【IS】例えばこんな生活は。

チェックし直したけど想像以上に弄るところなかったのでもういいやと思って再公開しました。
連載当初ゴエモンのキャラが定まってなかったこともあって、最初期の話はいろいろと加筆調整されてます。 

　
10月2日　箒の日記

ゴエモンが･･･ジェーンとさらに距離を近めていないか？あのアリーナ大惨事で喧嘩したようだが、なんで仲良くなっているんだ！？くうう、なんだか納得いかん。
納得いかないのでゴエモンの隣で晩御飯を食べてやった。ちょっと疲れている様子だったので･･･その、あーんとか色々やってみた。ゴエモンの奴、なんだかちょっと母親や姉弟に甘えてるみたいでいつも以上にゆるい顔をしている。ついついその顔をもっと見たくて飲み物を上げたり口元を拭いたり必要以上に世話を焼いてしまった。

「ゴエモンは女に護られたり女に世話を焼かれたりだらしない奴に見えるが、不思議と許される気がするぞ主様」
「私もそう思う、ツバキ」

あんたらはダメ女か、と鈴音に突っ込まれた。だがゴエモンには人を駄目にする機能が備わっているに違いない。

「何故ならセシリア･･･お前だってゴエモンの弟に駄目女にされた経験があるだろう！ウツホもだ！」
「うっ！？今になって思い返せば否定出来ませんわ･･･！」
「ダメオンナ？･･･データベースによるとダメは確か･･･『打つ価値のない場所』を意味する囲碁用語だね！ねーねー合ってる虚ー？」
「ええ、合ってるわ。そこに置いても意味が無い目･･･つまりつまらないものを意味する『駄』と碁盤の『目』で駄目という言葉が生まれたのよ。よくできました！特別に評価点に入れておいてあげるわね」
「ぃやったー！虚だいすきっ！」

ダブルウツホのマイペースぶりにちょっと場が和んだ。しかし、虚先輩はそれでいいんですか？その評価結構重要なものだったんじゃ･･･
何はともあれ今度食事に誘ってくれるそうだ。えっと、次の休みはいつだったか。カレンダーに書いておこう。べ、べつに楽しみになんてしてないぞ！



10月3日　ジェーンの報告書

取り敢えず、ゴエモンとの話はうやむやになったが、代わりにオウカを味方に取り込むことが出来た。極秘裏に協力を認めたオウカは、今回の件で「もしまた私が自分を見失っても、ジェーンなら止めてくれるよね？」と言ってきた。内心で学園祭騒動を引きずっていたのだろう。それほど思い悩んでいるのにゴエモンの一声で離れられなくなってしまうのだから、あいつもツミなオトコだ。多分篠ノ之が微妙に熱のこもった目線を向けていることにも気付いていないのだろう。

･･････本当に、気付いていないのか？

たった今疑問に思ったが、ゴエモンが人の好意を減点方式で捉えているとトラッシュは言っていた。つまり、篠ノ之が寂しそう、切なそうにしていればゴエモンはいち早くそれを察して「何かあったのか」と聞いたりなんなりする筈ではないのか？一応食事の誘いをしたようだが･･････どうも対応としてはしっくりこない気がする。

分からなくなってゴエモンの日記を見直す。デートの約束の後に「ちょっと不安」というワードがあるのが少々気になった。人を食事に誘った経験が無いという意味にも取れるが、ゴエモンがそんなことで今更不安がるだろうか？
まさか、意図的に気付かないふりをしていた･･･のか？しかし･･･だとしたら何故？理由が分からない。



10月4日

今日はゴエモンの様子がおかしかったが、こんなことが確か前にもあった。ええと、これだ。9月24日。どうも、どちらもオウカについてか？最初の悩みは長続きはしていない事を鑑(かんが)みると、今回のこれも明日には立ち直っている可能性が高い。
けど、立ち直るって何だ。能天気に手足が生えたこの天然野郎が立ち直るのに一日を要するとも考えられるんじゃないのか？･･･そういえば、人間形態のオウカと篠ノ之は結構顔が似ている。何か関係があるかもしれない。

そういえば、トラッシュからメッセージが届いているようだ。
『ヒント：彼の弟』･･････あいつはどうも真相に目星がついているらしい。ちょっと調べてみるか･･･



10月5日　リューガの無差別ファイル

ジェーン、あいつ面白すぎる体してやがるな。疲れたらロリになるとか漫画のキャラかよ。どんどん人間から離れていくが、寿命とかは人間準拠みたいだ。ウルーヴヘジン計画･･･ドイツもまさか自分の作った人間があんなことになるとは思っていなかったろう。

まあそれはそれとして、ゾルダーク技研新入生候補の簪が持ちこんだ計画、今までは物資を仕入れるのに手間取っていたようが状況が一変した。なんとこの前から部屋に籠ってた束(ねーちゃん)がふらっと整備室に現れて「なにこれ超面白そう！」と勝手に参加してきたのだ。これはいろいろと嬉しい誤算だ。

作業効率もだが、ねーちゃんが漸く元気を取り戻したことが･･･な。結構根気よく説得とかしたから､甲斐があったかな･･････しかし、他人に物を教えるねーちゃんとか凄いレアな光景だ。きっと親父もこの人間的成長に喜ぶだろう。
さて、俺もいろいろ準備をばせねばな。ふふふ。



10月6日　ラウラ軍人日記

ゴエモンがとうとう私達と本当の家族になる決心を固めたようだ。ふふふ、大家族になるなぁ。ゴエモンだろ、ジェーンだろ、おっとオウカ、ニヒロ、レンの3人も忘れていないぞ？クロエとウツホは篠ノ之博士の養子となっているが、公的なあれは存在しないし姉妹であることには変わりない！

それにゴエモンの母君が私の母君にもなって、更には弟の弟である宋詞朗もだ。全部でええと、8人家族+αか！ついでにIS情報によると篠ノ之がゴエモンに気があるという話なので、もしここで上手く繋がれば篠ノ之家族とも家族になって更に人数が増えるぞ！大家族計画だふふふ。まてよ、確かウツホは一夏に気があったな･･･こっちもうまくいけば教官も家族に！？

これでもう――もう、あの時みたいな寂しい思いは一生せずに済む。
さあ、そうと決まればクラリッサに報告だ･･･策を巡らさねばな。ふふふ･･･ふははは･･･あーっはっはっはっはっはっはっは！！



10月7日　ジェーンの報告書

･･････ゴエモンの弟と、ついでに母親の方も調べてみた。

弟に関しては･･･患った難病の名前を網膜色素変性症というようだ。とはいえあのIS技術を応用したサングラスがあれば、不便はあれど生活に困るほど影響はしないだろう。しかし、トラッシュの言っていたヒントが分からない。前夫の死後まもなく生まれているのが珍しいくらいだ。タイミングからして夫の死亡直前に宿った命のようだ。父の忘れ形見、とでも言うべきか。

むしろ気になるのが母親の光子(ひかるこ)のほうだ。13歳という若さで妊娠し、実家に一方的に勘当され、20歳で夫と結婚するまで相当に辛い人生を歩んだようだ。結婚後も近所での評判など色々と苦労が絶えなかったらしい。

･･･ゴエモンの父親はつまり、誰か分からない。血の繋がった父親はゴエモンを子供として認知せずにどこかに雲隠れしてそれっきりらしい。前にゴエモンがデュノア社の社長に激昂したことがあったが、きっとこの父親と重ねたのだろう。思わぬ真田家の闇を知ってしまい、どこか心に罪悪感を覚えた。

そうだ、少し家族と言うものに夢を見過ぎた。皆、人間なんだ。私程でなくとも、こういった暗い部分を持っていてもおかしくはない。･･････もし、うしおとほむらが遺伝子の繋がった子供だと知ったらあいつはどんな顔をするんだろうか。
あのお人よしは、逃げ”られ”ないだろう。それが負担になる位なら･･････でも、あの二人はゴエモンを父親だと知っているんだ。私は･･････どうしたらいいだろう。

･･････S.A.総出で知恵を出してもらおう。取り敢えず、ゴエモン優先だ。



10月8日　生徒会長手帳

簪ちゃんううぅぅわああああああああああああん！！お゛がえり！超お゛がえり！ぼう、ぼうがえっでごないがどぉぉぉぉ！！！ふぅわああああああああああん！！！ああああああああああああああ！！
（以下、暫く激情の奔流がつらつらと書かれている）

･･･ふう、話は変わるけど、今度「亡国機業」殲滅戦することになったわ。実は簪ちゃんが覇者(ハシャ)いでフライングインザスカーイしてる途中に機業の本拠地らしい場所を発見したみたい。いきなり秘密がばれちゃったね･･･妨害に無人機が沢山出て来たけど簪タイタスはそんなものものともせず無双して、きっちりデータを取って帰ってきたみたい。流石妹！そしてフタバちゃんもイイコイイコ！！

S.A.と専用機持ちによる電撃戦によって、明日決着をつける！！この情報･･･クラスのミンナニハナイショダヨ！！

『いつにも増して気持ち悪いわよ、楯無』
「･･･せっかくだから刀奈って呼んでもいいのよ？」
『やぁよ、大切な人のために取ってるんでしょ？なら自分の真名くらいもっと高く売りなさい』

なんか女子力でミリアに負けた気がする。
　 

唐突な死刑宣告来たれり。
ゴエモンとジェーンの物語にも決着（？）が迫ってます。