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影絵―カゲエ―

作者:奏さん
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自分影と相手の影

 
前書き
影って面白いよねぇ…。 

 
「杏夜。後ろから追われてるで?」
「わーってるよ!」
妙な関西弁と共に聞こえてきたのは、ひゅっと何かが飛んでくる音。
俺はタイミングを見計らい、左へと避けた。
「待ちなさいよ!…この、スルース!」
「だから違うって、俺スルースじゃねぇから!」
そんな俺の願いの叫びも届くことなく、ひゅっ…ひゅっ…と何かが連続で飛んでくる。
俺はそれをひょいひょいと交わしながら、今、築波高校の3年廊下を全力で走っている。
なんでそんなことになったかというと……

「あ”ー…授業終わった…」
俺は机にぷっつし、ぐてっとしていたところだったんだが…
「杏夜って言ったわね」
「あ?」
俺の名前を呼ぶ声が聞こえ、顔を上げると、俺のことを呼んだ女子…『加賀 玲』が俺の顔の前に両手を突き出し、立っていた。
「え?」
俺は意味が分からなく、茫然としていたのだが、急に玲が突き出していた手に黒いものが集まってきて、収縮したのだ。
俺はとっさにやばいと思い、空中に飛んだ。
すると
ズトーン!
爆発音とともに、俺が座っていた、いや、俺の顔があったところに黒い物体が通過し、後ろの壁にベタッとくっつく
「いきなり何すんだよ!」
心臓が驚きすぎて早い中、俺は玲にそう尋ねる
するといきなり
「あんた、スルースね!?早く捕まって安らかに眠りなさいよ!」
と言われ

「今に至るんだけどぉ!?」
「ほら、はよせぇんと。あ、また飛んできてるで、五個ほど」
「五個ォ?!」
俺は廊下を全力で走りながら玲が飛ばしてくる黒い物体…(エクステリア)を避ける。
加賀 玲は影使(エルトラス)だということだ。
俺らが住んでいるこのセカイ。
このセカイでは人間が2つに分けられる。
1つはノーマル。
つまり、何も使えずにただ過ぎていく時の流れに沿って生活し、楽しんでいる者達だ。
2つ目は、影使(エルトラス)
100人に1人生まれるか生まれないかの珍しいものだと言われている。
エルトラスは名前の通り、自分の影を操ることができる。
だが、使えるものは決まっている。なぜなら、”属性”と言うものがあるからだ。
火や水、木や雷…色々な種類がある。
その中で、玲は、分解の属性に含まれる。
分解を持つ影は、自分をいくつもの影に分解し、相手に当てたりすることによって、大きなダメージを与えられるというものなのだが…。
「数多すぎだろ!どんだけ影が大きいんだよ!」
影も、使役する主の力が強いほど、大きくなる。大きくなった影は知能も増えて面倒だけどな…。
「私のエルセアはねぇ、アニス5になったんだから!」
「…あ、意外とちっせぇ」
「なんですって!?」
”アニス”それは、影の強さ、大きさを示すものだ。
1からあると言われてて、最大値は誰も知らない。
「とにかく、俺はスルースじゃねぇの!」
真実を叫びながら俺は廊下を全力で走り続けた。 
 

 
後書き
ちょっと長くなっちゃったね…。
ごめんなさい。

でも、楽しんでくれたら嬉しいかな…。 
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