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『自分:第1章』

作者:零那
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『Bar』

ビリヤード、ダーツ、カラオケ...意外と若者向けの店やし、若いメンズが入ってる店。
オッチャンの知り合い言うから、もっと落ち着いた大人のBarやと思ってた。

知り合いって何歳よ!って言うたら笑ってた。
カウンター内のメンズはタメか上でもハタチそこらにしか見えんかった。

1人がオッチャン見て慌てて奥入った。
で、30歳位の...ヤクザっぽいけど爽やか系の人が出てきた。

オッチャンが声かけた。
『やっりょんか?』

『おかげさまで!お客さんも安定してきました!』

オッチャンが息子のように可愛がってるらしい。
此の店のマスター。

『とりあえずコイツに適当に作ってやって。あとバーボン。』

『あ、バーボン聞いたことある!昔のデュエットであるやんね!』

『♪そ~ぉね~ダブルの~バ~アボ~ンを~♪』

オッチャン超ノリノリで歌ってくれた。

『そぉそれそれ!』

『歌うか?』

『無理無理無理無理!!!!!音痴やし!!てか知らんし!!』

『そんな拒否られたら聴きたくなるやんけ!』

『...上手過ぎて惚れるで?』

『ほぉ~♪じゃあ惚れたるわ♪』

『なんなん!どっちにしろイジメるんやん!』

『おまえほんまおもろいの~』

『遊ばんといて!』


『お待たせいたしました!飲みやすくしておりますカシスオレンジです。』

営業スマイルおもろい。
この人、表の客商売向かん。
他人のこと言えんけど。

『オレンジ?赤いのに?』

『カシスの色です。』

カシスって何?とか思いながら、こっちがヒキツりそうな位の無理ある笑顔に...思わず言ってしまった。

『営業スマイル結構です。肩凝るんで普通にして下さい。』

『えっ!!無理ありますか?!』

オッチャンが言う。

『おまえ笑わんもんの~自然な笑顔は難しいやろ!』

『毎日練習しよんですけどね...』

オッチャンが吹き出した。

『てか、これ好きじゃない。ほんまに酒?』

『酒です。』

オッチャンが違うやつ作っちゃれって言うてくれた。

『スクリュードライバーです。』

確かに笑わんで良い言うたけど、態度の変わりように笑えた。
オッチャンは豪快に笑ってた。

『おまえソレこいつやけん許されるんで?こいつも変わりもんやけんの。』

『ついに愛人ですか?』

『あほ!おまえの妹みたいなもんや!』

何故かマスターが哀しい目をして見てきた。

『若いのにえらいなぁ!!』

なんか急に熱く...

オッチャンがまた吹き出す。



『ちょー!汚いなぁさっきからぁ~』

『いやいやおまえらがオモロ過ぎなんやって!』

『組長酔うてますよね?』

『ほんまよ!いつもこんな飲まんし...』

『いやいや!てか組長だいぶ酒弱いっすから!』

『えっ!ほぉなん?殆ど毎日一緒に飲んでたよ!』

『えっ!!組長...やっぱ愛人じゃないんすか?』

『そんな女や無いわコイツは!!えらいやっちゃ!んな程度の低いもんになるやっちゃ無い!!』

『オッチャン酔うとるね。そんなエラくもないし不倫しょったし程度の低い奴よ零那は。』

無反応...
嫌われた?
反対側に向いた顔を覗きに行くと寝てた。

『俺は聞いて無い事にしとく!!』

マスターが無駄にキリッ!とした顔で言うから笑てしもた。

『別にええよ。事実やし。買い被られても困る。所詮そんな程度やで零那は。』


『ソルティドックです。』

グラスのフチの塩が異様...

『あ、なんかこれ好きかも♪』

『良かったです♪』

自然に笑った。
お互いタメ口。
お兄ちゃん出来た。

『昔、今みたいな感じの時あった。
中学の時から愛媛の施設行く迄、お父さん的立場の人が組長で、すんごい自分の為に色々してくれた。
で、ポンってお兄ちゃん出来た。

辛かったときに。
立場も状況も今と似てて、いろいろ思い出した。』

『何処の組?』

『ん~...やめとく。狭いし。敵対してたらイヤやし。』

『それは確かに...今は?』

『...逢ってない。逢おうと思えば逢えるけど関わらん方がアッチの為。』

『えっ!じゃあ俺らは?』

笑いながら言われた。

『大丈夫。今は...昔とは違うし。昔はいろいろあり過ぎたから...』

『...そっか、大丈夫!その人も心の中では心配してくれてる筈!』

『ありがとぉ...今は今で此処で寝てる人がお父さんやしね♪』

『俺が兄ちゃんや♪』

『いいねぇ♪家族や!嬉しい♪』

『おうっ!頼ってなんぼや!次どぉする?』

『ん~...そぉそぉアレできるん?綺麗な青いやつ!』

『あ~...了解!』

笑顔が超柔らかくなってる。
最初のは何だったん?

『甘っ!何コレ!でもホンマに綺麗な青なんやね♪』

『綺麗やろ♪』

『うん♪海月浮いてたら更に綺麗♪』

『...海月!』

笑い出す。
だって海っぽかったし。

『てか、カクテルってどんだけの種類あるん?』

『オリジナルで調合したら無限やで。』

『マジで!新メニュー開発して定番になったらすごいやんか♪』

オッチャン爆笑。

ごっつびびった。
てか寝よったやん。
寝たふり?

『おまえ、ほんっまエエわぁ~その真っ直ぐさは逸材。』

『確かに、さすが俺の妹。店の定番になったとしても世間の定番にはなかなかならんよ。でも、まぁ夢は見れるかな。』

『そっか...』

『...コレ、マティーニ。大人の味。』

『美味しく無い!!』

『あはははは!!』

一気に飲み干した。

『口直しに...』

『うお~っ♪ピンク♪何コレ超綺麗♪てか甘い!でも美味しい♪』

『今考えたやつ。苺スペシャル妹バージョン♪』

『今考えたって...すごいやん!同じんまた作れるん?』

オッチャンいつの間にかまた寝てる。
てか寝たふり?
何の為に?
兄妹仲良くしろって?
解らん...

苺スペシャル15杯位飲んだ。
甘い酒好きちゃうけど妙にハマった♪
レモン酎ハイみたいに、苺スペシャルも世間の定番にならんかな?

オッチャンがムクッと起きた。

『おまえ部屋取ってないよな?』

『部屋取る?』

『あ~...泊まるとこ無いよな?』

『無いよ。港で海月眺めながら飲んで始発待つし。』

オッチャンため息。
兄ちゃん爆笑。

『上がり何時?』

『いつでも!』

『ほな出よ。朝迄飲めるか?』

『はい。』

 
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