| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

入学編〈上〉
  ガイダンス(1)

「一真、昼までどうする?」

考え事をしていたら横から声をかけられたらレオだった。教室で食事をする、という習慣は今の中学・高校にはないそうだ。耐水・耐塵性が向上したとはいえ、情報端末は精密機械だ。昔で言うならパソコンルームに飲食物は禁止というのが例だ。俺は今何歳かは知らんが、今の姿は16歳で中身は23歳だ。だけど実年齢は不明。23から停まっている。食堂へ行くか、中庭か屋上や部室とかで適当に時間を潰すのもいいが。

「ここで資料でも見ているつもりだったが、付き合うぜ」

楽しそうに輝いていた目が、俺のセリフで落胆する。実に分かりやすい事だ。

「で、何を見に行くんだ?」

俺は中学行っていないから知らないけど、中学校まで、公立学校では魔法を教えないそうだ。学校関係者に聞いたこと何だが。魔法の素質を持つ子供には、公立の塾が放課後に魔法の基礎を手解きするそうだ。この段階だと魔法の優劣を評価せずに純粋に才能だけを伸ばし、魔法を生業とする道に進むだけの才能があるかどうか、本人と保護者に見極めさせる。一部の私立学校には課外活動の形で魔法教育を取り入れているところもあるらしいが、魔法を成績に反映させないという点は徹底されている。本格的な魔法教育は高校課程からであり、第一高校は魔法科高校中、最難開校に数えられているとはいえ、普通の中学校からの進学生も多い。魔法に関する専門課程にはそんな生徒たちが、見た事もないような授業もある。専門課程に馴染みの薄い新入生の戸惑いを少しでも緩和する為に、実際に行われている授業を見学する時間が今日と明日と設けられたと聞く。この学校を運営している責任者に聞いたことがある、零達也のときに視察を兼ねてここに来たことがあるからだ。その時は確か西暦2085年だった頃だった。

「工房に行ってみねえ?」

「闘技場じゃないのか?」

「やっぱそういう風に見えるか。間違いではないが」

この学校に合格したのだから知的能力の水準が低いはずがない。レオは活気が溢れているし、自己紹介時に将来は身体動かすことだと言っていたから俺はそう思ったが。精密機械をいじるより闘技場で暴れる方が好きなのでは?と思ったけど。脳量子波から蒼太も同感だと言っていた。

「硬化魔法は武器術との組み合わせで最大の効果を発揮するもんだからな。自分で使う武器をの手入れくらい、自分で出来るようになっときたいんだよ」

「なるほどな・・・・」

確かに武器の手入れをしないと武器が最大限の効果が発揮しない。前回の戦国時代でも武器を手入れしていた部下たちがいたし、刀や槍での戦後は血錆で使い物にならなくなる。レオの進路は警察官、それも機動隊員や山岳警備隊員だというから。希望通りとなれば使う武器は警棒や楯に手斧、山刀のような装備だ。それらを硬化魔法と相性は良い道具であり、硬化魔法は素材の性質を熟知しているかどうかで効果は違っている。レオは見た目よりはるかに自分の適性、進路を熟知しているようで。

「工作室の見学でしたら一緒に行きませんか?」

二人の話がまとまったところで、こちらに来た美月からのお誘いだった。

「柴田さんも工房の?」

「ええ・・・・私も魔工師志望ですから」

「あっ、分かる気がする」

美月の隣にいたエリカがそう言っていた。レオはわざとらしく顔を顰めたけど。

「オメーはどう見ても肉体労働派だろ。闘技場へ行けよ」

「あんたに言われたくないわよこの野生動物」

売り言葉に買い言葉。よくやる子供の喧嘩と大して変わらないな。

「二人とも今日会ったその日に喧嘩はよくないぞ」

この二人は相性がいいのでは思ったが、まだ口喧嘩をしていたので美月はエリカを無理やり行かせた。俺もレオを止めながら、手を引っ張って工房に行った。俺の後ろから護衛である蒼太もついて来たけど。工房に行ったあとに昼食となった。無論護衛である蒼太も一緒に食べる事になったし、予定では妹である深雪と護衛である沙紀も一緒に食べるので席を二人分空いている事に疑問を持つレオたち三人。

「工房見学楽しかったですね。ですが、なぜ蒼太さんの隣に二人分の席を確保しているのですか?」

「それ俺も気になった。護衛の蒼太さんならまだしもあと二人分の席を空けさせるのは誰待ちなんだ?」

「まあ工房は有意義な時間帯であった。妹と一緒に食べる約束をしていてね、妹の深雪と護衛の沙紀の分を空けさせたのさ」

「なるほどな。護衛付きということは、そういう意味でも一緒に食べられると思っての事か。それにしてもあんな細かい作業、俺に出来るかな?」

「妹さん思いなんだね一真君って。まあ護衛付きともなれば一科生が二科生と一緒に食べる事も出来ちゃうんでしょう。それにアンタには無理に決まってんでしょ」

「何を!」

とまた喧嘩し出したけど、まあ喧嘩するほど仲がいいと言うけどこれも死語なのかな?と考えているとこちらに来る気配が二つ。

「お兄様!お待たせしまってすいません」

「深雪か」

「あの人がお前の妹さん?あとその後ろが護衛の人か」

と深雪と一緒に沙紀も来たようだ。エリカの隣を二人分確保したのはそういうことで。

「はじめまして、織斑深雪と『織斑さん』うん?」

「もっと広いところに行こうよ」

「邪魔しちゃ悪いわよ」

「いえ、私はここで食べるとお兄様と約束してましたから」

と言ったら同じクラスメイトなのか、差別用語であるウィードを言い、一緒に食べるなんてやめるべきだと言った。そしたらエリカは少し苛ついたが。まあそのために護衛を付けたのだから。

「一科と二科はケジメ付けた方がいいよ」

「なんだと!『レオ落ち着けって』分かった」

「蒼太に沙紀、何とかしろ」

と言って沙紀は深雪をこちらの席に座るよう促してから、蒼太はこちらに来させない様に壁となった。

「あなたたちが一科であれど、我々の要人に対して失礼なのでは?」

「なんだと!いくらここが校内だからと言って、二科の生徒に護衛をついてる時点で役に立たないと思うけど!」

「ここが例え校内であろうとも、我々は護衛する身であり一真様は深雪様との約束をして食べるのですから。あなたたちにどうこう言われる筋合いはありません」

補欠の癖にと大きな声と共に銃声が聞こえた事に食堂は騒ぐ。銃声のもとは俺と蒼太による威嚇発砲だった。すぐに風紀委員の役員が来るが俺らの事を見ても見守るだけだった。それは俺らの事を要人扱いとして見ているからだ。そして俺は銃口を深雪のクラスメイトに向ける。

「なぜ俺らが威嚇射撃しても、風紀委員が手を出さないか知りたい?知るのなら風紀委員に聞けばいい事だ。ここは校内だからお前らはCADを使用してはいけない事になっているが、俺らには使用してもいいと学校側から許可をもらっている。騒ぎを大きくしないために、護衛の者に頼ったのだが。早くお前らが行かないと騒ぎが大きくなる。さっさと立ち去るがいい」

意味を知ったのか、周りを見ると二科生と風紀委員が主に睨んでいた。俺も二科生だが、同じ二科生でも俺は特別な者として見ている。まあ銃を撃っちまったからかなり目立つ行動をしてしまったが、まあいい。いずれ俺らの後ろ盾を言えばいくら一科でも文句はあるまい。立ち去れと言ったら一番前にいた男子から睨まれたが、銃をしまうまでそいつらが立ち去るのを見ていた。

「というわけで深雪よ。昼食を持ってきなさい」

「私が深雪様の分を取りに行きます。蒼太はあそこにいる風紀委員に説明を」

「分かっている。たく、これだから見下している者に対してこうなるんだ」

と言いながら、蒼太は風紀委員に説明をしに行った。そして説明を終えると、沙紀が戻ってきておりエリカの隣に深雪と沙紀が座った。俺は食いながら蒼太の帰りを待っていたけど。

「風紀委員に説明をして参りました」

「お帰り。何か言ってた?」

「いえ。ただ一科が二科の事を差別用語で呼ぶことに関しては申し訳ないと言っておりました」

「俺達は気にしていないからな、それよりレオ。売り言葉を買ってどうするつもりだったんだ?」

「スマン、ついカッとなってしまった。にしても一真の力は本物だな」

「そうそう。護衛付きって聞いたときは権利とか持っていない護衛の者だと思っていたけど、本物なんだね」

「蒼太と沙紀は俺達を護衛するためだが、俺は守られる側であり守る側でもあるからな」

と言いながら俺達は昼食を済ませたが、あの一科の男子たちには注意だな。あとで報復とかありそうだ。あとレオは俺が発砲した事によりやっと俺が蒼太と同じ装備をしている事に気付いたけど。まあ見せるだけだからなと言って特殊警棒や手錠とかを見せた。あと権利とかを持っていて相手が俺に暴力を振ったり校内で自衛権以外で魔法を使ったり、護衛の者が職質をして妨害をするのであれば公務執行妨害として逮捕する権利も持っていると言ったら本物だーとか言っていたな。クラスメイトが一緒であろうが先に約束をしていたのは俺だからな。

俺らは脳量子波で会話をしていたが予想通りとか、身勝手で傲慢な態度を取るのはあとで痛い目にあうなとか、レオとエリカは爆発しかけたから、ああいうことになったのさ。一科の生徒が二科と一緒に食べるのは自由であり、禁止行為ではない。一科生は二科生よりも、平均的に見れば魔法の成績が優秀であり、このような制度も相まって、一科生は二科生に対して差別を行うケースがあるとは聞いていた。あとは一科生と二科生の区別はあくまでも実技の授業の都合上、成績で分けているだけである。その二科生制度自体も、実際は初期の魔法科高校において、年度途中に追加募集された生徒を指導するための十分な数の教師を確保できなかったことから、苦肉の策として進級するまでは集中的に理論を教え、実技を二年生以降から教えるという枠組だった筈が、「補欠」だと誤解されたままになっているだけであり、この事を知っているのは極めて少ない。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧