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プロローグ
ブラック企業に勤めていた俺は、自分から辞めて、次の仕事を探していたが、その日は気の迷いがあったのか、昼飯からの帰り道の道端で、捨て猫がダンボール箱に入れられているのをみて、撫でていた。撫でていたのはほんの数秒くらいだったのかもしれないが、後ろから「キー」っという音がしたので、振り返るとトラックにひかれるところろだった。最後に記憶があるのは、転がったダンボール箱から逃げていく子猫だった。
眼が覚めたところで、布団から身体をおこしてあたりをみまわしてみたが、夕暮れっぽい感じの部屋だが、窓もドアもない。なんだここは? と思うと、
「気がつかれましたか?」
「あっ、はい。ところでここはどこですか?」
声が聞こえた方向をみると、年頃は女子高生ぐらいだろうか。少女といっていいだろう。ただし、着ているのは黒い和服だが、なんか微妙に異なる感じがする。腰に日本刀があるからか?
その少女はいきなり、土下座をしてきて
「すみません。あなたを不注意で死なしてしまいました」
「えっ? 言っている意味はわからないんですけど」
俺は、布団から立ち上がってみると、服装は白い和服だ。まさか、この少女が着替えさせたんじゃないだろうかとも思ったが、それよりも、身体はなにも異常がないようだし、
「死んでいるって悪い冗談じゃありませんか? 服装は気になりますけど」
「いえ、あなたは気がついていないだけで、死んでいるんです」
土下座をされて言われてもなってのが正直だし、
「まずは、顔をあげてください。それから俺って死んでいるって、どうやったら、自分でわかるんですか?」
「ご自分の死体を見るのがはやいでしょうか?」
顔をあげた少女からそう言われて
「はい?」
「あなたが死んだ現場の上にいますので、そこからあなたが運ばれた病院の安置室ににいきましょう」
まじかよ。そう思ったら、部屋がなくなった。いや、透明になったのか?
下の方をみると、数メートル下にトラックが壁にぶつかってあった。場所的にあそこにたしかにいたけれど、そこから空中を移動して、近くの救急病院へと移動したが、そのままぶつかると思ったら、すりぬけて、病院の中の地下へ行って、安置室というプレートがある部屋のまえでとまった。
「この中です。気をおちつけてくださいね」
「はい」
って、ここまでで思ったのは、単に映像技術じゃないのかとも思ったが、そのままドアをすりぬけると、横たわっている人らしき物体がある。顔に布がかけられているので誰だかわからないが、
「その布を顔からとってみてください」
言われて、布をもちあげようとするが、布にさわれねー
何かいもくりかえしたが、だめだ。
「これって、本当に物体なんですか? 最新の3D画像とかってオチでは?」
「私がおこないましょう」
そういって、少女が布をあげると、鏡でみている普段の顔と微妙に異なるが、多分自分だろう。
「本当に死んだの? 俺って」
「はい。私の不注意でもうしわけありません」
「えーと、不注意って、あなたがトラックの運転手さん?」
「いえ、違います」
「だったら、貴方は?」
「死神です」
「はぁ。このまま、あの世とかにつれていかれるのですか」
「いえ、今回は私の不注意であなたの寿命より前に死なせてしまいましたので、ある一定の世界の範囲で転生ができます」
ふむ。なんか、最近読んだネット小説でこういうパターンがあったような気がするな。神様転生だったかな。
「もしかして、神様転生ってやつですか?」
「まあ、そうなるんですかね。私の場合、死神ですけど」
「じゃあ、死神転生?」
「言われるのは初めてですが、そうかもしれませんね」
「ところで、不注意って、なんだったんですか?」
「いえ、死ぬのは、あそこにいた子猫ですが、死んでしまったのは貴方でして……」
「……って、おい。俺の命って子猫と一緒かよ!」
「なので、特別サービスといたしまして、転生特典が少しレベルアップしています」
とりあえず、あきらめた。
こういうときって、前読んだネット小説では、
「まずは転生でいける範囲って、どこですか?」
「けん○ファー、ノー●ーム・ノーラ△フ、精霊使いの剣舞のどれかの類似の世界になります」
三択かよ。それにしても微妙な3つの世界だな。
「今まで、転生ってあるんですか?」
「はい。マニュアルがありますから」
って、おい。マニュアルかよ。しかたがないな。
「過去の人気は、それぞれの世界でどれ?」
「けん○ファーだと臓物アニマル、 ノー●ーム・ノーラ△フだと獣人種、精霊使いの剣舞だと精霊ですかね」
「それって、本当? そいつらの頭がどうなっているか知りたいぞー」
「まあ、人間と、犬や猫の感性は異なるでしょうから」
「犬や猫? もしかして、死神さんって、人間の転生は初めて?」
「ええ、犬や猫を担当している死神ですから」
がくっ
「なにか、わたし悪いこといいました?」
「いえ、いいんです……ちょっと考えさせてください」
「はい。お待ちしております」
自分の死体を前にして考えるのはシュールだなとおもいつつ、過去にとりだめして見たテレビ番組の名用を思い出してみる。
けん○ファーは主人公はハーレムっぽいが、くずれるとまずそうだし、友人関係になっても特典で同じ能力があっても、違いすぎるから却下。けど、あやつっている人の能力はありかな。白のハーレムつくれそうだし。ちと悩む。
ノー●ーム・ノーラ△フは主人公の能力がチートすぎる。多少の特典もらっても神とチェスで勝つなんて無理ゲーだ。
精霊使いの剣舞で主人公はハーレムっぽいけど、幼少期が大変そうだな。それに俺は男でいたいしな。
悩んだ結果、死神に聞いてみた。
「こんなことできる? ごにょごにょごにょ」
「はい。ちょっとマニュアルみせてくださいね」
マニュアル主義かよ。この死神は。
しばらくまったあとに
「はい。可能です。条件はつきますが」
条件を聞いて納得できたので、精霊使いの剣舞の世界に転生させてもらった。
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