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ロックマンX~5つの希望~

作者:setuna
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第三話 アクセルSIDE2

 
前書き
遂にX4のルインのデータを使える…。 

 
ライドチェイサーで夜の街を疾走する。
高速のチェイサーは真夜中の静かな空気を行く手を阻む壁となる。
その時、ルナの通信機に通信が来る。
2人は一時ライドチェイサーを停めた。

ルナ「こちらルナ」

アイリス『ごめんなさいルナ。えっと…彼は近くにいるかしら?』

アクセル「僕のこと?」

アクセルは身を乗り出した。
ルナの腕の通信機に、ぐっと顔を近づける。

アイリス『通信機は内蔵されてる?これからの任務のために、周波数を合わせて欲しいの。連絡が取れないと困るから?』

頷いたアクセルは、アイリスの指示通りに周波数を合わせた。
通信機を起動させると、すぐに音声が入る。

アイリス『……大丈夫そうね。そうそう、始めましてアクセル。私はアイリス。オペレーターとしてあなた達のサポートをするわ。よろしくね』

アクセル「うん。よろしく、アイリス」

名前を覚えていてもらえたのが嬉しかったのか、アクセルは通信機に向かって破顔した。
アイリスは笑みを浮かべた後、その明朗な声を一変させて、仕事仕様の真剣な声音になる。

アイリス『ところで、アクセルに聞きたいことがあるの』

アクセル「うん、何?」

アイリス『さっきのレッドアラートからの通信をいくら解析しても、発信源が割り出せなかったの。多分、特殊なステルスを使ってるのね……そこで、各地のイレギュラーを捕まえながら同時進行でアジトを探ろうと思うんだけど……アクセル、 大まかでいいから場所の説明を出来ないかしら?』

エイリアの問いにアクセルは、肩を落とした。

アクセル「実は、僕が抜け出してきたのは旧アジトなんだ。明日、新しいアジトに移るって言われて、慌てて抜け出したんだよ。新しいアジトは空中要塞だっていうの、 みんなは隠してたみたいだけど、薄々気付いてたから…」

アイリスも傍で聞いていたルナも、一瞬息を呑む。

アイリス『空中要塞……!?そんなものが……』

アクセル「多分、僕が逃げ出したからさっさと引っ越しちゃったんだね」

アクセルはあっけらかんとしていたが、ルナはその言葉の中に含みを感じた。
まるで、レッドアラートはアクセルが抜け出すことを予想し、そしてそれを阻止しようとしていたかのような言い回しだ。

アクセル「ごめんね、役に立てなくて……」

アイリス『……そういうことなら仕方ないわ。引き止めてごめんなさい。気をつけて2人共』

ルナ「了解」

アクセル「了解!!」

2人はライドチェイサーに再び跨がり、セントラルサーキットに向かう。

ルナ「ところでアクセル」

アクセル「ん?何」

ルナ「お前、レッドアラートのメンバーだろ?向こうの主力メンバーでここをバトルエリアにするような奴ってどんな奴なんだ?」

アクセル「イノブスキーに決まってる」

ルナ「イノブスキー?誰だそりゃ?」

アクセル「レッドアラート一の熱血漢。身体をバイクみたいな形に変えられて、もの凄いスピードを出すよ。攻撃はホイールとかも使うけど…基本突進」

ルナ「成程、猪突猛進の馬鹿か…にしてもセントラルサーキットに爆弾仕掛けるなんてイカれた野郎だ」

アクセル「何か問題があるの?」

ルナ「ああ、セントラルサーキットっていうのはな、シティ・アーベルにある1番大きな高速道路でな。避難や物資の流通にも使われてるんだ。破壊されたら民間人の避難も物資の補給もままならないし莫大な被害が出るんだ」

アクセル「ええ!?それって…」

ルナ「ああ、やばい…アクセル、お前ライドチェイサーの経験は?」

アクセル「えっと…ライドチェイサーってあんまり乗ったこと無いんだ。仕事でもたまにしか乗らないから」

ルナ「分かった。じゃあ爆弾は俺が回収すっから、お前は敵の撃破を任せた」

アクセル「OK」

流石にライドチェイサーの操縦経験の少ないアクセルに敵を撃破しつつ爆弾回収の作業をやらせるわけにはいかずライドチェイサーの扱いに慣れたルナが爆弾を回収し、アクセルが敵撃破の作業をする。
すると後方から何かが近付いてくる音がした。
振り返れば、猪を模した姿のレプリロイドが走ってくる。

アクセル「イノブスキー!!」

ルナ「え?」

バイクのような姿に変形したイノブスキーに、アクセルは笑いかけた。

アクセル「やあ、“総長”!!元気そうだね。あんたを狩りに来たよ!!」

イノブスキー「て、てめぇ!!レッドに拾われたくせにいぃ!!恩を仇で返そうってかあぁ!?それでも漢かっ?ああ!?」

大音量の怒鳴り声に、ルナは顔を顰める。
アクセルは肩を竦めた。

アクセル「そんなに鼻息荒くしなくても……それに、これはある意味、恩返しだと思ってるしね」

イノブスキー「ブヒイィィ!!何だとぉ!!?」

ルナ「うるせえな…お前が“ヘッド”か?」

イノブスキー「へ、ヘッド~!?そんな恥ずかしい名前で呼びやがって、総長と呼べ!!」

質問の答えになっていない。

ルナ「いや、どっちでも同じだろうがよ。イレギュラーハンターとして暴走族を認めるわけにゃあいかんのでねえ!!」

イノブスキー「ぼ、暴走族ぅ!?てめぇ…」

ルナ「アクセル…こいつロードアタッカーズの残党か?」

ルナがアクセルに問う。

イノブスキー「てっ、てめぇ!!あんな雑魚と俺のチームを一緒にしやがる気か!?許せねぇ!!」

アクセル「あれ、総長ってロードライダーズの方じゃなかったっけ?」

イノブスキー「ブヒイィィ!!てめぇら…重ね重ねっ!!」

2人は無視を決め込み、黙々と回収を続行する。

ルナ「回収完了だぜ!!」

アクセル「敵撃破完了!!」

イノブスキー「…上等だオラァ!!」

突然スピードを上げ、2人の遥か先へ行く。
追いかけるように進めば、道路が分かれ、中心に向かって少し窪んだ円形のフィールドが出来上がっていた。
その、中心にいるイノブスキーは、ライドチェイサーを降りてフィールドの端に立った2人を指差す。

イノブスキー「タイマンでぶちのめしてやるぜぇ!!まずはどいつだ!!?」

アクセル「僕が相手だ!!」

イノブスキー「上等だ!!」

神速で走り抜けるイノブスキー。
アクセルが感知した時にはイノブスキーは既にアクセルの目の前にいた。
元々厳つい彼の顔が一層強面になっている。
並の戦士なら硬直して動けないだろうがアクセルは並の戦士ではない。
回避はしたが反撃は出来ない。

イノブスキー「遅えよ!!」

以前の何倍もの速度で走り抜けながら怒鳴る。

ルナ「速いな…」

あまりの速度にルナは感嘆の声を上げた。

イノブスキー「その程度で倒せると思ってんのか!!?」

車輪が地を刔るように走るムービンホイール。
ばら撒かれた武器破壊は手間がかかる。

アクセル「ふん、それでも止めて見せるさ。僕の信念の名の下にね」

イノブスキー「信念だとお!?ガキがいっちょ前な口叩くんじゃねえ!!」

猛スピードでアクセルに突進する。

アクセル「(速い!!)」

電磁壁に押し付けられる。
背中の衝撃がアクセルの脳天から爪先まで貫いて目の前に火花を散らした。

アクセル「うわあっ!!」

ルナ「アクセル!!」

イノブスキー「これでも減らず口が叩けるか!!」

アクセル「っ…何度でも言ってやるよ!!僕はレッドを止めてみせる!!レッドが何を考えているのかは知らないけど、僕にはレッドのやっていることを認められない!!だからあんたを倒すよ!!」

イノブスキー「行くぜオラァァ!!」

イノブスキーが再び猛スピードでアクセルに体当たりを喰らわせようとする。

ルナ「アクセル、カウンターだ!!」

アクセル「っ!!」

ルナに言われ、イノブスキーの体当たりが当たる寸前でバレットの弾丸がイノブスキーの急所を突いた。

イノブスキー「ブヒィィ!!」

ルナ「あんなスピードじゃあ、急な方向転換は出来ないと思ったけどまさかのドンピシャか」

だがイノブスキーは止まらなかった。
過度な改造のせいで走り続けなければならない身体になっていたのだ。
狂った方向感覚は的外れな方向に電磁ロープを破壊して直進した。

アクセル「イノブスキー!?」

ルナ「何だあいつ!?力のコントロールが出来ないのか!!?」

2人はライドチェイサーを走らせるとイノブスキーを追い掛ける。
万が一、イノブスキーが都市部に出たら大変なことになる。

ルナ「アクセル!!ダブルチャージで奴のタイヤをぶち抜くぞ!!」

アクセル「分かった!!」

2人はライドチェイサーのバスターをチャージし、チャージショットをイノブスキーのタイヤに炸裂させた。
タイヤをぶち抜かれ、イノブスキーは錐揉み回転しながら壁に激突した。
しばらくして砂煙が無くなり、何とか生きているイノブスキーの姿が…。

アクセル「イノブスキー…」

ルナ「何とか生きてるか…連行するか。」

アクセル「処分しなくていいの?」

ルナ「イレギュラーハンターはイレギュラーの処分だけじゃなくて更正もするんだ。こいつの場合は改造を受けているような感じがしたからな。まずは修理して事情を…」

簡易転送装置を使おうとした瞬間、衝撃波がイノブスキーを両断した。

ルナ「なっ!!?」

アクセル「イノブスキー!?」

両断された仲間を見て、目を見開くアクセル。
衝撃波が放たれた方向を見遣ると、緑色の小型の翼を持つアーマーを身に纏う青年と紫のアーマーを身に纏う青年が立っていた。

ルナ「誰だ!?」

「奴から話を聞いて此処まで来たがその程度か。」

緑色のアーマーを纏った青年が言う。

「奴があの男の最後の“作品”か…」

紫のアーマーを纏った青年の言葉にルナはアクセルに問う。

ルナ「アクセル、あいつらもレッドアラートの仲間か?」

アクセル「し、知らない…見たこともないよあんな奴ら…」

「失望したぞ、お前のような未熟者があの男の最後の作品とはな」

ルナ「てめえらは何者なんだ!?」

「…我が名はウェントス。風の戦士」

「俺の名はテネブラエ。闇の戦士」

アクセル「ウェントス…?テネブラエ…?」

テネブラエ「ウェントス、これ以上の長居は無用だ」

ルナ「敵を前にして逃げるつもりか?」

ウェントス「我らが逃げるのではない。お前達を見逃してやると言っているのだ。」

テネブラエ「俺達の目的はお前の実力を見るため、戦うためではない。俺達の目的は達した、ここにいる理由はない。」

ルナ「ケッ!!眼中にないってか!?」

ウェントス「その通りだ。お前達などいつでも始末出来る。その命預けておこう。次に会う時まで、精々腕を磨くがいい」

2人は転送の光に包まれ、次の瞬間消えていた。

ルナ「野郎…」

アクセル「イノブスキー…」

ルナ「大丈夫かアクセル?」

アクセル「あ…うん」

ルナ「ハンターベースに戻るぞ治療を受けないとな」

アクセル「うん、もうクタクタだよ…」

簡易転送装置を使い、ハンターベースに帰還する2人。



































エックス「緑の翼を持ったアーマーのレプリロイド?」

多忙なシグナスに代わり、報告を受けたエックスが目を見開いた。

ルナ「ああ、それから紫のアーマーで仮面みたいなメットとマフラーみてえなもん着けてるレプリロイドがイノブスキーを破壊しやがった。2人共ルインみたいなジャケットタイプのアーマーだった」

エックス「…ルナ、アクセル。もしかしてそいつらはこういう姿をしていなかったか?エイリア、少し」

エイリア「?ええ」

エックスはデータディスクを挿入すると最初の大戦時代のルインが映し出された。
右からHXアーマー、FXアーマー、PXアーマー、LXアーマーを装着したルインが映し出された。

アクセル「あ、これあいつらにそっくり…」

HXアーマーとPXアーマーを指差すアクセルにエックスは少し顔を顰めた。

エックス「これはかつてのシグマの反乱の時にルインが使っていたアーマーだ。レプリフォース大戦の時にデータが盗まれてしまったんだが…多分その時のデータを使われている可能性が高い」

ルナ「レッドアラートの仲間じゃなさそうだし…何者だろうな?」

エックス「分からない…しかしこれだけは言える。敵はレッドアラートだけじゃない。恐らく別の勢力がいるんだろう…奴らは何が目的なのか…」

アクセル「…考えたってしょうがないよ。あいつらが誰であってもレッドアラートを止めなきゃいけないんだから」

エックス「…そうだな。シグナスには俺が伝えておく。次の任務まで休んでいてくれ。それからアクセル、君の部屋なんだが、急なことで部屋を用意出来なかったのでルナと同室になるんだが…」

ルナ「え?」

エックス「すまない…女の子だから異性と同室は辛いだろうが…」

ルナ「いや、俺は別に構わねえけどアクセルは?」

アクセル「僕も構わないけど…」

異性を意識しない年齢である2人には何故エックスが申し訳なさそうにしているのか分からないらしい。
2人は疑問符を上げながら退室した。



































通路を歩く2人。
ふとアクセルは伝えていないことがあるのを思い出した。

アクセル「そうだ。言ってなかったよね?僕がレッドアラートを抜け出した理由を」

ルナ「ん?」

少しだけ視線を送ったルナの目に映ったのは、白い光に包まれる彼。
次の瞬間、彼の姿は、少年ではなくなっていた。

アクセル「レプリロイドの姿や能力を、そっくりそのままコピー出来る」

居たのは緑色のレプリロイド。
機械的な声に交じって、少年特有の高い声も聞こえる。
もう1度白い光を放ち、ほぼ一瞬後に元の姿に戻った。

アクセル「…でも、完璧じゃないんだ。コピーショットを使っても、完全にコピー出来るのは、僕に似た大きさのレプリロイドじゃなきゃ駄目みたいなんだ。それ以上の大きさだと短い時間しかコピー出来ないみたい」

アクセルはルナの反応を見たが、ルナの表情は驚愕というより意外そうな表情である。

ルナ「へえ、驚いたぜ。まさか俺と同じコピー能力持ちとはな」

アクセル「へ?」

目を見開くアクセルにルナも白い光に包まれる。
次の瞬間、現れたのはイノブスキーである。

アクセル「え、ええ!?変身出来るの!?」

ルナ「驚いたか?コピー能力は俺も持ってるんだよ」

イノブスキーの声にルナの声が混じっている。
次の瞬間、ルナも元に戻る。

ルナ「でもな、俺のコピー能力も完璧じゃねえんだわ。コピーする奴の大きさは問わねえけど、能力はオリジナルよりどこか劣化しちまう。まあ、俺自身どうしてこんな能力があるのかさっぱりなんだ」

アクセル「どうして?」

ルナ「エックスにも話したけど俺、誰に造られたのかさっぱり分からないんだ。気づけば何もない荒野で倒れてて、世界を放浪していた時、たまたまジャンク屋を営んでいたじいさんに拾われて、この名前もじいさんがつけてくれたんだ。俺が拾われたのが月夜だったって単純な理由でさ、まあ気に入ってるからいいんだけどさ。だから俺の本当の名前を知る奴はどこにもいない」

アクセル「ご、ごめん…」

悪いことを聞いたとアクセルは謝罪する。

ルナ「気にしてねえよ。で?お前は?」

アクセル「あ、うん。実は僕も、どうしてこんな能力が使えるのか分かんないんだ……」

いきなり沈んだ声音になったことも訝しんだが、話の内容に引っかかりを覚えた。

ルナ「分からないって、お前も自分のことが分からないのかよ?」

正面から彼を見て尋ねると、いよいよ暗い表情になって俯いてしまう。

アクセル「……昔のことは覚えてないんだ、僕も。…レッドに拾われて、この能力のおかげで強敵を倒して来たんだ……。この名前もレッドがくれたんだ“アクセル”…“突き進む”って意味なんだってさ」

ルナ「そっか…お互いコピー能力持ちで記憶喪失か。奇妙な縁だな…よし、奇妙な縁ついでに部屋に着いたら新しい武器造ってやるよ。」



































ルナがアクセルを部屋に入れるとかなり広いスペースの部屋だ。
この部屋にはルナが拠点で使っていた機材を置いているために、自然と広くなってしまう。
武器開発などに使われるラボラトリーとしての機能を有している。

ルナ「ほわちゃあああ!!」

アクセル「うわっ!?」

ルナはドライバーなどの道具を持つと凄まじい勢いで組み立てていく。
あまりの凄業(すごわざ)にアクセルは恐る恐る話しかける。

アクセル「えっと…何の武器を造るの?」

ルナ「イノブスキーのムービンホイールだっけ?あれを元にした武器だよ。能力をコピー出来るんだろうけど、お前の場合、銃にした方が良さそうだ。よし出来た」

アクセル「早っ!?」

ルナが手渡したのは青を基調とした銃である。
銃口と思われる箇所には輪のような物がついている。

アクセル「ちょっとでかいね」

アサルトライフル並の大きさの銃をマジマジと見るアクセルにルナは苦笑した。

ルナ「奴の武器のでかさを考えると銃自体もでかくなる。その銃、スピンホイールはバレットと同じ感覚で撃てる。ここでの試射は勘弁な」

アクセル「うん。ありがとう」

ルナ「ところで持ち運びはどうする?」

アクセル「あ、大丈夫。変身の応用で武器を粒子化出来るから」

ルナ「お前も出来るのかよ」

こうして同じコピー能力を持つレプリロイドの2人は会話を弾ませていく。 
 

 
後書き
イノブスキー終了。
アクセルの特殊武器はX8のように銃器を扱う予定。

オリジナル特殊武器。

スピンホイール

前方に地を這うエネルギー状の光輪を発射する。
外見はロックマンゼクスアドベントの雑魚敵のチェンメランを銃にしたような形。
 
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