東方魔法録~Witches fell in love with him.
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48 修行~When others don't see her , that's the girl for you.
前書き
どうも、お久しぶりです。初めての方は素直に0話から見ましょう。
パチュリーがさらっと不老不死になります。見逃さないように。
「え~なんで!」
私は何時も何時もしつこいお母さんと喧嘩をしていた。
「外に出ないで家に居なさい!」
「なんで!家の中つまんないもん!」
「外は今危ないの!大人しくしてなさい!」
お母さんの主張は最近、子供を狙った殺人が起きてるから外に出るなというものだった。だからと言って家の外に出るなと言うのも言い過ぎだよ!
実際には魔法の森という普通だったら危険きわまりない所に行くんだけどね…。それ抜きでも家から出るなと言うのは押さえ付けられているようで反発したくなる。
「ぶー!ぶー!」
「そのぶーぶー言うのを止めなさい!」
「まあ、まあ。母さんも魔理沙も落ち着いて」
何時ものようにお父さんが仲裁に入る。
「流石に家から出るなは言い過ぎだよ。でも危ないのは変わらない。だから妥協点として僕が一緒に外にいこう」
お父さんは何時もそうやって妥協点を示してくる。でも、魔法の修行を秘密にしてる私にそれは妥協出来ない。
「嫌だ!それだったら、けーね先生の所に行く!」
けーね先生は妖怪にも負けない強さを持つ人里の守護者で、寺子屋の先生でもある。とても優しい先生で、人里で先生を信頼していない人はいない。その先生の名前を出せばこの通り。
「慧音先生だったら…」
「早めに帰って来なさいよ」
「うん!」
私は箒と師匠から貸してもらった本を手に家から飛び出していった。勿論、向かう先はけーね先生の所じゃなくて魔法の森だけど。
「師匠ー!今日も宜しくお願いします!」
「ん。それじゃ始めようか」
師匠は吸血鬼で日光に当たるのは良くないからアリスの家で修行をする。
始め、師匠が吸血鬼だと言うことを聞かされてとってもビックリした。吸血鬼はどんな妖怪か全然分からなかったけど。
でも、全然怖くなかった。あんまり師匠が妖怪だと思えなかったし、私を助けてくれたからかもしれない。…師匠になら襲われても良いかなーと一瞬思った私は変…かな…?
「…りさ…魔理沙!」
「ひゃい!?」
「ボーッとしてたけど、どうした?」
「ちょっとだけ考え事してだけ」
「そう。じゃあその本、どこまで読んだ?」
師匠から貸してもらった本を指差して私に聞いた。私はその質問に顔をニンマリさせながら言った。
「全部!」
師匠は少しだけビックリした顔をした。ニシシ。本をもらって1日で読めたらビックリするだろうと思って頑張った甲斐があった。
「そうか。魔理沙は凄いな」
「えへへ…」
師匠は私の頭を撫でてくれた。ふと、視界に入ったアリスの顔は何だか羨ましそうだった。そう言えば何でアリスの家なのかな…もしかして二人は恋人…?
そう思うと、胸の辺りがちくちくして苦しくなった。
「全部読んだか…だったら魔力を制御する練習だね」
「え?でも私は魔法なんて…」
「何言ってんだ?膨大な潜在魔力があるのに」
「ええ!?私魔力があるの!?」
何を驚いているか不思議に思うかも知れないけど、普通の人間には魔力は無いんだって。もし、普通の人間が魔法を使いたいなら、道具を使って魔法を『起こす』しかない。例えば火を考えると分かりやすいよ。火は普通道具なしで起こせないでしょ?
だから私は薬を調合して魔法を作っていたんだけど…。
「あ、そっか。ええっと。魔理沙って両親の髪の毛の色は?」
「ふぇ…?黒だけど…?」
「でも魔理沙は綺麗な金色でしょ?」
キ、キ、キレイ!?私の髪が綺麗!?癖っ毛で今まで褒められたことないのに…!キレイキレイキレイキレイ私がキレイキレイキレイ…うへへ…。
「多分、魔理沙の家系に誰かいたんだよ、魔法使いが。その人から受け継いだ遺伝子がいきなり隔世遺伝として現れたんだと思う」
「えへへ…」
「魔理沙聞いてる?」
「うへ?」
「聞いてなかったな。ちょっと難しかったか。要は遠い先祖に魔法使いがいたから魔理沙は魔力をもってるってこと」
そーなのかー。ご先祖様に魔法使いがいたのかー。嬉しい話だなぁ。今まで大人(師匠は別。そもそも人じゃないし)に感謝したことなかったけど初めて感謝したくなった。
そうじゃなかったら師匠に出会えていなかったかもしれないから。
さて、漸くエイジャ…じゃなかった。賢者の石が出来た。
完成した時は明希が頭を撫でてくれながらキスをしてくれて凄く嬉しかった。きっと私の顔は蕩けきっていたに違いない。
賢者の石と一口に言っても沢山の種類がある。
何億ものホ〇ミスライムを閉じ込めた宇宙空間を圧縮して石状にした物や、金塊、オリハルコン、せかいじゅのしずくか、オリハルコン、さえずりのみつ、シルバーオーブを錬金釜に放り込んだり、人間を材料にしていたりする。私のレシピは秘密だけどね。
効果も様々でホムンクルスは勿論のこと、不老不死の命の水を作れたり、高速回復、どんな金属も黄金に変えたり出来る。
これを使って一先ず命の水を作り不老不死になって、レミィにこれからフランの狂気を取り除きにいくと言う伝言を小悪魔にさせてから図書館から直接、フランのいる地下室へ向かった。
薄暗い地下の廊下を魔法の明かりを頼りに一人で進んで、フランの部屋の前までくる。
コンコンとドアをノックした。
『誰?美鈴?』
「いえ、パチュリーよ」
ガチャとドアが開いて、中からひょっこりとフランが現れた。
「どうしたの?パチュリー」
「ちょっといいかしら?話があるの」
「いいよ。入って」
私はフランの部屋に入った。フランの部屋は壁に引っ掻き傷や、蜘蛛の巣みたいにヒビが入っていた。家具はボロボロでベッドだけは壊れる度に取り替えているのか新しいものだった。
私とフランは壊れかけの椅子に腰掛けた。
「あのねパチュリー。せっかく来てもらったんだけど…」
「わかってる。その話をしにきたの」
~少女説明中~
「え…」
「言った通りよ。貴女は私に任せて置けばいいの」
フランは涙目になり、何度も聞いてきた。
「本当に…?」
「本当よ」
「本当の本当に?」
「本当の本当に」
「本当の本当の本当に?」
「本当の本当の本当の本当に。大丈夫。今まで辛かったね…」
「うっ…ぐすっ…うぇぇぇえん!!」
フランは泣いて私の胸顔を埋めて抱き付いた。私はフランの頭を撫でながらあやした。
「よしよし」
「ひっく、うぅ…」
見た目相応に大泣きしたフランはとても狂っているように見えなかった。
「うぅ…」
「ほらほら、泣くのを止めて早くしましょ?」
「うぅ、ち、違うの…」
私はハッとした。フランの雰囲気が変わっていている。
ま、まさか…!
「アハ」
フランの目からはハイライトが消えていて、背筋の凍るような笑顔をしていた。
「ソノ首をきュッテしてみタら―したくない!―ぐちゅぐちゅっておニくをかき混ぜて―だめ!―ツメをイチまイイちマい剥がして― ―メをクりぬいて― ―脳味噌ヲ引キズリ出シタラ―『ゾクゾクシテタノシイカシラ』?」
「……!」
私はすかさず賢者の石を掲げた。
「コレハ…!」
賢者の石はフランを吸い込み始めた。
狂ったフランは抵抗しようとするが、まるで西遊記に出てくる瓢箪の紅葫蘆(べにひさご)のようにあっという間にフランを吸い込んでしまった。
石の中にはどろどろに溶かす液体や、何億ものホイミス〇イムのかわりに何兆ものホムンクルスがいる。宇宙空間のような果てしない空間にフランがいるのがわかる。私はフランが殺戮を繰り返す光景を見守るために図書室に戻っていった。
「そう。パチェはやってくれるのね」
パチェの使い魔の小悪魔からパチェの伝言を聞いた。
「はい!これで妹様も何時でも一緒にいられますね!」
「気が早いし、まだ確定した訳じゃないわよ。でも、私も信じて待っているわ」
小悪魔にはそう言ったけど、私の運命のビジョンにはフランの笑顔が僅かながら見え始めている。狂気で分からなかったフランの運命が少しずつ動いているのが分かる。
私は良い友達を持った。気まぐれに召喚に応えた時からは想像出来ないほどに親しい者に囲まれている。運命を操る私が言うのも変だけど、人生は何が起こるかわからないわね。
「では私は失礼します」
「ええ」
そう言って小悪魔が私の部屋から出ていった。
「御嬢様!」
小悪魔と入れ替わるように今度は美鈴が部屋に入ってきた。
「どうしたのかしら。そんなに急いで」
「えっとですね…あの銀髪の子がいなくなったんです」
「目を覚ましたのね。よかったじゃない。それで?屋敷をよく探したのかしら?」
「まだですけど。一応御嬢様に伝えておこうと思って」
「わかったわ。もしかしたら出ていったのかもしれないし、屋敷中で迷子になってるかもしれないわね。私も探してみるわ」
「そんな…御嬢様の手を煩わせるわけには」
「いいのよ。暇潰しにもなるし」
「そうですか…。では私はこれで」
美鈴はドアを開けたまま部屋を飛び出して行った。さて、私も散歩がてら探してみましょうか。
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座ってばかりじゃ体は鈍るわね。まあ、屋敷中だけでもこの小さな体………
「…………!」←自分で小さいと言っちゃって自己嫌悪中。端から見たらカリスマガード
私だってもう500年近くは生きてるのよ…?もうちょっと背とか胸とかおっきくなっても良い筈なのに…!
暫く歩いていると物置部屋から音が聞こえた。
私はその部屋のドアを開けると案の定、明希が拾ってきた子供がいた。
物を漁っていたようだった子供は、私がきて驚いていた。
が、次の瞬間に少女はそこから姿を消して私の喉にナイフを突き立てていた。
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