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レインボークラウン

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第百五十九話

             第百五十九話  美樹にしても
 美樹は自分の使い魔達であるビルガーとファルケンを見てだ、この時はしみじみとしてこうしたことを言った。
「あんた達歯は磨かなくていいのよね」
「はい、そうですよ」
「私達の場合は」
 その通りだとだ、二匹も美樹に答える。
「歯がないですから」
「嘴なので」
「歯を磨く必要はありません」
「そうしなくても大丈夫です」
「そのことはね」
 美樹にしても、というのだ。
「羨ましいかしら」
「ご主人が羨ましがるとは」
「それはまた」
 二匹は主の言葉を聞いてお互いに顔を見合わせて話した。
「珍しいというか」
「はじめて見たというか」
「いや、私達にしても」
「はじめてですよ」
「そういえば私他の人を羨ましいとか思うことは」
 例えそれが動物でもだ。
「あまりね」
「はい、ないですよね」
「そうしたことはですよね」
「ご主人が他の誰かを羨ましがることは」
「そのことは」
「ええ、ないけれど」
 それでもだとだ、ここでこうも言った美樹だった。
「歯を磨くことは大事だけれどね」
「やっぱり面倒ですからね」
「何かと」
「時間がかかるわ」
 それで、というのだ。34
「しかも気を抜くとね」
「すぐに虫歯になりますし」
「大変ですよね」
「それで、ですか」
「羨ましいともですね」
「思ったりもしたのよ」
 こう言うのだった。
「何かとね」
「ううん、そうですか」
「そういう士第で」
「ええ、まあ羨んでも仕方ないわね」
 すぐにだ、美樹はこう考えてだった。
 そうしてだ、二匹にあらためて言った。
「今日も寝る前は磨くわよ」
「わかりました」
「歯はくれぐれもお大事に」
 使い魔達も言う、そして歯を磨く美樹だった。そうして今も歯は綺麗にしておくのだった。それもかなり気をつけて。


第百五十九話   完


                            2014・8・15
 
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