『自分:第1章』
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『表裏一体』
オッチャンとの時間。
あれから毎日。
飲みながら色々話す。
抜きしたのは最初だけ。
2回目からは父子のような関係だとオッチャンは言う。
『ユウ君は芯が強いんやな。真面目なんかな?良い子や。ブレが無いのは凄い。
17歳の男はもっと子供やと思てたけど違うようやな。』
『自分は、その良い子を試してる...嫌われたいとか言いながら棄てられたくないんかも知れん...自分が解らん...』
『まぁ若いうちに悩んで苦しんで...それで良い、それが良いんよ!ユウ君はそんなんも見抜いてんのちゃうか?
それでも好きなんちゃうか?
自分が何も出来ん無力な子供って解ってるから、下手なこと言わんだけやろ...』
毎日毎日、いろんなこと考えた。
養父のことも考えた。
母さんの再婚相手。
弟の父親。
最低最悪な獣。
自分を玩具にしてた張本人。
今更...
いや、最初から...
解ろうとは思てなかった。
この養父も幼少期に問題があった。
厳しい家庭。
自分がされたことは父親にされてきたことらしい。
許せれたら楽になれる。
加害者は被害者だったって話。
良くある話。
悪の連鎖。
今更養父の過去は関係無い。
憎み続けるしか無い。
ストックホルムシンドローム。自分は、間違いなく、ほんの少し...それに似た感情を抱いた。
可哀相な人と同情した。
愛に似たもの?
自分が犠牲になることで救える?
それもまた罪なのか?
愛?
情?
歪んだ想い...
愛されたかった。
義理の娘として。
普通の家族として。
ふざけたり、笑って泣いて...
ごくごく普通の...
ごくごく...
ありふれた家族愛...
愛と憎しみは表裏一体。
同情と愛情も表裏一体?
決して愛なんかではないけど、曖昧な情は何なんか...
同情...可哀想な男への。
玩具になって、喚いて、それで満足するなら救ってやる。
殺してしまうまでは。
そんな感じだった。
哀れ。
みんな。
血が繋がってるみんなも。
何もかも消えてしまえばいい。
この汚い醜い紙切れ上だけの家族ごと。
いっそ皆殺しで...
斧を何回手にしたか。
包丁を何回手にしたか。
もう何年、毎日毎日繰り返し同じ夢を見なあかんのんか。
生きる術として女を利用できてることには感謝してる。
オッチャンに逢うと嫌なことを忘れる。
色んな男の玩具にされる日々。
堕ちる。
精神が狂う。
いつ暴発するか...
手に負えん。
矛盾の中で足掻き溺れてく...
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