物』を奪うよ。テルティウムとセプティムスに彼女たちの足止めをするように伝えてくれ」

テルティウムことトーレとセプティムスことセッテに計画変更の旨を伝えるように指示する。

ちなみに、彼女たちの呼び名は、脱獄後にユーノがつけた新しいコードネームで、スカリエッティはイニシャルのJから『ジョーカー』、ウーノ、トーレ、クアットロ、セッテは元々の名前がイタリア語の『1』、『3』、『4』、『7』に起因することから、数字つながりで、ラテン語で同じような意味を持つ、『プリームス』、『テルティウム』、『クァルトゥム』、『セプティムス』となっている。

「分かりましたわ。ジャックたちにこのことは・・・」
「伝える必要はない。もう用済みだし、ここで舞台から退場してもらおう」
「そうですか。・・・・・でも、せっかくのパトロン(カモ)を失うのはもったいない気がしますわね」
「どの道、最後には壊滅させるつもりだった、それが少し早まっただけだよ」

JS事件以前のスカリエッティには、管理局と言う、巨大なパトロンが存在し、資金面で困ることはなかった。だが、脱獄後の彼には、パトロンなど存在しない。そこで、スカリエッティはその知名度を利用し、多くの犯罪組織に取り入って、資金を集め、その資金を元に新たなガジェット・ドローンを生み出していたのである。(ちなみに、ユーノの個人資産は、ハート海賊団の次元船の購入に充てられたため、ほとんど使い果たしてしまった)

このアルベルトファミリーもその一つであるのだが、ハート海賊団が彼らに近づいた理由はもう一つある。

それは、彼らが所持している、とある古代遺産(ロスト・ロギア)が、彼らの計画に必要不可欠だったからである。

本来の計画では、彼女たちナンバーズがガジェットと共に、騒動を起こし、その隙に、保管庫にある、古代遺産(ロスト・ロギア)を盗み出すはずだったが、管理局のヘリが近づいていることを知り、急遽、計画を変更したのである。

「『例の物』が彼女たちに先に確保さたら、めんどくさいことになるね。足止め役の二人には、絶対に死守するように伝えて欲しい。ただし、あくまで表向きは、『パトロンを守るため』と言うことで」
「分かりましたわ」

誰も知らぬ、舞台の裏側で計画は着々と進行する





30分後。

アルベルトファミリーの別荘である巨大な洋館の前に、特務6課が降りたった。

すでに、バリアジャケットも展開し終え、戦闘準備は完了している。

「それじゃあ、今回の任務はユウの初陣だから、特別に一度だけレールガンの使用を許可するよ」
「臆することはない、派手にノックしてやれ」
「はいッス!!」

フェイトとシグナムに進められ、ユウはポケットからコインを取り出し、構える。

そして・・・・・。

「レールガン・10g(グラム)弾!!」

ユウの手元から音速のコインが発射され、派手に洋館の門を吹き飛ばす。

「突入!!」
「「「「「了解(ッス)」」」」」

そして、アルベルトファミリーの別荘にライトニング部隊が突入する。

「管理局です!!アルベルトファミリーのみなさん、密輸、違法薬物の製造や販売、人身売買、殺人、質量兵器の違法所持などの容疑で逮捕状が出ています!!この建物は結界班が完全に封鎖しました!!おとなしく武器を捨て、投降するなら弁明の余地があります!!おとなしく投降してください!!」

フェイトがもはやお約束の口上を述べる。

だが、向こうもお約束通り、誰も投降することなく、武器を構え、臨戦態勢に入る。

大抵は、銃火器などの質量兵器だが、中にはデバイスを構えている人もいた。

「みんな、彼らは結界の外には逃げられないから、全員を相手にする必要はないよ、ボスの身柄の確保を最優先に!!」
「「「「「了解(ッス)」」」」」

彼女たちは向かってくるマフィアたちを迎撃しながら、ボスの部屋を目指す。

だが・・・・・・。

「っ!!ルーテシア!!」
「っ!!」

最初に事態に気づいたのはエリオだった。

どこからともなくガジェットが現れ、ルーテシアにレーザーを発射した。しかし、ルーテシアは間一髪のところでエリオにより救出されたのだ。

「・・・・・エリオ。・・・・・・ありがとう」
「どういたしまして」
「・・・早く下ろして。・・・恥ずかしい」

羞恥に頬を染め、エリオに懇願するルーテシア。

エリオは、彼女の背中とひざの裏を抱える体勢、いわゆる『お姫様だっこ』の状態だったのである。

「あっ、ゴ、ゴメン!!」

慌てて彼女を下ろそうとするエリオ。

しかし・・・・・。

「・・・・・フリード、ブラストファイア」
「きゅ、きゅるく?」

いつもより、もの凄くトーンの低いキャロの声が聞こえ、炎の塊がエリオに迫る。

「うわっ、ちょっと、ま、待って、どうしたのキャロ!?」

エリオは炎を避けながら、キャロに呼びかけるが・・・。

「エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者、エリオ君の浮気者・・・・・・・」

なんか、目の光をなくしながら、呪詛を呟くキャロ。

その呟きは、エリオには聞こえていないらしく、なぜキャロが怒っているか分からずに、首をかしげるエリオ。(ちなみに、鈍感なエリオは二人の好意に気づいておらず、キャロとルーテシアがエリオを巡って互いに牽制し合っているのが、今の実情である)

「・・・・・・・・・・・///」

そして、キャロの嫉妬による攻撃のため、ルーテシアを下ろす機会を失い、エリオの腕の中でルーテシアは今にも羞恥で気を失いそうだった。

「あんたたち!!ラブコメしてないで、とっとと手伝うッス!!」
「こ、これがラブコメに見えるの、ユウ!?」

そうエリオは叫ぶも、その反応を見たユウは、『何言ってんのコイツ?』と言った目でエリオを見る。

すると、キャロとルーテシアはギロッとユウの方を睨む。

二人とも、以前のシャワールーム事件のことを根に持っていた上に、エリオが最初は男の子だと思ってユウと接していたせいか、妙にエリオと仲がいいユウを警戒しているのだ。

だが、ユウは二人の視線を平然と受け流す。

「貴様ら何をやっている!!死にたくなければ、任務に集中しろ!!」

シグナムの恫喝で気を引き締め直す一同。

そう、問題なのは・・・・・。

「どうして、こんなところにガジェットが?」
「それは、このマフィアが私たちのパトロンだからですよ、フェイトお嬢様」
「「「「「「「っ!?」」」」」」」

聞き覚えのある声が響き、一同は驚愕に包まれる。

「久しぶりだな、チンクにお嬢」

紫のショートカットで長身の女性、トーレと。

「お久しぶりです、チンク、ルーテシア」

ピンク色のロングヘアーの女性、セッテだった。

「トーレ、セッテ・・・・なぜここに?」

チンクがスローイングナイフ『スティンガー』を構え、二人に聞く。

「今言ったろう、チンク。このファミリーは私たちのパトロンだ。以前は管理局がパトロンだったから資金面には困らなかったんだが、今はそういうわけにもいかん。だが、ドクターの知名度なら様々な犯罪組織がこぞってパトロンになってくれる。ここもその一つで、今回は彼らの休暇旅行に招待されていたというわけさ」
『その通りよ~、チンクちゃん』

空中にモニターが現れ、そこにクアットロが映し出される。

「なっ!?クアットロ!?まさか、ドクターもここに!?」
「いや、ドクターとウーノは別件の用事でここにはいない」

ドクターがいないことを知り、正体の分からない安堵感に包まれるチンク。

「さて、せっかくの休暇だがパトロンのピンチでは仕方がない。ここからは、私たちが相手をする」
「ここから先へは行かせない」
「「「「「「「っ!?」」」」」」」

トーレはインパルスブレードを、セッテはブーメランブレードを展開する。

それを受け、ライトニング部隊全員が臨戦態勢に入った。

かくして、次元海賊団『ハート海賊団』と特務6課の最初の戦いの火ぶたが切って落とされたのである。
 
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