旧エクリプス(ゼロの使い魔編)
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第29話 俺は使い魔
ブリミル暦6242年 フェオの月 フレイヤの週 ユルの曜日
皇紀2800年 4月 2日 トリステイン王国 トリステイン魔法学院
Side ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
中庭にて召喚の儀式が始まろうとしていた。中年の男性が現れた。大きな木の杖を持ち、真っ黒なローブに身を包んでいる。
彼はこのトリステイン魔法学院の教師のジャン・コルベールである。
「いよいよ今日は召喚の儀式であります。これは2年生に進級した君達の最初の試験でもあり、貴族として一生を共にする使い魔との神聖な出会いの日でもあります。」
コルベールは説明した。但し原作と異なり、火のスクウェアメイジであり、禿げ上がった頭部と眼鏡を掛けていない。毛生え薬と目の矯正手術を受け、老化防止薬により42歳の中年男には見えない。どう見ても30歳ぐらいに見える。
コルベールは生徒に指示して、順々に召喚魔法を行っていく。
「「バグベアーだ。」珍しい。」
一人の生徒がバグベアーを召喚して歓声が沸いた。バグベアーは浮遊する巨大な目の玉の幻獣で珍しのだ。
その後も次々と生徒が幻獣を召喚していく。
ギーシュ・ド・グラモンは小型の熊ほどの大きさのモグラのジャイアントモールを召喚した。
モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシはカエルを、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーはサラマンダー(火トカゲと呼ばれる四足歩行の幻獣。体色は赤で、頭を上げた高さがおよそキュルケの腰くらいまで、尻尾の先に灯った炎で生息地が特定できるらしく、最上級の火竜山脈のものらしい。)を召喚した。
「「おぉー。」」
今までで、最高の歓声が沸く。流石にトライアングルメイジが召喚しただけの事はある。サラマンダーはドラゴンに及ばないものの、他の幻獣よりは格が上であった。
次はタバサ(シャルロット・エレーヌ・オルレアン)の番だ。タバサは偽名である。ガリアの王族であることを隠して、留学していた。父のオルレアン公シャルルと母のオルレアン公夫人は、アメリカ大陸の新領土で総統府を預かっている為、ガリア国内に滅多に戻ってこれないのである。その為、双子の妹ジョゼットとトリステイン魔法学院に留学していた。
「我が名はシャルロット・エレーヌ・オルレアン。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、"使い魔"を召還せよ。」
名前の処は小声で誰にも聞かれない様にしていたが、周りは自分の召喚した使い魔に夢中な為、誰も聞いていない。
鏡の様な召喚ゲートが一際大きくなる。皆は驚き、コルベールは杖を構えて余念がない。
「きゅいー!」
大きな鳴き声と共に一匹の風竜の幼生が現れた。
「「「風竜!」」」
生徒達は驚き過ぎて、腰を抜かしている者もいた。コルベールは冷静に対応する。
タバサも至って冷静だった。
「我が名はシャルロット・エレーヌ・オルレアン。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」
タバサは風竜に近づき契約のキスをした。その間、コルベールは風竜と生徒の間に立ち、生徒に万が一の事がない様に取り図っていた。
「「「凄い!タバサちゃん。」」お姉ちゃん。」
ルイズと夢と双子の妹ジョゼットは、タバサに駆け寄り騒いでいる。
「凄いなぁ、流石はスクウェアだけの事はある。次はミス・ジョゼの番です。」
コルベールは冷静に対応するが、顔は少し高揚していた。
ジョゼ(ジョゼット・クリスティーヌ・オルレアン)も偽名であった。
「我が名はジョゼット・クリスティーヌ・オルレアン。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、"使い魔"を召還せよ。」
ジョゼットは虚無の予備的な存在で、普通には魔法を使えなかった。しかし光輝がハルケギニア式とミッドチルダ式の杖型のデバイスを送っており、デバイスの補助を借りて魔法が使える様になっていた。
召喚ゲートが開き、一匹の白い狼の様な物が現れた。
「ルリちゃん!」
ジョゼットは大きく叫ぶと白い狼に抱きついた。
ルリはジョゼが飼っているフェンリルの子供であった。光輝が親を亡くしたフェンリルの子供を誕生日にプレゼントしていたのだ。
「ジョゼちゃん、契約しないと。」
夢がアドバイスする。
「あっ、そうだった。我が名はジョゼット・クリスティーヌ・オルレアン。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」
契約が完了すると、額に宝石の様な赤い石が浮かび上がり光に包まれる。光が収まると、10歳ぐらいの一人の女の子がそこにいた。白い獣耳に白い尻尾が特徴だった。
ジョゼットが驚いていると、夢が近づき説明する。
「ミッドチルダ式の使い魔は動物を依代して、擬人化できるのよ。その女の子は間違いなくルリちゃんよ。」
「ルリちゃん・・・。」
ジョゼは疑心暗鬼ながらも女の子に声を掛けた。
声を掛けられた女の子は、尻尾を振りながら抱きついてきた。
「ジョゼちゃん。嬉しい!話ができるよ。」
ジョゼは理解した。この女の子はルリで間違いないと。
「わーい。ルリちゃんと話せるよ。」
ジョゼとルリはタバサの方に歩いて行った。
次は夢の番である。
「我が名は一条・夢。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、"使い魔"を召還せよ。」
召喚ゲートが開き、一匹の白く小さい竜が現れた。
夢は知っていた。お祖父様が保護している始祖竜の幼生ということを。
『汝が我を呼び出した者か?』
始祖竜は念話で話し掛けてきた。
『初めまして、夢・一条よ。』
『一条とな、もしかして光輝殿の親族か?』
『そうよ、光輝は私のお祖父様よ。』
『そうか、我が一族は光輝殿に助けられている。これも何かの縁かも知れぬ。そなたの使い魔になろう。』
「我が名は一条・夢。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」
契約が完了すると、額に宝石の様な赤い石が浮かび上がり光に包まれる。光が収まると、15歳ぐらいの一人の少年がいた。白い甲冑姿で竜の尻尾がある。
「凄い。夢ちゃんも竜を呼び出した。」
ルイズも自分のことの様に喜んでいる。
「おっほん。最後はミス・ラ・ヴァリエールの番だ。」
コルベールは咳払いをして、空気を変える。はしゃいでいたルイズも落ち着きを取り戻した。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、"使い魔"を召還せよ。」
召喚ゲートが開き、一人の男性が現れた。
その男性はルイズのよく知っている男性だった。
「「司お義理兄さん。」お兄ちゃん。」
ルイズと夢の声が重なった。現れた男性はカトレアの夫の弟であり、夢の兄の司・一条であった。
「ルイズちゃんと夢か・・・。そうすると此処はトリステイン魔法学院だな。使い魔召喚か・・・。」
司は周りを確認して瞬時に状況を把握した。
「司お兄ちゃんが呼ばれるとは思わなかったわ。」
夢が代表して答える。
「あぁ、俺もだ。」
「ルイズちゃん契約をしないと。」
「えぇでも・・。司お義理兄さんが使い魔で大丈夫ですか?」
「俺は大丈夫だ。」
司は屈むと目を閉じた。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」
ルイズは頬を赤めながら司にキスをした。
「グッグ・・。」
司(つかさ)は左手を押さえ、痛みに耐えている。
左手の甲には予想通り、ガンダールヴのルーンが浮き上がってきた。
「司お兄ちゃん、大丈夫。それと、はいこれ。お祖父様から預かっていたの、ルイズちゃんの使い魔に渡すようにと。」
夢は剣を形どったペンダントを渡す。
「デルフリンガーだな、インテリジェントデバイスにしてある。」
司はデルフリンガーのインテリジェントデバイスを首に掛けた。
Sideout
後書き
やっと原作開始です。
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