ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~
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桐ヶ谷家からのスタート
「……ん」
俺は不意に目を覚ました。
見たことのない天井。見たことのない部屋。
俺ーーーーーーー天城来人は床から起き、頭を押さえる。
「ーーーーーーーってぇ」
ここは何処だろうか。辺りを見回すと、ベッドの上に女顔の奴が寝ている事に気が付く。和人だ。
そこで昨日の記憶を思い出す。
「……ああ。昨日、俺和人の家に泊まりに来たんだっけ」
俺は教師権限を悪用し、わざわさ近くの和人の家に泊まりに来ていた。その時、酒を飲んでその時の記憶が一時的に吹き飛んでいる。
「………妙なこと言ってねぇよな」
<大丈夫、僕がギリギリでどうにかしたから>
すると、頭の中にロードの声がする。
そう言えば、大会からずっと融合しっぱなしだった筈だ。忘れていた。
<あ、言っておくけど今日このまま行かないとリーファにバレるよ。二重人格やら何やら。真紅眼に薄赤髪。この状態でリーファーーーーーーー直葉ちゃんに見られちゃったから>
「……そりゃあ、今日は本大会あるから良いけどな」
俺は近くにある荷物を取ると、中から飲み物を取り出し、飲む。
<ねぇ、何それ。不味い>
「俺特製目覚めジュース。超濃い目のお茶。………でも不味い」
俺はそれの蓋を閉めると、和人をそのボトルで叩き、下に降りた。
「あ、先生。おはようございます」
「先生か……」
下のリビングに行くと、直葉がご飯の支度をしていた。
「多分、前の家庭訪問でも言ったけど来人で良いよ」
「えっと……一応年上ですから……」
「って言っても年齢的には和人達とほぼ一緒だよ」
俺はそう言うと、また特製目覚めジュースを飲む。やはり不味い。
「あ、そう言えばお兄ちゃん起きてます?」
「いや、永眠した」
少なくとも数時間は起きてこない筈だ。多分。
「……それ、永眠じゃなくて気絶させたんじゃ」
「気にするな。あいつは俺のいじられ要員だから」
「誰がいじられ要員だ!!」
すると、後ろから和人がドロップキックを敢行してくる。その勇気と行動には敬意を表するが………
「和人、いつも言うが、SAO時代トップツーの俺に不意討ちを仕掛けたいならもう少し頭を使え」
俺はそれを片手で床に落とす。
「いってて……」
「甘いな。剣道でもやったらどうだ?直葉の様に」
「……これでもお兄ちゃん、昔は剣道やってたんです」
直葉の言葉も空しく、和人はその場で挫折した。
和人が挫折から回復したあと、俺達はご飯を食べていた。朝食はピラフ。実に美味しい。
すると、突然直葉が笑い顔をし出す。
そして、俺は嫌な予感がすると悟った。
「そう言えばおにーちゃんっ」
ほら来た。俺の勘はほぼフラグ建築してしまう。誰かフラグブレイカー居ないのか。……いや、ダークがそうだったな。
すると、和人は口に運びかけたプチトマトをピタリと静止させ、訊ねた。
「と………突然何だよ、スグ?」
すると、直葉は隣の椅子から取り上げた物を見て、言う。
「あのね、今朝、ネットでこんな記事見付けたんだけどね?」
と共に俺達の鼻先に突き付けられたのは、A4版のプリントアウトだった。国内最大級のVEMMOゲームの情報サイト、<MMOトゥモロー>略してMトモのニュースコーナーのハードコピーらしい。
太字のヘッドラインには、【ガンゲイル・オンラインの最強者決定バトルロイヤル、第三回<バレット・オブ・バレッツ>本大会出場プレイヤー三十名決まる】とある。
その下に短めのリード文と、全出場者名のリスト。
直葉の人差し指の先に【Fブロック一位:Kirito(初)】と書かれていた。
それを見ると、和人が無駄な抵抗しない様に、口を開く。
「リーファ、察しの通り、そいつはキリトだ」
「え、おい来人!?」
「さんをつけろ」
ボトルでキリトの顔を叩くと、続ける。
「因みに、その上のライトロードって居るだろ?」
「え、うん。それが何?」
直葉が指を【Dブロック一位:Raitorod(初)】に動かす。
「それ俺。コンバートキャラ」
「え、ええ!?」
すると、リーファが叫ぶ。と、言うことはフレンドリストで解っていたと言うことか。そう毎日見るものでもないだろ。
「まぁ、この土日が終わったら俺達はそっちに戻るよ。キリトは再コンバートし直すし、俺もスプリガンで戻るからさ」
事実、あのコンバートキャラはSAOALOで使った初期のデータだ。システムでステータス自体は戻したものの、あの世界にはもう必要の無い。だからコンバートキャラとして、GGOにコンバートさせた。今はスプリガンを使っている。
「どうせ、用心深いリーファの事だ。アスナにも電話で聞いただろ?」
「う、うん……」
「なら、アスナの言葉を信じろよ。俺もキリトも、一暴れしたらすぐ戻るよ。大丈夫、こいつの責任は俺が取るからさ」
「うん……」
すると、リーファはまた顔を上げて言う。
「ね………、危ない事は、何も無いんだよね………?嫌だよ、また何処か遠くに行ったりしたら……」
「……行かないよ」
キリトがハッキリと言う。
「約束する。今夜の、GGOの大会が終わったら、ちゃんと戻ってくるよ。ALOと……この家に」
「………うん」
………あー、胸焼けする。この兄妹愛。どうにかなりませんかね。俺が主に辛いんだが。
<ライト、今こそあの不味いお茶>
ああ、成る程。苦さで甘さを中和か。
………って、中和出来るかい!!
俺はロードにつっこむと、そこに直葉が言う。
「そー言えば、お兄ちゃん」
「………ん?」
「アスナさんから聞いたんだけど、今回の<お仕事>、何かすっごいバイト料出るんだってねー?」
「うっ」
そう言えば和人、お前今回のバイト料で最新スペックPCの仕様一覧作ってたな。
「お、おう、何でもオゴってやるから楽しみにしとけよ」
「やった!あのね、あたし、前から欲しかったナノカーボン竹刀があるんだ」
すると、和人が俺の方を向いた。………仕方無い、俺も割り勘で一連托生と行きますかね。
と、そこにメールが来る。
「あ、わり。メール」
俺は素早くメールを見ようとすると、ストレアが感情の無い顔で出てくる。
「あの、ストレアサン?どうしたんですか?」
思わずそれに敬語で話しかける俺にストレアは言う。
『………マスター、貴方一度死んだら如何ですか?』
すると、ストレアはメールを画面に押し付けて何処かに行ってしまった。
俺は呆れてメールを開くと、その差出人は新羅だった。内容はこうだ。
Re:新羅
本文:来人君、何でコンバートしてるのかな?Mストの見たよ?……しかも、私との約束をすっぽかしてゲーム?そんなに私よりゲームが良いかこの大馬鹿教師!!ばーかばーか!!
私の事なんてどーでも良いんでしょう?だったらゲームでも何でもしてろ!!\(`_´#)/
……そう言えば説明するの忘れてた。
道理でストレアも怒ってる筈だ。………後で何かしないといけないな。
俺は盛大な溜め息を付き、ピラフを食べながら返信を返し、三時までGGOの中で狩りでもしていよう。この心の痛みをModにぶつけて解消すればいい。
<……ライト、自業自とk>
黙れ、出てくんな。
俺はロードを押し退けて、ご飯の続きを始めた。
後書き
ストレアさん、新羅さんお怒りの回でした。
ストレア「死んだらいいんです、あの人」
仮にもマスターだろ。
新羅「私より仕事優先な彼氏なんて嫌い」
感情のない顔で言われると怖いし、仮にも彼氏でしょうに。
ストレア&新羅「謝っても絶対許さない」
おおう………。
では次回、バレット・オブ・バレッツ開幕前。お楽しみに!!
あ、アンケート募集中です。詳しくは呟きで!!
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