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ソードアート・オンライン ≪黒死病の叙事詩≫

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アイングラッド篇
第一層
  ソードアートの登竜門 その肆

 ピピピピピという機械的な初期のアラームが俺の頭の中で鳴り響く。
 時刻は午後四時。≪第一層フロアボス攻略会議≫の時間。俺とインディゴは既に集合場所の噴水広場の一角に並んで座っている。

 四十六人。

 それが俺たちを含め、今回の攻略会議に集ったプレイヤーの総数だった。

「……少ないな。随分」

 俺の呟きにインディゴは短く「そうね」と返しただけだった。
 とはいえインディゴとしても別にこの人数に無関心という訳ではあるまい。むしろ参加しない予定だった俺以上にこの人数については何かしら思っているはずだ。

 SAOでは一パーティーで六人、それを八つ束ねて、計四十八人のレイドパーティーまで作ることができる。キリトの話を参考にするなら理想形はレイドを二つ組んで交代制で戦うこと。しかし現状は四十六人。レイド一つの上限人数にすら二人ほど達していない。そう言われると勝率が低そうだけれどもキリトの推測と俺の見立ては異なっている。
 俺が否定の言葉によって前言を撤回しようと、喉を震わせるのよりも早くに、インディゴが声を発した。

「……でもレベル的には充分に勝率があると思うわ。見たところタンクとアタッカーのバランスはいい。リーダーの指揮能力次第でなんとかなるんじゃないかしら?」

 七時間ほど前に虹色の流動体を泣きながら食べていた時の弱弱しさは既になく、インディゴの名にふさわしいクールな態度を取っていた。

 まだ数時間しか話していないがインディゴの人物像はおおよそ掴めた。
 クールな外見と態度とは裏腹にその性格は『ゲーム熱心』だ。最初は見た目から富裕層出身じゃないのかとすら思っていたのだが、どうやらそういうわけでもなく、むしろ俺と似たような重度のゲーム中毒者(ジャンキー)だった。装備自慢やスキル考察、ロマン武器や経験値効率、武器ごとの利点やクエスト小話、とインディゴとは話しても話してもまったく話のネタが尽きない。これがアルゴなら既に一万コルは抜き取られていただろう。インディゴ本人の話によるとMMORPG歴二年、ゲーム歴なら五年とのことだ。

 確かにインディゴの言うとおり、集まっているプレイヤーの装備を見たところ、レベル十あたりの平均なのが分かる。俺としてはスキルスロットの関係上、平均レベル十二は欲しいところだと思う。しかしそれでも平均レベル十でこの人数なら十分に攻略は可能だろう。SAOも結局はゲームなのだ。理不尽すぎる設定はそうそうない。いや、あるとしても第一層の初ボスを、この人数と平均レベルで絶対にクリアできないという設定は有り得まい。
 それは茅場晶彦の望むところでは無いはずだ。そんな事態を彼は望まないだろう。
 俺は二人に続いている静寂を破る目的で、オウム返しの言葉を空に(ほう)った。

「リーダー、ねぇ」

 口に出して思い出す。そういえば確かに、インディゴの言葉の最後に『リーダー』という単語があった。
 顔を動かさずに視線だけで周囲を見回すが、リーダーらしきプレイヤーは未だ何処にも見当たらない。時刻は既に集合時間なのだが。

「まぁでも、リーダーは大丈夫だろう。なんせ命のかかるゲームで立候補するぐらいだからな。相当の自信があるに違いない」
「どうかしらね。もしかしたらただの目立ちたがり屋かもよ?」
「うーん……。例えばあそこのサボテン頭みたいな?」

俺は集団の前方にいるとりわけ奇妙な髪型の男を指差した。その髪型はまるで、サボテンというかモーニングスターというか。兎に角、珍妙な髪型だ。背は低いものの体格はいい。

「えっ? ……うわっすっごいキャラ居るわね。現実でもあんな髪型なのかしら? なんだかものすっごい嫌な予感がするわ」
「いやいや待て待て、髪といえば君だってそうだろ? 君の髪だって藍色じゃないか。確かにあのサボテン頭のほうが相当スゴイが君の髪の色はどうなんだ?」
「現実は流石に黒よ。これは髪染めアイテムを貰ったの。『自分は使う気はないしお洒落するなら女性だろう』みたいな感じに言われて」
「ふーん。そりゃ随分気前がいい。こういう時でも女性であることは利点なんだな。羨ましい」

 俺はしょうもない嘘が()けない性質(たち)なので声から自然と抑揚が奪われる。俺は女性に憧憬も偏見も抱いたことはない。
 しかしそれは俺だけではなく藍色のソードマンもそうだったらしい。ただ彼女は俺以上の男女平等主義者だった。

「でも私はそういうの好きじゃなくて。元々このゲームのアバターは男だったのよね。戦いやすいし、友達もできやすいし」
「ええ? マジかぁ。そこまでしたってのに災難だったな。ま、俺は男女差別とかしないジェントルマンだから安心しな」
「≪ジャェントルマン≫ねぇ……。スバルだったら≪ピエロ≫のほうが納得できるんだけど」
「……まぁピエロでもジェントルマンでも男女差別しないのは同じだから……」

 インディゴにピエロという単語を一言でも言った記憶はない。つまりインディゴにとって俺は本当に≪ピエロ≫という言葉が似合うらしい。嫌なシンクロシニティだ。

「それにその人は男女差別っていうよりも女性贔屓って感じだったわ。でもそれは男性から見たら不公平なのかもね。弱者の変わった男女差別?」
「べつに公平であることが素晴らしいことじゃないだろ? 俺達は資本主義者でMMOプレイヤーだぜ? むしろ公平は敵さ」
「……違いないわ。そうね。そういう考え方はいいわね。救われるわ。そういう考え方が浸透してくれたらもっといいのに」
「そうとも。だから俺が今回のボス攻略戦でレアドロップしても怨み妬みはなしで頼むよ。自慢はするけどよ」

 攻略にほとんど関係のない会話でだらだら時間つぶしにしていると、パンパンと手を叩く音とともによく通る美声が噴水広場に響いた。

「はーい! それじゃ、五分遅れだけどそろそろ始めさせてもらいます!みんな、もうちょっと前に……そこ、あと三歩こっち来ようか!」

 堂々とした、高校の生徒会長のような喋り主は長身の金属防具を装備した片手剣使いだった。彼のゲーマーにあるまじき整った顔の両側にはウェーブして流れる鮮やかな淡い青色に染められている。インディゴのような濃い青ではなくどちらかといえば薄い青、澄んだ日のうららかな青空のような色だ。

「あ、あの人髪染めの人よ。ディアベルっていう人」
「え? マジ?」

 その後の名乗りで彼が本当にディアベルという名前なのと職業は≪ナイト≫なのが判明した。まさか俺以外にも職業を名乗る人がいたとは驚きだ。少し嬉しい。
 というか、そんなことよりも。俺は気になったことを隣の席に尋ねた。

「髪染めてんじゃん」
「そうね。きっと余ってたから渡したんじゃないかしら?」
「なんだ、気前がいいって訳でもなかったんだ。しかもカイトシールド持ってるな。あれ君のと同じ奴だ」

 横目で隣を見ると、インディゴは僅かに顎を上げて視線を上空へ向けた。そういえば視線を上げる行為は何かを考えるポーズだ、と昔読んだ心理学の本に書いてあった気がする。

「あー。私がカイトシールド手に入れたときのパーティーにいたのよね、彼。多分そのあと取ったんでしょうね」

 MMOで価値のある情報というのは直ぐに伝播する。もしかしたら明日にでも此処に居る片手剣士は全員が青髪の片手剣士達と同じカイトシールドを持つんじゃないんだろうか。

 その後、ディアベルの話を聞いていて拾い取れた価値のある情報はひとつだけだった。ボス部屋がある最上階への階段を発見した、という情報だけ。
 しかし、ディアベルの言葉が与えたのは些細な情報だけではない。ディアベルの言葉にはできる限りの装飾がしてあり、この場にいるすべてのプレイヤーを奮い立たせる効果を持っていた。俺もまた彼の言葉に少なからず感動していた。

 然るべき反応のひとつとして賞賛の拍手をしようと思ったそのとき―――

「ちょお待ってんか、ナイトはん」

 サボテン頭の低い声が響いた。
 サボテン頭ことキバオウは、長々と、こちらもありったけの装飾をして憎憎しげに言葉を重ねる。それを短く要約するとなんと『元βテスターが情報吐かなかったから二千人死んだ。賠償しろ』との事だ。

 正直、失笑を隠せない。

 βテストの情報、というならアルゴの攻略本がある。≪筆記スキル≫を上げている訳ではないので詳しくはわからないが製作時間も考慮すると相当は早い。確かアルゴが事前に告知していたなら、もしかすると数人程度の死人は減っていた可能性があるかもしれないが、こんな私怨渦巻く世界でおいそれと自分の情報を出したくないのが普通だ。大体、情報がないのに行動したのは死んでいった奴ら自身だ。自分で考えて行動するなら自己責任だろう。こんなことは今時小学生だって知っている。

 第一、そういったβ時の情報というガセはいくつか流布していた。誰々が元βテスターだぞ、だとかβテスターは既に団結して情報を独占しているぞ、だとか。
 そういった情報は(ことごと)く間違いだったし、かくいう俺も何人かに『βテスターですか?』と聞かれたこともある。『始まりの街でイノシシを狩りながらのろのろレベル上げしている俺が元βテスターならβの情報なんてゴミじゃねーか!』そう言ってキレたらビギナーどもがとぼとぼ帰っていったのをよく覚えている。
 やはりクラゲのように主体性がない奴らに対して一番効果的な断り方はキレることだ。長く係わると後々面倒だしさっさと険悪な雰囲気を出すに限る、……いやいや、我流世渡りの方法は置いといて。
 つまり、ガセの多い≪βテストの情報≫なんぞ信憑性がない以上何の役にも立たない。むしろ騙されて死ぬ確率のほうが多そうだ。≪アルゴの攻略本≫のようなブランドのある情報源でない限り信用は決してできない。

 ここまでの有力で数多い反論材料が揃っている。

 しかし正論を持っていても、元来(がんらい)野次馬としての星を背負ってきている俺には主張を、しかも関西弁相手に、展開しようとは思わなかった。そういう役割はまだ他のプレイヤーにして欲しかった。しかし周囲を見れば、他のプレイヤーも皆押し黙っている。アルゴの情報でここまでやってきたのは俺だけではないだろうに。始まりの街で大量に流布したβのガセ情報を知っている人間は別に俺だけではないだろうに。

 仕方ない、と思い頭の中で展開する言葉をのろのろ選んでいるうちに、張りのある豊かなバリトンが広場に響いた。

「発言、いいか」

 発言主は、チョコレート色の巨漢だった。その背丈は身長に自信のある俺すらもはるかに越えている。百九十ぐらいだろうか。チョコレート色の肌に似合った堀の深い顔立ちやスキンヘッドが中々にマッチしている。日本人ではないのは確実だろう。経験から言えば、アフリカ系のアメリカ人。

 チョコレート色の巨漢――名前をエギル――は俺の言いたかったことを全て言ってくれたうえで俺の思考が至らなかった点まで補完してくれた。

 もし野次馬でピエロな俺がここでエギルと同じ反論を繰り出していたところでキバオウは言葉に詰まることはなかっただろう。根拠のない言いがかりで俺を悪者に仕立て上げていたかもしれない。エギルだからこそあの独善的な暴論を押さえ込むことができたのだ。見た目にステータスは反映されないとはいえ、その圧倒的存在感にキバオウもビビっているのだろう。

 キバオウが憎憎しげにエギルを睨み付ける。しかしキバオウは何も言えない。ここまで整った正論に対して感情的なキバオウが反論を繰り出せるわけがない。あとは往生際の悪いキバオウが敗北宣言をするのを待つだけだった。既に空は紫色だけどいつまでも待ったるわキバオウはん、と不器用な関西弁で思ったのだが。

 しかしキバオウが敗北宣言をする前に、キバオウにとっての助け舟が出た。その声の主はディアベルだった。

「キバオウさん、君の言うことも理解はできるよ。オレだって右も左も解らないフィールドを、何度も死にそうになりながらここまで辿り着いたわけだからさ。でも、そこのエギルさんの言うとおり、今は前を見るべき時だろ? 元ベータテスターだって……いや、元テスターだからこそ、その戦力はボス攻略に必要なものなんだ。彼らを排除して、結果攻略が失敗したら何の意味もないじゃないか」

 その言葉に聴衆の多くは深く頷いたりしている。しかし俺はディアベルの言葉に納得できないものがあった。いや、正しくはディアベルの言葉がもたらす効果に納得できないものがあった。自分の考えをインディゴに小声で、システム的には囁き(ウィスパー)で話しかける。

「……ここはさ、キバオウの独善的な論理を正攻法で徹底的に潰してしまったほうが良かったんじゃないか? この会議で二度と同じような議題がでないように判例をひとつ作っとくべき場面だと思うんだ。ここでのディアベルの言葉はキバオウに起死回生のチャンスを与えることになるぜ?」
「……ディアベルのあの言葉じゃ判例は作れないの? 十分効果ありそうだけど……」
「いや、あれは議論に説得を挟む行為っていうか……あの言葉だとエギルの言葉に納得じゃなくてディアベルの言葉に説得されるっていう撤退法が生まれちゃうんだよ。んで後々『あん時はディアベルはんに顔たてるために退いたけど今一度言わせてもらうで!』とかができる」
「……うーん難しいわね。もしかしてディアベルはボス攻略が成功したあとで決着つけるつもりなのかしら?」

そこまで話すとキバオウが俺の予想通りの反応をした。敗北宣言ではなく、撤退声明。

「…………ええわ、ここはあんさんに(したご)うといたる。でもな、ボス戦が終わったらキッチリ白黒つけさしてもらうで」

 そう言ってキバオウは前列に戻っていく。やはり、というかなんというか、ウィスパーでもう一度インディゴに話しかける。

「どうだ? 俺の予想通りだな。キバオウのやつ、話を引き伸ばすことに成功しやがった」
「……そうね」
「結局はディアベルも、ベータテスターが憎いのかね。いや詰まってた言葉がつい出たって捉えるほうが自然かな……」

 しばらくの時間、俺とインディゴには沈黙が続いた。俺はこの沈黙が会話の終了を意味するのかと思ったが、インディゴの声で推測は否定された。

「私、ディアベルはベータテスターを憎んでいないと思うよ。むしろ、このことについてはもっとキッチリ会議してハキリさせてベータテスターを救おうと思っていると、私は思う」
「……? 随分と肩を持つねぇ。まぁ俺よりも君のほうがディアベルには詳しいんだろうけどさ」

 そこまで言うとディアベルの声が広場に響いた。話を聞かれたのかと一瞬ドキリとしたが、内容はただの社交辞令のようなものだった。

「えっと、じゃあキバオウさん以外にも意見とか質問とかある人いるかな? と言っても戦術的なことはまだ何も分かんないんだけどさ」

 その言葉で、ふと聞きたいことを思いついた。ある種これは大事なことではないかと思い、手を挙げる。

「はい!そこの人、意見の前に一応名乗ってもらいたいな」

 俺はそれを受けて座った姿勢のまま言いたかったことを述べようとする。しかし中々度胸いるなコレ。慣れているとはいえ、俺の味方がインディゴぐらいしかいない今では皆の視線が痛い。

「俺の名前はスバル。意見というほどじゃないんだけど、できればこのレイドのサブリーダーをひとりだけ決めて欲しい。ディアベルさんとパーティーリーダーだけでもいいけど、もしもディアベルさんが統率できない状態……たとえば長い時間ウィスパーしかできないような状態になったりだとか、そういう時にパーティーリーダーで意見が別れたり責任の押し付け合いになったりするのを避けるためにも、もう一人責任のある役職持ちを決めてもらいたい」

 そこまで俺が言うと、ディアベルは考えるように自分の拳にアゴを置いてゆっくりと返答した。

「うん、確かに不測の事態にたいしてはどれだけ手を打っても足りないぐらいだよね。サブリーダーが必要なのは分かったよ。でもサブリーダーは誰がいいと思う? ここは立案者でもあるスバルさんが適任かな?」

 そう言って紫色の後光を受けたにこやかな笑顔でこちらを見る。しかしこれも社交辞令だろう。俺はあらかじめ用意しておいて言葉で返した。

「それはディアベルさんに決めてもらいたいな。なんだかんだ言ってディアベルさんの呼びかけでこれだけの人数が集まったんだからディアベルさんが信頼の置ける人をサブリーダーにしてもらったほうが、現段階では一番いいと思う」
「……うん、そうだね。そういってくれると嬉しいよ! でも、俺としてはやっぱり立候補者を優先したいな。だれか立候補者はいるかな?」

 ディアベルの張った声は薄暗くなってきたトールバーナの広場全域に届いたのだが、インディゴも含め誰も名乗りあげる者はいなかった。責任職には就きたくない、というのもあるだろうが俺の意見どおりディアベル寄りの人間がなったほうがいいと誰もが思っているのだろう。

 しばらくの間、ディアベルは名乗りを待っていたのだが立候補者がいないと分かると、すぐに切り替えて「じゃあこっちで決めとくよ!」と言い、最後にディアベルの士気を上げる効果を持つ言葉で今回の会議は終了した。

 今回決まったことと言えば、サブリーダーとベータテスターの対処の保留だけだった。ボスの情報が何もわからない以上、それは仕方のないことなのかもしれない。

「さて、これからどうする? 俺はもう寝ちゃおうかなって思うんだけど」

 そう言って俺は立ち上がり体をぐぐっと伸ばした。空は既に暗い紫色になっている。今日はただの顔合わせだったが随分と時間が経ったものだ。空の暗い色が増すたびに、トールバーナの広場に集ったプレイヤー達もまばらに帰っていく。ある者は門限の迫った子供みたく名残惜しそうに。ある者は放課後に喜ぶ少年のように。
 俺の問いにインディゴは、遊びの約束のような軽い感じで答えた。

「私は宿に帰るわ。でも明日(あす)、迷宮区に潜るつもりなんだけど、そうね、一緒にどうかしら?」
「おっいいね! んじゃフレンド登録しようぜ」

 一日にも満たない付き合いだったがインディゴとは話が合うことがわかった。できるならフレンド登録をしておきたいと思う。
 インディゴの返答よりもずっと早く、俺はインディゴにフレンド申請を送った。向こうはフレンド登録画面で承諾拒否できるのだからこちらとしては気兼ねなく送ることができる。
 インディゴは突然開いた小ウィンドウに少々驚いたように目を細め、口を開いて声を出した。

「ん……ありがと」

 少々気恥ずかしそうにインディゴはそれを承諾した。
 俺は座ったままのインディゴの正面に立って、立ち上がりやすいように手をさし伸ばす。

「これから長い付き合いになると思うけどよろしくな、インディゴ」
「長い付き合いかどうかはまだ判らないわ、よろしくねスバル」

俺はこの時初めてインディゴの笑顔を見た。街灯が点いた拍子につい零れたかのような彼女の笑顔にはドキリとするものがあったことをここに認めよう。
 
 

 
後書き
女性を魅力的に見せるのは難しいです。
インディゴの良さを理解してくれる人はいるんでしょうか。ここでその良さを語るのはなんか負けた気がするのでしませんが……。

あと今回の書き出しのアラーム音は参での設定してたアラームです。初めて伏線拾ったので前書きは書きませんでした。どうでもいいですね。すいません。

感想は随時募集しています。感想に書いてある貴重な意見は極力採用する予定です。また、ストーリーで不満なところがあれば教えてください。文章で気に入らないところがあれば教えてください。自分では気づかないことはままあるので。
ではまた。 
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