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第4話 学院長は知っている
歯の並んだアゴだけの魔精霊を相手にしたのは、結局はクレアがしんがりになった。しかし、そのカミトとのやりとりの中で、クレアが魔精霊を契約精霊としようというのは、はっきりした。
カミトがが「俺は、あいつの契約精霊だ」といって、エリスがとめようとしたのをすり抜けてクレアの方に向かっていった。
俺は武器を手元からなくした状態にして、エリスのウインドウオール<風絶障壁>の中いた。いざとなれば、まずはクレア、そしてカミトを助けられるように、鎧の高速飛翔能力を用意しておいた。しかし、カミトの手には片刃の長剣が無事に握られて、魔精霊を切って倒したあとに、少しばかりクレアと話している最中にぶっ倒れた。カムイの使い過ぎだろう。
その後は、リンスレットの魔氷精霊フェンリルにシルフィードの3人と、カミトを乗せて女子寮に戻っていったが、俺は虚ろな瞳をしたクレアの手をひいて、一緒に戻った。クレアの部屋の前で
「クレア。部屋の鍵はかけて寝るんだぞ」
そう、声をかけたが、何も答えずに部屋へ入ったが、ドアのかぎがかかる音は聞こえたので、まずは一安心だが、明日はそういえば、<軍用精霊>の契約式典があったっけ。記憶はすでに不確かだが、そこで凶精霊とカミトと契約していた闇精霊が来るんだったよなと思いながら、部屋に戻ったところで、リンスレットたちと合った。
「それで、寝ているカミトに何を使用としているのかな?」
「何って、濡れているから服を寝間着に着せ替え用としているだけですわ」
なんか、濡れていないパンツまで脱がせようとしていたように見えたけれど、まあ、いいか。
「ところでタオルは?」
「もちろん用意してありますわ」
仕方がないので、俺もカミトの着せ替えは手伝ったが、例によって、実際に動いているのはリンスレットか。こういう仕事はメイドであるキャロルが行うことのはずなんだけど、ほとんどできないんだよな。学内の情報とか集めるのには、なぜかうまいのだが。それで、リンスレットのベッドに運ぶというので、そこまでは手伝った。
「あとは、悪いけど、決闘前に寝ていなかったから寝かせてもらうわ」
「そういえば、貴女はいつも決闘の前って、寝てませんでしたわね」
「っということで」
翌朝、朝食とのことで、普段ならパジャマ姿のまま起きだして食事をするのだが、今日はカミトがいるんだっけと思って、制服姿に着替えてから、食事を始めた。朝食の合間に、何やら、リンスレットとキャロルが、時々リンスレットの部屋へ覗きに行っている。
最初に食事が終わったのは俺だったので、食器だけはキッチンにさげて、カミトが寝ているリンスレットの寝室へとつながる階段を上っていき、ドアを開けるとカミトはまだ寝ていたが、掛け布団は腰より下のあたりが多少ふくらんでいる。剣精霊が人間体としてでもいるのだろうと思って、ちょっかいをかけないで、授業に行く準備をすることにした。
今日は<軍用精霊>の契約式典があるから午後は見学とさせてもらって、授業は午前中のみとしている。さらに、実技系の物もない。けど、授業を受ける前に学院長室に立ち寄ることにした。学院長室をノックすると、
「誰かね?」
「エルダ・アッシュです」
「入りたまえ」
部屋に入って軽く例をしたところで
「遅かったな」
「まだ、授業前ですよ」
「君の頭はそこまで悪かったのかね」
「早すぎるのは、女性に嫌われると聞いてまして」
って、昨日のうちに来るってみていたのか。
「まずは、要件だけは聞いてみよう」
「昨日は、男の精霊使いである、カゼハヤ・カミトがきましたね」
「それで?」
「あたしも女性から……」
俺は『封魔眼』に入っている男性から、女性へと変身するアイテムの効果を解いて
「こういうふうに男性へと戻って、魔法学院の生活を送りたいんだけど」
「入学前の時には、女性のままで過ごすと話していたはずだが」
「男性が編入するという前例ができましたね」
「なら、自分の住む場所を探すんだな」
「いや、カミトは寮に住んでいますよ」
「たしか、クレア・ルージュの奴隷精霊としてな。それとも、君もだれかの奴隷精霊になるかね?」
「さて、どうしましょうかね。とりあえずは、男性でも、住む場所を作れれば、いいのですね?」
「そういうことだ。他に要件は?」
「いえ、ありません」
「なら、話はここでおしまいだ」
学院長であるグレイワースの目の前で男性の姿から、女性の姿に戻って、学院長室をでることにした。
しかし、男性の姿になっても、あいかわらず驚かないな。この女性と男性を入れ替わる能力は、死神につけてもらった転生特典だ。
男性のベースとして死神が選んだのは、カミトのクローン。
当然、育った環境や、鍛え方の方法の違いに、転生体となる霊体の影響などや、俺の場合、血液型や、ヒフの色をいじっているので、カミトとは擬似兄弟みたいな感じか。カミトに告げる気はないし、言っても信じられるかどうか。
『封魔眼』の中に入っているので、眼をくりぬかれない限りは身体から離れない。この能力があることを知っているのは、人では両親とグレイワースだけだが、他だとピクシーたちは知っている。なにせ、同じ『封魔眼』の中にはいっていたのだからな。
しかし、思ったよりはすんなりすすんだが、どこに住むかは、結構問題だな。
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