戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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十六章 後編
作戦開始
「おう一真。逃げる算段はついたのか?」
「まさかここに踏みとどまって戦うーとか言ってんじゃないだろうなー?」
「黒鮫隊だけだったらそうしてるだろうが、お前たちを逃がさないといけない任務がある。それに生きてないと鬼を殺せないしな」
「一真もそうか。まあ状況をみればそうだろうな」
「生きてないと鬼を殺せないもんなー」
森一家も逃げることには賛成か。さすがの戦闘民族も先の事を考えているな。
「で、後ろの鬼はどうだった?」
「おお。全部刈ってやったぞ」
「へぇー。全部殺したのか」
「応よ。ざっくり七百ぐらいか?まぁ母とオレの二人だったら、ちょーっとだけ手こずったかもしれないけど、鹿のガキが結構、殺りやがるんだよ」
「へへー。お二人が強かったですから、綾那も負けじと頑張っただけです。ちょっと鬼どもを殺りすぎちゃったですけど。歌夜もたくさん頑張ってくれたですよ。へへー、やっぱり歌夜は強いです!」
「あ、私はその・・・・みんなの背中を守っていただけだから・・・・」
「いや、おめぇもなかなかやるぜ?森最狂のこのオレがおめぇの強さ、認めてやんよっ!」
「おい、わしと一真を差し置いて最狂たぁ、良い度胸じゃねーかガキぃ」
「さすがに一真は一番だと思っているけど、母にはもう負けねーよっ!」
「はっ、いっちょ前の口を聞きやがる。それを言うなら一真を倒してから言え。時間は稼げたか、一真?」
「ああ、稼げたな。生き残れる確率は上がったな、作戦に変更はなしだ」
「ふむ、また一真が殿か。まあ強さは知っているんだ、殿、任せたぞ。一真」
「任せろ、多くの仲間を逃がしてやるぜ。ははははっ!」
「ということで、ワシらは詩乃たちと一緒に行くぞ。ガキ」
と言って、桐琴と小夜叉は陣幕を出た。本来ならば、桐琴が犠牲になるはずだったんだけど。俺がこの中では最強であり最狂だからな。それにいざとなれば大爆撃をすればいいことだしな。年長者の力を見せてやるぜ。
「あのぉ~、んとぉ~・・・・殿さん~」
綾那しては珍しく、言いづらそうに葵に進言している。どうやら俺と一緒に残って殿をしたいだそうだ。そして俺を守りたいのだと。
「綾那はどうして、一真様をお守りしたいと思ったのかしら?」
葵はしずしずと問いかける。
「あの、ですね。その・・・・綾那はバカですから、なんて言って良いのか分からないんですけど・・・・綾那はですね、一真様はこの日の本にいらっしゃらないとダメな、凄い人だと思うですよ!如来様の生まれ替わりだって!きっと、この日の本に光を与えてくれる人だって!綾那はですね、ずーっとずーっとそう思ってたのです!だから綾那は一真様をお守りしたいのです!」
如来さまの生まれ替わり?それって転生って奴?俺は転生ではなく本物の神である。でも松平衆には本来の姿その1を見せていない。その2は見せたような気がするが。綾那は鼻息も荒くなっていたが、傍から聞いていると俺が弱いという風に聞こえるのは俺の間違いかな。でも俺は創造神であり、光を見せるならいつでも見せますよみたいだけど、今はやめておこう。本来の姿は、温存したほうがいいし。
「・・・・そう」
俺は黙ったままだったが、綾那の言葉を受け止めてから、葵がゆっくりと頷いた。
「・・・歌夜。綾那の面倒を見てあげてくれませんか?」
「え、ですが・・・・それでは葵様をお守りする者が」
「ああ、その点につきましては大丈夫です。こんなこともあろうかと、すでに葵様とは打ち合わせ済み。葵様の身辺は、この本多弥八郎の衆がお守り致しますので、お二人はどうぞご自由に」
「それは本当のことか?嘘ではあるまいな。しかもお前の衆では力はなさそうに見えるが」
「ご心配には及ばずですよ、一真様。悠季は槍上手ではありませんが、その知恵は誰よりも頼りになります。だからお二人は存分に、一真様を守り奉りなさい」
ふむ。嘘ではないらしいな。綾那は納得していないようだったが、歌夜が俺の護衛をするんだと。そして、俺たちは行ったあとだったが俺はフリをして、陣幕の中にいた。この女狐が余計なことを話さないのかとね。
「・・・・やれやれ。松平の家人だというのに、一真様一真様と姦しいですな、あの二人は」
「今はまだあの二人の力が必要です。好きにさせてあげましょう」
「・・・・殿は後々のことを考えておられる?」
「この日の本には武士が多すぎるのです。武士が多いから争いが起こる。鬼などという異形の者が蔓延るのも、武士が多すぎるのも。この日の本にとって益無きこと。争いを求める心など、この日の本に住む者に必要ありませんからね」
「御意。では私もそのように考えておきましょう」
「・・・おしゃべりが過ぎましたね。悠季、部隊の再編を行いなさい」
「はっ!」
ふむ。女狐が変な事言うかと思ったけど、武士が多すぎるのはしょうがないと思うがね。それに先のことなどは、俺たちは知っているしな。で、松平の陣幕から離れた俺はひよたちが先行に行くので黒鮫隊からも出した。
「では木下衆と黒鮫隊のみなさん、先行します」
「ひよ。木下衆の素早い陣構築こそ、この撤退戦の肝になります。黒鮫隊の皆さんも護衛を頼みます」
「うん!任せといて詩乃ちゃん!」
「お前ら、ひよたちの護衛を頼むぞ」
『了解!』
言って、ミラージュコロイドを作動させて透明になった。
「さてと、ひよたちが行ったから、今度は俺達の番だ。詩乃たち本隊も早めに準備しとけ」
「はい。一真様率いる黒鮫隊で鬼を迎え撃ちます。本隊は、黒鮫隊が撃ち漏らした鬼を倒します。あとひよたちの陣構築の時間を稼ぎます!皆、配置についてください!」
「レノックスたちは俺と一緒に重火器でやる。IS部隊は空から攻撃をしてくれ」
『はっ!』
『了解!』
といって俺たちは鬼が居るところに向かい、銃で撃った。たまに手榴弾で爆発させるけど、ビビらずに向かってくる鬼にはIS部隊によるビームの雨で死んでいった。
「一真様たちが鬼の足止めをしている間に、蒲生衆、八咫烏隊の鉄砲で横撃をする予定でしたが、この分だと出番がなさそうみたいですね。この音だと」
「そうですね。私たちがやろうとしてることを、一真様がやっているということは出来るだけ体力温存して逃げろということでしょうから」
「それにお兄ちゃんのお陰で玉薬はまだあるから、今のところは心配ないですよー」
「綾那たちもまだ出番はなさそうですが、出番があるまで待つです!」
と言ってる間に、鬼達は爆音でビビりだしていたけどね。で、俺たちは今のところ足止め役だから、撃っては待機して撃っては待機していた。鬼達も、一気に加速して近づこうとするが、IS部隊がいるから大丈夫と。今のところ大丈夫だから指示をしてから殿として休んでいた一葉の所に行った。
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