SWORD ART ONLINE ―穿つ浸食の双刀―
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
05:救いの手
キンッ、キンッ、と剣がぶつかり合う音が鳴り響く。現在僕、ハリンはレッドプレイヤー二人との戦闘の真っ最中だ。一瞬の油断と躊躇が招くものは本物の《死》と分かっているからこそ、殺す気で応対しなければならない。それがこの世界に囚われた者の性であり、避けられない事の1つだ。
「くっ······にしても、面倒だねっ···!」
レッドプレイヤーの二人組は、持ち前のチームワーク――とでも言うべきか?――を駆使し、翻弄しつつの攻撃を繰り出してくる。それだけではない。奴等が手強い理由は、おそらく所属している殺人ギルドのレベルの高さからくるものだ。棺桶状の形の物が、こちらを嘲笑うかのように見る。間違いなく、殺人ギルド《ラフィン・コフィン》······通称ラフコフの柄の悪い紋章だろう。
(それにしたって······僕はラフコフに喧嘩を売ったわけでもない·······一体何故目の敵にされているんだ···?)
脳内を渦巻く疑問と目の前の敵両方と戦う。勿論、前者の方の答えは一向に現れない。
「うわっ······!?」
ラフコフメンバー二人による見事なコンビネーションのレイピア突きが、僕を一思いに吹き飛ばす。後ろに存在する壁に激突するが、衝撃はそうとうなものだ。
「っ······がはっ······!!」
その場に膝をつき、横に転がった愛刀の柄を握ろうと手を伸ばす。当然それを掴むまで待ってくれる程ラフコフは優しくないようで、この戦いを終わらせるべく止めをさしに来る。ジグザクに交差する二つの影が徐々に接近してくる。
(万事休すかな······もう、勝てる策なんてあるわけが―――)
ガキィンッ!
「っ······!?」
目を閉じて死の瞬間を待った僕だが、金属音が鳴り響いてから剣が降り下ろされない。何事かと思いつつゆっくりと瞼を持ち上げると、そこにはプレイヤーが立っていた。
(敵······ではないよね、助けてくれたようだし······)
何ともベタな展開だなと失礼な事を考えてしまう辺りまだまだ子供だなと思うが、今はどうでもいいだろう。紫色のコートに身を包んだ青年とおぼしきプレイヤーはこちらを見ると、目で下がれと訴えてくる。
(言われなくても、下がらないと死ぬから下がるよ······)
僕は震える手でゆっくりと愛刀の柄を手に取ると、足を引きずりながら下がる。青年は愛刀とおぼしき片手長剣をだらりと下げ、無防備な構えを見せる。それを挑発と見たのか、ラフコフの二人は猛スピードで突進してくる。
「「ひゃぁぁぁっはあぁぁぁぁっ!!!!」」
甲高い声と共に、二方向から突きが繰り出される。青年は微動だにせず、
「······この程度か」
とだけ呟くと、片方のレイピアを片手長剣で弾き返し、もう片方のレイピアを手で鷲掴みにしてへし折る。ラフコフ二人は驚愕の表情を浮かべ、下がろうとする。
「逃がすと思うか······?」
青年は稲妻の如きスピードで疾走し、片一方のラフコフメンバーの胸ぐらを掴むともう一人のメンバーに投げつける。それでだけで壁が凹む程の威力だ。ゲームバランスどころの話ではない。
「止めだ······浅はかな殺戮者に裁きを」
大きく飛び上がり、空中で一回転。真上で止まり、急降下。上を見上げたメンバー二人の腹部を、鈍い音と共に片手長剣が貫通する。十秒もすればラフコフメンバーはその姿をポリゴンの欠片へと変えた。
唖然とする僕を傍らに、青年は剣を左右にはらい、腰の鞘に納める。その動作は黒の剣士《キリト》のそれと酷似していた。そして、少年は此方に振り返ると僕に向かって歩み寄った―――
後書き
はい、短い+変な所で切ってすみません。あと中々更新も出来ずに申し訳ない。次の更新はおそらく騒音男ですが、たぶん19日くらいに投稿します。21日からはコラボ変を書かねば(笑)
ハリン「こんな作者の作品ですが、これからも宜しくお願いします。そして次回もお楽しみに!」
ページ上へ戻る