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美しき異形達

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第二十一話 菖蒲の友人その十六

 完全に消えた、菖蒲はそこまで見届けてだった。
 家に帰った、そして日常生活に戻り。
 母に帰ったと挨拶をしてからだ、こう問うた。
「姉さん達は」
「まだよ」
「アルバイトなのね」
「お父さんは仕事でね」
 それでまだ帰っていないというのだ。
「菖蒲ちゃんが一番最初よ」
「そうなのね」
「着替えてきたら?」
 母はリビングに入ってきてもまだ制服姿の娘にこう言った。
「ラフな格好になってね」
「そうしてよね」
「くつろいだら?」
 こう言うのだった。
「そうしたら?」
「そうね。けれどね」
「着替えるついでにっていうのね」
「お風呂に入っていいかしら」
 こう娘に言うのだった。
「そうしていいかしら」
「いいわよ、お風呂なら入ってるわよ」
「お母さんが入ったのかしら」
「いえ、菖蒲ちゃんがそろそろ帰って来るって思ってね」
 それでだというのだ。
「もう入れておいたのよ」
「有り難う、そうしてくれたのね」
「そうよ、だからね」
「お風呂が入っているから」
 娘に入る様に言うのだった。
「あったまってね」
「身体を綺麗にして」
「そうしてくつろぎなさい」
 そうしろというのだ。
「いいわね」
「わかったわ、じゃあ」
「お風呂はね」 
 それはとも言う母だった。
「毎日入らないと駄目よ」
「身体は綺麗に」
「そうよ」
 当然という言葉だった。
「女の子だから余計にね」
「お父さんと兄さんにも言ってるけれど」
「まあどっちにしてもね」
「清潔にということね」
「そう、清潔第一よ」
 何といってもというのだ。
「さもないと嫌われるわよ」
「不潔だとそれだけで」
「だからいいわね」
「ええ。今からお風呂に入って」
「それから御飯なり何なりにしなさい」
「わかったわ」
「あと下着だけれど」
 母は着替える時に履き替えるこれのことも話した。
「お姉ちゃん最近青い下着も買ったから」
「間違えない様になのね」
「菖蒲ちゃん下着も青だからね」
 むしろ青系統しか身に着けない、菖蒲の好みだ。
「そこは注意してね」
「姉さんの青の下着はどんな色なの?」
「ダークブルーでラメが入っているわ」
「わかったわ。ではその下着は」
「お姉ちゃんの下着だからね」
「間違えない様にするわ」
 こう話してだ、そしてだった。
 菖蒲は風呂に向かう、そうして身体を綺麗にし温まりもする。闘いの後の日常は彼女にとって掛け替えのないものだった。


第二十一話   完


                     2014・6・15 
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