全てを賭けて
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八章
「認めてくれたうえにな」
「厚遇も与えられるとなると」
「皇帝の為に戦うのは当然だ」
その認めてくれて厚遇してくれる相手だからだ。
「そういうことだ」
「イエニチェリの強さの理由はそこですね」
「鉄砲を持っていて訓練が厳しいだけれではない」
「国力もあって」
軍を支えるそれもだ。
「それに何よりもだ」
「その心だったのですね」
「強いのも当然だ、彼等がな」
「敵として、ですね」
「それがわかった」
それもよく、と言うのだった。
「実にな」
「全くですね」
「これからも彼等が来ればな」
イエニチェリが戦場にだ。
「苦労させられるな」
「そうですね、非常に」
ヒメルスは苦い顔で主に答えた。
「あれだけの者達が相手だと」
「ではだ」
ここまで話してだ、そのうえで子爵はそのヒメルスに言った。
「我等の陛下の下に戻りな」
「このことをお伝えしますか」
「そうする、今からな」
こう言ってだった、子爵はヒメルスと共にカール五世の下に戻るのだった。そしてカール一世は彼の報告に苦い顔で唸った、彼等のことを知って。
全てを賭けて 完
2014・4・22
ページ上へ戻る