転生とらぶる
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マクロスF
0761話
「アクセル、今日は珍しく私の歌を聴きに来たのね」
「ま、今日は休みだからな。昨日の報告書も出し終わっているし、今日はバジュラの襲撃が無い限りはオフだ」
「アクセルさん、そのですね。シェリルさんとの関係は分かりますが、一応皆の前では伏せさせて貰ってもですね……その」
控え室で、エルモが俺を見ながらそう頭を下げてくる。
まぁ、それも無理は無い。さすがにファンの前でシェリルとイチャつくような真似をされれば暴動が起きる……とまではいかないかもしれないが、それでもファンとしていい気分じゃないのは事実だろうし。
「分かっている。今日は大人しくシェリルの歌を聴かせて貰うさ。……何だかんだ言って、最初から最後までシェリルのコンサートを聴いた事は無いんだし」
「……そう言えばそうなのよね。最初にライブをやった時はアクロバット飛行やっててバジュラが襲ってきたし、さよならライブの時は最初からいなかったし。ガリア4の時は私が倒れたしね」
何だかんだ言いつつ、最初から最後まで歌を聴く事が出来るのは今日が最初になる……かもしれない訳だ。まぁ、さすがに昨日の今日でバジュラの襲撃はないだろう。来たら来たで、またジャミングを使ってMDE弾頭やら何やらで仕留めるだけだ。
いや、勿論来ない方がいいのは事実なんだけどな。
「じゃ、アクセル。ステージの横っていう特等席であたしの歌を聴かせてあげるんだから、しっかりと聞き惚れなさい」
ふふんっ、と自信ありげな……これこそシェリル・ノームだという強気な笑みを浮かべ、控え室を出て行く。エルモも俺に頭を下げ、その後を追っていった。
俺もまたシェリルの歌をステージの横から聴く事になる。
最初のライブの時のような派手なパフォーマンスの類は無い。それこそ、普通に歌っているだけの通常のライブだ。だが、それでも……いや、それ故にか、観客達はシェリルの歌に聞き惚れていた。
正直、音楽関係には全く詳しくない俺だが、それでも今のシェリルの歌は以前に何度か聴いた時のものとはどこかが違って聞こえる。
恐らく、これが一皮剥けたって事なんだろうが……
そんなこんなで数曲だけのチャリティーライブが終了し、額に汗を掻いたシェリルが控え室に戻ってくる。
そのシェリルにスポーツドリンクを手渡すと、片手で受け取って早速とばかりにスポーツドリンクを飲んでいく。
白い喉が蠢く光景に例えようのない色気を感じつつ、次にタオルを手渡す。
ライブの衣装が汗で透けて色々と目のやり場に困りそうな光景になってはいるが、本人に気にした様子は無い。
「いやぁ、素晴らしい! 今のシェリルさんの歌は、聴いていて勇気が湧いてきます。愛に溢れている歌です。こう、心に響くというか」
機嫌良さそうに笑みを浮かべながら控え室の中に入ってくるエルモ。まぁ、チャリティーで儲けは出ないとは言っても、エルモにしてみればそんなのは関係無いんだろう。
だがそんなエルモの言葉に、顔の汗をタオルで拭いたシェリルがバスタオルを羽織りながら笑みを浮かべて口を開く。
「あら? 今はって事は、前は心に響かなかったのかしら?」
「いえいえいえいえいえ、そんな事はありませんよ。前よりももっと……と、そう言いたい訳でして、はい」
「ふふっ、冗談よ冗談。私自身もここ最近で歌が変わってきているのは分かっているわ。それが良い事なのか、あるいは悪い事なのかは分からなかったけど……2人の反応を見る限りでは良い方向に変わっているみたいね」
小さく笑みを浮かべるその姿を見る限り、確かにシェリルは以前と違って変わってきているのだろう。銀河の妖精としてグレイスと共にマクロス世界の頂点にいたのが、その相棒とも言えるグレイスに捨てられ、治療が不可能なV型感染症に冒され、そして男女の愛を知った。……いや、最後のは俺が言うとちょっと自惚れが過ぎるか。
ともあれ、今のシェリルは以前と比べてより強くなっているのは事実だ。
「で、今日のこれからの予定は? 久しぶりに2人で街中を歩いてみないか? ここ暫くあのクレープ屋にも行ってないだろ?」
「そうね。……今日の予定は大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですとも。次のライブは明日の午後からになりますので、明日は……」
シェリルの問いに、エルモがそう答えた時だった。
コンコン、という控え室の扉がノックされる音が聞こえてきたのは。
「……誰か来る予定でもあったか? ミハエル達とか」
「いえ、残念ですが今日の予定はアクセルさんだけです」
「となると、ファンとか追っかけか? ストーカーの類じゃないだろうな」
一時期フロンティア船団では引退すらも噂されていたシェリルが再び蘇ってきたのだ。何かおかしな事を考えるような奴が出て来たとしても不思議ではないだろう。
ま、それでも俺がいる時に来たんだとしたら、運が悪いとしか言いようが無いけどな。
「俺が出る」
一応念の為に2人へとそう告げ、扉へと向かう。
シェリルはともかく、エルモはそれなり以上の戦闘技術を持っている人物だ。それを考えれば心配しすぎなのかもしれないが……いや、それ以前にシェリルも何だかんだ言ってバジュラが溢れた時に銃を撃ったりしてたんだから、いざという時に対応は出来るんだよな。
そんな風に考えつつ扉を開けると……
「ん? お前達は確か……」
「アクセル・アルマー大尉、お久しぶりです」
そこにいたのは、黒スーツを着てサングラスを掛けている強面の男。見分けが付きにくいが、確か大統領のSPだった筈。つまり俺が混沌精霊としての本性を現した時にもその場にいた訳で……この丁重な挨拶は、俺の事情や能力を知っているからこそなのだろう。
「で、どうしたんだ? 俺に何か用事でも?」
「いえ、違います。今日私が来たのはアクセル大尉に用事があるのでは無く、ミス・シェリルに」
「……シェリルに?」
その言葉に思わず尋ね返す。大統領直属のSPが、何だってわざわざシェリルに会いに来る? まさかシェリルの歌を聴きたいって訳じゃ無いだろうし。ああ、いや。色々と不安定な事情のフロンティア船団内部を落ち着かせる為にライブをやって欲しいというのはある、か?
「アクセル?」
そんな風に考えていると、露出度の高いコンサート衣装の上から上着を羽織ったシェリルが近付いてくる。
「大統領がお前に用事があるらしい。どうする?」
「大統領が? エルモ、用意をお願い」
「あ、はいはい。お任せ下さい。えっと、それでアクセルさんは?」
エルモの視線を受け、SPの方へと視線を向けるとそっと視線を逸らされる。
これは……何らかの後ろ暗い事でもあるのか? 確かにフロンティア船団の現状を考えればおかしな話では無いが。とにかく、俺のやるべき事は1つだろう。
「俺も一緒に行くが、構わないな?」
「……少々お待ちを。すぐに確認を取ってみます」
そう告げ、後ろを向いてどこかに連絡をするSP。いやまぁ、それこそ大統領府に連絡をしているんだろうが。
そのまま1分も掛からず、短い会話を終えると俺の方へと視線を向けて小さく頷く。
「今回の件の責任者から許可を得ました。構わないそうです」
「責任者? グラス大統領じゃ無いのか?」
「申し訳ありませんが、この件に関して私は何を話すことも許可されていません」
どうやら余程に重要な事らしい。少なくてもライブが云々って理由じゃないだろうな。となると……何だ? 大統領の立場で、今のシェリルに銀河の妖精以外の価値があるのか?
とにかく、その場で色々と考えてもしょうがないので、SPの男と一緒に大統領府へと向かう事にする。……さて、どんな理由でシェリルが呼び出されたのやら。
「……ルカ?」
大統領府に呼び出され、シェリルやエルモと共にSPが案内した部屋に入った俺達を出迎えたのは、俺にとってもお馴染みの相手であるルカだった。何だか難しい表情を浮かべながら書類へと目を通している。
そんなルカの隣では、こちらもまたグラス大統領が何やら書類へと目を通していた。
俺の掛けた声で我に返ったのだろう。ルカがそのままこっちに視線を向けて俺と目を合わせると、どこか慌てたような表情を浮かべて目を逸らす。
「ア、アクセル君!? え、何でここにいるんですか?」
「彼が希望したからだよ。彼女に関する事なのだから、当然アクセル君にも来て貰うのは正しいだろう?」
「グラス大統領……分かりました。では、3人共こちらにどうぞ」
ルカの言葉に頷き部屋の中にある椅子へと座ると、それを見たルカが前置きも無しに口を開く。
「では、話を始めさせて貰いますが……話の都合上、色々とシェリルさんにとって不愉快な話になるかもしれませんが、最後まで聞いて下さい」
その言葉はシェリルに向かって言っているように見えるが、ルカの視線はシェリルやエルモではなく俺に向けられていた。俺がそれに頷くのを確認すると、ルカが再び口を開く。
「ご存じの通り、誘拐された為に現在このフロンティア船団にはランカさんがいません」
「そうね、グレイスとレオン・三島だったかしら。あの2人とその部下達の手で誘拐されたのよね?」
「ええ。勿論現在必死になってその行方を捜してはいますが、中々どこにいるのかを見つける事は出来ず……ですが、そんな状況でもバジュラが攻めてくる可能性はあります。……と言うか、もの凄く高いです」
その言葉に頷く俺とシェリル。エルモもまた思うところがあるのか、黙って話を聞いている。
「もし今、バジュラが大群で襲ってくれば……フロンティア船団にはそれに対処する手段はあります。ですがアクセル君はご存じの通り、完璧な手段ではありません。特にフォールド波をジャミングするというのが大前提にありますので、その効果範囲外に出られれば当然効果は無くなります。そして、僕達の武器の情報がバジュラに知られ、対応される。……そうなったら、フロンティア船団がどうなるか。それは既に言わなくても分かりますね?」
「まぁ、確かにそうだろうな」
現状は何とかバジュラに対応出来てはいるが、それが綱渡りに等しい均衡の上に成り立っているというのは事実だ。以前なら、ランカの歌で混乱させる事が出来ていたのだが。
そんな風に思った俺の記憶を読んだ訳でも無いのだろうが、ルカは手元の書類をテーブルの上に乗せる。いや、書類じゃ無い。これは診断書だ。それもシェリルの。
それがシェリルにも分かったのだろう。不愉快そうに眉を顰めてルカを睨みつけていた。
「プライバシーって言葉を知らないのかしら」
「すいません。ですが、シェリルさんが感染しているV型感染症。これは本来なら感染率は低く、初期ならバジュラの体液から作られる抗体で完治が可能です。ですが、末期まで症状が進むと細菌が脳内に根付いて毒素を分泌し、手の施しようが無くなって死亡する……筈でした」
「……筈?」
ルカの言葉を皮肉げな笑みを浮かべて聞いていたシェリルが、微かに眉を潜めて尋ねる。
「ええ。この診断書によると、確かに今のシェリルさんはV型感染症は完治していません。ですが、何故かその症状を抑えるための薬の副作用が殆ど出ていないんです。……ご自身でもその辺は分かっているのでは?」
「……まぁ、そうね」
「正直に言いましょう。確かに薬の副作用は出ていませんが、V型感染症自体は治癒した訳ではありません。つまり、現状ではシェリルさんの状態は以前よりも多少はマシ……そう言うしか無い状況です」
「……楽しい? お前の死は覆らないんだって難しい言葉でわざわざ説明するの」
「っ!?」
シェリルの言葉に息を呑むルカ。だが、それでも覚悟を決めた目でシェリルの方を見ながら口を開く。
「ですが、そんな状況になったからこそ初めて可能になる事があります。今のシェリルさんの声は微弱なフォールド波を発しているんです」
「……何ですって?」
思わず問い掛けるシェリル。それはそうだろう。自分の声がフォールド波を……ん?
「おい、待て。それはつまりランカもV型感染症に?」
「いえ、ランカさんがフォールド波を発している理由は不明です。それにシェリルさんのフォールド波はランカさん程に強力なフォールド波でもありません。ですが、フォールドクォーツで出来たそのイヤリングがシェリルさんのフォールド波を増幅しているんだと思います」
なるほど、理由の有無はどうあれシェリルの歌にフォールド波があるのなら……それは確かにバジュラ対策に効果的だろう。
「……すぐに返事を、とは言いません。ですが、アクセル君と一緒に暮らしているシェリルさんには、現在のフロンティア船団の危機は分かっている筈です。それを理解して欲しいと思って、こうしてこの場を用意しました」
その言葉と共にルカの言葉は途切れて話は終了するのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:41
PP:725
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:1394
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:984
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