普通だった少年の憑依&転移転生物語
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
ゼロ魔編
040 〝赤〟と〝白〟って普通は目出度いはず… その3
前書き
4連続投稿です。
3/4
何気に書いてるのが楽しかった回。
SIDE OTHER
〝覇龍(ジャガーノート・ドライブ)〟。それは二天龍──ないしは〝神器(セイクリッド・ギア)〟に封じられたドラゴンの力を完全開放した状態。使えば生命力を著しく削り、最悪死ぬ。……が、ヴァーリの〝覇龍(ジャガーノート・ドライブ)〟は、生命力の代わりに先祖譲りの膨大とも云える魔力を消費しているので死ぬ事は無い。
「さぁいくよ? ……我、目覚めるは…」
<消し飛ぶよっ!><消し飛ぶねっ!>
「覇の理に全てを奪われし、二天龍なり」
<夢が終わるっ!><幻が始まるっ!>
「無限を妬み、夢幻を想う」
<全部だっ!><そう、全てを捧げろっ!>
「我、白き龍の覇道を極め」
「「「「「「「「「「汝を無垢の極限へと誘おうッ!」」」」」」」」」」
『Juggernaut Drive!!!!!!』
歴代所有者達の〝聲〟と共に〝覇〟へ至る為の呪を紡ぐとヴァーリは小型なドラゴンへとその姿形を変えた。
「それがヴァーリの〝覇龍(ジャガーノート・ドライブ)〟か。その気配だけでも殺されそうな程の殺気を感じるな。……それはさて置き、じゃあ次は俺の番だな。……我、目覚めるは──」
――バチッ!
才人の身体から赤いスパークが漏れる。
「遍しき穹の理を制さんとする赤龍帝なり」
――バチチッ!!
「轟雲すらも我が力を以て悉くを服わす」
――バチチチッ!!!
才人が呪を紡ぐ度、スパークは段々と激しくなる。……才人から歴代所有者達の〝聲〟が聞こえないのは歴代所有者達の怨念を消したからだろう。
「我、天より降り注ぐ幾条もの光矢となりて」
――バチチチチッ!!!!
「汝を霖天灼き裂く雷帝の許へと誘おう!!」
――バチチチチチッ!!!!!
『Juggernaut Over Drive!!!!!!』
――バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!!!
才人のそれは既にスパークの範疇を超越していた。ヴァーリはその雷光を──その赤い、紅い雷光を見せられて、魅せられて息を呑んだ。
「……〝覇龍(ジャガーノート・ドライブ)〟までオリジナルのそれに昇格させるか。……名付ける事が許されるなら“灼雷の轟覇龍(エレクトリロッソ・ジャガーノート・オーバードライブ)”と云ったところか」
「……“灼雷の轟覇龍(エレクトリロッソ・ジャガーノート・オーバードライブ)”か…。〝らしい〟名前だな。……でも、良い名前が思いつかなったから困っていたんだ君の名を頂こう。ヴァーリ、良い名を付けてくれてありがとう」
才人の様相はヴァーリの様に、小型なドラゴンになっている訳では無い。寧ろ〝禁手(バランス・ブレイカー)〟の姿から然程変わっていない。……かと云って、〝変化〟が無い訳でもなかった。
ならばその〝変化〟とは何なのか──
その身体はどことなく朧気で定型を保っていない。才人の一挙手一投足を起こす度、周囲にスパークが巻き起こる。……最早〝それ〟は〝平賀 才人〟と云う人のカタチをしている〝現象〟と云ってもいいだろう。
「君は本当に面白い。まさか人の身で、文字通り〝雷〟になるなんてね。……さぁ、まぁまぁ時間も圧している。最終ラウンドといこうか」
「ああそうだな」
「覇ぁぁぁぁあっ!!」
ヴァーリは才人の返事を聞くや否や、刹那に迫る程の速度で才人へ肉薄し、ドラゴンのそれとなった凶腕を才人目掛けて振るう。しかし、ヴァーリのその行動は愚策だった。
「甘い。見えているぞ、ヴァーリ!」
思考速度すらも速くなっている才人は、おめおめとヴァーリの拳を喰らってやるはずも無く、才人はヴァーリの振るって来た拳を防ぐ。
「ぐっ! がぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!!」
――バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!
才人がヴァーリの拳を受け止めて数須臾後地を揺るがさん程の雷鳴と共に、眩い程の雷光がヴァーリの身を襲う。
今の才人は、相対しているヴァーリが言った通り人のカタチをした〝雷〟と云う〝現象〟だ。ヴァーリはそんな才人へと突っ込んだ。そんな事をすればどうなるか? そう──有り体に言うなれば、ヴァーリの自滅だった。
「はぁっ…はぁっ…! だが〝触れた〟ぞ! 平賀 才人!!」
『DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide!!』
「くっ! 半減される…ならっ、倍加させる…まで!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
才人はいきなりの半減に苦悶の浮かべつつも、ヴァーリの半減数プラスアルファで倍加してやる。
――ガシュン!
「? っ!!」
才人の耳にハルケギニアでは聞こえないはずの、機械染みた音が届く。才人はその音の出所──ヴァーリを見て、ヴァーリの狙い目を悟った。
SIDE END
SIDE 平賀 才人
――ガシュン!
ぞくり、と背筋を這い回る怖気。転生して初めてかもしれないほどの、濃密な〝死〟の匂い。音の発生源を見遣ればヴァーリの胸部にいつの間にやら出ていた砲口から、色んな意味で目を逸らしたい光が発生している。
(〝あれ〟が来るのかっ!? まずいぞ。……まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい。……あれは拙いっ!)
倍加しているお陰か──はたまた走馬灯なのか、矢鱈と速くなっている思考速度で毒吐く。
(……にしても〝これ〟──“灼雷の轟覇龍(エレクトリロッソ・ジャガーノート・オーバードライブ)”って、規模こそ違うがほとんど某・薬味の〝雷天大壮2〟だよな。……ってカットカット。今はそれどころじゃない!)
あまりの類似点の多さに漸く気付く真実。だが今は関係ないのでカットし──
(……待てよ? 【ネギま】か…。使えるかも)
……カットしなかった。【ネギま!】で思い出したことがある。幸い今の俺は〝雷〟そのもの。それを上手いこと〝赤龍帝〟のオーラと同調させる事が出来れば…。イメージとしては薬味の使う完全雷化──“千磐破雷”をもっとドラゴン的な感じに──
「〝雷〟の形がドラゴンの形へと変わったか。……君は頑張った。君の事はあまり──ほとんど識らないが、考えてみれば悪魔の血を継いでいない人間の君が悪魔と人間のハーフの俺をここまで追い詰めた。……だがこれで最後にしようか」
「……そうだなっ!」
キュィィィィイン! と甲高い音を発て、ヴァーリの胸部のから〝それ〟は放たれるだろう。俺の中には〝避ける〟と云う選択肢は〝何故か〟無い。
『Longinus Smasher!!』
轟っ! とヴァーリの胸部から周囲の空間を削るかの勢いで放たれるオーラの奔流。俺はそれに合わせる──否、〝合わさせて貰った〟。ヴァーリはあの半減以降いつでも放てたはずだ。……なので、表現としては〝合わさせて貰った〟となる。
『Welsh Dragon Lightningpromotion!!』
ドライグの形をした〝雷〟を身に纏う。心無しか限りなく力が湧いてくる気がしていて、今なら──ドライグとなら、なんだって出来る気がする。
「往くぞヴァーリ! 哈ぁぁぁぁぁぁああっ!」
湧いてくる力を胸にヴァーリが放った奔流へと、真正面から突っ込んでいった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はぁっ…はぁっ…。……勝った…のか?」
あれから何秒、何分──何時間経っただろうか。〝覇龍(ジャガーノート・ドライブ)〟はおろか、〝禁手(バランス・ブレイカー)〟すらも、既に解除されている
俺はあれからの事を覚えていない。……ただ判るのは俺は立っていて、ヴァーリが目の前に立ちはだかって居ない事は確かな事実として認識している。……今見ている映像が考え難いがいつの間にかヴァーリが俺に掛けた幻術だったり、俺自らが希望的観測で見せている幻想の類でなければの話だが。
(……ん?)
〝見聞色〟でヴァーリを探す。すると6時の方向──真後ろに、どんどんと小さくなっていく気配があった。何となく嫌な予感して、その直感に従い仙術で視力を強化し目を凝らす。
「ヴァーリ、か? あれ…」
やはりと言って良いのか、地に臥しているのは先程まで互いの鎬を削りながらも戦っていたヴァーリだった。俺と同じく、両方とも解除されていてところどころ黒くなっているが、あのくすんだ銀髪はヴァーリに間違いなかった。
身体中にどかん、と現在進行形で襲い掛かっている倦怠感を堪えながらも、ヴァーリの元へ──ヴァーリの安否を見る為にも向かう。
SIDE END
後書き
明日もう一話投稿します。
ページ上へ戻る