FAIRY TAIL 友と恋の奇跡
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第195話 悲劇の始まり
前書き
紺碧の海です☆
今回はいよいよ、大魔闘演舞最終局面に突入です!優勝するのは果たしてどのギルドか―――――!?
そして、大魔闘演舞終了と同時に起こる悲劇が、今!明らかになる時―――――!
ナレーション風に書いていきます。
それでは、第195話・・・スタート☆
ショ「ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・」
両手を両膝に当て、口と肩で大きく息をするショールの額には汗が滲んでいる。
ショールは休まず、歩かず、約1km程離れた場所からドムス・フラウまで全力疾走してきたのだ。息が切れるのも無理はない。
まだ息を切らしながらも、顔を上げドムス・フラウを見上げる。鼻筋を伝って流れ落ちた汗を服の袖で拭う。
ショ「ハァ・・ハァ・・・い、急が・・ない、と・・・!ハァ・・ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・」
鮮血のような赤い瞳に、目の前に聳え立つドムス・フラウを一睨みした後、ショールは再び足を動かしドムス・フラウの中へと入って行った。
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エ「うっ・・ぁ、ぁあ・・・!」
貫かれた右肩を押さえ、エルザはその場に肩膝を着いて蹲る。
カオ「私の主要の魔法は香り魔法なので、変換武器は滅多に使わないんですが・・・相手が妖精女王となると、本気でやらないといけませんから。」
カオリは涼しげな顔で言葉を放つ。
エルザの右肩を貫いた弾丸を撃った銃は、いつの間にか先が鋭く尖った槍に変換されていた。
カオリは槍を構えると、鋭く尖った槍の先端をエルザの首筋に突きつけた。
カオ「この勝負は銀河の旋律の名誉と、未来と、夢が懸かっているんです。」
“フィオーレ最強の魔道士ギルドになる”
ずっと思い描いてきた銀河の夢は、長い月日を経て、フィオーレ最強ギルドと並ぶほどの実力をつけ、今此処で、夢見てきた新たな伝説を築き上げる、最大の機会―――――。
カオ「だから・・・負ける事は、絶対に許されません!」
そう言うと、カオリは構えていた槍を一度構え直し、エルザの首筋を狙って―――――突けなかった。
カオ「!?」
槍の先端がエルザの首筋を貫く一歩手前で、エルザは右手で槍の先端を掴んだのだ。
カオリが動かそうとしても槍は一切動かず、エルザの手から抜こうとしても、槍はビクともしない。ただ、槍の先端にエルザの血が付くだけ―――――。
エ「名誉だが、未来だが、夢だが知らないが・・・私達も、“仲間の想い”が懸かっているんだァ!」
カオ「あぐっ!」
エルザは槍から手を離すと、怯んでいたカオリの右頬を思いっきり殴り飛ばした。
殴り飛ばされたカオリの身体はズササササァと地面を擦る。カオリがふらぁ~とよろめきながら立ち上がった時、目の前にいたのは―――――、緋色の髪の毛を高く結え、黒を基調とした羽の生えた鎧―――黒羽の鎧に換装したエルザがいた。右手には1本の剣が握られている。
エ「倒すべき相手の魔法が変わろうが構わん。目的はただ1つ―――――」
そう言うとエルザは小さく地を蹴り駆け出した。
エ「勝つだけだァァア!」
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リオ「アイスメイク、白虎ッ!!」
ハル「落雷砕!」
前方から仕掛けてくるリオンとハルトの攻撃をかわすと、グレイは両手を構え冷気を溜める。
グ「氷撃の鎚ッ!!」
巨大な氷の鎚を造形し、リオンとハルトの頭上に振りかざす―――が、ハルトは素早くその場から逃れ、リオンは両手を構え冷気を溜めると、
リオ「アイスメイク、大猿ッ!!」
巨大な氷の猿を造形し、グレイの攻撃から身を守った。
グ「チッ。」
小さく舌打ちをした後、再び両手を構え冷気を溜めたグレイのがら空きの背中目掛けて、
シェ「天神の舞ッ!!」
黒い風を両腕に纏ったシェリアが攻撃を仕掛けた。反応に遅れたグレイに黒い風が直撃する、と思ったその時、グレイと黒い風の間に地面から氷柱が生え黒い風を弾き返した。
ユ「ギ・・ギリギリセー」
イレ「白光弾!」
ユ「キャア!」
地面に両手を着いた状態のユモの背中にイレーネが白い光を纏った拳を叩き込んだ。
リオ「アイスメイク、鷲ッ!!」
イレ「うぐっ・・うぁあ!」
ユ「氷乱刃ッ!!」
リオ「「ぐァあっ!」
無数の氷の鷲を造形しイレーネを攻撃したリオンの背後から刃のような形をした無数の氷で斬りつける。
シェ「天神の北風ッ!!」
ユ「うああああああっ!」
グ「氷槍騎兵ッ!!」
シェ「キャアァァアアァアアアア!」
ハル「雷球!」
グ「ぐォおあっ!」
シェリアが黒い風でユモを攻撃し、グレイが隙を突いてシェリアの背後から無数の氷の槍で攻撃し、ハルトががら空きのグレイの背中目掛けて電撃を帯びた雷の球体が直撃した。
攻撃、防御、チームワーク、共に一切隙を見せない三角戦闘は全く埒が明かない。
リオ「日も暮れてきた。シェリア、この一撃でまずは妖精の尻尾を倒すぞっ!」
シェ「分かった!」
ハル「そっちが最初に妖精を撃破するなら・・・イレーネ、俺達もやるぞ。」
イレ「言われなくても、そうするわよっ!」
リオンが両手を構え冷気を溜め、シェリアが黒い風を纏った両腕を掲げ、ハルトが雷の槍の先端に雷を圧縮させ、イレーネが両手に白い光を纏った。
4人同時に妖精に攻撃を放とうとする。
グレイは隣にいる、呼吸のリズムと共に上下するユモの左肩に手を乗せ自分の方に引き寄せた。
グ「“仲間の想い”が懸かってるんだ。あっちが4人同時に俺達に攻撃してくるなら・・・俺達は、全魔力をぶつけて、4人同時に片付ける!」
ユ「うん!」
グレイはユモの肩から手を離すと、今度はユモの右手を力強く握った。
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ジュ「ハァ・・ハァ・・・ハァ、ハァ、ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ、ハァ・・ハァ・・・」
リョ「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
血と傷だらけの2人の身体は、ちょんっと軽く押しただけでバタン!とその場に倒れてしまいそうなほどボロボロだった。
だが、身がボロボロでも、心は磨いた窓ガラスのように透き通っている。
ジュ「ハァ・・ハァ、ま・・まさか、鳴動富嶽を、食らっても・・・ハァ、ハァ・・・倒れんとは・・・ハァ・・ハァ、ハァ・・・予測・・不可能じゃったな・・・ハァ・・ハァ・・・」
リョ「ハァ、ハァ・・・ハァ・・じ・・自分、でも・・・ハァ、ハァ、驚き・・です・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ、ハァ・・・」
そう言うと、リョウは両手に持っていた『銀覇剣』と『天力剣』と、口に銜えていた『嵐真剣』を鞘に戻し、鞘に差していた『花錦剣』と『妖魔剣』と『竜風剣』と一緒に、6本の聖剣を地面に置いた。
ジュ「!?」
その光景を見たジュラは目を見開いた。
しかも、リョウは6本の聖剣をただ地面に置いてる訳ではない。リョウを囲むように、1本1本ゆっくりと、6本の聖剣を並べていく。
ジュ「リョ、リョウ殿・・・いったい、何を・・・・?」
リョ「まさか・・自分が、この魔法を・・・発動させる時が、来るとは・・・正直、思ってもみなかった、な・・・・」
問い掛けるジュラの声が聞こえていないのか、リョウは独り言のように呟きながら6本の聖剣を並び終えた。
6本の聖剣は、リョウを囲むように6角形状に並べられていた。
ジュ「リョウ殿・・・こ、これは、いったい・・・・?」
1歩後退りをしながら、ジュラはさっきと似たような問い掛けを再びリョウにする。
リョウは血塗れでボロボロになった青い着物を引き裂きながら、ジュラと視線を合わさずに呟いた。
リョ「“仲間の想い”は、俺がこの魔法を発動させる源になる!」
リョウが呟いたのと同時に、リョウの足元に金色の魔法陣が浮かび上がった。すると今度は、6角形状に並べられた6本の聖剣が金色の光を帯びながら光だし、ふわぁと宙に浮き上がった。
リョウはゆっくりと目を閉じる。
ジュ「こ・・これは・・・!」
目を見開いたジュラはその後の言葉が続かなかった。
リョ「聖なる剣に宿りし守護剣士達よ・・・!我はそなた等が認めし忠実なる者・・・今、我が身に宿り、その力を最大限に解放せよ・・・!」
リョウはカッ!と目を見開いた。
リョ「第二魔法源、解放!」
宙に浮き上がった6本の聖剣から、銀、水色、青、桃色、紫、黒に光り輝く光が飛び出し、リョウの身体に吸い込まれていく。
ジュ「(聖剣使いが解放する第二魔法源・・・その魔法は、伝説の1つとして数えられる超魔法の1つ・・・!)」
ジュラは目の前の光景に呆気に取られていた。
そして、ジュラの目の前にいたのは、さっきまでのリョウではなかった。引き裂かれた着物の間から見えるリョウの身体には、銀、水色、青、桃色、紫、黒の渦巻いた模様が走っており、リョウの茶色い瞳が、赤色に変色していた。
リョ「聖なる力!!!」
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レヴ「星竜の・・・流星群ッ!!」
キー「エレクトニクス!目の前の敵を蹴散らせェ!」
ドラゴンフォースを発動させたレヴルと、13番目の鍵、未知の星霊のエレクトニクスがナツに襲い掛かった。
ナツはレヴルの拳を身体を右に傾けて避け、エレクトニクスの頭突きをその場で跳躍してかわす―――が、流星群のように速く動く事が出来るレヴルはすぐにナツと同じくらいの高さまで跳躍すると、ナツの鳩尾に蹴りを食らわせ、続いて後頭部に踵落としを食らわせた。
ナ「ぐふっ!・・ガッ!」
頭が下、足が上の状態で真っ逆さまに落下するナツの身体を、エレクトニクスが鋼鉄のように硬い黒い鱗で覆われた頭で建物にめり込ませる。
ナ「ぐあああああああああああああっ!」
ナツは悲鳴を上げるが、その声が聞こえていないかのようにエレクトニクスは更に強い力でナツの身体を建物にめり込ませる。ナツの身体をめり込ませたレンガ造りの建物も、エレクトニクスの力に耐え切れず、バキバキ!と音を立てて亀裂が入っていく。
ナ「火竜の・・・咆哮ッ!!」
口から灼熱の炎の息をエレクトニクスの頭目掛けて噴出した。
熱かったのか、エレクトニクスは巨大な身体を捻らせた。その隙にナツはエレクトニクスから距離を取るが、
レヴ「星竜の・・・斬撃ッ!!」
ナ「うがっ!」
背後からレヴルが金銀に光り輝く光を纏った右手でナツの左肩を斬りつけた。
ナ「火竜の砕牙ッ!!」
ナツもすぐ振り返り、負けじと指先に纏った炎でレヴルに攻撃を仕掛けるが、流星群のように速い動きでレヴルはナツの攻撃をかわし、再びナツの背後に周り込むと、
レヴ「星竜の・・・咆哮ッ!!」
星の光のように輝く息がナツの身体を飲み込んだ。
星の光の息は建物を次々と貫いていき、静まり返ったクロッカスの街に凄まじい爆発音が響き渡った。
レヴ「ハァ・・ハァ、ハァ・・・ハァ、ハァ・・・ハァ・・ハァ・・・ハァ、ハァ・・ハァ・・・」
キー「レヴルー!」
息を切らしているレヴルの元にキースが駆けつける。キースの後ろにはズルズルと巨体を引き摺りながらエレクトニクスが付いて来ている。
キー「・・・やったか?」
キースが砂煙の中に目を凝らす。
砂煙が晴れると、数十m先の瓦礫の山の上で倒れているナツの姿を確認出来た。
レヴ「ハァ、ハァ、や・・やっ、たぁ・・・ハァ・・ハァ、ハァ。」
息を切らしながら途切れ途切れに呟くレヴルの傷だらけの肩を、キースが傷だらけの手で力強く掴んだ。
キー「これでまた少し、フィオーレ最強の座に近づいた。」
レヴ「あぁ。・・・もう少しで、俺達銀河の旋律の、夢が報われ」
報われる、と言おうとしたレヴルの言葉を遮るように、キースとレヴル、エレクトニクスの足元から灼熱の炎が火山の噴火のように地面から勢いよく噴出した。
レヴ「なっ・・・!?」
キー「ぐァァア!」
火傷を負いながらも灼熱の炎から転げ出ると、キースとレヴルは視線を瓦礫の山に移した。
ナ「“倒れた”って、勝手に決めつけんじゃねェ。俺はまだ、戦えるぞ。」
そこには、口から僅かな紅蓮の炎を噴出したナツが立っていた。
レヴ「(まさか・・・!地面に顔を突っ込んで、俺とキースとエレクトニクスの足元から炎を噴出させたのか・・・・!?)」
レヴルはナツから視線を逸らさずに、直感的にそう思った。
キー「・・な、何で・・・ドラゴンフォースを発動させたレヴルの攻撃と、エレクトニクスの攻撃をあれだけ食らったってのに・・・!何で倒れてねェんだよォ!?」
肩で大きく息をしながらキースはナツに問い掛けるように声を荒げた。
ナツはしばらく何も言わず、動かずの状態だったが、固く握り締めた両手の拳に紅蓮の炎を纏いながらニヤッと笑った。
偶然か必然か―――――。
聞こえる訳が無い、別々の場所で戦っているはずの5人の妖精の声が、見事に重なった。
エ「“仲間の想い”が、私に力をくれる!」
グ「“仲間の想い”が、俺に勇気をくれる!」
ユ「“仲間の想い”が、私を支えてくれる!」
リョ「“仲間の想い”が、俺を強くする!」
ナ「“仲間の想い”が、俺をここに立たせてくれる!」
エ「“仲間の想い”に―――」
グ「全力で応える!」
ユ「だから、私達は―――」
リョ「俺達は―――」
ナ「お前等に勝つっ!」
これまた偶然か必然か―――――。
声が重なると今度は、別々の場所で戦っているはずの5人の妖精が同時に攻撃をした。
エ「黒羽・月閃ッ!!」
剣を大きく振りかざしカオリを斬りつけた。
グ「氷刃・七連舞ッ!!」
凍らせた肘で斬りつけるようにリオンとハルトを攻撃する。
ユ「氷乱・扇銀ノ舞ッ!!」
扇の形をした無数の氷が踊るようにシェリアとイレーネを攻撃する。
リョ「聖者の化身ッ!!」
容姿が変わったリョウの背後に浮かび上がった化身が腕を大きく振りジュラを殴り飛ばした。
ナ「―――――滅竜奥義、紅蓮爆炎刃ッ!!!」
両腕に纏った紅蓮の炎を一斉に爆発させ、キースとレヴルを攻撃する。
残ったのは妖精の尻尾の5人のみ!
チャ「し・・しし・・・し、信じられません!エルザがカオリを倒し1ポイント!グレイが蛇姫の鱗の副リーダーであるリオンとハルトを倒し4ポイント!ユモスがシェリアとイレーネを倒し2ポイント!リョウが蛇姫の鱗のリーダーであるジュラを倒し5ポイント!ナツが銀河の旋律のリーダーと副リーダーであるキースとレヴルを倒し8ポイント!これを全て、現時点の妖精の尻尾のポイント数、80ポイントに加算すると・・・」
映像魔水晶に映し出されている、妖精の尻尾のポイント数の数値が、スロットのように変わり続ける。
そして、映像魔水晶に最終的に映し出された妖精の尻尾のポイント数は―――――、
―――――100。
チャ「100ポイントだぁぁぁぁぁぁっ!!」
大歓声が沸き起こった。
観客席では帽子やらコップやら旗やら・・・いろいろな物が宙を舞う。
それと同時に―――――、
チャ「決着!今年の大魔闘演舞、優勝は―――――」
ドムス・フラウの会場から花火が―――――打ち上がらなかった。
花火の代わりに打ち上げられたのは一筋の白い光。
ナ「んぁ?」
リョ「何だ、あの光?」
ル「ま・・眩しっ!」
ト「花火じゃ・・・ないみたいですね。」
フ「だな。」
クロッカスの街で戦っていたナツ達はもちろん、姿を消したマヤの事を探していたルーシィ達も、ナツ達に倒された他のギルドの魔道士達も、ドムス・フラウの上空に打ち上げられた白い光に目を奪われた。
この白い光が、これから始まる悲劇の開始の烽火だったなんて―――――この時はまだ、誰も思ってもいなかった。
後書き
第195話終了しました☆
大魔闘演舞遂に終了~!優勝はもちろん、100ポイントGETした妖精の尻尾です。私の数え間違いじゃなけりゃ、ホントに100ポイントなんですよっ!
さーてさて、次回からは新章、『極悪十祭編』のスタートです!
それではまた次回~☆
・・・今回、マヤ、ハッピー、ウェンディ、シャルルが出て来なかった。
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