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アイドルでも女の子

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第二章

「やっぱり太り過ぎはよくないですよね」
「アイドルにとってはね」
 こう美奈世に言う、バックミラーで彼女の顔を見ながら。
「確かに太めの娘もいるけれどね」
「注意しないと、ですよね」
「すぐに太るわよ」
 それこそ、というのだ。
「そこは気をつけてね」
「だから、ですよね」
「ケーキを食べてもね」
 それでもというのだ。
「その分動いてね」
「ケーキの糖分も控えめですね」
「美奈世ちゃん只でさえ甘いもの好きだから」
「女の子だからでしょうか」
「いやいや、女の子でも誰でもね」
 それこそ男でもだ。
「甘いものは好きよ」
「そうですか」
「そう、私も甘いもの好きだし」
「あれっ、マネージャーさんはお酒が」
「好きだけれどね」
 それでもだというのだ。
「甘いものも好きなのよ」
「それじゃあマネージャーさんもですね」
「ええ、太らない様に気をつけてるわ」
「そうなんですね」
「特に。美奈世ちゃんはね」
「アイドルだからですね」
「そう、スタイルは維持してね」
 それに気をつけてくれというのだ。
「あと学業もね」
「高校は卒業しないと、ですよね」
「駄目よ」
 最低限、というのだ。
「それはね」
「そうですか」
「美奈世ちゃんは別にいいって思ってる?」
「まあそう言われますと」
 そうだとだ、美奈世は妙子に答えた。
「そうです」
「それは駄目よ、大学とまでは言わないけれど」
「学歴はですか」
「まだ見られるからね」
 芸能界にいてもだ、学歴とは別のものが見られる社会でも。
「高校位は出てね」
「最低でもですね」
「そうしてね、芸能科だし楽な筈よ」
「わかりました」
「そういうことでね。あと明日はね」
「写真集の撮影ですね」
「初日よ」
 写真集撮影の、というのだ。
「体操服着るからね」
「学校以外でも体操服着るのって微妙ですよね」
「微妙でもそれが仕事よ」
 アイドルの、というのだ。
「だからね」
「学校以外でも体操服を着ても気にしない」
「それがアイドルの常だからね」
「わかりました」
「ましてや体操服って言ってもね」
 ここでこうも言う妙子だった、運転しつつバックミラーで美奈世を見ながら。
「下は半ズボンだから」
「ブルマじゃないから、ですね」
「いいわよ、美奈世ちゃんはブルマはいたことないでしょ」
「はい、そういうのは」
「私もだけれどね」
 妙子もブルマの世代ではない、それで彼女も着たことはないのだ。
「あれはかなり恥ずかしいから」
「水着よりも恥ずかしそうですよね」
 美奈世もよく水着になる、今度の写真集でも水着姿を撮影することがもう決まっている。本当にアイドルに水着は常だ。
「ブルマは」
「だからそれはね」
 ブルマ、それはというのだ。 
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