戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~
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十五章 幕間劇
軍議×情事の順番決め
無言で空を見上げると、そこに広がったのは一面の夜空。そしてこの辺りは、一面の静寂で、不自然なほどに静けさに包まれる。まるで嵐の前みたいな感じだが、俺が悪い方向に考えてもいけない。それを何とかするために俺たちが来た訳だからな。
「決戦は明日。ならば、この先の未来はどうなるかな。そこにいるのは誰かな?」
音がした茂みの中から現れたのは、見慣れた者だった。
「なんだ、ひよか。どうした?」
「はい。そろそろ軍議の時間です」
「もうそんな時間か」
ここまで来たら簡単な打ち合わせだけどね。自然と引き締まるけどな。で、名前を呼ばれたが何でもないと言われて、先に行ってると。いつもなら、呼びにきたら一緒に陣まで行くけど様子がおかしいな。で、陣に戻ってから軍議が始まった。手書きの絵図面に、詩乃の筆が滑らかに滑って行く。
「こちらの陣の配置と、敵の陣の予想配置は・・・・このようなものになります」
「・・・・・・」
「我々は久遠様の指示で後方からの遊撃支援。一真様の方針で、足利衆と後方の警戒に当たる事が中心になります」
「・・・・敵が後ろから来るんですか?」
「一真様にはその予感があるのです。理由は教えて頂けませんでしたが」
「ハニー。どうして教えてくれませんの?」
「悪い。まだ言えない」
梅ところは無言で?だったけど。余計な情報を入れると困惑するからな。
「・・・後ろからの攻撃はこの状況での奇襲としては定石ですし、一真様にも何かお考えがあるのだと思います。警戒するに越した事はないでしょう」
「そうですわね。後ろから、承知いたしましたわ」
「・・・・・」
「・・・・どうしたの?ひよ。さっきから黙って」
「な・・・なんでもないよ」
「でも、お顔が真っ赤なの」
「明日は大事な戦だ。体調悪いなら、今のうちに休め」
「い、いえ・・・大丈夫、です。その後ろって」
後ろ?何のことだろうか。そしたら梅ところは分かったかのように。後ろだなんてはしたないとか、何考えているとか。何だろうな。
「そ、それでは、次の話題を・・・・こほん。次は、相手の体位・・・・もとい、陣形の傾向の予測ですが。通常の流れから行けば、進入を防ぐために入り口で耐えるか、反撃するならこうして真っ直ぐ突き立ててくる流れになるかと思います」
「突き立てて・・・」
「ちょ・・・ころちゃん。何言ってるの」
「だ、だって・・・ひよがあんな事言うから・・・」
「定石だと、こちらは敵陣を抱きかかえるようにして・・・・」
「抱きかかえる・・・」
「梅ちゃん。どうかしたの?お顔、真っ赤なの」
「な・・・何でもありませんわ。ちょっと、この間のことを思い出して・・・」
「恐らくこの辺りで、激しい突き合い・・・・に・・・」
「は、激しい・・・・あぅぅ・・・」
「そうですね。くんずほぐれつの・・・」
何を考えているんだ、みんなは。あれか、俺のあれを考えているのか。だとしたら、アカンぞ。今は大切な軍議なのにな。俺が止めるにしても、まだ続きそうだし。
「・・・し、雫・・・ちょっと代わって頂けますか?」
「ふぁ・・・・っ!」
「詩乃、大丈夫か?」
やはり俺の考えは当たりなのか。ひよたち主要のメンツは皆顔を赤くしている。鞠は分からないからいいとしてこれは、イカンぞ。
「ご心配なく。明日の決戦の前に、少々気が昂ぶっているだけかと・・・」
「ならいいけど。体調は万全にしろよ」
「はい・・・」
詩乃と入れ替わりで、話を継いだのは雫。
「あぅぅ・・・。では次は、一真隊の順番・・・についてですが・・・」
さっきの敵陣の動きはあれでいいと思うが。俺達は後方だから、前の動きは参考にしなくていいか。
「では、私が・・・・一番槍を引き受けますわ」
「だ・・・だったら、私はその次に・・・!」
「はい?ひよが前?」
「あ・・・。だめ・・・ですか?」
「ダメも何もひよは後ろだろ?」
それに戦う事は得意じゃない子だし。
「後の方がいい・・・・ですか?でも、私・・・・」
「おいおい。いつもは後ろなんだからな。それに前線だったらころもいるだろう」
「わ・・・・私ですか・・・・?」
「だって、ころはいつも前だろう」
なんか話がかみ合っていないが、みんなどうしたんだ?
「ハニー。ひよさんがせっかく勇気を振り絞って先に立つとおっしゃっているのですから」
「そうですよ。一真様」
「じゃあ、ころは?」
「私は中頃の方が」
「中衛なら詩乃や雫がいるだろうに」
「ふぇぇっ!?」
「私は殿を務めたいと思っていたのですが」
「詩乃が殿?殿は俺だろ」
一番戦闘力がない詩乃が殿やっても意味ないし。
「ねえ、鞠は鞠はー!」
「鞠は俺の背中を守るために一緒にいてほしいのだが」
「え・・・・そういう流れなんですか・・・・?」
おいおい。そういう流れってなんだよ。
「おい。これは何の順番なんだ?」
「決まっていますわ」
「戦いが終わった後の、その・・・・」
「一真様に可愛がって頂く、順番を・・・・」
「このアホ共がぁーーーー!!!」
と言って、ハリセンを出して鞠以外の者をハリセンで叩いた。
「さっきから聞いていたら明日の戦ではなくなっているが、これは何だ?軍議ではないのか」
「す、すみません。そ、そのはずだったのですが・・・・」
「ひよさんが、その・・・・」
「あぅぅ・・・。私だって、最初は軍議のつもりだったのに・・・」
「そうだよ。ひよがあんな事言うから・・・・」
「しっかりしてくれよ。たく、これだからガキは変な事を考える」
「でしたら、心配なのは、一真様の方です」
「俺?」
「うん。鞠、今日の一真、きらいなの」
「鞠・・・・」
「今日の一真、なんだかずっと笑ってないの。鞠はね、笑ってる一真が好きなの」
「俺はな。いつだって笑っているということはない。はっきり言っておくが、俺はここにいるメンツの命を預かっているんだ。明日の戦のために笑う余裕なんかないわ!」
「ううん、笑っているの。鞠が長久手で初めて会った時も、長屋に連れてきてくれた時も、観音寺城に忍び込んだ時も、京で一葉ちゃんと二条を守った時だって、いつも笑っていたの」
とか言われると困るな。詩乃は美濃の飛騨勢と戦っていた時も笑っていたと言っていたが。今日一番しっかりしていないのは俺だそうだと梅が言った。だけど、黒鮫隊の仲間たちからは一番しっかりしてるのは俺だそうだけど。そりゃ、ここの歴史を知っているんだ。俺が思っていることを言うと混乱を招く。
「理由が話せないって、そんなに私たちが信用出来ませんの?私達は・・・その・・・。す・・・全てを許し合った仲ではありませんの」
「そうですよ。詩乃ちゃんと雫は分かっているみたいですし、定石なのも分かりますけど、根拠があるなら理由くらい教えて下さい」
「それは無理な話ですよ。ころさん」
俺が困っていたのか、沙紀が来てくれた。沙紀は俺に言ったあとに、俺はこの陣幕から出た。そして、陣幕から離れたところから地面を殴り地震並みに地面が揺れた。
「沙紀さんは知っているのですか?一真様の考えている事を」
「はい。それに私たちも知っています。隊長が話せないのも無理はありません。隊長は話してしまったら、また二の舞になってしまうのではないかと思っているからです」
「それって、天の知識ですか?」
「そうですね。知識というより歴史ですね。この先に起こることを、隊長は前にもこういう感じでありました。そして、仲間を失ってしまった過去があるのです。と、地面が揺れてますね。これは隊長の怒りと二度と起こらないようにと。それに先ほど隊長も言いましたが、あなたたちの命とこの先の未来を背負っているのです。それに知ったら目先の物が見えなくなり、疑心暗鬼になる可能性もあります」
「それが今の一真様というわけですか」
「隊長は後悔などしたくないのです。それにあなたたちを思って無駄な知識をつけないようにして来ました。おかしな知識に惑わされぬようにとの事です。それにですね、一度だけこういうことになり話して無駄な知識が外れたと思ったら、目の前にいた愛する者達を失ってしまったことがありましたので、どうか分かってほしいです」
私が言うと無言になってしまいましたか。仕方のないことですが、隊長にも色々あった訳です。
「十分ですわ。ハニーが言えない事があるのは、分かっていましたから。ですが、そのような悲しい過去を背負っていらしたのなら、聞くのは野暮なものですわ」
「ありがとうございます。隊長の代わりですが、何も聞かずに隊長に力を貸してください。そしたら、隊長はいつも通りに戻りますので」
「話、終わったか?沙紀」
俺が戻ってきたら、沙紀は頷いてから俺の拳を持って、回復のオーラを当ててくれた。そして、沙紀が黒鮫隊の陣営に戻ると皆は先ほどのような感じではなかった。
「さてと、軍議を続けるぞ」
「はい!私が一番槍で、二番目はひよさんでいいのですわね?」
「はい!」
「おい!まだ続くのかよ」
「こちらが大切に決まっておりますわ。ハニーが寝物語に、今日言えなかったお話を優しく語りかけて下さるのでしょう?」
「大切なわけがあるかーっ!そんなの後でええわ!」
俺が後ろから襲い掛かるイメージがあるとかでとか。完全にガールズトークかこれは。詩乃は激しいほうがいいとか言ってたが、既にやったろうに。そうではないと言ったら別の意味で、想像したのかみんながこそこそ話をし始めた。梅から始まってひよにころ、そして詩乃にまで行ったが。
「・・・・・一真様」
「呆れているが、一応聞くがなんだ?」
「確かに私は一真様に全てを捧げた身ではありますが・・・・。その・・・・ですね・・・」
「言っとくが、無理やりはしないぞ」
「そうですか・・・・」
というか、俺は普通にやっているのに、今更ですかって感じなのだが。それにお前たちとはもうやっただろうに。梅やひよところは何か知らんが。
「鞠、動物さんも好きなの」
「ああそうだな。ちゃんとした話をしよう」
「そうですね。ちゃんと手順を踏んで・・・・」
「手順と言えば・・・やはり、優しく口づけから・・・・」
「先に抱きしめるのではありませんの?」
「私は、最初は頭を撫でてもらうのが・・・・」
「あ、それいい・・・。私も好きかも」
「鞠も一真に頭撫でてもらうの好きなの。ほわってするのー!」
その後も話が進むので、俺は船に戻った。明日の戦のことは既にインプットしてあるなら俺を呼ぶな!ってな。この先とかいうが、すでに行為はしただろうに。それとも触手で襲って欲しいのか、あいつら。で、そのあと胸の大きさ順になるのではとなったら一斉に梅を見たんだと。あと、揉んだら大きくなるとか言ってたが、小さいだろうが大きいだろうが関係ないっつうの。あと勲功順とかだとか、だけど俺には決められないしな。あところは俺の子種が欲しいという大胆な発言をしたらしいが。あと詩乃の殿については、朝まで寝ようと魂胆だったとか。あと今夜についてだけど、駄目に決まっているだろう。で、まだ話が終わらないので船から戻ってみると。
「明日あるんだから、今日は駄目だろう?」
「わ!びっくりした。お頭、船に戻ったはずでは」
「話が長くなってるので止めにきた。というか、お前ら早く寝ろ」
「鞠も一真と一緒に寝たいの」
「明日の事もあるから勘弁してくれ」
「ですが、そうなる予測をしているということは、一真様も乗り気ということでは?」
「そりゃそうだろう。俺に思いを伝えてくれるのに答えないでどうするんだ?」
「でしたら、褥に忍び込むまで勝負は分かりませんわよ」
おいおい。今度は添い寝かよ。沙紀も来ているが、呆れているようだ。ちなみに沙紀は俺の妻の一人。
こいつらとは格上だしな。側室みたいなもんだし。そしたらひよところでの共同戦線をするようだ。そしたら今度は詩乃、梅、雫で組むんだと。古参の二人には勝てないからだと。梅と雫は新参だしな。詩乃は、三人で必殺の車懸りの陣をとかいってけど、それはなんだっけな。
車懸りの陣・・・・・上杉謙信が得意としたらしい、騎馬の機動力を最大限に利用した必殺の陣形のこと。創作という説もあるがそこはそれである。
「いい加減に、しろ!!!」
と言って、今度は強めに叩いてもう寝ろと言っておいた。
「ねえ一真。鞠もダメなのー?」
「今日は一人で寝てくれ。ということで、早く寝ろ!」
「そうしますか・・・・」
「でしたら、明日は皆、頑張りますわよ!」
「一真様のために、ですね!」
「分かったの!」
「では、その先を目指して、皆で戦い抜きましょう」
「おーっ!」
と言ったあとに、本当に軍議が終わったが、なんだったんだ。そのあと、俺は黒鮫隊の陣営に行き何が起こってもいいように準備と作戦会議を続けていた。あとは兵器の掃除とかをしてから、黒鮫隊の陣営で寝た。ちなみに添い寝は沙紀がしてくれたけどね。
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