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ソードアート・オンライン-ゲーム嫌いの少女冒険譚-

作者:蓮木
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アインクラッド編
  パーティー編成と逆恨みのデュエル

 
前書き
今回は迷宮区へ行く直前までです。どうぞ、お楽しみください。 

 
エギルの商店を出た後、私とキリトとアスナはアスナのホームタウンである第六十一層〈セルムブルグ〉へと向かった。さっきまでいたアルゲードとは違い、高級感溢れる町なみが見れる。ここに家を持つ人達はある程度以上の金銭を持っていなくてはいけない。だからここに家を持つのは中々に難しいのだが、ここに家を持てる辺り流石は血盟騎士団の副団長様と言ったところか。

「さて、その〈ラグー・ラビットの肉〉どうしよっか?」

アスナの私邸に入り食卓に立つとメニューをどうしたら良いかを私とキリトに尋ねてきた。幾つか頭の中でメニューが思いついたが、今回はアスナに任せようと思った。どんなメニューが思いつくのか私も少し期待していた。

「じゃあ……シェフのオススメコースで。」

「俺も同じく。」

考えるのが面倒くさかったのかキリトも私の意見に賛成して全ての判断をシェフに任せることにした。任せられたアスナは暫く考え、今回のメニューを決めた。

「なら、シチューにしましょう。ラグーってフランス料理で煮込むと言うしね。」

そうしてアスナは台所に立ち、調理を始めた。SAOでの調理は大分簡略化されており、あまり付け加える要素などはほとんどなく、後は待つだけと言ったところだ。そうして出てきた豪華なシチューに私達三人は舌鼓を打つと、今のSAOの現状や明日の迷宮区探索にパーティーを一緒に組もうと決めて今日のところはお開きとなった。


そして、翌日。74層のゲート前で待機していると、明らかに困惑してゲート付近に登場したアスナ。明らかに迷惑そうにしている。確か昨日アスナの護衛だったような人だと思う。

「で、アスナ。この方は?」

「私はアスナ様の護衛のクラディールと言う者でございます。今回もアスナ様の護衛をさせていただくために参ったのですが……」

「だから私には必要ないって言ってるでしょ? クラディール。今日はキリト君とレミーちゃんと一緒だから護衛の必要はありません。」

何やら護衛の剣士とのやり取りで一悶着起こしているようだ。確か前にもいたから恐らくはあのクラディールがほぼストーカー染みて行動しているのだろう。ああいうタイプは自分が正しいことをやっていると思っているから余計に性質(たち)が悪い。アイドル的な人気を持つのなら仕方がないのかな……と思いつつ、私はアスナとクラディールとの間に入り、解決しようと行動した。

「ねぇ、クラディールさん。私と、決闘(デュエル)しましょうか?」



私が示した条件はこのパーティーで一番レベルの低い私とデュエルをして勝てたら私と入れ替わる、とのこと。これなら護衛としての役目を果たせるだろうし、実力を示せば向こうも引き下がるはず。そういう目的で私はデュエルを申し込んだが……

「見ていてくださいアスナ様! あんな小娘など一捻りにしてくれましょう!」

この言葉を聞いて、冷静だった頭は完全に吹っ切れた。最初はある程度戦ってから決めようと軽く八百長染みたことでもしようかと思ったが、そんなことは余計なようだ。少しでも早くこの目の前の男を倒すことが必要だ。

「倒れろぉぉぉ! 小娘ぇぇ!」

デュエル開始までのカウントダウンが終わりクラディールは両手剣を携えて突進してくる。こちらの武器は片手剣であるから、受け止めるのも難しい。筋力値が高ければ打ち合えたかもしれないが、生憎そこまで筋力値にパラメーターを振っていないためにそんなことは不可能だ。だから私は最初から受け止めることを捨てている。

「やっぱり、でかいだけで大振りな動きなのは仕方ないのかもね……せーの!」

「なっ……バカな!?」

クラディールの突進技をいとも簡単にいなし、両手剣の刀身の腹部分に全力で剣を当てた。その後、クラディールの両手剣はヒビが入り、真ん中から折れてしまった。システム外にあるらしいスキル〈武器破壊〉だった気がする。ぶっつけ本番だったが、成功して良かった。

「これで勝負は決まりましたね。さぁ、早く降参してください。」

渋々とクラディールは「アイリザイン」と呟き、デュエルの勝敗が決まった。その後、アスナから護衛任務の解除と謹慎命令が下った。こちらに逆恨みのセリフを吐きつつも、クラディールは転移した。これで迷宮区に出る準備は整ったので、ようやく74層の迷宮区へと向かうのであった。
 
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