ドリトル先生と伊予のカワウソ
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第十幕その三
「わしの趣味の一つじゃ」
「そうでしたか」
「うむ、ちなみに得意料理は蕎麦じゃ」
「たぬきそばですね」
「やはりこれは欠かせぬ」
狸として、というのです。
「たぬきそばなくして何の狸生か」
「だからですか」
「自分で蕎麦を打って茹でてな」
「たぬきそばを召し上がられているのですね」
「そうじゃ」
まさにというのです。
「時々作って食べておるわ」
「そうなのですか」
「そうじゃ、だから明日はな」
「長老さんもですか」
「腕によりをかけてな」
そうしてというのです。
「美味いものを作るわ」
「では頑張って下さい」
「そうする、明日はな」
「さて、そろそろ」
動物達もいます、ポリネシアが先生の少し上を飛びながら言いました。
「見えてきたわよ」
「お屋敷がだね」
「ええ、先の方にね」
あのイギリスのお屋敷が見えてきたというのです。
「少しだけれどね」
「ではもう少し歩けば」
「パーティーね」
「うん、楽しみだね」
「そうね、私達もね」
ポリネシアも楽しそうにいうのでした。
「お茶を楽しめるわ」
「お菓子もね」
「そうそう、甘いものも」
ガブガブとチーチーも言います。
「さて、今回はね」
「かなり楽しみだよ」
「ふむ、楽しみということはじゃ」
長老さんは動物さん達のお話を聞いてふと思いました。
「案外味はよいのかものう」
「いいと思いますよ」
先生は笑顔で答えました。
「期待されていいかと」
「そうなのか」
「まあまずはお屋敷に入られて」
「それからじゃな」
「そうです、まずはカワウソさん達とお会いしましょう」
「それでは」
「もうすぐだよ」
「あと少しで」
今度はジップとダブダブが言います。
「お屋敷だよ」
「あの角を曲がれば」
まさにその角を曲がればでした、後はお屋敷でした。そして実際にです。
先生達一行はお屋敷に来ました、門から案内されてです。
そうしてお庭に入るとです、老紳士と後ろに並ぶイギリスの執事さんやメイドさん、従者や庭師といった格好をして人間の服を着ているカワウソさん達が出迎えてくれました、見ればその数は。
「二百人かのう」
「それ位ですね」
「僕達と同じ位ですね」
狸さん達も長老さんと先生一行の後ろに並んでいます、そのうえで長老さんに応えるのでした。
「大体ですね」
「数は」
「そうじゃな、しかも」
ここで長老さんはカワウソさん達を見て言いました。
「悪い人達ではない」
「そうですね、悪い気配はないです」
「そういうのは」
「この人達となら」
「仲良く出来ますね」
「そうじゃな」
まずはこのことに喜ぶ狸さん達でした、長老さんを含めて。
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