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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第十二幕その二

 あのカワウソさん達が日本に移住してくれたからです、日本に再びカワウソがいる様になったのです。だから加藤さんも喜んでいるのです。
「それが先生のお陰で」
「だからですか」
「二百人おられますね」
「はい」
「その二百のカワウソさん達がです」
 加藤さんはお酒を飲むのを止めて先生に言うのでした。
「増えてそうして」
「松山からですね」
「四国全体に広がってくれて」
 そして、というのです。
「やがては日本中に」
「再びカワウソさん達が住むのですね」
「夢みたいなお話ですよ」
「夢ですか」
「いなくなった生きものが戻って来てくれたんですから」
 だからだというのです。
「本当に夢みたいなお話ですよ」
「何か先生凄いことしたんだね」
「そうみたいだね」
 ジップとダブダブも加藤さんのお話を聞いて言うのでした。
「日本全体にって」
「そんなに凄いことだったんだ」
「カワウソさん達と狸さん達を仲良くさせることって」
「そこまでだったんだ」
「いや、何かね」
 先生は戸惑いながら言いました。
「僕の思わぬ事態になったね」
「最初はね」
「あれよね」
 ホワイティとポリネシアが先生に言ってきました。
「ただカワウソさんと狸さん達が仲良くなれる様にって」
「間を取り持っただけだったよね」
「だからお互いにパーティーで楽しんでもらって」
「それだけだったんだよね」
「そうなんだ、確かに日本のカワウソが見られなくなったことは知っていたよ」
 だから動物園でも残念に思ったのです。
「けれどそれがね」
「凄いことになったね」
「日本にカワウソさん達が戻って来てくれたんだね」
 あのカワウソさん達が日本に移住して完全に住むと決めたからです、狸さん達と仲良くなれて不安がなくなったので。
「狸さん達とお友達になれて」
「松山も日本も好きになってくれて」
「だから不安がなくなってね」
「住むって決めたから」
「ううん、僕はそこまで考えていなかったけれど」
「あれだよ、先生」
 チープサイドのご主人が先生に言うことはといいますと。
「思わぬ結果になるってことがあるじゃない」
「何かをしたらだね」
「そう、そういうことってあるよね」
「それがこのことなんだね」
「このこともね」
 そうだというのです。
「それなんだよ」
「成程、そういうことなんだ」
「そうだよ、けれどいい思わぬ結果だよね」
「僕も意識していなかったけれどね」
「最高のハッピーエンドだよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「それでだけれど」
 ガブガブが先生に言うことはといいますと。
「先生これからどうするの?」
「どうするって?」
「いえ、何時神戸に帰るの?先生と私達は」
「今日で学会のシンポジウムも終わりだしね」
 だからだとです、先生はガブガブにお話しました。
「明日にはね」
「もう神戸に帰るのね」
「うん、そうだよ」
「元々は今日は最後のお祝いでした」
 加藤さんが先生にお話します。 
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