魔法少女リリカルなのはvivid 車椅子の魔導師
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十五話
ノーヴェさんに文字通り引き摺られてロッジに戻され、もの凄くいい笑顔で待っていてくれたなのはさんとフェイトさんにありがた~いお話を聞かせてもらって約二時間……
「あ、足がっ……」
アスだけが苦悶の表情を浮かべていた
「なんで俺だけ正座っ……!?」
長時間のお話を正座して聞かされていたアスは足が痺れてまともに立てない状態にあった。僕の場合は車椅子に座ったまま聞いていたから特に痺れるとかない
「えっと、アス知ってる? 足の筋肉が上手く動かない人って座ることもままならないってこと」
「魔力流せば、んなこと解決するだろうが……!!」
うん。ごめんなさい
「それよりあと30分くらいで陸戦試合開始だけど、準備しなくて大丈夫?」
「痺れがとれん……」
仕方ないな
「ロンド。治癒魔法展開」
≪はい≫
アスの下に鈍銀色のベルカ魔法陣が展開され、銀色の光がアスを包む
「どう? もう、動けると思うけど」
「……ああ。大丈夫だ」
やっと立つ事が出来たアス
「外でみんなが待ってるよ。それじゃあ、僕はメガーヌさんのところに行くから」
「ああ……」
アスは少し興奮したような顔で外に出て行った。正直、あのままであれば不審者同然であろう
「さて、なんとかしようかな。ロンド。モニター、出してくれる?」
≪はい≫
ロンドが出してくれたモニターにはちょうど、ルールの説明をしようとしてるノーヴェさんの姿が映った
「うん。アスも来たから、全員揃ったね」
「それじゃあ、試合プロデューサーのノーヴェさんから説明を!」
「あ、あたしですか……?」
なのはさんとフェイトさんからの振りに少し恥ずかしがりながら前に出るノーヴェさん
「えー……。ルールは昨日伝えた通り赤組、青組に別れた7対7のフィールドマッチです。ライフポイントは今回もDSAA公式試合管理用タグでそれぞれ管理します」
ライフポイント制。僕とかなら慣れてるから、ライフの減り具合とかで色々どう動くかや色々と考えられるけど、今回初めてであるアスやミルテ、ウェズリーちゃんにアインハルトさんはどう出るかな
「あとは皆さん怪我のないように正々堂々頑張りましょう」
『はーい!!』
≪皆さん元気ですね≫
「まぁみんな、特に初等部組は楽しみにしてただろうから」
次元港や航行船の中でも話していたのは聞こえてたしね
「じゃあ赤組、元気に行くよ!」
赤組はフェイトさんの、
「青組もせーのっ!」
青組はなのはさんの、
『セーットアーップ!!』
みんなで一緒にセットアップ
じゃあ、ここから両組のポジションとメンバーを紹介していこうか
赤組
FA ノーヴェ LIFE3000
FA アインハルト LIFE3000
CG ティアナ LIFE2500
GW フェイト LIFE2800
|GW ミルテ LIFE2800
WB コロナ LIFE2500
FB キャロ LIFE2200
青組
FA スバル LIFE3000
FA ヴィヴィオ LIFE3000
CG なのは LIFE2500
GW エリオ LIFE2800
GW リオ LIFE2800
WB アス LIFE2500
FB ルーテシア LIFE2200
≪面白い構成ですね≫
「そうだね。これだと最初の内は各ポジション同士がぶつかるかな?」
「そうね。でも何か起きそうな予感はするわ」
話に交じって来たメガーヌさん。何故か後ろにはフリードと銅鑼を押しているガリューの姿が……
「ふふっ。あっちも準備出来たみたいね。じゃあ」
メガーヌさんはあちらへの通信モニターを開く
「それではみんな元気に……!」
ガリューは銅鑼を鳴らす為に腕を振り上げる
【ロンド】
【≪ええ。一時的に外の音をシャットアウトします≫】
念のためと言うか本を読むために自作した防音魔法を発動する
「試合開始~~~!」
空気が響いたのがわかった
「ウィングロード!!」
「エアライナー!!」
スバル、ノーヴェ両名の魔法により、陸戦場全体に足場が形成される
「行こう! リオ!」
「了解! ヴィヴィオ!」
「コロナさん、リオさんのお相手をお願いしても?」
「任せて下さい!!」
始めに動き出したのは年少組。1on1に持ち込むようだ
(エリオとの一対一なんて久々だなぁ。油断してると落とされちゃうかも)
「行くよ! ストラーダ! 今日こそ、フェイトさんを落とす!」
≪了解です≫
2人が接敵すると言う一瞬、
「「ッ!?」」
何かを感じ取ったかのようにその場から離れる二人
今まで両者のいた場所や空域には斬撃と高速スフィアが通過していた
「やっぱり雷の変換資質持ってる人相手だと効果ないよね」
「クロムが同じような事をするからな……」
そして別々の方向から聞こえてくる二つの声
「さて、お相手してもらえますか? エリオさん」
「み、ミルテちゃん!?」
エリオ、ミルテ。接敵
「久々の相対の邪魔をして申し訳ないですが、こちらもお願いします……。フェイトさん」
「そっか。うん、全力で行かせてもらうよ」
フェイト、アス。接敵
「さて、どちらがFBとしてチームがより支えられるか」
「負けないんだから!」
ルーテシアVSキャロ
(まずは全体が1on1に持ちこめた。まぁ一部分が少し戸惑ったみたいだけど、まずはなのはさん。なのはさんに大きいのを撃たれたら、こちらが全滅なんてことは普通に想定できる。なら)
(ティアナの徹甲狙撃弾は私が作れるのよりも速くて固い。味方に撃たれれば危険は必然。なら)
援護射撃の準備を進めながら思考を張り巡らすCGの二人
((必勝の一撃は———))
((数の均衡が崩れた瞬間!))
なのはVSティアナ
「うおぉぉぉ!!」
ノーヴェの射撃に対し、プロテクションを張りながら突撃していくスバル
「流石にプロテクション一枚で全弾防ぐのは卑怯だろっ……!」
そう言いつつもカウンター気味に蹴りを入れるノーヴェ
「流石にやるね! ノーヴェ!」
「当たり前だ!!」
防ぎながらも笑うスバルとノーヴェ
「仕事じゃともかく格闘技《ストライクアーツ》じゃ……!」
≪Revolver spire.≫
「とわいえ、あたしもおねーちゃんだから……!」
≪Caliber Shot.≫
「「負けない(ねー)ッッ!!」」
スバルVSノーヴェ すでにインファイト中
足場の上下で構え、睨みあうヴィヴィオとアインハルト
(立ち合うのはこれで三度目……。まだまだアインハルトさんには格闘技は敵わない、だけど)
「ッ」
ヴィヴィオの手に魔力の塊が形成されたことにより、警戒を強めるアインハルト
(魔法ありなら、まだ!!)
ヴィヴィオはアインハルトに近づくと同時に道を蹴り、空中へと上がる
「一閃必中! ディバインバスター!」
手に溜めていたのは収束砲より早い高速砲
アインハルトはすぐに後ろに飛んだが、かすってしまう
(高速砲ッ!)
(掠っただけでも上出来! まだまだ、攻める!!)
空中で落下状態にあるにも関わらず状態を維持しながらアインハルトに向かって多重拘束かけるが一瞬で気付かれ、捕えられない
距離をとったアインハルトはヴィヴィオを見据える
(なるほど。ヴィヴィオさんは魔法もまっすぐだ。ですが、生半可な射砲撃は覇王流の前には無意味です)
アインハルトは再び構える
(アインハルトさんが構えた。この距離で? まさかアインハルトさんにも中距離が!?)
そうは考えるも周りぬい魔力弾を構成するヴィヴィオ
(でも、魔法の撃ち合いならっ!)
「ソニック・シューター!!」
「覇王流“旋衝破”」
コロナとリオはアスレチックを使い、立体的に動き、攻防を繰り返していた
(流石にこのままじゃあジリ貧になっちゃう。この辺りなら!)
コロナは距離を取りながら地面へと着地する
「あれ? もう追いかけっこは終わり?」
そう言いながらリオも着地する
「うん。飛んだり跳ねたりは少し苦手。だからここで勝負だよ! リオ!」
「うん! その意気やよし!」
(コロナの魔法は独特的だからこっちが後手に回るのは正直、あまりよくない)
コロナ見据え、少しだけ口に端が持ち上がるリオ
(でも、止まってくれたのなら、先手必勝!!)
リオは自前の二つの変換資質を利用し、炎と雷の龍を作り出す
(私にはリオみたいに変換資質や身体能力、ヴィヴィオみたいに器用なことは出来ない)
BJのポケット部分から棒状のクリスタルを取り出す
(でも、昔ヴィヴィオに見せて褒められたこの魔法。これだけはずっと練習し続けた。司書さんだって一緒に考えてくれたこの魔法)
自身のデバイスであるブランゼルに軽く口づけ、展開された巨大な魔法陣の中心にクリスタルを投げ入れる
「創生起動」
その言葉と共に地面が盛り上がり、形を形成していく
「双龍円舞!!」
リオの方は準備が整ったようだ。二つの龍がリオを中心に回っている
(これは私が唯一誇れる魔法。端末を核に魔力を練り上げ、物質を自分の自由な形へと形作ることが出来る……。そう、これが……)
魔力を得て形を形成していく。そして、出来上がるは岩の巨人
「これが私のゴーレム創生ッ!!」
「おおっ! かっこいい!!」
目をキラキラと輝かせながら、興奮しているリオ
「魔導士コロナと魔導器ブランゼルの名の下に“叩いて砕け!! ゴライアス!!”」
ゴライアスと呼ばれた岩の巨人。その肩に足取り軽く飛び乗るコロナ
「さぁ! リオ! 正々堂々!」
「試合開始!!」
「ストラーダ!」
「グングニル!」
リーチの長い槍使い同士の戦いは接近こそするが懐に入れることなど早々ない
「くっ!(ミルテちゃんの槍捌き。とても学生の物とは思えない! 僕だって本気を出してないわけじゃないけど、この速さや鋭さはっ!)」
「あはは!(やっぱり速い! エリオさんと戦えてよかった! この戦い、もっとやっていたい!! もっと長く、もっと激しく!!)」
戦況はミルテ若干が押している。現役管理局員相手にわずかながらも押しているのだ
「笑えるってことは余裕があるのかい!!」
「違いますよ! 私が純粋に楽しいだけです! エリオさん、あなたと戦う。今この時がっ!!」
エリオが速さとするならば、ミルテは力であろう。速さと手数で攻撃するエリオとある程度の速さと一撃の力で攻撃するミルテ。一見、ミルテが不利に見えるこの相性
(この子、まさか戦闘狂!? それにしたって、僕よりスピードが遅いのにどうやって捉えて?)
ストラーダの高速機動を活かし、少しだけ距離を取る
「逃がしません!」
「ッ!?(一瞬目を離しただけなのに、いったいどうやって)」
休む間もなく繰り返される攻防。エリオがこれを繰り返すのはもう何度目だろうか
「私がどうやってエリオさんよりも早く動けているのが不思議で仕方ないって顔ですね!!」
「ああ。全く持ってそうだよ! 君のスピードは僕より確実の遅いはず。それなのに君はさっきから僕の後ろを取り続ける!」
鍔迫り合いになり、動きが止まる
「エリオさんのストラーダを作った高速機動は私にとっては脅威です! ですが、目で追えないことはないんです!」
ストラーダを弾き、そのままエリオの腹部に蹴りを入れ吹き飛ばす
「ぐあっ!」
空中でストラーダを逆噴射させ、威力を殺し、体勢を立て直す
「さぁ! まだまだ行きましょう!!」
「バーストバレット!」
フェイトに向かって数多の魔力弾が飛ぶ
「行くよ。バルディッシュ!」
«サイズフォーム»
フェイトの異名の代名詞でもある鎌の形に変え、向かってくるバレットを両断する
「はぁ!!」
一瞬にしてアスの目の前に辿り付き、鎌を振るう
だが、フェイトは見えていた切られる瞬間にアスの口角が少し上がっていたのを……
切られたアスの姿は煙のように消え去った
「ッ!? フェイクシルエット!」
すぐさま辺りを見回し、アスを見つける……が、
「いつの間に!」
フェイトの周りには消滅するはずのバレットと新たに配置されたバレットが囲んでいた
«Burst»
フェイトを多くの爆発が包む
「……ぶはっ! まさかここまでうまく行くとは思ってなかった……」
どうやら半信半疑の攻撃だったらしい。まぁ管理局のエースと戦うに辺りどこまで策を立ててもある程度はわかってしまう。それがアスの考え
«ですが、どうやら抜けられたようですね»
「みたい、だな……」
アスは自分より上に視線を向ける。そこには、金色の死神がこちらを見下ろしていた
「驚いたよ。センターガード向きなんじゃないのかな?」
「いえ、不意打ちと狡賢いことしかできないので……」
そう言いながらもバレットを複数展開させるアス
「フェイクシルエットで自分とバレットの少しを隠して、自分が切られたと同時にフェイクシルエットが解ける。そして切られたバレットと共に大爆発を起こす。知略と謀略に富んでるね」
「そんな大したことじゃないです。俺は、俺に出来る精一杯の戦い方です……」
レイヴンの銃口をフェイトに向ける
「本気でやるって言ったからね。私のやり方で行くよ」
アスの視界からフェイトの姿が消える
そして、背後を取ったフェイトの一撃がアスを襲う……はずだった
「えっ!?」
フェイトが目の当りにしたのはアスを覆うように展開されている魔法障壁
«バリアブレイク»
「くっ……」
フェイトはすぐさま離れるが、少しだけ当たってしまう
「バリアブレイクショット」
「シールドを破片を弾丸に!?」
持ち前の速さと機動力で避けていくフェイト
「弾丸はいくらでも、当たるまで……」
バレットと共に縦横無尽に撃ちだしていく。それはまるで弾幕のような……
「さぁ、この擬似弾幕陣。躱してください……」
(ホントに読めないよ。この子)
「この1on1は予想外だったかな」
休憩中に出す飲み物と間食の準備をしながらモニターで観戦していた僕は色々と驚いていた
「まさかあの二人が他の場所に乱入するなんて思いもしなかったかな」
«ミルテ様は憧れのエリオ様と戦えて少々ハイになっていますが……»
ロンド。そこは突っ込まないであげて
「ティミルちゃんはちゃんと成功してるみたいだね」
«そう言えば、マスターは魔法式やそこらへんの事の相談に乗っていましたね»
ティミルちゃんの魔法は独特的だ。だからホントはそれに特化した魔法式を組むのが一番いいんだけど、学院の図書館にはそこらへんに詳しい書物は無かった
«他にもアス様です。フェイクシルエットにあの技術。いつの間に身に着けたのでしょうか?»
「多分、リーヴァに負けた後だろうね。あの後だろうけど、そんなに時間がないんだよ」
あの対戦から二日しか経っていない。まさか……
«まぁある程度の予想はつきます。どうせリーヴァ様との対戦まで間に合わず、終わったあとにあそこまで使えるようになったのでは?»
うん。アスは自分を追い込むのが好きだからね。ホントにドMかって思えるくらいに……
「よし。これくらいで準備OK。あとは冷やすだけかな」
飲み物も間食の方も準備は出来た。間食はそこまで多くは作れてないけど、ちゃんと満足してもらえるようには作ってるつもり
«陸戦は始まったばかりですね。まだまだ色々と見れますね»
「そうだね。ちゃんと記録しといてよ? ロンド」
«はい。マスター»
後書き
十五話です
待っていなかったとは思いますが、お久しぶりです
本当に久々の投稿になります。それとまだ不定期ではありますが、投稿再会します
メインをこちらで息抜きでもう一つを進めていくということを予定しております。不定期ではありますが、今回のような期間を空けないように頑張ってまいります
ここまで更新が遅くなったことをお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした
次回は陸戦後半と旅行終了までを予定しております。
感想、評価、誤字報告、指摘待ってます
では次のお話で……
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