俺はやはり間違った選択をした
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独りでも問題ない、問題があるのはお前らだ
もし、時間を巻き戻せたり選択を変えられたら人生はうまくいくだろうか?
答えは否である.
それは特殊な能力を持った人間や選択肢を持った人間にのみ許されているだけであって、そもそも能力や選択肢を持たない人間には関係のないことだ。
コマンドが無いのにコマンドをゲームで作ろうとしているような物である。
選んだ選択が全てでやり直しはきかない上に選択肢は少ない。
そして失敗はいずれするだろう。
では、失敗しないためにはどうしたらいいかと考える。
だが実際失敗しない人間なんていないし、人はどんなことにしろミスをしたりするものだ。
そして失敗は自分の破滅に繋がる。
『失敗しても次頑張ればいい、誰もお前を責めたりしない』
それは間違いであり嘘だ。
人は誰かが失敗し自分より下なのだと思うと安心するし、表面上は取り繕って慰めたりするが心の中では馬鹿にする。
周りにも同意を求めようとそのことを広める。
それが仲のいい友達同士、『上辺だけの関係』ではたいして問題にはならないだろう。
ならそれがない者たちは?
大勢の前で笑い物にされ、陰であることないこと言われたり散々なものだ。
基本的にボッチに人権なんてものは無いのと同義だ。
そして彼らからしてみればおもしろいから、で済んでしまうのだろう。
だがこちらからしてみれば迷惑極まりない。
勝手に騒いで勝手にはしゃぐのは個人の自由だ。
しかし、こちらにまで被害が及ぶのではたまったものではない。
そしてやられている奴らは反論することさえできない。
なぜかって?
そういうのをだいたい最初に言い出すのはクラスや学年での有力者いわゆるスクールカーストでの上位にいる者たちだ。
それらに反対することは本当の意味での破滅を示している。
黙って時間が過ぎるのを待つ他ない。
そうだ、彼らからしてみればこれらのものはすべては日常を面白おかしくするためのスパイスでしかない。
だから世の中人は強調して騙し騙し、自分と周りをごまかしながらうまくやっているのだ。
彼らは彼らを中心に世界が回っていると思っている。
だが、それは違う。
俺の世界では俺一人しかいなくて、俺だけが中心だ。
決して彼らが介入してくることは許さないし入らせない。
結論を言おう。
リア充爆発しろ。
だが、こんなクソみたいな理不尽な世界でも中々面白いこともあるものだ。
俺はその一つである『魔法』という物を数年前に手にしていた。
☆☆☆
俺、羽武谷式は至って普通の中学生だ。
むしろ高スペックともいえるだろう、友達と彼女がいないのを除いて。
国語は学年2位、運動神経も悪いわけじゃない。
目は多少腐っているが容姿もまあまあだ(目が腐っているのは教師に言われた)。
さっきかっこよく魔法を手にしたなんて言ったがたいして役に立たない。
役に立つのなら俺はこうして机に突っ伏して寝たふりをする必要がないからだ。
どうして話す力を伸ばす的な魔法を作んなかったのだろう。
それとも魔法の世界にはボッチはいないとそう俺に言いたいんですかね。
俺に対する嫌味ですかね、それ。
そんなことを考えていると教室の後ろから華のある一際目立つグループの話し声が聞こえてくる。
女子4人、男子2人というようなハーレム状態だ。
彼らはこのクラス、いやこの学年での上位カーストグループだ。
「いやぁ、昨日出た宿題はほんま難しかったなーなのはちゃん」
「そうだね、でも1時間は悩みすぎだと思うよ」
そういって関西弁の女子に受け答えしているのは高町なのは。
整った顔立ちで栗色の長い髪をサイドポニーで綺麗に纏められている。
彼女は学年で人気のある女子5人の1人だ。
誰にでも優しく接するその態度と真面目さから男子、女子共に受けがいい。
一方、関西弁の女子はというと八神はやてという。
ショートの髪にピンをつけている。
以上説明終わり。
だって俺ああいう笑いをとったりボケたりするやつあんまり好きじゃないんだもん。
「たしかにそれは考えすぎだね」
相槌をうっている男子は香山隼人。
こちらもまた整った顔立ちに淡い茶髪でしかも運動神経抜群で実力テストでも学年3位といういわゆる秀才だ。
アイツはリア充でイケメンで俺の敵だ。
そして世界のボッチの敵でもある……たぶん。
長時間眺めていてあまりいい気分はしない。
「そうだぜ、俺に聞いてくれればすぐに教えてやったのに」
八神に苦笑いをされている銀髪のやつは聖 亜蘇羅。
顔は整っているが行動と言動に多少問題あり。
いわゆる中二病だ。
名前からしてそうだよな。
俺は何か蘇るんじゃないかとたまに聖を観察している。
その4人を周りから見ている2人の女子の内の1人、長い紫色の髪にカチューシャをしているのは月村すずか。
彼女もまた人気のある女子の1人だ。
そしてお嬢様らしい、俺もそこまで深くは知らない。
もう1人の金髪ショートはアリサ・バーニング?だったと思う。
名前からして燃え上がりそうな人だが実際クラス委員長をやっていることもありクラスのまとめ役的な立ち位置にいる。
そして彼女もお嬢様らしい。
まぁー話したことないししょうがないね!
バーニングさん!!月村さん!!
そして今ここにいない最後の1人を紹介しよう。
長く綺麗な金髪に巨乳それに加えスタイルもいい上に運動神経抜群のフェイト・T・ハラオウンである。
彼女が今日学校に来ていない理由はなんとなく想像がつく彼女たち高町・八神・ハラオウンそれに加え香山と聖は家庭の事情とやらで途中から登校したり午後から早退することがしばしばある。
今回もその類のものだろう。
これで人気のある女子についての説明は終わったなー。
あれー1人足りないなぁ……まあいいか。
とこんな感じな奴らがうちの学年の上位に君臨しているわけである。
☆☆☆
放課後。
それはボッチにとってある種の希望ともいえる。
今までの窮屈な空間から逃れ完璧なフリータイムになるわけであって完全に1人となれる。
だがそれを邪魔するものがあるそれは……
『帰りにクラスの奴らと一緒に帰る!』だ。
帰り道「〇〇〇~一緒に帰ろうぜ」っていうのがよくあるだろ。
それのクラスの全然話さない奴と帰り道が一緒になっちゃったパターンだ。
それはボッチにとってもきついものであることこの上ない。
まあいつもの俺であればHR終了後すぐさま学校を出ていくが今日はそういうわけにもいかない。
担任から職員室にくるよういわれているのだ。
いったい俺は何をしたという。
そんな不安と言い訳作りが頭の中でぐるぐるしているまま俺は職員室に向かった。
☆☆☆
職員室のドアを開けた瞬間コーヒーの匂いが漂ってくる。
これって職員室あるあるだよな、ちなみに俺のいた小学校の職員室もコーヒーの匂いだった。
それはさておき目当ての先生の座っているところまで歩いていく。
どうやら作業中のようで何か書き物をしている。
俺がほんの数メートル手前までくるとこちらに気付いたようで手を止めてこちらを向いた。
「ようやくきたか羽武谷」
いま俺の目の前にいるスーツに白衣を着ている長い黒髪の女性こそ俺のクラスの担任である糸井 静先生である。
彼女は生物の先生だがたまに現国や数学の授業に出てくることもある少々変わった先生だ。
「本当は来たくなかったんですがね」
「そういうことを言うものではないぞ、私の拳が炸裂する前にな」
「善処します」
俺は内心ひやひやしながら進路相談室に連れていかれる。
糸井先生は煙草をとりだして俺に一言、失礼するといって吸い始める。
生徒の目の前で煙草を吸うというのはあまりよくないと思うがあえて言うのはやめよう。
痛いのは嫌いだ。
「さて本題に入ろうか、君は確か部活動に所属していなかったな?」
「はい」
「……友人はいるのか?」
俺が友達いないことが前提で話が進んでいた。
「お、俺は友人に区別をつけたくないので親しい人間は作らないようにしてるんですよ!」
「つまりいないということだな?」
「……端的に言えば」
俺がそういうと糸井先生はたいそう嬉しそうにしている。
「そうか!やはりいないか!私の見立て通りだな、君の腐った魚のような目をみたらすぐにわかったぞ!」
目を見ただけでわかったのかよ、なら聞くなよ……傷つくから。
それに普通腐った魚ではなく死んだ魚じゃないんですかね、状態悪化してるだろこれ。
糸井先生はうんうんと自分で何かを納得している。
「では話が早い羽武谷、私の部活に入部しろ」
「……は、はぁ?!」
俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
「どうしたのかね?何か問題でも?」
「根本的な問題ですよ、俺はそもそも先生がどんな部活の顧問か知らないですし」
すると糸井先生はあ、そうだったと今頃になってそのことに気付く。
「部活名は相談補助部だ」
初めて聞くよそんな部活、ていうか部活じゃなくて雑用委託所になればいい。
「それ、部活として成立してますか?」
「ああ、これも部活の過程の一部だ。よし、ではいくぞ」
そういって糸井先生は俺の首根っこを掴んで部屋から引きずり出しそのまま引きずっていく。
「ちょ!?ちょっと待っ」
ゴツンと俺の頭に痛さを感じながら俺は気を失った。
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