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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜常識を謳うチートな彼も来たようですよ?〜 【更新停止】

作者:如月 和
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白夜叉との遭遇

 
前書き
ガルドを倒すまで香夜くんは口調や思考が荒れる、もしくは、怖い感じになります。
その理由は、自分のスイッチを盛大に押したガルドのせいです。
スイッチは自分よりも力のない人や動物、友達を害されることです。
ガルドはそのうち、二つを破ったのでそれだけ切れています
 

 
あの(ガルド)と別れた後で日がくれた頃に僕たちは黒ウサギと十六夜と合流したが、

「な、なんであの短時間に"フォレス・ガロ"のリーダーと接触してしかも喧嘩を売る状況になったのですか!?」「しかもゲームの日取りは明日!?」「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」「準備している時間もお金もありません!」「一体どういう心算(つもり)があってのことです!」 「聞いているのですか四人とも‼︎」
「「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」していません」

「だまらっしゃい!!そして、香夜さんは反省してください!」

反省していないといった僕はハリセンで叩かれた。

……痛い…

それをニヤニヤと笑って見ていた十六夜が口を挟む。

「別にいいじゃねえか。見境なく選んで喧嘩(けんか)を売ったわけじゃないんだから許してやれよ」
「十六夜さんは面白ければなんでもいいと思ってるかもしれませんけど、このゲームで得られるのは自己満足だけなんですよ?この"契約書類(ギアスロール)"を見てください」

黒ウサギの見せた"契約書類(ギアスロール)"は主催者権限(ホストマスター)"を持たない者たちが"主催者"となってゲームを開催する時に必要なギフト…らしい。
そこには、ゲーム内容・ルール・チップ・賞品が書かれており"主催者"のコミュニティのリーダーが署名することで成立する。今回、僕たちの『ギフトゲーム』の賞品の内容はこれだ。

「"参加者(プレイヤー)が勝利した場合、主催者(ホスト)は参加者の言及(げんきゅう)する全ての罪を認め、箱庭の法の下で正しい裁きを受けた後、コミュニティを解散する"ーーーまあ、確かに自己満足だ。時間をかければ立証できるものを、わざわざ取り逃がすチャンスを背負ってまで短縮させるんだからな」

ちなみに僕たちのチップは"罪を黙認する"と言うことだ。それは今回に限ったことではなく、これ以降もずっと口を閉ざし続けると言う意味だ。

「でも時間をかければ、彼らの罪は必ず暴かれます。だって肝心(かんじん)の子供達は………その、」

だって、人質として連れて来た女子供を殺して、なおかつ食ったもんね。ギフトゲームを強制させて人質を殺した屑にそんな時間をかけたくないからね。

「そう。人質はすでにこの世にはいないよ。そして、時間をかければ必ず証拠は出てくるけどあの屑にはそんなに時間をかけずに裁きたいからね」
「それにね、黒ウサギ。私は道徳云々(云々)よりも、あの外道が私の行動範囲ないで野放しにされることが許せないの。ここで逃がせば、いつかまた狙ってくるに決まってるもの」
「ま、まあ……逃がせば厄介かもしれませんけど」
「僕もガルドを逃がしたくないと思っている。彼のような悪人は野放しにしちゃいけない」

ジンも同調する姿勢を見せ、黒ウサギも諦めたように頷いた。

「はぁ〜………仕方が無い人たちです。まあいいデス。腹立たしいのは黒ウサギも同じですし。"フォレス・ガロ"程度なら十六夜さんが一人いれば楽勝でしょう」

それは困る。あの屑は僕が処刑したい。

そう思っていると、十六夜と飛鳥さんが怪訝(けげん)な顔をして

「なに言ってんだよ。俺は参加しねえよ?」
「当たり前よ。貴方なんて参加させないわ」

フン、と二人が鼻を鳴らすと黒ウサギが慌てて食ってかかった。

「だ、駄目ですよ!御二人はコミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しないと」
「そう言うことじゃねえよ黒ウサギ」

十六夜が真剣な顔で黒ウサギを右手で制した。

「いいか?この喧嘩は、コイツらが売った。そしてヤツらが買った。なのに俺が手を出すのは無粋(ぶすい)だって言ってるんだよ」
「あら、わかっているじゃない」
「………。ああもう、好きにしてください」

黒ウサギは諦めたように言い返さなかった。

ん、これであいつは僕達が処刑できる。被ったストレスは相手に返さないとね。

◆■◆■◆

コホンと咳払いをした黒ウサギは横にあった何かの苗を大事そうに持ち上げて全員に切り出した。

「そろそろ行きましょうか。本当は皆さんを歓迎する為に素敵なお店を予約して色々とセッティングしていたのですけども……不慮(ふりょ)の事故続きで、今日はお流れとなってしまいました。また後日、きちんと歓迎を」
「いいわよ、無理しなくて。私たちのコミュニティって崖っぷちなんでしょう?」

驚いた黒ウサギはジンの方を見やると自分たちの事情を知られたのだと悟る。ウサ耳まで赤くした黒ウサギは恥ずかしそうに顔を下げた。

「も、申し訳ございません。皆さんを騙すのは気が引けたのですが……黒ウサギ達も必死だったのです」
「もういいわ。私は組織の水準なんてどうでもよかったもの。春日部さんと香夜くんはどう?」

黒ウサギが恐る恐る耀の顔を窺うと、耀は無関心なまでに首を振った。

「私も怒ってない。そもそもコミュニティがどうの、と言うのはべつにどうでも………あ、けど」

耀が思い出したかのように迷いながら呟くとジンはテーブルに身を乗り出して聞いた。

「どうぞ気兼ねなく聞いてください。僕らにできるなら最低限の用意はさせてもらいます」
「そ、そんな大それたものじゃないよ。ただ私は……毎日三食お風呂付きの寝床があればいいな、と思っただけだから」

耀のお願いを聞いて、ジンの表情が固まった。それを見て耀が慌てて取り消そうとしたが、先に黒ウサギが嬉々とした顔で手に持った苗を持ち上げた。

「それなら大丈夫です!十六夜さんがこんな大きな水樹の苗を手に入れてくれましたから!これで水を買う必要も無くなりますし、水路を復活させることもできます♪」

一転して明るい表情に変わった。これには僕も飛鳥も安心したような顔を浮かべる。

「私たちの国では水が豊富だったから毎日のように入れたけど、場所が変われば文化も違うものね。今日は理不尽に湖に投げ出されたから、お風呂には絶対に入りたかったとこよ」
「それには同意だぜ。あんな手荒い招待は二度とごめんだ」
「だね、今後は気をつけてよ?」
「あう……それは黒ウサギの責任外の事ですよ……」

召喚された三人人の責めるような目線に怖気づく黒ウサギ。ジンも隣で苦笑している。

「あはは……それじゃあ今日はコミュニティに帰る?」
「あ、ジン坊ちゃんは先にお帰りください。ギフトゲームが明日なら"サウザンドアイズ"に皆さんのギフト鑑定をお願いしないと。この水樹のこともありますし」

僕たちは首を傾げて聞き直した。

「"サウザンドアイズ"? コミュニティの名前か?」
「Yes。"サウザンドアイズ"は特殊な"瞳"のギフトを持つ者達の群体コミュニティ。箱庭の東西南北・上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティです。幸いこの近くに支店がありますし」
「ギフトの鑑定と言うのは?」
「勿論、ギフトの秘めた力や起源などを鑑定する事デス。自分の力の正しい形を把握していた方が、引き出せる力はより大きくなります。皆さんも自分の力の出処は気になるでしょう?」

黒ウサギに同意を求められるが苦笑で返すしかない。僕のアレは暴走するから後は…あれとあれかな?

僕達はそのまま"サウザンドアイズ"に向かった。

道中、僕は興味深そうに街並みを眺めた。
商店へ向かう通りは石造で整備されているし、脇を埋める街路樹は桃色の花を散らして生え始めている。

「桜の木か。花弁の形が違うね。春にしか咲かないのかな?」
「え? 今は真夏のはずよ?」
「いや、まだ初夏になったばかりだぞ?気合の入った桜がまだ残っててもおかしくないだろ」
「………? 今は秋だったとおもうけど」

ん? と噛み合わなくて顔を見合わせて首を傾げた。黒ウサギが笑って、

「皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されてるのデス。元のいた時間軸以外にも歴史や文化、生態系などを所々違う箇所(かしょ)があるはずですよ」
「へぇ? パラレルワールドってやつか?」
「近しいですね。正しくは立体交差並行世界理論と言うやつなのですけども……今からこれの説明を始めますと一日二日では説明しきれないので、またの機会と言うことに」

曖昧(あいまい)(にご)して黒ウサギは振り返った。店の旗には、青い生地に互いが向き合う女神像が記されている。あれが"サウザンドアイズ"の旗なのかな?

日が暮れて看板を下げる割烹着(かっぽうぎ)の女性店員に黒ウサギは滑り込みでストップをかけようとしたが

「まっ」
「待ったなしです御客様。うちは時間外営業はやっていません」

………うん、だろうと思ったよ。

黒ウサギは悔しそうに店員さんを睨みつける。
流石は超大手の商業コミュニティ。押しいる客の拒み方も隙はなかった。

「なんて商売っ気のない店なのかしら」
「ま、全くです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて」
「文句があるならどうぞ他所(よそ)へ。あなた方は今後一切の出入りを禁じます。出禁です」
「出禁!?これだけで出禁とか御客様舐めすぎでございますよ!!?」

キャーキャーと喚く黒ウサギに、僕の若干冷ややかな目線と店員さんの冷めたような眼と侮蔑(ぶべつ)を込めた声で対応する。

「なるほど、"箱庭の貴族"であるウサギの御客様を無下にするのは失礼ですね。中で入店許可を伺いますので、コミュニティの名前をよろしいでしょうか?」
「………う」
一転して言葉に詰まる黒ウサギ。そしてなぜか僕に十六夜からの『おまえが言え』と言う目線が突き刺さった。

……なぜ僕が…。

「僕達は"ノーネーム"って言うコミュニティなんですが」
「ほほう。ではどこの"ノーネーム"様でしょう。よかったら旗印を確認させていただいてm………」

んぅ…?月明かりが僕達の辺りを照らすと途端に店員さんが硬直した。しかも、顔を赤くして…なぜだ?

僕が不思議そうに首を捻るといきなり勢いよく店員さんに抱きつかれた。

「ひゃっ!?」

思わず女子のような声を出してしまい恥ずかしくて俯く。
それを見た黒ウサギや三人も同様に顔を赤らめている。
唯一、店員さんだけは僕に抱きついて嬉しそうにしている。

………ここでも僕は愛玩動物なのかい?

その空気のまま少し経つといきなり空気をぶち壊す音と人が来た。

「いぃぃぃやっほおぉぉぉぉぉぉ! 久しぶりだ黒ウサギィィィィ!」

呆然としていた黒ウサギは爆走してくる着物を着た真っ白い髪をした何かに抱き(もしくはフライングボディーアタック)つかれ、少女と共にクルクルクルクルクと空中四回転半ひねりして街道の向こうにある浅い水路まで吹き飛んだ。

「きゃあーーーーー………!」

ボチャン。 そして遠くなる悲鳴。
僕達は唖然として、店員さんは僕を抱きしめたまま頭を痛そうに手を当てていた。

「……おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺にも別バージョンで是非(ぜひ)
「ありません」
「なんなら有料でも」
「この子をくれるのであれば」

真剣な表情の十六夜に同じく(顔は見えないけど声からして)真剣な表情でキッパリ言い切る女性店員。

こんなことで僕の所在を決めないでくれ…と僕も抱きつかれたまま割と真面目に思ったよ。

議論している二人を見ていたら黒ウサギが落ちた水路から白髪の物体Xがくるくると縦回転をして飛んできた。
それを十六夜が「てい」と足で受け止めた。

「ゴバァ! お、おんし、飛んできた初対面の美少女を足で受け止めるとは何様だ!」
「十六夜様だぜ。以後よろしく和装ロリ」

ヤハハと笑いながら自己紹介をする十六夜。

一連の流れで呆気(あっけ)にとられていたような飛鳥は、思い出したかのように白髪の少女に話しかけた。

「貴女はこの店の人?」
「おお、そうだとも。この"サウザンドアイズ"の幹部様で白夜叉だよご令嬢。仕事の依頼ならおんしのその年齢のわりに発育のいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」
「オーナー。それでは売上が伸びません。ボスが怒ります」

店員さんは何処までも冷静な声で釘を指した。…けど、言動があってないよ〜! 離して〜!!とジタバタと足掻くも一切動かず、それどころか微笑ましそうな目で見られてるのですけど…恥ずかしい。

濡れた服やミニスカートを絞りながら水路から上がってきた黒ウサギは複雑そうに呟く。
悲しげに服を絞る黒ウサギとは対象的に、白夜叉は店先で僕らを見回してニヤリと笑った。

「ふふん。お前らが黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たと言うことは……遂に黒ウサギが私のペットに」
「なりません! どういう起承転結があってそんなことになるんですか!」

ウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。白夜叉は何処まで本気かわからない笑みを浮かべて店に招く。

「まあいい。話があるなら店内で聞こう」
「よろしいのですか?彼らは"ノーネーム"規定では」
「"ノーネーム"だとわかっていながら名を尋ねた、性悪店員に対する詫びだ。身元は私が保証するし、ボスに睨まれても私が責任を取る。いいから入れてやれ」

む、っと拗ねたような声を出した女性店員さん。彼女にしてみればルールを守っただけだから気を悪くしたのは仕方のないことだろう。決して僕を離さなければいけないことに拗ねてはいない…はずだ。
 
 

 
後書き
量が多すぎたので二つに分けました。
分けるとこではなかったかもしれなかった場合はごめんなさいですね…。
それと、所用で更新が遅くなりました…すいません。
土日で次の話を仕上げたいと思います。 
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