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FAIRY TAIL 忘却の最期

作者:大牟
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第19話 幽鬼の支配者

「いや~いい仕事だったな!」

ナツ達は依頼を達成しマグノリアに戻ってきていた

「依頼人も気前よかったしね」

「ま、俺がいたおかげでとっとと片付いてたけどな」

「ああ?勝手にでしゃばって何言ってやがる!」

「お前らにゃ荷が重い仕事だと思ったんでな」

いつも通り、ナツとグレイがメンチをきり合う

「荷が重いかどうか教えてやろうかあぁ!?」

「意味わかんねーよ!」

「じゃれるな!」

そしていつも通り喧嘩を止めるエルザ

「服を着ろ」

「ウパー!!!」

「ずるいよ、それオイラのリアクションだよ」

はしゃぐ彼らを余所に

「「あの~」」

ルーシィとラストは手を挙げる

「お楽しみ中すみませんが・・・」

「あ?」

「この依頼、元々あたし達だけで決めようと思ってたんだけど・・・何でみんな来る訳?」

「んなの決まってるだろ?俺達、妖精の尻尾最強チームだからよ!!」

「あい!」

「そういうこと」

「フッ・・・」

楽しそうに言われて、二人は悪い気分にはならず

「ま、いっか」

「だな」

あっさりと納得する

「俺とハッピー、エルザとパンツならどんな仕事でもこなせそうだな!」

「パンツ言うな」

「うむ、心強いものだ」

「あい!」

「あたしらは~!?」
「おれらは~!?」

チームだと言っておきながら除外されたことに二人がツッコむ

「冗談だって泣くなよウーピー!」

「泣いてないしウーピーじゃないし!」

「す、すまない!私まで調子に乗ってしまった!仲間を傷付けてしまうとは、このままでは気が治まらん、とりあえず殴ってくれないか!」

「ツッコんでもいいものなのかしらこれ?」

「「「やめとけ」」」

話しながらギルドへ向かっていくと

「妖精の尻尾の魔導士だ」

「まだ知らないのね、気の毒に」

街の住人から視線を浴びる

「妙に注目されてるな」

「だがこれは・・・」

「な~んか嫌な感じ」

「怯えている・・・?」

不思議に思うナツ達だったが

ギルドが見えてきて、何が起こっているのかを知る

「何だ・・・ギルドの様子がおかしい・・・!?」

自分達のギルドに、無数に突き刺さる鉄の柱

「これは・・・!?」

「どういうことだ!?」

そう、ギルドが破壊されていたのだ

「俺達のギルドが・・・!!!」

ギルドの有り様を見てナツが怒りに震える

「何があったと言うのだ・・・」

「ファントム」

ギルドに戻ってきたミラが呟く

「え」

「今なんつった?」

「ファントムって言ったか・・・?」

ファントムの名を聞き更に怒りが増すナツ

「悔しいけど・・・やられちゃったの」

詳細を知るために、ナツ達はマカロフ達がいる地下へと向かう

「ファントムとウチは昔から仲が悪いからな」

「潰しに行くか」

「やめなって、相手はあのファントムだよ」

ギルドがファントムに壊された事で、酒場内の空気が張りつめていた。

しかし

「よ~!お帰り!」

マカロフだけはいつものままだった

「あ、あれ?」

「予想と違ったな」

「ただいま戻りました」

「じっちゃん!何呑気にやってんだよ!!」

「どうじゃったルーシィ、ラスト!仕事は上手くいったかの?」

「え、ええ・・・」

ギルドが壊されたとは思えない態度をとるマカロフにエルザとナツが声を荒げる

「マスター!今がどんな事態かわかっておいでですか!?」

「ギルドが壊されたんだぞ!!」

「まあまあ落ち着きなさい。騒ぐほどでもなかろうに」

「何!?」

「ファントムだぁ?あんなバカタレどもがこれが限界じゃ。誰もいねぇギルドを狙って何が嬉しいのやら」

「誰もいない?」

ファントムがギルドを襲撃したのは、夜中だそうだ

流石に夜中には誰もギルドには残っておらず、怪我人は一人も出なかったようだ

「不意打ちしかできんような奴らに目くじら立てる必要はない、放っておけぃ!!」

ナツはそれで納得がいかないのか、食い下がった

「納得いかねぇ!!俺はあいつら潰さないと気が済まねぇ!!!」

「この話は終わりじゃ、上が直るまで仕事の受注はここでやるぞい」

「な、仕事なんてしてる場合じゃねえ!!」

「ナツ!ええ加減にせんか!!」

食い下がるナツに痺れを切らし、マカロフは腕を伸ばし

ルーシィの尻を叩いた

「何であたしのお尻?」

「マスター怒りますよ!」

「その前に俺が怒る・・・!!」

悪ふざけをするマカロフに怒りマークを頭につけるミラとラスト

「あ、いかん漏れそうじゃ」

マカロフは用を足しに走って行った

「何で平気なんだよ・・・じっちゃん」

「ナツ、悔しいのはマスターも一緒なのよ。だけどギルド間の武力抗争は評議会で禁止されているの」

「先に手ぇ出したのあっちじゃねえか!!」

「そういう問題じゃないだろナツ、ギルド同士が争えば魔法界の秩序が乱れる。恐らくマスターはその事を懸念して手を出さないんだ・・・悔しいのには変わりないんだがな」

ラストがそう言った後、エルザが頷く

「マスターのお考えがそうであるなら仕方ないな・・・」

全員は、やるせない気持ちを抱いたままその場を収めた

この日はロクに仕事をする気が沸かず、解散となった。

「なんか大変なことになってきたわね」

「ああ」

「おーい嬢ちゃん、落ちてもしらねーぞ」

ルーシィとラストは家への帰路についていた

「ファントム・・・幽鬼の支配者(ファントムロード)は昔から妖精の尻尾(フェアリーテイル)と仲が悪いと有名だったからな。小競り合いが絶えないとか」

「そうだったわね・・・あたし、ホントはどっちに入ろうか迷ってたけどね」

幽鬼の支配者(ファントムロード)は評判が悪い。報酬額の上乗せを強要させたりと、傍若無人な行いに評議会も頭を悩ませているそうだ。」

「ラストの言う通り、入らなくてよかったわ。こっちに入ってよかったと思ってる」

ルーシィはアパートに到着し

「だって、妖精の尻尾は」

部屋の扉を開けると

「お帰り―!」

「いい部屋だな」

「おかー!」

何故かナツ達がいた

「サイコー!!!」

思わずルーシィは叫ぶ

「多いっての!!」

「だぁ!?」

そしてトラベルバックをナツに投げつける

「おいおい何の騒ぎ・・・って、また勝手に上り込んでるし!?」

騒ぎを聞きつけたラストはルーシィの部屋を覗きルーシィ同様に叫ぶ

しかし、押し入った事はともかく理由があるらしい。

幽鬼の支配者(ファントムロード)が襲撃にこの街まで来たという事は
メンバーの住所を調べて襲撃される可能性が出てきた

しばらくの間、孤立を防ぎ集団で行動した方がいいと判断され

各地でメンバー同士のお泊り会が開かれているそうだ。

「ナツとグレイだけここに泊まらせるのは気が引けてな、同席することにしたのだ」

「ナツとグレイは泊まるの確定なんだ・・・つか何であたしんち!?」

そう言っている間に、小動物たちが勝手に行動を始める

「洗濯物だ!」

「プーン」

「コラそこのネコ何してんの!てかプルーも一緒になって何してんの!!」

「おおプルー何食ってんだそれ!?俺にもくれー!!」

「エルザ見て!エロイ下着見つけたよ!」

「す、すごいな・・・こんなのを付けるのか・・・!」

「俺はもう寝るから騒ぐなよ」

「清々しいほど人んちエンジョイしてるわね・・・」

「逞しいと言うか、なんというか・・・」

まるで自分の家かのように動くナツ達を見て、ルーシィとラストは呆れていた。

「それにしてもお前達、汗臭いな。同じ部屋で寝るんだ、風呂くらい入れ」

「やだよメンドくせぇ!」

「俺ぁ眠ぃんだよ」

「仕方ないな、昔みたいに一緒に入ってやってもいいが」

エルザの爆弾発言にルーシィの顔が赤くなる

「あんたらどんな関係よ!?」

「最強チームだよ!」

「いろんな意味でサイキョー!!!」






で?







全員が風呂に入った後、ファントムの事について話が進む

「ファントムって何で急に襲ってきたんだろ・・・」

「さあな・・・今迄小競り合いはあったが、ここまで直接的な攻撃は初めてだ」

「ギルド間抗争禁止条約は向こうも知っているはず。それでもギルドを破壊してきたとなると」

「じっちゃんもビビってねえでガツンとやっちまえばいいんだ!」

「起きてたの?」

「じーさんはビビってるわけじゃねえだろ。あれでも一応聖十大魔導の一人だぞ」

「てか何自然に読んでるわけ!?」

ルーシィはグレイが持っている小説の原稿を取り上げた

「おいこら続きがきになるだろうが」

「ダメ!読者第一号はレビィちゃんに決まってるんだから」

「聖十大魔導・・・やはりマスターもその一人だったのか」

「ファントムのマスター・ジョゼもだよ」

「ビビってんだよ!!ファントムの奴等、数だけは多いからよ!!」

「だから違―だろ?じーさんもミラちゃんも二つのギルドがあらそえばどうなるかわかってっから戦いを避けてんだ」

グレイの後に、ラストも言葉を繋げた

「ああ、ファントムの戦力はこちらと同等と見ていい。聖十大魔導のジョゼを筆頭に、S級魔導士のエレメント4」

「それに、一番厄介なのは鉄竜のガジル・・・鉄の滅竜魔導士、今回の強襲の犯人と思われる人物だ」

滅竜魔導士と聞き、ルーシィが驚く

「滅竜魔導士!?ナツ以外にもいたの!?」

「けっ」

「となると、他にも滅竜魔導士がいると思っていいかもな」

「じゃあそいつ・・・鉄とか食べちゃうわけ!?」

「だろうな。」

話が終わると、エルザを時計の方に視線を向けた

「もうこんな時間か、早く寝るぞ」

「やっと寝られるか」

ナツとグレイが寝ようとした時、襟首をラストに掴まれた。

「お前らは俺の部屋だ」

「やだよめんどくせぇ」

「俺ぁここがいいんだよ」

「ルーシィの部屋に不法侵入したあげく同じ部屋で寝るつもりか?そんなこと俺が許さん!」

「別に構わんぞ?」

「エルザがよくてもあたしはいやー!!」

「決まりだ来い」

まだ嫌がるナツとグレイ、ハッピーを引っ張り、向かいのラストの部屋に放り込んだ

そして、翌朝

「朝だぞ」

「んだよ・・・」

「まだ眠ぃんだよ」

「ラスト朝早いね」

「お前らが遅いだけだ」

ラストがコーヒーを啜っていると、ハッピーがテーブルによじ登ってきた

「ねぇねぇラスト」

「何だハッピー?」

「ルーシィとラストって、もしかして・・・・・・・・・・・・・・・・・・















でぇきてぇる?」

ハッピーの質問にラストは啜ったコーヒーを勢いよく噴き出した。

「な、何言いだすんだこのアホネコ!!つーか何で巻き舌風!?」

「それは俺も気になるな、お前ら一緒にギルドに来ただろ?」

「お?そういえばそうだっけ?」

「覚えてねぇのかよ・・・」

「いや、それは・・・・その・・・・・」

ラストは顔を赤くして何を言おうか迷っていると

「お前達、早く起きろ!!」

エルザが扉を開けて叫ぶ

「どうしたエルザ?」

「外の様子がおかしい、マグノリアの中心部に人だかりができている!」

「人だかり?」

「まさか!?」

嫌な予感が走り、ナツ達は街の大木がある広場へ向かう。

「通してくれ、ギルドの者だ」

人ごみを掻き分け、大木に何かがあった

「な・・・!!」

そこには、磔にされているシャドウギアの

「レビィちゃん!?」

「ジェット、ドロイ!!」

レビィ、ジェット、ドロイの変わり果てた姿だった

そのレビィの腹部には、

「ファントム・・・!!!」

幽鬼の支配者(ファントムロード)のギルドマークが
宣戦布告をするかのように描かれていた

「早く降ろすんだ!!」

ラストは剣を呼び出し三人の腕にある鉄の枷を壊していく

その後ろから、マカロフが歩み寄ってくる

「マスター・・・」

マカロフは、レビィ達を見てわなわなと身体を震わせる

「ボロ酒場までなら我慢できたんじゃがな・・・・・・・ガキの血を見て黙ってる親はいねぇんだよ!!!」

「ヒッ!?」

マカロフは持っている杖を握り潰し、その威圧に圧されるルーシィ

「戦争じゃ」








ナツを初めとした主要メンバーが幽鬼の支配者(ファントムロード)のギルドに向かっている時

ルーシィとラストはレビィ達が運び込まれたマグノリアの魔導士専門病棟にいた。

医師から診断を聞いてきたラストが病室の扉を開けた。

「ラスト・・・」

「大丈夫、三人とも怪我は大したことないそうだ。直に目を覚ます」

「よかった・・・」

それを聞いても、ルーシィは素直に安心できなかった。
それはラストも同じだ

「ひどいことするんだね・・・ファントム」

「ああ・・・」

二人は、レビィ達と初めて知り合った時の事を思い出していた。







ルーシィとラストが談笑をしていた時

「ねえねえルーちゃん、小説書いてるんだって?」

噂を聞いてレビィの方から話しかけてきた

「うわ~もう広まってるし。誰が広めたか何となく想像できるけど・・・」

「あのクソ猫・・・!!」

ラストはハッピーを鬼の形相で睨み付ける

「そういえばちゃんと挨拶してなかったね、私はレビィ。レビィ・マグガーデン!
で、こっちはジェットで」

「どうも」

「こっちはドロイ」

「か、かわいい」

「私達!」

「チーム・シャドウギア!」
「チーム・シャドウギア!」
  「チーム・シャドウギア!」

と、ポーズを決めながら自己紹介をした

「ど、どうも・・・」

「チームなのに若干かみ合ってないぞ」

「私ね、書くのは全然なんだけど本を読むのが大好きなの!よかったら読ませてくれない?」

レビィの頼みに、ルーシィは顔を赤くし恥ずかしがる

「そ、そんな、まだ人に見せられるものじゃ」

「何言ってんの、物書きなんて人に見られてナンボじゃねーの?」

「よく言うだろ?作家っていうのは他人に尻穴見せるようなもんだって」

ドロイがそう言い終えた直後

「ルーシィの・・・尻だと・・・・!!!」

ラストが剣を出しドロイの喉元に突きつける

「た、たとえの話だよたとえ!!」

慌てて弁解するドロイだった

「恥ずかしがってたら始まらないものね。あ、そういえば・・・」

「何?」

レビィはルーシィの耳元に口を近づけ静かに尋ねてきた

「これ、噂になってるんだけど・・・ルーちゃんとラストって付き合ってるの?」

「え?」

「な!!??!!??」

レビィの発言に、ラストの身体が一瞬で固まり顔を赤くする。

「だって一緒にギルドに入ってきたって言うし、仕事にも何回か行ってるでしょ?ギルドのみんながそう言ってるの」

「私とラストが?」

一体どう答えるのか、ラストは心臓をバクバクさせながら結果を待つ







































「そんなんじゃないわよ、ただの友達よ、友達」

友達

それを聞いた瞬間、ラストは石化し

“友達”の重石がラストの頭に落下し粉々に砕け散った

「え、そうなの?」

「そうそう、確かに一緒にいるけど付き合ってるとかそういうのじゃないの」

「う、うん・・・」

ルーシィの後ろでどんよりと落ち込んでいるラストを見て、レビィは冷や汗を垂らす

そこに慰めに来たのは、ジェットとドロイだった

「大丈夫だってラスト」

「これから頑張ればいいじゃねーか」

「・・・まさか、お前達も?」

「俺はレビィに告白して2秒でフラれたんだぜ?」

「俺なんか1秒だぞ」

ジェットとドロイが滝の涙を流しながらそう言った。

「・・・・・・・・・・・・俺は一瞬でフラれた気分なんだけど」

ラストも泣き出して、3人は手を合わせ始めた

「お互いに頑張ろー!」

「ぜってぇ負けねえぞ!」

「妙な一体感を感じるが、これからよろしく頼む!」

「何で急に仲良くなってるのあの3人」

「さ、さあ」

何があったのか急に仲良くなった3人を、ルーシィとレビィが青筋を立てて見ていた。

「と、とにかく、ルーちゃんの書いた小説見せて!」

「い、いやそれは・・・」

「もちろんお尻の方じゃないわよ?そっちでもいいけど」

かなりの問題発言が出てきたが、失恋トリオは気付いていなかった。

「まだ途中なんだ~」

「じゃあ完成したら読者第一号になっていい?」

「う、うん!」

「約束!わーい!!」













「あの時だって・・・私達のために一生懸命に・・・」

「・・・・・・ああ」

ルーシィのラストが、ギルドに入ってナツ達以外で仲良くなった

同じギルドの仲間

その仲間が、幽鬼の支配者(ファントムロード)に無情にも傷付けられた。

その悔しさから、ルーシィの目に涙がこぼれる

「許せないよ・・・あいつら・・・!!」

ラストは、壊れたギルドを窓から眺めながら

拳を握りしめていた

幽鬼の支配者(ファントムロード)・・・この借りは高くつくぞ・・・!!」







で?






「もう、みんなあたし達を置いていっちゃうんだから!」

「仕方ないさ、またレビィ達が襲われる可能性もあるわけだし」

二人は一旦ギルドに戻ると、留守番のミラしかいなくて

マカロフを含めた全員が幽鬼の支配者(ファントムロード)のギルドに向かっていた

ある程度買い出しをし、病院に足を運んでいく中

「え?」

突然、雨が降り出した

「何、天気雨?」

「誰だ!」

ラストは前方から歩いてくる人影に警戒しルーシィの前に出る

「しんしんと・・・そう、ジュビアは雨女・・・しんしんと・・・」

「はぁ?」

訳の分からないことを呟きながら、レインコートの女が歩み寄ってくる

「あなたは何女?」

「あ、いや・・・誰ですか?」

「しんしんと・・・・」

「何なんだ?」

女は二人の間を通り過ぎ、傘を開くと

「楽しかったわ、御機嫌よう」

別れの挨拶をし立ち去っていく

「「だから何!?」」

あまりの事に同時にツッコミをいれる二人だった

「ノンノンノン!ノンノンノン!」

そして、地面から声が聞こえてきた

「ノンノンノンノンノンノンノン!3・3・7のノンでボンジュール!」

地面からへんてこなタキシードを着た男が現れる

「また変なの出た!?」

「な、何なんだ本当に・・・」

さすがのラストも呆気にとられ警戒が緩んでしまう

「ジュビア様、ダメですよ仕事放棄しては。」

「ムッシュ・ソル」

「私の眼鏡がささやいていますぞ。そのマドモアゼルこそが愛しのシブルであると」

「シブル・・・標的か!?」

「あら、この子だったの?」

「あんた達、一体誰なの!?」

「申し遅れました。私の名はソル・・・エレメント4の一人
人呼んで“大地のソル”、ムッシュ・ソルとお呼びください」

エレメント4

二人はその単語に聞き覚えがあった

「ファントム!?」

「左様、我々二人、偉大なる幽鬼の支配者(ファントムロード)よりお迎えに上がりました」

「迎えだと?」

「これなる者、エレメント4の一人にして雨女、人呼んで“大海のジュビア”」

「アンタ達がレビィちゃん達を・・・!!」

「探す手間が省けた」

二人は戦闘態勢を取る

しかし、その瞬間ルーシィが水の球体に飲み込まれた

「な!?」

「ノンノンノン!3つのノンで誤解を解きたい、ギルドを壊したのもレビィ様を襲ったのもすべてはガジル様。まぁ我々のギルドの総意であることには変わりありませんがね」

「なんだこの水・・・!!」

ラストは外からルーシィを助け出そうとしていたが、表面にガラスが張り巡らされているかの様に水に手を入れれずにいた。

「ジュビアの水流拘束(ウォーターロック)は、決して破られない。」

呼吸ができないせいか、ルーシィの意識が朦朧とし始めるのが外からでもわかった。

「こんな水、デカログスで!!」

ラストはデカログスを呼び出し、剣の形状を封印剣(ルーン・セイヴ)に変えて水流拘束(ウォーターロック)を切り裂こうとした。

「ノンノンノン!その様な乱暴なやり方、ジェントルマンのやる事ではありませんぞ?」

地面から無数に腕が飛び出してきて、ラストの全身を掴み拘束する。

「地面から腕!?」

「知っておりますぞ、水や風・・・魔法をも切り裂く封印剣。ジュビア様の水流拘束(ウォーターロック)を破る今現在の唯一の方法。しかし、迂闊でしたな」

ソルは身体をくねらせながら言葉を続けた

「その剣を使用している間は他のDBの使用は不可能。入れ替えるにしても魔力消費が激しく時間が掛かる。」

「何故そこまで知っている・・・!!」

「我々の情報収集力を舐めてはいけませんな。その時間というのも大した時間ではないようですが」

ソルは、地面から生やした腕を使いラストを地中に引きづりこんでいく

「あなたを沈め、ルーシィ様をお連れするには十分可能なわけでボンソワ~ル」

「くそ・・・!!!}

(ラス・・・ト・・・)

息が切れたルーシィは、水球の中で気を失う。

「大丈夫、ジュビアはあなたを殺さない。あなたを連れて帰ることがジュビアの仕事。
















ルーシィ・ハートフィリア様」

「う~む、ビクトワ~ル」

「な、何故ハートフィリアの名を・・・!!」

ラストが尋ねるが、答えは返ってこない
徐々に身体を地面に埋まっていく

(こんなところで・・・何もできずに・・・!!!)

ラストは、地面に引きずられながら

(約束したのに・・・・・!)

何もできない自分に

(約束したのに!!!)

あの日・・・約束した人の顔を浮かべ

(こんなところで・・・何もできずに・・・!!!)

助けたい人の姿が、視界から消え

「クッソォォォォォォォォォォ!!!!」

ラストは、光の届かない地中へと消えていった



第19話 完
 
 

 
後書き
次回予告

ラスト「くそ・・!俺のせいでルーシィは幽鬼の支配者(ファントムロード)に・・・!!」

ミラ「大丈夫よ、ラスト。ルーシィはナツが助け出したから」

ルーシィ「ごめん、ラスト・・・全部、あたしのせいなんだ・・・」

ラスト「ルーシィのせいじゃない!!今回の一連の出来事は、裏にあの男がいる・・・!!」

ルーシィ「うん・・・」

ラスト「だが、その前に・・・!!」


次回 その涙を見ない為に


ラスト「あの男の前に、まずはジョゼを討つ!!!」

ルーシィ「な、何なの・・・あの剣・・・!?」

ミラ「ダメよラスト!その剣は使っちゃダメ!!!」
 
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