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東方紅魔語り

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第一章 紅魔館
  Part5 充電

 
前書き
先程投稿して、また投稿しました私です。
文字数の少なさは投稿速度で誤魔化すしかありませんね。
余談ですが、この小説はここに投稿される前に『メモ帳に保存』→『コピーして小説家になろうへ』→『更にそれを切り取って暁へ投稿』という面倒くさい手順を踏まれております。
まあそんな事はどうでもいいですね。
では、今回もゆっくりしていって下さいね! 

 
 「マジ有難う御座います。貴女は俺の恩人ですよ」

 「たかだか忘れ物を届けに来たくらいで大袈裟な……」

 目の前にいる女性、十六夜 咲夜は少し引き気味にそう言った。
 咲夜がこの部屋へ入ってきた時には軽く『死』を覚悟したが、ただ忘れ物を届けに来てくれただけらしい。
 そして、俺からしたら大袈裟などでは無い。これが無ければ不安で仕方ないレベルだ。

 「一応、レミリアお嬢様の命令だから普通に接してるけど、もしお嬢様達に何かしたら覚悟なさい」

 そう言うと、咲夜はそそくさと部屋から出て行った。
 咲夜が居なくなった後、暫しの静寂が訪れる。

「……さて、早速充電するか!」

 バッグの中から充電器を出して、部屋の中を見渡す。
 後はコンセントを刺すだけでいいのだ。そう、後はコンセントを刺すだけで……。コンセントを……。

「刺す場所が無い……だと!?」

 まさかの展開。
 いくら充電器があろうと、コンセントを刺す場所が無ければ話にならない。
 どうしろと言うのだ。

 「おーい、部屋の中とかは大丈夫だった?」

 「ナイスタイミングお嬢様!」

 そこへタイミング良く、レミリアが部屋へ入ってきた。
 いきなり叫ばれたレミリアはビクッと肩を震わした。

 「な、何かしら?」

 レミリアは驚いた表情のまま訪ねてくる。

 「えーと、こういう物を刺す場所ってあります?」

 充電器のコンセント部分を指差しながら問う。
 レミリアはコンセントをまじまじと見た後、首を軽く横に振った。

 「残念だけれど、それを刺せそうな場所は無いわね。っていうか何なのそれ」

 希望はなくなった。
 目の前の首を傾げているレミリアへ事情を話してみる事にした。

 「それがですね……」




 「つまりは、その携帯?とやらが無くては、能力が使えないって事ね?」

 大人しく頷く。
 うーん、と唸りながらレミリアは口を開く。

 「……ねえ、その携帯ってのは、一体何を供給すれば動けるようになるの?」

 「電気ですけど」

 そう言うと、レミリアは少し考えるように顔を俯け、数秒後、顔を戻した。
 何か思い付いたのか、少しばかりの笑みを浮かべている。

 「よし、フランの場所に行くわよ」

 「え?」

 なぜフランなのだろうか?
 何かあったか?この状況を打破できるような何かが。
 確かフランの能力は『ありとあらゆるものを破壊する』というものだったから、恐らく能力関係では無い。
 一体何を……?

 「さあ付いてきなさい」

 問おうとも思ったが、素直に答えてくれるか分からないから(下手に言葉を発して不機嫌にでもしたら殺されそうだし)、黙って付いていく事にした。








 ジメジメとした階段を降り切った先の地下室に、その少女はいた。
 七色に輝く翼を動かしながら、その少女は人形で遊んでいる。

 「ねえフラン」

 姉・レミリアの声が聞こえた瞬間に、少女・フランドールは止まり、肩越しに此方を見た。

 「なに?お姉様」

 「フラン、レーヴァテインを出してくれる?」

 その言葉に少し首を傾げたフランだったが、やがて一枚のカードを取り出した。
 ふっ、とそのカードへフランが息を吹きかけると同時、突如として炎が吹き荒れた。
 カードから巻き起こった炎は、少しずつ剣のような形へと姿を変えていく。

 「んー、これくらいの出力でいーい?」

 「あんたにしては中々いいレベルよ。ほら、その機械貸しなさい」

 レミリアが此方へ手を伸ばして言ってくる。
 まさか燃やす気じゃないだろうな?と思いつつ、ゆっくりとした動きで充電器と携帯を取り出し、レミリアの掌へ置いた。
 レミリアは充電器のコンセント部分をレーヴァテインに近付け、少し目を細めた。

 瞬間、携帯の電源が付いた。
 充電が急速に回復していく。

 「え……は……え!?」

 何が起きたか分からなかった。
 レミリアはふー、と息をつくと、充電器を手渡してくる。

 「とりあえずはOKね。ただ、毎回こんな事する訳にもいかないし、何らかの方法を考えないとね」

 そう言うと、レミリアは背を向けて帰ろうとする。

 「ちょ、待って下さい!これ、どうやって……!?」

 「秘密」

 そう言い残し、今度こそレミリアは消えた。
 手元には、充電器と携帯が残っている。
 携帯を起動してみたが、どこにも不自由は無い。

 「ほい、と」

 背後から声が聞こえてくる。
 振り向いてみると、そこには炎の剣を消している途中のフランがいた。炎が完全に消滅した後、フランはカードを懐にしまった。
 ……一応、聞いておくことにしよう。

 「フランドールさん?今、レミリアさんは何を?」

 「んー?知ーらなーい」

 床に座り、足をバタつかせながらフランは口を開いた。その動作に悟りを開きかけたが、とりあえず抑えておく。
 ……因みに弁解すると、俺は決してロリコンではないので悪しからず。

 「ねーねー」

 フランは座ったまま床を足裏で蹴り、跳ね上がるように立ち上がった。

 「私さあ、暇なんだけど遊んでくれない?」

 「喜んで」

 今1番の顔で了承する。
 なに、『遊んで』という事は人形とかで遊ぶだけだろう。それだけなら問題ない。
 その了承の言葉を聞いたフランの表情は一気に明るくなり、嬉しさを体全体で表すように、空中をぴょんぴょんと飛び跳ねる。

 「やったー!じゃあ行くよ〜」

 ……行く?
 その言葉に疑問を持つ。次の瞬間、フランはカードを懐から取り出した。

 「……ふ、成る程、遊ぶっていうのはそういう事でしたか……」

 カードを上空に掲げ、高らかと宣言する。

 「禁弾『スターボウブレイク』」

 七色の球体が無数に飛び出し、それらは一気に上空へ登っていった。
 そして、時間経過と共に、その球体は此方目掛けて・・・いや、此方がいる空間を纏めて埋め尽くすように落下してくる。
 速度の速いもの、遅いもの、斜めに落下してくるものが絡み合いながら、逃げ場所をみるみるうちに奪っていく。
 そして当の俺は。

 「……ははっ、『耐久力を100に』」

 目の前が七色に染め上がった。






 「成る程、よほど死にたいのね、貴方」

 「返す言葉も見つかりません、ハイ」

 咲夜に包帯を体に巻かれながら言葉を返した。
 先の戦闘により、何発か攻撃を耐えたものの長くは保たず、気を失ってしまったのだ。

 「昨日は私、今日は妹様……、この分だと、明日はまた誰かとやる流れになるのかしら」

 「止めて下さい死んでしまいます」

 結構冗談抜きで死んでしまいそうだ。
 というより、ホントなんなんだ、あの攻撃……。

 「まあ、あの妹様から生還しただけでも幸運よ」

 そうだろうな、と心の中で納得する。ただの人間にあんな猛攻仕掛けてくるなんて、正気の沙汰じゃないぜ。
 ……まあ、俺のフランlikeは変わらんが。

 「さて、と。包帯も巻き終わったし、後は安静にしときなさい。2時間後、ロビーに集合ね」

 「ロビー?」

 俺が疑問の声を漏らすと、咲夜は館の見取り図のようなものを取り出し、それを手渡してきた。

 「ほら、これを見れば分かるでしょう」

 咲夜はそう言うと、部屋からサッサと出ていってしまった。忙しいのだろう。メイド長だった筈だし。
 とりあえず、手渡された見取り図に目を通してみる。
 見取り図には、館の中心近く、二階辺り、そこの部屋に『ロビー』と書かれていた。

 「よし、ここに向かえばいいのな……って、ん?」

 少し違和感を覚えた。
 えーと、この見取り図の二階中心付近にロビー。これは分かる。
 ただ、分からないことが一つ。
 ……すみません。俺、どの部屋にいるんでしょうか?

 もし見取り図を持っていたとしても、自分の部屋が分かっていなければ『何処から目的地を目指せばいいのか』が分からず、結局迷子になってしまう。

 「……寝るか」

 現実逃避をするために、ベッドへ潜り込んで目を瞑った。 
 

 
後書き
私が主人公なら一日目で死ねる自信がある(断言)
因みに、主人公は『霊力』『魔力』『妖力』などの事をしりません。
だから無力化出来ないんですね。ハイ。
では、次回もゆっくりしていってね! 
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