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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第十二幕その七

「慣れるとね」
「美味しいね、あのお茶は」
「本当にね、僕も最近よく飲むよ」
「三時にかしら」
「三時にも飲むね、それでティーセットもね」
「日本のお菓子になってるのね」
「ははは、そうなんだよ」
 先生はサラに笑顔でお話しました。
「いや、こっちも中々いいね」
「兄さんどんどん日本人になってきてるわね」
「そうだね、この国は凄くいい国だよ」
「兄さんに合ってるみたいね」
「というか僕が日本に受け入れてもらってるのかな」
「懐の広い国でもあるのね、日本は」 
「そうだよ、この国は本当に凄いよ」
 先生はサラに日本のそうした一面もお話するのでした、そうしてこの日は二人でお茶を楽しみました、それから数日後。
 今度は王子とトミーがでした、先生の研究室に着て言うのでした。
「先生、何かね」
「松山が大騒ぎになってますよ」
「先生がこの前に行った場所だけれど」
「あそこが」
「大騒ぎ?何かあったのかな」
 先生は丁渡講義の後で休憩しているところでした、そこで玄米茶を飲もうとしたところで二人が来て言ってきたのです。
「地震とかじゃないよね」
「ああ、そういうのじゃないから」
「災害の話じゃないよ」
 二人はそうした不吉なことではないと断りました。
「どっちかっていうといいお話だから」
「そうしたお話だよ」
「いいお話?何かな」
「カワウソだよ」
 王子が言ってきました。
「松山の川で野生のカワウソが見付かったんだ」
「それも何匹もね」
 トミーも先生にお話します。
「目撃されたんだよ」
「絶滅したんじゃないかって思われてたけれど」
「野生のカワウソ達が何匹も泳いでいてね」
「写真にも動画にも撮られたんだよ」
「あっ、カワウソさん達だね」
 先生も言われてわかりました、それではっとしたお顔になって言うのでした。
「あの人達が」
「凄いよね、日本でカワウソが目撃されなくなってかなり経つんだよ」
「それが出て来たんだよ」
「これって凄いよ」
「本当にね」
「そうだったね、あのカワウソさん達が日本に移住してくれたから」
 先生はここで完全に気付きました、それで言うのでした。
「そうなるね、当然として」
「?当然って」
「先生どうかしたの?」
「いや、何でもないよ」
 このことは言わない先生でした。
「別にね」
「とにかく。日本にはまだ野生のカワウソがいたんだ」
「それも何匹もね」
「それで松山が大騒ぎになってるんだ」
「他にもいるんじゃないかってね」
「いるよ」
 先生は笑顔で二人に答えました。
「もっとね」
「そうだよね、まだね」
「一杯いるよね」
 二人も先生に笑顔で応えます。
「いや、本当にね」
「凄いことになってますよ」
「あとトミー」 
 ここで王子はトミーに言いました。
「今喋り方がね」
「あっ、先生に対して」
「いつもより砕けてるね」
「そうなってたね」
「それだけ興奮してるのかな」
「ちょっとね」
 トミー自身もです、王子にこう答えました。
「あんまり凄いことだからね」
「我を忘れてだね」
「そうなっていたかも、すいません」
「いやいや、いいよ」
 先生はトミーの謝罪に笑顔で応えていいとしました。 
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